【第54回】オールタイムベスト!編集部員に印象深い「ジャンプルーキー!」投稿作品を聞いてみた!!

「漫画を描き始めたけど、どこに気をつければいいか分からない...」
「ジャンプルーキー!に投稿しているけど、閲覧数もいいジャン!も伸びない...」
「編集部から声がかからない...」
このブログ読者の中には、こんな悩みを抱えている方も多いはず。
そこで今回はズバリ、
「ジャンプ+編集部員が見てきた中で、一番印象に残った投稿作品」について聞いてみました!
きっと創作のヒントも見つかるはず!!

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【編集部員I】
担当作品
群青にサイレン
この恋はこれ以上綺麗にならない。
終末のハーレム
すすめ!ジャンプへっぽこ探検隊!
奴隷遊戯
ヨルの鍵
ロマンティック・キラー

好きなマンガは「H2」「鬼滅の刃」「キングダム」「はじめの一歩」「BLUE GIANT」などヒット作から定番まで。
印象に残った作品には、他とはまた一味違う作品を挙げてくれました!


『GooWow』ソウイチロウ

「ストーリーの粗さは感じるものの、 ハリウッド映画のような世界観の壮大さに惹かれました。
読んでいて物語に没入させる演出の巧さや個性的な キャラクターたちが心に刺さったのを憶えています。
すぐにご連絡させていただいて担当となり、最初の打ち合わせ時に『人生で初めて漫画を描きました。』と聞いて更に驚かされました。」


【編集部員K】
担当作品
阿波連さんははかれない
アビスレイジ
檻ノ中のソリスト
開演のベルでおやすみ
怪物少女は初恋の夢を見るか?
過去のあなたを誘拐しました
タテの国
ヒナちゃんチェンジ

好きな漫画は「寄生獣」「金色のガッシュ!!」「火の鳥」「幽★遊★白書」と、新旧幅広くマンガを愛するKさん。 そんなKさんが選んだ投稿作品とはー!?


『想造』kemori(森屋シロ)

「一発で伝わる世界観のスケールとキャラクターの愛らしさ、マクロとミクロの魅力が同時にある作品で衝撃を受けました。
プロの漫画では中々ない、中編のページ数を活かしきった作品で、その意味でも読み味が長編・短編と異なり新鮮で、面白かったです」


【編集部員S】
担当作品
地獄楽
スライムライフ
むとうとさとう

フットサルで日本一になった経験もある編集部員!好きなマンガは「DRAGON BALL」「SLAM DUNK」「俺たちのフィールド」「ワイルドマウンテン」というラインナップです。
選んだのは「スポーツ」カテゴリから、この作品!


『DAMAISM』坂上くん

「圧倒的な美的センスで魅了した次世代けん玉漫画!
ジャンプルーキーが設立され初めて大きくバズった作品なのでとても印象深いです。
なんと言っても演出力がズバ抜けていて、古風なけん玉を様々な構図や見せ方でカッコイイ競技へと見事に変貌させたその手腕は見事でした。
編集部はもちろん、SNSなどであっという間に話題を呼んで、多くの方から反響がありウェブ漫画の広がりの速さにも改めて驚かされました。」


【編集部員T】
担当作品
さっちゃん、僕は。
屍人荘の殺人
昭和オトメ御伽話
隣の部屋から喘ぎ声がするんですけど…
なにがニャンでも居候!!
爬虫類ちゃんは懐かない

好きなマンガは「フルーツバスケット」「魔法陣グルグル」「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」
編集部で一番ルーキーに目を光らせていると噂の、Tさんが選んだのはこの作品!!


『ようこそ亡霊葬儀屋さん』吉良いと

「新人離れしているドラマの演出力に驚かされた作品でした。
また、幽霊の声が聞けるという設定自体は、よく見るものなのですが、その設定を葬儀屋さんの主人公に落とし込むことで、興味が惹かれる企画になっていたように思います。 」


【編集部員F】
担当作品
俺を好きなのはお前だけかよ
サイコアゲンスト
とけだせ!みぞれちゃん
花のち晴れ~花男 Next Season~
左ききのエレン
モネさんのマジメすぎるつき合い方

好きなマンガは「H2」「乱と灰色の世界」「WORKING!!」という、若手編集部員が選ぶ作品とは!

・最も印象深い作品


『デリバリーおじさん』青野てる坊

「ジャンプルーキーの中でも珍しい「おじさん」が主人公の作品。「あらゆるジャンルの投稿を募集しているジャンプルーキーならではの作品だな」と思い、印象に残っています。そんな『デリバリーおじさん』がジャンプ+で8月15日(木)より毎週木曜日更新・全7回の連載になります!ぜひ読んでみてください!」


【編集部員L】
担当作品
彼女と彼
SPY×FAMILY
チェンソーマン
ドリキャン!!
HEART GEAR
ムーンランド

好きなマンガは、「‪赤ちゃんと僕」「寄生獣」「今日から俺は!!」「ザ・ファブル」「7SEEDS」「プラネテス」「マイホームヒーロー」など...「ありすぎて、書ききれないです!」というほどのマンガ好き!!
今回は新しい作品をピックアップしてくれました。


『魂の使い方』へじていと

「導入のスピード感・話の構成の丁寧さ、キャラの会話劇の『抜け感』・キャラの魅せ方、に才能を感じました。同時に投稿していた『すすめ脳力開発部』と一緒に読ませて頂いたのですが、両作とも構成とキャラのかみ合わせ、企画としての狙いが明確で、将来性がとても期待できたので、印象深く覚えております。」


毎日沢山のマンガが投稿される「ジャンプルーキー!」
その本数は毎月数百本にものぼります。
膨大な作品の中から抜け出し、次のステージへ進むには...
やはり、「印象に残る」ことが重要です。

魅力的な「キャラクター」で惹きつける、
構図や見せ方を駆使した「演出」で圧倒する、
斬新な「テーマ」を設定し、今までにないストーリーを展開する...
ここまででお分かりのように、印象に残るための手段は様々。

今まで自分の作品に何が足りなかったのか?
「つまらなくはない」「面白い!」にするにはどうすればよいのか...?
この記事を読んでヒントを掴んだら、早速投稿を!

ジャンプルーキー!は年中無休で投稿可能。
次の「印象深い一作」を、編集部一同お待ちしています。

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ジャンプルーキー!presents「少年ジャンプ+」超速!連載グランプリ2019 投稿受付中!

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【第53回】ジャンプ+の原稿料、広告収入戻しなど ぶっちゃけいくらもらえるの?

ジャンプルーキー!に投稿してくださる方々には、
ジャンプ+で「読切を掲載したい」「連載したい」という作家さんも多いはず!
そんな方々は仕事として、より具体的なお金や、連載に関することが聞きたいはず!
そこで今回は、そこらへんを詳しくご説明いたします。
2019年7月4日現在でのお話となります。

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■原稿料

読切の場合は、モノクロ1ページで9000円~
連載の場合は、モノクロ1ページで12000円~
もちろん連載経験作家さんなどは、過去の実績を踏まえた額を相談の上、お支払いしています。縦スクロールはページ換算して原稿料をお支払いします。


■広告収入

ジャンプ+はオリジナルの連載中マンガに入る広告売上の50%を作家さんに還元しています。毎月、数十万円単位でお戻ししている作家さんが複数いらっしゃいます。


■連載ペース

月刊、隔週刊、週刊、日刊、などがあります。特殊な例では「3回週刊+1回休み」の周期を繰り返すという作品もありました。作品内容や作家さんのペースに合わせた連載ペースを編集部と相談することができます。

左から「月刊」「隔週刊」「週刊」連載作品


■ページ数

多い場合も、少ない場合も、ページ数に制限はありません。ペン入れ中にもし「あと1ページ増やしたい」など思ったら、担当編集にぜひ相談を。


■ジャンルに制限は? ジャンプっぽいものがいいの?

ジャンルに制限はありません。どんなものでも歓迎です。
よく「ジャンプっぽいものじゃなきゃダメだと思っていた」と言われますが、全くそんなことはありません。表現上の問題が無ければ、大丈夫です。


■他誌で連載していたんだけど…?

全然良いです。どしどし来てください。


■マンガの形式

フルカラーや縦スクロール、など様々な形式の連載作品があります。連載の形式に、制限はありません

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ジャンプ+はこんなWEBマンガ雑誌です。
ぜひとも、ジャンプ+でマンガを描くことを検討してみてくださいね。

「ジャンプルーキー!」は365日24時間いつでも投稿受付中。
少年ジャンプ+への持ち込み(03-3230-6133)もいつでも大歓迎です。


持ち込みの方法はコチラから

■ジャンプルーキー!からデビューした作家一覧はコチラ


ルーキー出身作家一覧はコチラ

【第52回】投稿作が世界へ羽ばたく連載へ!第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞、大賞受賞者インタビュー!

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!

大きな反響があった第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞の結果を発表しました。日本語と中国語で作品を募集し、“少年ジャンプ+”と中国最大級マンガアプリ“テンセント動漫”の共同開催となった今回は、日中併せて多数の応募をいただきました。

両編集部の審査により連載確約の大賞が2本決定!

今回は『ロマンティック・キラー』で大賞を受賞した百世渡先生にインタビューしました!


第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞 大賞受賞作 ロマンティック・キラー


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―――縦スクロール漫画賞に投稿する際、意識したことを教えてください。

一番に見易さを意識しています。
主にスマホで見ることを意識してまして、サクサク読めるように心がけてます。
一コマにある絵の情報量や、特にセリフはムダを削って、読むのが面倒臭くならないように気をつけてます。

スマホで漫画を読むのに慣れた若い子は、手軽に読めるのがお好みかな?という私の勝手な想像と、昔はそうじゃなかったんですが、一つの画面に情報量が多いと疲れてしまって、要点だけ読もうとしてしまう…そんな、おばさんと言われるような年齢になった私の好みですが。

絵も描き込みすぎず、着色もベタ塗りで見やすくしてます…というより、これは懲りすぎると飽きてしまいそうなので自分の為にちょっと手抜きしてます。
着色を凄い拘ってる方の絵をよく凝視するのですが、どうやってるんですかね?
講座的なのも見てみるのですが、説明書読むの苦手な私は、なるほど…わからない、になります。
なので未来永劫私はベタ塗り師だと思われます。

あれ?話…脱線…。


―――執筆作業の流れなど具体的に教えてください。

今まで横読み漫画しか描いてこなかったので、興味本位で縦読みに挑戦したため、まず、どうやってコマ割してるの?原稿用紙1枚を1コマとしてるの?
縦にどう繋げてるの?と、分からないことだらけでした。
なのでまずググったのですが、求めてる描き方が見つからず、自分で考えるしかありませんでした。

最初は原稿用紙1枚に適当な間隔にコマを置いて、そのまま繋げれば縦読み漫画になるようネームを描こうと思いました。
けど横読みに慣れた自分はどうしてもコマ割を上手くイメージできなかったです。
その為、今まで通り横読み漫画をまず描いて、着色までしたら、コマをバラバラにして縦読み用に編集しよう!となりました。

完成したコマをコピーして、真っ白な原稿用紙にペーストします。
着色レイヤーが何枚も入ったコマなので、容量重くてPCが数秒フリーズするため割と時間食います。
適当な配置と大きさに編集し、セリフもベストな位置を探して、やっと出来上がりです。
この作業がまぁまぁかなり面倒ではあるのですが、今はこのやり方が自分に合っています。
あとは、あわよくば、人気出て単行本化!ってなったらラクなのでは…というムフフなことも考えてました。


―――大賞を受賞した『ロマンティック・キラー』の見どころを教えてください。

ジャンル分けすると「少女マンガ」なのでしょうが、恐らく皆様に「少女…漫画…?」と思われるでしょう。
私も「少女…漫画…?」と思ってますので。
ラブコメなのですが、コメディが強いのでコメラブですね。

見所としては、ハチャメチャだけど美味しい展開に巻き込まれる主人公の杏子。
けど大事なものを取り戻すために、ラブクラッシャーになった杏子の、雄雄しい姿をポテチ食べながらベタベタの指で読んで頂ければと思います。

コメディを描く上でいつも目指してるのは、ツッコミが追いつかないカオスな展開なので、1話読み終わった後に、ツッコミ所がありすぎて「なんも言えねぇ…」と言って頂けるような作品にしたいです。
あ、なんかハードル自分であげちゃった気がするので忘れてください。

私自身、恋に恋するキャラではないので甘々な少女マンガが描けないため、もしこの作品に甘々をお求めの方はあまり、ほぼ、ご期待されないでください。
そもそも、少しでもラブなシーンを描くと恥ずかしくて「ッアー!」ってなるので、大したことないラブなシーンがあったら、作者「ッアー!」ってなりながら描いてるなと思って下さい。

でもイケメンは手を抜かず、手を抜くならヒロインの顔面をという心意気で、2割くらいキュンとして貰えるよう努めます。
8割は笑っていただければ本望です。
そんな私は現在、空腹でお腹がキュンとしてます。


―――少年ジャンプ+と中国のマンガアプリ・テンセント動慢の両方での連載について意気込みを教えてください。

少年ジャンプ+さんで連載して頂けるだけでも鼻水出てしまうのに、中国でも連載させて頂けるなんて全身の水分飛んじゃいますよね。

今は昔、まだマンガアプリが普及していなかった時代、本国だけに留まらず、海外にまで同時に漫画が連載されるなんて、予想できたでしょうか。いやできない。
本当に本当に有難い事で、ブラジルまで頭つっこんでお礼申し上げたいです。

そういえば私、日本から出たことないので、まさかまさかの本人より先に作品が海を渡っていくのですね。
なんだかちょっとジェラシーです。

中国は一時期すごく憧れていて大学で中国語選択してたんですが、忘却を得意とする私はもはや「ハオチー(うまし糧!)」くらいしかまともに発音できなくなったので、これを機会にアップグレードできればイイなと思います。

とにかく、そのような素敵な機会を頂いたので、ガッカリされないよう頑張ります!
日本の方々に私の作品を面白いと言って頂けるのか不安なのに、中国の方々の反応まで気になってしまう!そんなプレッシャー!
望んでいた舞台ではありますので、燃え尽きるまで挑みたいです。
何卒、宜しくお願い致します。


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百世渡先生の『ロマンティック・キラー』は少年ジャンプ+で7月30日連載開始!

少年ジャンプ+は今後も、縦スクロール漫画など新しい漫画の表現や可能性を秘めた作品をお待ちしています!

◆百世渡先生が大賞を受賞した、第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞の結果はコチラ!

第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞

【第51回】縦スクロール漫画徹底解剖!! 少年ジャンプ+連載作家に聞く! 縦スクロール漫画の作り方!!

スマホで漫画を読む機会が増える中で、“縦スクロール漫画”を読んだことがある人も多いのではないかと思います。

少年ジャンプ+でも縦スクロール漫画の連載は増えています。現在は8作品が連載中です!

ジャンプルーキー!では縦スクロール漫画だけの漫画賞も実施しています。今後も縦スクロール漫画はどんどん増えていくでしょう!


そこで今回の編集部ブログは、まだあまり知られていないであろう縦スクロール漫画の制作の秘訣についてを、作家さんに赤裸々に語っていただきました。

インタビューしたのはオールカラーで縦スクロール漫画を連載中の、『LAND LOCK』の小田原愛先生、『特異体質系女子の話』の八切先生、『ドリキャン!!』の千葉侑生先生です! 必見の内容ですので、ぜひご覧ください!


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『LAND LOCK』小田原愛先生

―――縦スクロール漫画を描こうと思ったきっかけはなんですか?
「縦スクロール」という描き方はノウハウがまだ横読みよりも確立されていない分、既成概念に捉われず色々な事に挑戦出来そうだと思ったからです。
また、ジャンプ+はサポート環境もしっかり整っているので週刊カラーでもスムーズな連載が可能だと思い、迷わず挑戦してみようと思いました。


―――縦スクロール漫画を描く上でのコツやテクニックなどありますか? またご自身の作品で縦スクロールの表現が特にうまくいった箇所など具体的にお教え下さい。
スマホの画面で読みやすいかどうかを常に意識していて、コマとコマの「間」と画面あたりの情報の量に特に気を付けるようにしています。
コマとコマの間に関しては横読みの漫画よりも大きくとるようにしています。「間」を詰めてしまうと縦スクロールだと特に窮屈に感じてしまうので…。
基本的に視線は横読みと同じようにジグザクになりますが、目線が真横に移動しないよう、視線誘導の線が常に緩やかな放物線になるよう意識しています。

これらを手っ取り早くチェックできるよう、スマホ画面に見立てた枠を作りそれを使って読みやすいかどうかのチェックをしながらコマの位置を調整してます。
アナログ感丸出しですが…。
縦読みならではの表現が出来た場面は第1話の主人公猟が転げ落ちるシーン(※1)や第10話で仁が父親に崖から突き落とされるシーン(※2・3)…あと何故か第1話のゴミ箱に捨てたゴミが暗闇に落ちていくシーンはアシスタントさんに好評でした(笑)(※4)
(※1)猟が転げ落ちるシーン

(※2・3)仁が父親に崖から突き落とされるシーン

(※4)ゴミが暗闇に落ちていくシーン

また、通常では2コマほど使う会話のやり取りを縦長のコマ1つで見せる表現は好きでよく使います。


―――縦スクロール漫画を描いて良かった点はなんですか? 逆に苦労している点などもありましたらお教えてください。
良かった点は自由度が高いことです。タチキリやノドなどの規定がない分画面を目一杯使えますし、まだ手法などが確立していないのは不安要素でもありますが、その分新しい表現や方法を自分が最初に生み出せるかも、という可能性を秘めていると思います
最も苦労している点は単行本化の際の書き足し作業です。
横読み用に変更する際はパズルを組み立てるような作業になるのですが、足りない部分が出てきてしまうのでこの書き足し作業が大変です。かといって横組みを意識して描くと縦スクロールの良さが失われるので、横にする時のことは全く意識せず描いています。


―――現在連載している縦スクロール漫画『LAND LOCK』の見どころをお教え下さい。
オールカラーで表現される自然の数々に加え、不思議な島で起こる不可解な出来事、生存者たちの過去や仲間との葛藤が見どころとなっておりますので、是非この機会に読んで頂けると嬉しいです。


―――縦スクロール漫画を描いている、これから描こうかと思っている新人作家さんにアドバイスをお願いします。
まだまだ未熟な点が多いのでアドバイスというのも烏滸がましいですが、「スマートフォンで読みやすい事」という点を常に意識するようにしています。
先ほどの質問の答えと被りますが、目線は常に下か斜め下である事が縦スクロールの定義の1つではと思っています。
真横に移動するコマが多いと「横読み漫画を縦につなげただけ」になってしまうので…。
縦スクロールならではの間の取り方やコマの大きさがあり、カラーであればさらに表現の幅も広がります。
コマや枠線の無い絵巻物のような漫画も描こうと思えば描けますし、とにかく自由さが魅力だと思っています。
最近は縦スクロールの作品が増えたことで、自分自身も色々な作品に触れて勉強できる機会が増えました。
いつかこういった場でたくさんアドバイスが出来るよう、これからも技術を学んでいきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。


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『特異体質系女子の話』八切先生

―――縦スクロール漫画を描こうと思ったきっかけはなんですか?
数年前、初めて漫画というものを描く時にコマ割りってなんだ!? どう割ればいいんだ!?…縦なら適当に横線引いとけばいいんじゃないか?という気持ちがきっかけです。当時は完全に舐めてました。


―――縦スクロール漫画を描く上でのコツやテクニックなどありますか? またご自身の作品で縦スクロールの表現が特にうまくいった箇所など具体的にお教え下さい。
ないです! 縦スクロールの作品でセリフもコマ割りもなく、絵のみで物語になっている素敵な作品を拝見したことがあり、その枠にハマらない自由さに感動したことがあるので。なので私からは縦漫画ならこう!みたいなのは全く思い浮かばず、申し訳ないです。同じくインタビューを受けていらっしゃる千葉侑生先生の『ドリキャン!!』、小田原愛先生の『LAND LOCK』をはじめ、素敵な作品を読んで勉強してください!!
そして自分の作品で上手くいったというか、縦スクロールっぽくて好きなのは1話の主人公ことはが「好き」を食べるシーンです。スクショだと縦に長く大きいのでぜひ1話を見ていただきたいですね。そうです、ダイマです。


―――縦スクロール漫画を描いて良かった点はなんですか? 逆に苦労している点などもありましたらお教えてください。
個人的に良かった点はページごとに似通ったコマ割りになることや、めくりを気にしないで描ける点です。
逆に苦労する点は視線誘導がほぼ縦にしか使えないので画面が単調になりがち、横幅がないので一コマにキャラクターと数個の吹き出しを横一列に並べることができない点かなと思います。


―――現在連載している縦スクロール漫画『特異体質系女子の話』の見どころをお教え下さい。
普通に好きな人がいて、普通に恋している彼女たちが普通な人にはない体質のせいで余計に振り回される話です。今更新されているのはスピンオフのツインテールが巨乳に恋している話です。もしよろしければお暇な際にでも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。


―――縦スクロール漫画を描いている、これから描こうかと思っている新人作家さんにアドバイスをお願いします。
私もこの縦スクロール作品がデビュー作のド新人作家なのでアド、アドバイス!?という感じなのですが、現在進行形で描いてらっしゃる作家さんはもうそのままぜひ楽しんでください! 今まで横だったという作家さんは横とはまた違った面白さ、新鮮さがあると思います! まだ漫画描いたことないという方には横よりかは多少描くことに対して入りやすいと思います、たぶん! アドバイスじゃないんですけど思い浮かばないので以上です! 終わり! ありがとうございました!


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『ドリキャン!!』千葉侑生先生

―――縦スクロール漫画を描こうと思ったきっかけはなんですか?
元々漫画を描いたことが無かったので、横に二本線を引くだけでコマになる「縦スクロール漫画」に興味を持ち、描いてみました。初めて描いた漫画はマウスとペイントショップで描いていました(笑)。それでも描けちゃうくらいコマの使い方は本来のページ漫画と比べて単純で、素人にも描きやすいと思います。


―――縦スクロール漫画を描く上でのコツやテクニックなどありますか? またご自身の作品で縦スクロールの表現が特にうまくいった箇所など具体的にお教え下さい。
縦はコマを縦に引き伸ばそうと思えばどこまでも長いコマができあがります。その特徴を生かしてページ漫画ではできない表現ができると面白いと思います。

また、あえて画面を横に描くことで見せゴマを大きく描くこともあります。

しかし、「見せゴマ」ではキャラクターの顔と吹き出し両方がスマホの縦のサイズに入るように注意してます。どこまでも縦に伸ばせる縦漫画だけど見せたい絵と言葉は同じ画面に入らないと迫力が出ない気がします。


―――縦スクロール漫画を描いて良かった点はなんですか? 逆に苦労している点などもありましたらお教えてください。
良かった点は、まだ少ない新たな漫画形式に挑戦することで試行錯誤して自分なりの表現方法を見つけられることです。まだまだ日々努力です!
苦労してる点は、アクションシーンが描きにくいことです。横長のコマが必要なときは困りますね(笑)。


―――現在連載している縦スクロール漫画『ドリキャン!!』の見どころをお教え下さい。
ドリフトと聞いて、興味の無い方も多いと思いますが、車知識がなくても楽しめるように描いてます! モータースポーツとしてのドリフト競技を描いた自動車部員の話です! どうぞよろしくお願いします!


―――縦スクロール漫画を描いている、これから描こうと思っている新人作家さんにアドバイスをお願いします。
縦スクロールはまだ世の中には少ないですが、だからこそ自分なりの発見や工夫で今までにない表現や演出ができるかもしれません。私もまだまだですが、いろんな漫画やアニメ、本を読んで取り込んでいけたらいいと思います! 一緒に頑張りましょう!


―――小田原先生、八切先生、千葉先生ありがとうございました。


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少年ジャンプ+は今後も、縦スクロール漫画など新しい漫画の表現や可能性を秘めた作品、作家さんを応援いたします。
少年ジャンプ+への持ち込み、ジャンプルーキー!への投稿をお待ちしています!!


◆少年ジャンプ+で絶好調連載中!! コチラからご覧ください。
[少年ジャンプ+]LAND LOCK
[少年ジャンプ+]特異体質系女子の話
[少年ジャンプ+]ドリキャン!!

ジャンプコミックス『LAND LOCK』3巻、5/2(木)発売!!

◆千葉先生、八切先生が準大賞を受賞した、第1回ジャンプ縦スクロール漫画賞の結果はコチラ

第1回ジャンプ縦スクロール漫画賞

【第50回】主婦をしながら漫画家に!ジャンプルーキー!から掴んだ夢!累計20万部突破「生者の行進」みつちよ丸先生インタビュー!

2016年、第2回連載グランプリで見事グランプリに輝き、2017年から連載開始。そして完結後に大ブレイクしたホラーサスペンス生者の行進。今回は、その作者であり、ジャンプルーキー!出身のみつちよ丸先生に、デビューまでの道のりと創作の裏側を聞いてきました!

「生者の行進」1巻はコチラ

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―――みつちよ丸先生が漫画を描きはじめたのは、いつ頃ですか?
2013年くらいからでした。会社を辞めてから描き始めた感じです。ずっと漫画家という職業に興味はあって、いつか漫画を描きたいなと思っていたのですが、会社員になってからはしばらく忘れていたというか、そんなに意識していませんでした。でも、何か会社を辞めることがあったら、描いてみようとは思っていて、結婚や色々があって会社を辞めることになって、じゃあチャレンジしようと思い、描き始めました。


―――元々漫画を読むのはお好きだったのですか?
漫画を読むのは小さい頃から好きでした。小学生高学年くらいから、お兄ちゃんのジャンプを読んでいました。読んでいて面白いという気持ちは、描いてみたいという気持ちに変わっていきました。


―――特にどんな作品に影響を受けてこられましたか?
「幽☆遊☆白書」と「セーラームーン」ですね。漫画もアニメも見ていました。あと高校生の頃に「寄生獣」を読んで、めちゃくちゃ面白くて、すごく綺麗に完結していて、そこでストーリーを作ることに強く興味を持ちました。ストーリーの最初から最後までの完成度という意味では、「寄生獣」と「風の谷のナウシカ」に影響を受けました。


―――漫画家にずっと興味はあったとのことですが、プロになりたいと意識しだしたのはいつ頃でしたか?
プロになりたいという気持ちは高校生の頃には持っていたのですが、両親が2人とも公務員で、漫画家という職業があまりに未知だったので、とりあえず大学に行ってくれと言われていました。安定した職業についてから、それから考えたらいいのではと。高校生の進路を考える頃、漫画コースがある学校とかも考えたのですが、家族の反対で断念した形でした。だから、夢をこじらせていたというか、何もチャレンジしないまま大人になってしまったので、「本気を出してやってこなかった」「興味はあったのにやり残した」という感じが社会人になってからもずっとあって…。30歳を超えてから、溜めに溜めた気持ちが爆発した形です(笑)結婚もしていて、生活基盤もしっかりしていたので、勢いに乗れたのもあると思います。


―――その中で、ジャンプルーキー!に応募したきっかけは何でしょうか?
実は私は、主人の転勤でアメリカに行っていた時期がありました。漫画家を目指した最初の頃は女性漫画誌をメインに持ち込みに行っていたのですが、その後転勤が決まったので、雑誌の持ち込みができなくなったんです。それで何か良いWEBのサービスがないかと探して、ジャンプルーキー!を見つけました。

2016年1月期 ルーキー賞最終候補作「まねキング」


―――海外から投稿しておられたんですね。
そうですね。本当にありがたかったです。こんな手段があるんだと思って。ペンとか画材も海外だと売っていなくて困っていました。そこでデジタル作画に切り替えて、そのままデジタル投稿できるというのがありがたかったです。ちなみに当時は講談社さんに担当さんがいて、その方と電話でやりとりしていたのですが、時差が15時間あるので、スケジュールを合わせるのが大変でした(笑)


―――では、「生者の行進」の連載が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
グランプリに決まりましたという連絡をジャンプ+の担当さんにいただいたのが、長女を産んだ一ヶ月検診の日でした。病院のロビーで連絡をいただいて(笑)あの時の興奮はなかなか忘れられません。でも、「今!?」という気持ちもありました。これからどうしようというか。記念受験みたいな気持ちで連載グランプリに投稿したところもあったので、まさかという気持ちでした。

「生者の行進」がグランプリを受賞した「第2回連載グランプリ」結果発表はコチラ


―――その後、具体的に連載準備をしていく上で大変だったことはありますか?
下の子がまだ生後4ヵ月の頃、昼も夜も3時間おきに授乳をするのですが、授乳して寝かしつけて原稿を描いてというのが大変でした。保育園にも入れたのですが、母乳しか飲まない子だったので、毎日授乳しに3時間おきに保育園に行っていて、とても大変でした…。逆に子育ての生活サイクルに慣れると、短い睡眠でもすぐにスイッチが入って仕事モードになれるようになったのは良かったです(笑)連載中も、作品を作る上ではそれほど大変なことはなかったのですが、フィジカルな面だと、家族の健康などはどうしようもないので、子供が熱を出して保育園から着信があったりすると、一気に「うわー!」となって混乱していました。


―――ホラーの演出やセリフ回しなどに特に突出した印象を受けますが、ネームはどんな手順で書かれていますか?
まず最初に紙にコマ割の線を描いて、吹き出しの中の文字を描いて、それから吹き出しを描いていきます。映像は脳内で補完して、先にコマ割と文字だけをやってしまって、そこから絵を書き足していくという順番です。時間のかかる作業はあとに残しておくというか、
私はカメラワークをすごく大事にしているので、そこが後から修正しやすいように、最初のうちは絵を書かないで進めていきます。文字の位置とかもすごく意識していて、最初に書いたコマ割と文字だけのネームを何回も読み直して調整します。


―――「生者の行進」を作る上では、どんなことに一番気をつけていましたか?
2週間おきに締め切りが来るのですが、ネームを書くときに、毎回最後に引きを作ろうというのは意識していました。


―――泪やまどか、省吾など、キャラクターもすごくリアルな感情が描かれていましたが、何からキャラクターを作っていきますか?
私の作品はそんなにキャラクターがたくさん出てこないのですが、それは私が何を考えているのかわからないキャラクターは会話が浮かばないからで、自分の中の一部の人格をキャラにそれぞれ割り振っている感じですね。どのキャラも自分の思考のある一部分で会話をしていくので、キャラとキャラの会話はすごく書きやすいです。


―――連載完結後に、反響が反響を呼び、累計20万部を突破しましたが、どんなことが話題になった理由だと思いますか?
それは、こっちが聞きたいくらいかもしれません(笑)ただ、自分の中では、連載をしている当初から、この作品は映画になっても良いんじゃないかというくらいの気持ちで作っていました。一本の映画を作るというイメージで、その尺の中での起承転結を意識していました。だから、3巻という長さで完結していて、一気に読みたい人にはちょうど良かったのかもしれません。キャンペーンなどで6話無料とかをやっていただいた際にも、読みたいと思った時に手を伸ばせるのも良かったのかなと思います。


―――映画をイメージというのは面白いですね。
そうですね。元々、最後までの話を考えたのが、担当さんに連絡をもらった日だったのですが、病院で通知を聞いた時に、すごくアドレナリンが出たんでしょうね、その夜、一晩中眠れなくて、携帯のメモで20話分のメモを書き出したんですよね。A4にした時に3ページになるくらいの、箇条書きのようなストーリーを全部書き出しました。連載中もそれを元にネームにしていった形です。だからあれは1日で生まれたんです。なんだかその、興奮した状態が良かったんでしょうね。「やった!」というか。


―――逆に、最初の構想から連載しているうちに変わった部分は何かありましたか?
変わった点は、自分でも予想外だったのですが、まどかのお兄ちゃんが思ったより活躍してくれました。実際にネームを描いてみた時に、連載後半の方は、当初のストーリーとは違う動きをしてくれて、キャラが動くってこういうことなのかなと思いました。最初はあんな良い奴なキャラじゃなかったんですよ(笑)


―――次回作はどんなものを考えておられますか?
「生者の行進」の主人公達は高校生だったのですが、次回作はもう少し大人の主人公にして、もうちょっと複雑な大人の葛藤や恋愛模様なんかが描けるといいなと思います。更にこじらせる感じというか(笑)


―――最後にジャンプルーキー!に投稿しデビューを目指す方に、一言アドバイスをお願いします。
アドバイス、アドバイスですかー…なんだろうなぁ。皆さん、私より絵の上手い方もいらっしゃるし、運みたいなところもありますし、えーと、そうですね…。何か多分、漫画家を目指している方って、今は漫画家ではない状態じゃないですか。学生さんだったり、バイトされていたり、社会人だったり。いつかあるべきところに落ち着くと思うのですが、私は遠回り遠回りして漫画家になって、でも遠回りしたとしても、社会の中で勉強したことも全部含めてネタのこやしにしています。だから今、漫画家じゃない自分にヤキモキしている人もいると思うのですが、それはそんなに悪い状態じゃないんだよ、ということを伝えたいですね。変に焦らなくてもいいし、漫画を描くことが好きなら、何かをやりながらでも描き続ければ良いと思います。私も主婦をしながら、1日5分でも時間があったら、何かを書こうと思って今もやっているので。


―――みつちよ丸先生、ありがとうございました!

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いかがでしたか?好きという気持ちを大切にしながら、たくさん描き続けてくださいね!新たな才能がジャンプルーキー!から登場するのを楽しみにしております!!


「生者の行進」全3巻、絶賛発売中です!↓

みつちよ丸先生に続け!第1回超連載グランプリ結果発表はコチラ!↓

【第49回】打ち合わせとお茶

いつもジャンプルーキー!への投稿ありがとうございます!
毎月お送りしているこのブログ、たまには趣向をガラッと変えてお送りします。


今回のテーマは「お茶」です。
漫画家と編集者と言えば「打ち合わせ」なのですが、そこにはお茶が欠かせません。

日夜、漫画家さんと編集が打ち合わせを繰り広げている集英社には喫茶室があり、そこでお茶が注文できます。

こちらがジャンプ編集部が入っているビルの喫茶室

ちなみに漫画「バクマン。」の作中では『お茶が出たら持ち込みで合格』という理論を最高達が披露していましたが、そんなことはないです。


メニュー表

喫茶室のおじさんに聞いた所、人気のメニューはベタベタにホットコーヒーアイスコーヒーが不動の1位2位とのことで特にニュース性はありませんでした。

それ以下だと、ゆずソーダ氷コーヒーが人気だそうです。

ゆずソーダ 氷コーヒー

氷コーヒーは聞きなれないメニューですが、知る人ぞ知る集英社の裏名物メニューです。
通常の水の氷の代わりに、コーヒーを氷にしたものを入れてます。加水しないので味が薄まらず、好評です。


他にもガムやお菓子、パンなどちょっとしたコンビニ状態なのが喫茶室。

よりどりみどり

そして重要なのが、こちら全部、持ち込みの方には「タダ」!

メニューの写真には「全品¥300~¥350」とありますが、持ち込みの方は全部タダです!正確には編集部のオゴリです!

アイスコーヒーと氷コーヒーとホットコーヒー全部飲み比べたい!
レモンスカッシュとトマトジュースとバニララテを混ぜて、レモンバニラトマトラテスカッシュだ!
も無駄に全部タダです!


というわけで、ジャンプ+は平日毎日持ち込みを大募集中!
原稿を持ち込んでいただいた方には喜んでお茶を振舞わせて戴きます!
電話やメールも効率的で悪くないですが、顔を付き合わせるからこそはかどる打ち合わせも多いです。
物見遊山半分でも構いません!持ち込みお待ちしてます!

■編集部の電話番号&地図はコチラ↓


持ち込みの方法はコチラから

実際の持ち込みの様子はこちらから見ることができます。【過去の編集部ブログ】
【第33回】ジャンプ編集部は持ち込みも大歓迎!恐がらないで最初の一歩を踏み出そう!

【第48回】漫画家と担当編集者の出会いの全7パターン詳細説明と、良い点・悪い点

少年ジャンプ+編集部に異動してきて、半年ちょい。
色々編集部の特性や、状況等が分かってきた、編集主任の林士平(りん しへい)です。

このジャンプルーキー!編集部ブログは、漫画家志望者の作家さん向けに、編集部で交代交代に記事を書いています。

前回は、若手作家と読切作品を作っていく理由を書きました。
【第41回】漫画編集者が伝える、新人作家への最初の課題(前回記事)


今回は「漫画家と担当編集者の出会いのパターンと、良い点・悪い点」を書こうと思います。

僕が今まで出会って、掲載・連載までたどり着いた作家さんの例も書いていきます。
漫画家志望者の方々に、少しでも役に立つ記事になれば幸いです。

まず、漫画家と編集者の出会い方の全パターンを列記します。

【1】持ち込み
【2】漫画賞(ジャンプルーキー!)
【3】スカウトキャラバン(美大・専門学校等、出張編集部)
【4】Twitter・pixiv等SNS
【5】コミケ・COMITIA等創作系イベント
【6】担当交代(社内からの引き継ぎ・紹介)
【7】その他

基本、上記のどれかしらのパターンで、編集者は漫画家さんと出会い、一緒に漫画賞を獲り、読切の掲載を経て、連載を狙っていく、というのが一般的な流れです。

それぞれを説明していきます。


【1】持ち込み


持ち込みの方法はコチラから

作家さんから電話をかけて予約を取って頂き、神保町の集英社にある少年ジャンプ+編集部まで直接、原稿を持って来ていただいて、僕ら編集者が作品を読ませて頂く方法です。
少年ジャンプ+編集部は電話に出た人がその作家の担当になる、というルールがあります。

メリットは、直接聞きたいことを聞けることが大きいです。
ネームの細かいところまで顔をつき合わせて話せることが、最大のメリットです。
作品の細かい機微等、深い打合せをするのであれば、会って話すとより深い理解が互いに出来ます。

逆にデメリットは、持ち込み申し込みの時に電話をしなければならないので、少し緊張すること。
また、東京・神保町に行かなければ会えない、時間的、距離的制限もネックかと。
しかし、その労力・ストレスと引き換えに、細かいネームの打合せ、聞きたいことをすぐに聞ける、というメリットはやはり大きいです。関東近郊にお住まいの作品を既に描かれている作家さんは、是非是非、持ち込みに来てみて欲しいです。

僕が今まで持ち込みで出会った作家さんはとても多く『青の祓魔師』の加藤和恵先生・『地獄楽』の賀来ゆうじ先生・『この音とまれ!』のアミュー先生・『ムーンランド』の山岸菜先生、等々、とても多くの作家さんに持ち込みで出会っています。

お会いしてからどのような打合せを経て上記の連載に至ったのかは、また機会があれば別記事で書きたいと思います。

ちなみに、少年ジャンプ+編集部の持ち込み用電話番号は
03-3230-6133
です。

持ち込みの方法はコチラを参照して下さい。

編集部のスタッフは11時〜20時くらいにいることが多いです。
電話が繋がらなくても、気軽に掛け直して頂ければ幸いです。

編集者は持ち込みが大好きです。新しい、世に出すべき才能に出会った瞬間は、震える程嬉しかったりします。
気軽にお電話して頂ければ嬉しいです。


【2】漫画賞(ジャンプルーキー!)


「月刊ルーキー賞」の詳細はコチラから

投稿作で受賞した場合、最終候補以上になったり、将来の可能性を感じた場合、編集者から直接連絡をさせて頂いています。
ジャンプルーキー!は、少年ジャンプ+編集部全員が読ませていただいているので、毎月開催している月間ルーキー賞の順位が確定する前に連絡をさせて頂くこともあります。

メリットは、デビューまでが最短のルートだということです。
デビュー作が受賞作品という箔が付くので、多くの読者に読んでもらいやすいです。
また、もし未成年の方で、両親が漫画家を目指すことを認めていない場合でも、受賞するとご家族の反対する態度が軟化する傾向があります。
デメリットは、落選して編集者からの連絡が来ない時、どこが悪かったのか、何が足りないのか、作家さんがすぐには確認できないことです。
作品はフィードバックを貰ったほうが、確実に次回作のクオリティが上がります。なので、賞への投稿のみだと、少し成長に繋げにくいことがあります。
ただ、担当がついてしまえば、上記のデメリットは無くなります。意欲的な作品が投稿されれば必ず担当が付きますので、あまり気にしなくてもよいかもしれません。

僕が今まで漫画賞で出会った作家さんの例でいうと、『ファイアパンチ』『チェンソーマン』の藤本タツキ先生は、ジャンプSQ.にいた頃の月例賞の最終候補で。
『ドリキャン!!』の千葉侑生先生『特異体質系女子の話』の八切先生のお二人は、第1回縦スクロール漫画賞の準大賞で。
『カッコカワイイ宣言!』『いいよね!米澤先生』の地獄のミサワ先生は、赤塚賞の準入選でお会いして連載をご一緒させてもらいました。

現在、ジャンプルーキー!では以下の賞を募集しています。

第1回 U23ジャンプWEBマンガ賞

そして毎年3月末・9月末の2回締切がある、手塚賞・赤塚賞にも少年ジャンプ+編集部は参加しています。

手塚賞・赤塚賞の詳細はコチラから

是非に、投稿タイミングが合うものや、賞のコンセプトがご自身に合った賞にご応募頂ければ嬉しいです。


【3】スカウトキャラバン(美大・専門学校等、出張編集部)

少年ジャンプ+編集部は、少年ジャンプ編集部と一緒に、毎年10月頃、全国数都市を回る大規模なスカウトキャラバンをしています。
例年ですと、少年ジャンプ+編集部は、札幌、大阪、名古屋、広島、福岡、には行かせて頂いています。
各会場に編集部員が直接行きますので、持ち込みに行きたいけど東京は遠いし、交通費が厳しい、という作家さんは、スカウトキャラバンは狙い目です。
他誌で担当付いているけど、他の編集者の意見も聞きたいから等の理由で、自分の現状を知る機会として利用することもオススメです。
また、各地の専門学校や美大芸大でも、単発でスカウトキャラバンを実施することがあります。
地元の学校で出張編集部が開催されるタイミングに、飛び入りで作品を持ち込むのも一つの手です。

メリットは、地方にいても、持ち込みと同じ形式で作品を見せられる。直接会って話を聞ける点です。
逆にデメリットは、大規模なものは毎年10月にしか開催されていないので、回数が少ないです。作品が出来たのですぐに編集者に見せてアドバイスが聞きたい!と思ったタイミングで、キャラバンが開催されているとは限らない点です。
「鉄は熱いうちに打て」出来上がったら、すぐに読んでもらって、フィードバックを貰ったほうが良いと思うので、そこが少し難点かと思います。

僕の担当作家である『BLACK TORCH』のタカキツヨシ先生は、数年前の福岡キャラバンでお会いして、打合せを重ねて連載までご一緒できました。


【4】Twitter・pixiv等SNS
最近はTwitter経由で、編集者から連絡させて頂いています。
SNSに載せてみた作品がバズったら、ほとんどの出版社から連絡が来た、という話も良く聞きます。
もちろん、漫画家さんからTwitter経由で持ち込みの申し込みがあることもあります。
上記双方向2パターンとも、共通して言えるメリットは、自分で担当編集者を選べる、ということです。
自分から連絡しなくても、沢山の編集者から、担当になってもらえることを選べることor自分が選んだ編集者のSNSアカウントに直接持ち込み依頼、どちらも漫画家さんが選んで連絡が出来ます。

ただ、作品がバズった時は連絡が来てしまい過ぎて、お断りする対応が面倒になることもあります。
また、もちろん作品をSNSに上げても全く連絡が来ないこともあります。

『左ききのエレン』のかっぴー先生は、僕からTwitterでDMさせて頂いて、連載までご一緒させて頂きました。
また、2018年の手塚賞佳作受賞作『unbloom』三崎しずか先生はTwitterに直接持ち込み申込をして頂いて、お会いして初めて打合せした作品が、手塚賞佳作の受賞になりました。

担当編集者は「ガチャ」みたいなもの、と言う方もいらっしゃいます。当たりに会うまで、流浪の持ち込み行脚をする人の話も聞きます。
編集者との出会いは「運」で、全く選べなかった時代もたしかにあったのでしょう。
しかし、今はTwitter経由での出会い等、自分で人生賭けて一緒に戦う編集者を選ぶことが出来ます。価値観や人柄等、この人に作品を見てもらいたい!と思ったら思い切って、持ち込み申し込みをしてみると良いと思います!

ちなみに、僕のTwitterは@SHIHEILINです。持ち込み申し込み、24時間365日大歓迎です。
他社での連載作家さんでも、受賞済だけど他の編集部の意見も聞いてみたい等、色々な作家さんの持ち込みを受け付けています。


【5】コミケ・COMITIA等創作系イベント

創作イベントで、編集者が「是非にお仕事ご一緒したいです」と、名刺を渡すことも近年では増えています。
オリジナルでも、二次創作でも、漫画を描く力が高い作家は、イベントでの出会いでそのまま商業誌連載までたどり着く方もいらっしゃいます。COMITIAでは、少年ジャンプ+編集部は出張編集部もやっています。出張編集部に関しては、上記のスカウトキャラバンと同じメリットがあります。多数の編集部がブースを出しているので、効率的に回れるメリットがあるので、関東・関西の大規模COMITIAは、もしお時間あったら行ってみると良いと思います。

僕の担当作家さんですと、『ワンダーラビットガール』の廣瀬ゆい先生は数年前のCOMITIAでお会いしました。
今後のCOMITIAの開催予定はコチラに掲載中です。ご参考までに。


【6】担当交代(社内からの引き継ぎ・紹介)
こちらも一般的ではありますが、編集者の異動や退社に伴い、連載作品や作家さんを引き継ぐ、という形です。新入社員の編集者は、まずこの出会い方で作家さんとの向き合い方を学び始めます。
今現在、担当編集を探している若手作家さんには、少し関係は薄いかもしれないですが、将来的には、このような形で新しい担当と出会うことも多いということをうっすら覚えておいて頂ければ。

僕が今までこの形で担当させて頂いた方ですと、『TISTA』『月華美刃』の遠藤達哉先生『終末のハーレム』の宵野コタロー先生・LINK先生『怪物事変』の藍本松先生や、『冒険王ビィト』の三条陸先生・稲田浩司先生、『Mr.Clice』の秋本治先生他沢山のステキな作家さん達は、先輩方から引き継いで、一緒に連載作品をご一緒したり、新作を立ち上げたりしました。


【7】その他
上記に無いパターンでの出会い方ですが、例えば作家さんからの紹介等もあります。
担当作家のアシスタントの作品を見てみてやってくれ、等のご紹介はたまにあります。
僕の例ですと、『終極エンゲージ』の三輪ヨシユキ先生は作家さんからの紹介でした。原作の江藤俊司先生は、三輪先生からのご紹介でした。
あとは特殊な例ですと、もともとの友人だった、とかでしょうか。
中高の同級生、幼馴染みとか、ですかね。僕も中学校の同級生が他社で連載作家をしていたので、久々の再会の際、読切を依頼して、掲載まで至ったことがあります。
書店員さんの友人からの紹介や、知り合いからの紹介等で担当になることもあります。
人の縁は不思議なもの。もし、良い漫画家・良い編集者に出会う縁があったら、嬉しいなと思いながら過ごしています。


さて、漫画家さんと編集者の出会い方は上記で以上です。

上記のどんな出会い方でも、作家と編集者が丁寧に関係性を構築して、漫画力を高めていけば、きっと連載まで辿り着けます。

是非に、色々な編集者に会って、あなたに合う編集者をみつけて、面白くて沢山の人に届く漫画を描いてください。

願わくば、それが、少年ジャンプ+であると嬉しいです…!


実際の持ち込みの様子はこちらから見ることができます。
【過去の編集部ブログ】
【第33回】ジャンプ編集部は持ち込みも大歓迎!恐がらないで最初の一歩を踏み出そう!