【第92回】『ジャンプ+連載オーディション2022』募集中! 話題の新連載『宇宙の卵』作者に聞く、賞の魅力と気になる1話の作り方!

「今すぐジャンプ+で連載したい!!」そんな皆さんにお知らせです!

1・2話の連載ネーム+作画見本で応募可能、大賞に輝いた作品はなんと即連載&紙の単行本化が確約される「ジャンプ+連載オーディション2022」が、現在募集中!

そこで今回のブログは、連載オーディションへの応募を考えている作家さん必見! 前身となる漫画賞「少年ジャンプ+連載グランプリ2020」にてゴールドグランプリを受賞し、現在ジャンプ+で『宇宙の卵』を連載中の程野力丸先生に初インタビュー! 初回から大きな話題を呼んだ『宇宙の卵』のネーム制作についてや、受賞当時の気持ちなどを伺いました。

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『宇宙の卵』程野力丸先生
<ジャンプ+で読む>

――連載グランプリでは、ゴールドグランプリ作品(最優秀作品)の連載化が確約されていました。この点について、応募時はどのように感じていましたか。

投稿作に対して連載化を確約するなんて、すごく太っ腹な賞だなと思っていました。僕自身は、当時漫画も絵も描き始めて半年くらいだったので、グランプリを取って連載化を目指すというよりかは、最終候補に残って担当編集さんについてもらいたいという気持ちでしたが、「もしかしたら連載」という可能性がモチベーションを高めてくれていたと思います。

――ゴールドグランプリの「紙の単行本化」が確約されていた点も連載グランプリの大きな特徴だったと思います。その点についてはどのように感じていましたか。

すごく夢があるなと感じていました。紙の単行本を出すことはすごく難しいことだと思いますし、同時に多くの人の目標でもあると思います。漫画はスマホで読むより、紙で読んだ方が面白さが増すと僕は思っているので、僕自身にとっても非常に嬉しい特典でした。漫画の賞で、紙の単行本化まで確約されているのは他の賞ではあまりないのではないでしょうか。

――ゴールドグランプリを獲った時の感想を教えてください。

非常に恐ろしい気持ちになったのは今でも覚えています。最終候補に残ったときはとても嬉しかったのですが、グランプリに近づくにつれて、「自分の実力で連載なんていいのだろうか」と考えるようになっていました。しかし、連載が決まった後の担当編集さんからのとても丁寧なサポートだったり、勉強する時間的な猶予を頂いたりしたことで、徐々に連載決定の嬉しさを実感できるようになりました。今現在は、あの時グランプリを獲得できて本当に良かったなと感じています。

――『宇宙の卵』は、連載1話目から読者の大きな話題を呼びました。ネーム段階では、特にどのようなことを意識しながら描かれていましたか。

1話目は、特に興味を引くことと、興味を途切れさせないことを意識していたと思います。読み切りと違って連載の形ということだったので、続く話も読んでもらうことを考えていました。またセリフは極力削ったりと、基本的なことかもしれませんが、できる限り読みやすくしようとしていたと思います。

――「ジャンプ+連載オーディション2022」が現在募集中です。応募しようと考えている作家の方たちに、何か一言メッセージをお願いいたします。

通常の漫画賞とは形式がかなり異なる賞ですが、応募することによって、連続した話を作る経験など、今までにない新たな経験も得られると思います。連載を目指している方にとって、応募することは損にはならないと思うので、ぜひチャレンジしてみて欲しいです。

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程野先生、ありがとうございました! いかがでしたでしょうか。
連載オーディションはジャンル不問、審査基準は「面白さ」のみです!
編集会議での一発審査で全ての受賞作が決まります。締め切りは9/30(金)!
編集部員を唸らせる力作、秘蔵作を心よりお待ちしております!

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【第91回】「インディーズ連載」から初のコミックス化!! 『ゴダイゴダイゴ』『ラーメン赤猫』作家に聞く ぶっちゃけどうなの「インディーズ連載」!?

この度、少年ジャンプ+の「インディーズ連載」から初めてコミックスが出ることが決定しました!

「インディーズ連載」とは、編集部のネームチェックを経ずに個人で自由に連載できて、各話の閲覧数に応じて原稿料+αが上下する、新しい形の連載。この連載形式が「本当のところどうなのか?」気になっている方も多いはず!


そこで今回は、9月2日(金)に『ゴダイゴダイゴ』1,2巻が、10月4日(火)に『ラーメン赤猫』1巻が発売されるコウノスケ先生・アンギャマン先生に、通常の連載形式とは少し異なる「インディーズ連載」について聞きました!


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『ゴダイゴダイゴ』 コウノスケ先生

<ジャンプ+で読む>

――「インディーズ連載」に興味を持ったきっかけは何ですか?

ゴダイゴダイゴの前身となるマンガを一人で描いていたとき、見開きで投稿、発表できるウェブサイトを探していて、ジャンプルーキー!を見つけ、インディーズ連載という仕組みがあることを知りました。
いわゆる漫画家の激務に耐えられないと思っていたので、「最低でも2週間で8ページ上げられればいい」という仕組みが決め手になって、インディーズ連載を目指してランキングに参加しました。

――「インディーズ連載」は「個人で自由に連載できる」ということですが、本当に誰にも相談せずに連載を進めているのでしょうか?

誰にも相談せずに連載をしています。
私は人の意見に流されやすいので、相談する相手がいたら全く違うマンガを描いているだろうなと思います。
しかし、一人で描いていると、「このマンガ、人が見て面白いのか?」という疑問に答えてくれる人が居ないまま進めなくてはなりません。
ですので、「自分が面白ければそれでいい」と徹底的に割り切って描くようにしています。

――「個人で自由に連載できる」に感じるメリットやデメリットがあれば教えてください。

デメリットとしては、自分のレベルを上げてくれる出来の作品が生まれづらいのかなと思いました。
編集の方とマンガを作るときは、自分だけでは生み出せなかったマンガを作れて、自分のレベルアップを体験することもありましたが、そういうことが起こりづらいと思いました。
自分の力量がそのまま作品の限界になってしまうので、力量不足を悔しく思うこともあります。
メリットは「個人で自由に連載できる」ことです。このメリットが大きすぎて、上記のデメリットはほとんど気になりません。

――「インディーズ連載」は「閲覧数に応じて原稿料+αが上下する」という特徴がありますが、連載してどう感じていますか?

原稿料の変化はほとんど気にしていません。
もともと好きで無償で描いていたマンガをそのまま連載させて頂けているせいか、仕事という感覚が薄く、原稿料を意識することがあまりないのかもしれません。
ただ、閲覧数自体はジャンプラでの掲載順や、連載の継続に関わるので気にしています。

――「インディーズ連載」に興味がある作家の方たちに何かメッセージをお願いします。

インディーズ連載は、「たくさんの人が見ている誌面で自由に連載ができる」という夢のような素晴らしい仕組みだと思います。
ただ、デメリットとして上げたように、インディーズ連載は一人でできてしまうので、成長に繋がりにくい場合もあります。
ですから、「自分の力を試したいのならインディーズ」、「自分の力を鍛えたいと思うのなら編集の方と打ち合わせ 」といったふうに、自分に合った方法をとるのが良いのではないかと思います。

――最後にコミックスの宣伝を!
出ないと思っていたのにとうとう出た、私にとって夢のようなコミックスです!
私自身、昔からマンガはコミックス派で、特におまけページが大好きでした。
ですので、わざわざコミックスのページ数を増やしてもらって、おまけページや扉絵をできるだけたくさん描きました!
ぜひ、お手にとって確かめてもらえればと思います。
どうぞよろしくお願いします。


<JC1・2巻 9月2日(金)発売!!>


『ラーメン赤猫』アンギャマン先生

<ジャンプ+で読む>

――「インディーズ連載」に興味を持ったきっかけは何ですか?

連載決定までのプロセスが非常に明快なので興味をもちました。
通常連載会議は時間をかけて準備して結果の連絡を待つだけですが、インディーズ連載は争奪ランキングの結果がリアルタイムで見れるのでわかりやすかったです。
投稿から一月後には結果が出るという早さも魅力でした。

――「インディーズ連載」は「個人で自由に連載できる」ということですが、本当に誰にも相談せずに連載を進めているのでしょうか?

家族に意見をもらうことはありますが基本的にはすべて自分で判断しています。
良くも悪くも本当に自分次第なので毎回不安と緊張感があって公開ごとにドキドキしています。

――「個人で自由に連載できる」に感じるメリットやデメリットがあれば教えてください。

メリットとしては本当に好きなように描けることだと思います。
セオリーやお約束に従わなくてもよいので、いつかとんでもない作品が登場するのではないかと期待してます。
デメリットは製作段階で人の意見を聞きにくい側面もありますが、それをデメリットだととらえず突っ走って良いのがインディーズ連載だとも思います。
私は弱い人間でうまくいかないときは誰かのせいにしたくなってしまいますが、すべてが自分の責任だという認識をもって連載できるのは大きなメリットだと感じています。

――「インディーズ連載」は「閲覧数に応じて原稿料+αが上下する」という特徴がありますが、連載してどう感じていますか?

良いシステムだと思います。
常に閲覧数を意識するので緊張感があります。
評価基準がシンプルでハッキリしてるのでわかりやすく、創意工夫の方向性が決めやすいです。

――「インディーズ連載」に興味がある作家の方たちに何かメッセージをお願いします。

直接読者から反応をもらえる場としてジャンプルーキー!は画期的でしたが、さらに発展した形がインディーズ連載だと思います。
連載経験を積む場所だととらえてもいいし、ほかではできない実験作を試す場としても最高だと思います。
インディーズ連載だからこそ生まれる作品が今後多く生まれることを期待しています。

――最後にコミックスの宣伝を!

この度、インディーズ連載作品でありながらも「ラーメン赤猫」のコミックスを出していただける事となりました。
偏に読んでくださるたくさんの読者さまのおかげです。
本当にありがとうございます。
10月発刊予定です ぜひ買ってください!

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「インディーズ連載」がどんな連載なのか、想像して頂くことが出来たでしょうか?
少年ジャンプ+では「インディーズ連載」を目指した、「連載争奪ランキング」へのエントリーをいつでも受付中です!

ぜひ新しい形の連載への挑戦お待ちしております!


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【第90回】「ジャンプPAINT」300万DL突破記念! 少年ジャンプ+連載『株式会社マジルミエ』『恋人以上友人未満』『正反対な君と僕』作者直筆の下書き原稿を特別公開!実際の下書き原稿でペン入れ練習ができる!

ジャンプ公式の無料で使えるマンガ制作ソフト・アプリ「ジャンプPAINT」300万ダウンロードを突破しました。

それを記念して、「少年ジャンプ+」の人気連載作品『株式会社マジルミエ』(原作:岩田雪花 作画:青木裕) 『恋人以上友人未満』(yatoyato) 『正反対な君と僕』(阿賀沢紅茶) 作者直筆の下書き原稿を特別に公開しました!

「ジャンプPAINT」ユーザーは実際に使用された下書き原稿を使ってペン入れの練習ができます!
→詳しくはこちらから

さらに今回は、下書き原稿を提供いただいた作者の方々に、作画する際に意識されているポイント、そして漫画家を目指す皆様へのメッセージをいただきました!
ぜひ練習する際の参考にしてみてください。


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『株式会社マジルミエ』作画:青木裕先生
第1話はこちらから!

―――作画される際に、ご自身が意識しているポイントについて教えてください。
キャラクターの表情は読者の方に特に注目されるポイントだと思うので、そこが可愛くかっこよく描けるように意識しています。
私は筆があまり速くないのですが、マジルミエは全てデジタルでの作画なので ネームを下描き代わりにペン入れをする形で何とか週刊連載をすることが出来ています。
やり直しながら清書ができるのもデジタルの強みだと思います。

―――漫画家を目指す皆様にメッセージをお願いします。
たくさん漫画を読んで格好いいシーンや可愛い表情などの模写をしたり、漫画に限らず映画やゲームなどにも触れて刺激を受けることで、引き出しが増えて自分の原稿を描く際の助けになってくれると思います。


『恋人以上友人未満』yatoyato先生
第1話はこちらから!

―――作画される際に、ご自身が意識しているポイントについて教えてください。
線が単純にならないようになるべく強弱をつけるようにしています。あとはデジタルなので細かく描きすぎないようにと……。なるべく絵全体を見るようにして、ページごとのバランスが良くなるよう心がけています。

―――漫画家を目指す皆様にメッセージをお願いします。
漫画はたくさん絵を描かないといけないので大変ですが、1コマ1コマ描いていけばいつかは完成します!
私は下描きが雑なのでペン入れの時に苦労しています。下描きを頑張るとペン入れの時に少し安心できると思います!いろいろ試して自分に合う描き方を見つけてください!


『正反対な君と僕』阿賀沢紅茶先生
第1話はこちらから!

―――作画される際に、ご自身が意識しているポイントについて教えてください。
簡素な絵柄な分、ストローク長めに描いて なるべくなめらかな線になるよう心がけてます。

―――漫画家を目指す皆様にメッセージをお願いします。
技術面に関して特に人にアドバイス出来ることはないですが、まずは楽しく描く習慣がつくことが1番だと思います。
メディバンのペイントアプリは、ツールアイコンがシンプルな分 片手デバイスが無くても使いやすく、タブレット端末と対応のペンがあれば充分描けるので、デジタルでの漫画制作の入門にとてもおすすめです。実際 自分も、この使いやすさ・気軽さのおかげで漫画を描くようになりました。


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新人マンガ家の皆さんは是非この機会に無料マンガ制作アプリである「ジャンプPAINT」でたくさんのマンガを描いて作画の上達に励んでみてください!
そして、ジャンプPAINTで描いた作品をジャンプルーキー!へ投稿してください。お待ちしています!

ジャンプPAINTの詳細・DLはこちらから!


【コミックス好評発売中!】

『株式会社マジルミエ』

『恋人以上友人未満』

『正反対な君と僕』


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【第89回】『幕末賭博バルバロイ』『賭ケグルイ』の原作者・河本ほむら先生に聞く漫画原作者の極意とは?

今回は、漫画原作者を目指す新人作家必見!

先月、5月20日にジャンプ+で始まった新連載幕末賭博バルバロイの原作を担当する河本ほむら先生。『賭ケグルイ』をはじめとするヒット作を生み出し続ける漫画原作者の日々の過ごし方や勉強法とは?

ジャンプ+に移籍後初!河本ほむら先生へのインタビューはこちら!!

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――漫画原作者になったきっかけを教えてください。

 何気なく思い立ち、ネームで応募する新人賞に原稿を送ってみたところ、受賞したのがきっかけです。そんないきさつなので「漫画」の「ま」の字も知らず、担当の方に漫画の描き方を一から教えてもらい、迷惑をたくさんおかけしました。

――これまで数作品同時に連載されることもあったと思いますが、連載中の日々の作業時間や過ごし方など教えていただけますか?

 特に明確に作業時間を決めているわけではなく、他のことをしていないときは常に原稿のことが気になっているような状況です。とても効率が悪いです。
 漫画以外のことにゆっくり取り組む時間はあまりないです。以前、格闘技の試合に出たら、すべての原稿が遅れに遅れ大変なことになりました。まだその遅れを返済している最中です。

――漫画原作者としてのオススメの勉強法などはありますか?

 色々な漫画の第一話、第一巻を読むこと。漫画以外にも映画や小説などで物語にたくさん触れることです。本数が重要だと思います。
 専門知識が求められることも多いので、専門書などで必要な情報を調べることに慣れておくのも良いと思います。

――漫画原作者を目指す新人作家にアドバイスをお願いします。

 自戒を込めて・・・漫画原作者は、作画をしない(できない)分、頑張って他の要素で読者を魅了する必要があるポジションです。一緒に頑張りましょう!

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絵を描かない漫画原作者だからこそ、絵以外の部分でどう面白くできるのか。そのために、インプットに多くの時間を使い、毎話悩み抜いてネームを完成させる。
作画家・原作者のどちらを目指したとしても、大変なことに変わりはありません。ご自身にとってなりたい漫画家像を追い求めて、研鑽を続けることが大事なのだと思います。

河本ほむら先生が熱筆する『幕末賭博バルバロイ』は
ジャンプ+にて毎週金曜日に絶賛連載中!
この機会に是非、未読の方はご一読くださいませ。

第1話はこちらから!


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【第88回】『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』募集開始!プロに聞く恋愛漫画の極意!!

春真っ盛りな今日この頃。
今回は4月27日(水)に募集開始した『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』の投稿を考えている新人作家さん必見!

現在少年ジャンプ+で恋愛をテーマにした漫画を連載している下記の作家さんたちに恋愛漫画の極意を聞いてみました!!

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『オトメの帝国』 岸虎次郎先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

漫画を描く際に重要視するのは「文字にならない部分の表現」です。
極端な話、「モノローグに頼らない」こと。
ともすればモノローグは「表現」ではなく「説明」になってしまい作品への没入感を逆に阻害すると考えています。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

例えばその日主人公はどうしてその服を選んだのか、もしかして逆に選ぶ余裕がなかったからその服なのか?告白の瞬間の空気の冷たさ、風の強さ、光の向き、それら全てを心情描写のツールとして使うこと。
「なんとなく」は表現の放棄です。
文字に頼らない表現とは作品世界の情報量の多さであり、コマの外にも実際にその世界が存在しているような錯覚を持たせてくれます。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

恋愛作品の結末はイエスかノー、間を取っていい友達になったとしても3パターンしかありません。
作品で伝えるものが「感動」だとして、それがただ消費されるものではなく10年先にも残る感動にするためには、単に「ストーリー」というよりも「キャラの人生」を描くという意識が必要なのかなと思っています。


『口が裂けても君には』 梶本あかり先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

見守っていたくなる、最後まで見届けたくなる二人を目指して描いています。
「恋愛がテーマの漫画」に限ったことではないと思いますが、キャラクターの特徴や性格、それぞれが持つストーリーを意識して全体の流れやシチュエーションを考えることが多いです。
結果こういう恋愛したいな、こんな相手がいたら素敵だな、と思えるような作品になっていれば万々歳なのですが、最低でも見ていて苦にならない作品にしたいと心がけています。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

違いを出すことに重きを置いてこなかったので、質問の答えになっているかわかりませんが、私は「メインの二人の恋愛」の物語を軸に、他のキャラクターが中心の物語も作り込むようにしています。
ストーリー展開や絵柄、演出等、作家にはそれぞれの作風があると思うので、それだけで全体が一つのオリジナリティがある作品として、他とは違うものが出来ているんじゃないかな?と信じたいです。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

己の出せる最大限の力で、まずは自分が楽しんで描き続けられる恋愛漫画を描いてみるといいと思います。
もし恋愛のことが沢山わかってなくても大丈夫です。恋愛観は人それぞれですし、そんなもんわかってる人なんて この世に殆どいないので気負わずに、貴方なりの作品を作ってください。偉そうなこと言ってたらすみません。応援しています。


『ココロのプログラム』 中村ひなた先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

友達の恋愛話は気になるし、どうしてその人を好きになったの?とか色々聞きたくなるけど、知らない人の恋愛話に興味を持つのはちょっと難しいですよね。それはやっぱり、友達のことは好きだからもっと知りたくなるという心理だと思うので、漫画でも、登場人物のことを「知らない人」じゃなくて「友達」と思ってもらえるように描けたらいいなと思っています。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

男女どちらの方が読んでもあまり違和感がないようにすることでしょうか。 少年漫画・少女漫画というジャンル分けに捉われない作品は少し珍しいと思うので、違いは生まれるのかな…と。 少年(青年)漫画も少女漫画も好きなため結果的に中性的な作品になったというだけなので工夫とは言えないかもしれませんが、そんな感じで好きなもの同士を組み合わせると新しい雰囲気の漫画になると思います。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

恋愛は多くの読者が興味を持っていて、かつ描きごたえもある、ものすごくいいテーマだと思います。 自分なりの恋に対する偏見や理想をかたちにしてみてください。


『道産子ギャルはなまらめんこい』 伊科田海先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

ご褒美を用意する事。具体的にはキメ顔とかキメポーズとかハプニング展開とかです。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

自分の実体験や育った環境、趣味や特技を取り入れる事。逆に興味のない事や自分とかけ離れた要素を入れ過ぎると描く時に難しいと思います。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

空気感や雰囲気も大事ですが、物事を細かく具体的に描く事も大事ですので、その辺のバランスを意識してみて下さい。あと『その漫画でしか読めないもの』とかがあると、人に勧めやすくなるのでお得です。

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以上、少年ジャンプ+にて恋愛をテーマに連載をしている作家さんたちの恋愛漫画創作の極意でした!

取材ご協力いただいた岸虎次郎先生、梶本あかり先生、中村ひなた先生、伊科田海先生、ありがとうございました!!

最後に『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』を企画立案者した編集者K谷にも投稿を考えている新人作家さんに向けてコメントをもらいました!ぜひ参考にしてみてください!!

・ 今回の『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』でズバリどんな作品を求めていますかお教えください

編集者K谷:「恋愛」を自由に描いてほしいです。自分では普通だと思っていた感覚が他の人には新鮮に感じられることもあるので、自分なりの恋愛を全力で描いてもらえたらと思います。恋愛には「楽しい」「嬉しい」だけでなく「悲しい」「悔しい」「許せない」など色々ありますからね…(笑)今の自分が描きたいものを恋愛を通して表現してみてほしいです。皆さんの熱のこもった作品を楽しみにお待ちしております!


漫画賞の投稿に向けて少しはお役に立てたでしょうか?
恋愛の形や価値観は多種多様です。その中でも熱い想いで表現できている漫画に我々ジャンプ+編集部は心惹かれます。
ぜひ今回のブログを参考にしていただき、素敵な作品を投稿いただけることを願っております。
締切は7月31日です。たくさんのご投稿お待ちしております!!

少年ジャンプ+ 恋愛漫画賞はコチラ↓


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【第87回】ジャンプルーキー!投稿から1年足らずでジャンプ+連載開始!! 「恋人以上友人未満」yatoyato先生インタビュー!

皆さま、こんにちは! 4月の編集部ブログを担当させていただく、K谷です。

今回は3/29(火)に少年ジャンプ+(以下、ジャンプ+)で連載が始まった「恋人以上友人未満」の作者yatoyato先生にインタビューを行いました!

第1話はこちらから!

yatoyato先生はジャンプ+への作品持ち込み・ジャンプルーキー!投稿から1年足らずでジャンプ+連載デビューをしたジャンプルーキー!出身作家です。
そんなyatoyato先生に今回はジャンプ+へ持ち込みのきっかけから連載作品についてまで、色々なことを聞いてみました。


*****


ジャンプ+持ち込みから月間ルーキー賞受賞まで

K谷本日はよろしくお願いします。まず、yatoyato先生がジャンプ+へ作品を持ち込みをしたきっかけについて教えてください。

yatoyatoコロナウイルス感染拡大の影響で対面持ち込みが難しかったので、オンラインで持ち込めるところを探しました。持ち込んだ「恋人以上友人未満」はラブコメですが、自分に向いている作品のジャンルが分からなかったのでまずは色々描いてみるつもりで…。ジャンプ+に掲載されている作品のラインナップが本当に幅広く、ジャンルやページ数に制限が無さそうだったのが最終的な決め手ですね。

「恋人以上友人未満」
元AV女優の宮子がお見合いで再会したのは、元仕事相手だった…!凸凹な2人が織りなすオトナ可愛いラブコメディ!

K谷そういう考えがあったんですね。「恋人以上友人未満」をジャンプ+に持ち込んだ後、同作品をジャンプルーキー!にも投稿しましたが、投稿してみていかがでしたか?

yatoyatoまず、沢山の閲覧やコメントが頂けて嬉しかったです。あとは自分で思っていた作品の売りとは違う部分を好きになってくれる方もいて、なるほどなぁと思いました。ジャンプルーキー!に作品を見に来る方は、漫画が凄く好きな人が多い印象です。作品の荒い部分はスルーして、気に入った部分を上手く褒めてくれてありがたかったです。

K谷コメントから自分の作品の新しい一面を知ることができるのはいいですね!

yatoyatoそれと個人的には編集さんに見てもらえることがモチベーションに繋がりました。(※編集部はジャンプルーキー!全投稿作品をチェックしています。)月間ルーキー賞(※ジャンプルーキー!で毎月開催される漫画賞、以下ルーキー賞)の結果次第でジャンプ+に掲載され、さらに多くの方に読んでもらえるのも嬉しいですね。(※ブロンズ賞以上の受賞作品はジャンプ各誌への掲載あり!)また、連載作品を投稿した時に画面が見やすいのも良いなと思います。あとは誤字脱字、絵の修正でページを差し替えるのがとても楽で良かったです。

K谷ページ差し替えは作家さんならではの視点ですね!今、ルーキー賞の話題が出ましたがyatoyato先生も「恋人以上友人未満」でブロンズルーキー賞を獲得されましたよね。ルーキー賞について何かご意見あれば教えてください。

yatoyatoルーキー賞について調べた時、ルーキー賞のランキングの上位の作品がページ数の多い大作が多かったので、求められている作品がそういうものかもと思っていました。なので賞を頂けて、とても驚きましたね。

K谷「恋人以上友人未満」はページ数が少なめなので、そう意味では珍しい受賞作かもしれませんね。

yatoyatoルーキー賞に応募するときにはジャンプルーキー!に作品を投稿するので、賞応募作品にももちろんコメントがもらえますし、さらに言うとその読者の反応も作品の評価として編集者の方に見てもらえると思うので良いな、と。例えば、作品を編集者の方が読んだとき、あまり刺さらなかったとしても読者からの反応が良ければ、「この作品、良いかもしれない…?」と思ってもらえるとかありそうで(笑)

K谷なるほど!(笑)確かに読者の温度感も賞を選考する編集者に伝えられますね。


Twitter での作品宣伝

K谷そういえば、ジャンプルーキー!に「恋人以上友人未満」を投稿後、作品紹介ツイートをしていましたよね?そのツイートがきっかけでジャンプルーキー!の作品を読みに来てくれた方もかなりいたかと思います。(2022年3月現在:9.1万件いいね 2.5万件リツイート)

yatoyato想像以上の方に読んでもらえて驚きました! Twitterの反響は何よりも、とにかく運が良かったと思います。作品のページ数が短かったことや、キャラの関係性が難しい設定じゃなかったことも、Twitterと相性が良かったのかもしれないですね。

K谷確かに相性はある気がします。最近、作家さんがTwitterで作品の宣伝をすることが増えていると思いますが、どう感じていますか?

yatoyatoダイレクトに反応が貰えるので良いと思います。ただ作風によってTwitter向き不向きがあるので、Twitterの結果がすべてではないと思いますね。

K谷ちなみに、私見で構わないのですがTwitter宣伝に向かない作品とはどういったものだと思いますか?

yatoyato世の中に出ている作品はどれも素敵なので難しいですが…強いていうなら、世界観やキャラクターの境遇などを最初に丁寧に説明しなければいけない作品、ですかね。Twitterだとどうしても4ページで区切られてしまうので、最初の4ページで読者の心を掴まなければなりません。そう考えると、最初の4ページで作品の面白さが伝わる構成だとTwitterでの宣伝に向いているように思います。

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恋人以上友人未満 1話P1〜P4:確かに、4ページまでで作品の肝になる面白さがわかるようになっている


持ち込みから1年足らずでジャンプ+連載開始…!

K谷持ち込みをした「恋人以上友人未満」で今回ジャンプ+連載デビューとなりました。連載決定時のお気持ちはいかがでしたか。

yatoyatoTwitterの件もそうですが、全体的に運がかなり良かったと思います。さすがにトントン拍子過ぎて、後の反動が怖いです。持ち込みや賞受賞後は担当さんと新しい作品を作って行くのが普通だと思うのですが、「恋人以上友人未満」の2人の関係の続きも描きたかったので、ダメ元でジャンプ+での連載を担当さんに提案してみました。その結果、快くOKして下さり連載会議に出して頂けて今に至ります。

K谷おっしゃるように珍しい連載開始方法だったと思います。かなり作品への思い入れが強かったということでしょうか。

yatoyato2人の続きが描きたいという気持ちはもちろんありましたが、必ずこの作品で連載会議を通すんだ!というよりも、チャンスがあるなら挑戦してみて、もしダメなら違う道で2人のお話を描こう、という気持ちでした。ジャンプルーキー!にはジャンプ+でのインディーズ連載権を獲得できる「連載争奪ランキング」もあったので、もしダメだった時にはそちらでジャンプ+の連載を目指すつもりでしたね。

K谷そういう柔軟な考えは新鮮ですね。強い気持ちも大事ですが、臨機応変に色々な可能性やチャンスを模索することも大事だと思います。持ち込みから1年足らずで連載開始とかなり早いペースだったかと思うのですが、その点についてはいかがでしたか。

yatoyato色々なタイミングが重なり、良いペースで連載することができてとてもありがたいことです。でも、近年はネット上の時間の流れが速いので、これでも焦りました。ジャンプルーキー!のコメントやTwitterで続きを楽しみにされている方の声はチェックしていたので。正直、忘れられてないかなと心配していました。

K谷ネット上の情報更新スピードは速いですよね。その危機感は今後マンガ界全体でも課題になってくると思います。

yatoyatoはい、なので連載決定をTwitterでお知らせする時には少し緊張しました…。多くの方に反応をもらえて、待っていてくださった方がいたんだと嬉しくなりましたね。

K谷待ってくださっていた読者にやっと作品が届けられる、ジャンプ+連載開始ということですが、今の正直な気持ちを教えてください。

yatoyato漫画に関する経験値が圧倒的に足りてないと思うので不安です。話の終着点はなんとなく決まっていますが、道中を考えていなかったのでお話作りがきちんとできるかどうか…。

K谷不安も大きいですよね。お話づくりは中々難しいことが多いと思うのですが、今回の連載作品の見どころはどんなところでしょうか。

yatoyatoちょっと変わった2人の関係ですかね。あとは全体的に雰囲気がほんわかしているので、そういったところも楽しんでもらいたいです。他にもあるのですが…今は言わない方がいいかなと!(笑)気になる方は作品を読んでいただけたら嬉しいです。

K谷ぜひ読んでいただきましょう! ここまでお話を伺っていて、作品や読者を大事にされている印象を持ったのですが、マンガを描くときに大事にしていることを教えてもらいたいです。

yatoyatoなるべく読みやすい漫画にしたいと思っています。なかなか守れていませんが、手癖で描かないようにしたいです。でも描くのが辛くなるので、背伸びしすぎないということも大事かと。目標は「読んだ方が手元に置いて何度か読み返してもらえるような漫画」なので、そこは忘れずに作品を作っています。

K谷今回の連載作品も多くの人が手元に置きたいと思ってもらえたら嬉しいですね! 最後にブログ読者の皆さまへメッセージをお願いします。

yatoyato初めての方へ。大人だけど可愛い恋愛、みたいな作品が好きな方は是非見てください!
ジャンプルーキー!やTwitterですでに知っていて続きを楽しみにして下さっていた方、お待たせしました!
漫画を描いている方へ、ジャンプルーキー!にはチャンスが詰まってます。ルーキー良いとこ一度はおいで。


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以上、「恋人以上友人未満」yatoyato先生でした。
yatoyato先生、ありがとうございました!

新連載「恋人以上友人未満」が気になった方は以下よりご覧ください!

「恋人以上友人未満」yatoyato 毎週火曜更新!


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【第86回】『タコピーの原罪』タイザン5先生インタビュー

3月4日発売のコミックス上巻が即大重版!発売2週間にして早くも35万部突破、そして連載もいよいよクライマックスの『タコピーの原罪』最新話が更新するたびにTwitterのトレンド1位連発の衝撃的な初連載を飾ったタイザン5先生に執筆の裏側、そして「ジャンプルーキー!」などについて、担当編集者であるジャンプ+編集部・F田同席のもと語って頂いた!


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◆「思いつき」から打ち合わせで決める

――過去に発表された読切『ヒーローコンプレックス』『キスしたい男』は異なる方向性の作品ですが、どのように考えられましたか?

タイザン5読切はその時の思いつきから作ったので、決まった方向性がなかったのだと思います。『ヒーローコンプレックス』は「漫画家の友達が主人公をネタにしてきて、それが嫌だ」という話を思いつき、展開を派手にしようとふたりに収入格差をつけたり、分かりやすいように兄弟にして、F田さんと打ち合わせしながら形にしていきました。

↑「思いつき」をより活かすために兄弟、そして収入の要素も。

『キスしたい男』は、最初は主人公がTOEICの試験を受ける話でした。英語を勉強してアメリカに行くことを目標にしていました。

F田「夢に向かって進むキラキラした話にしましょう!」と打ち合わせしていましたよね。

タイザン5ただ、あまり上手くいきませんでした。その時F田さんに、ストーリーの中の主人公のトラウマみたいな苦悩が面白いと言われて、そこを主軸にシフトチェンジして、現在の形になりました。どちらも最初から全部を決めるのではなく、思いついたものを打ち合わせしながら決めていきました。

↑主軸を変えたことで、サクセスストーリーから大変貌!

――『タコピーの原罪』はどのように生まれましたか?

タイザン5F田さんに「好きな題材で描いてみては?」と言われて、『ドラえもん』が好きなので「陰湿なドラえもんをやりたい」と思いついたことが最初です。さらにタイムリープものにしたら連載として続けられるのではと思いました。

F田アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』の話もよくされていました。お好きな作品でしたよね。

タイザン5現代人の主人公が異世界に行く、という異世界転移ものですが、タコピーは異星人が現代に来るという、逆バージョンのイメージでした。

↑別世界から来たゆえに、持ち前のピュアさと現代の闇が引き立つ。

――人物や物語展開は当初、どこまで考えられていましたか?

F田まず連載会議を経た段階で、編集部では「この作品は2巻完結がベストでは」という意見がありました。それをタイザン5先生にお願いした上で考えて頂いた形になります。

タイザン5そこから全話のプロットを練っていきました。ただ最後の部分は連載中に少し調整しました。


◆最初に全話を組んだ『タコピーの原罪』

――全話のプロットやネームはどれくらい時間をかけられましたか?

タイザン5大まかなプロットは1~2週間くらいです。テキストで「第○話:何々をする」みたいなものを全話分作りました。

F田その時点で仮のサブタイトルも付けていましたよね。「まりなちゃんの家庭」とか、「兄vs弟」とか。

タイザン5話ごとに何となくテーマがあったのだと思います。その後はネームですが、半分くらいは連載前に作りました。最初に大まかなネームをF田さんにお送りして、打ち合わせして、2~3回の直しを経て、大体2日くらいで決定稿になりました。

F田結局、第1話の作画に入る頃には9話分のネームができていましたよね。

――ちなみに作画はどれくらいかけていますか?

タイザン5理想は5日間で1話ですが、たまに7日くらいかかる時もありました。

――執筆の各工程で、特に重視していることはありますか?

タイザン5ネームはできる限り、冒頭と引きのインパクトを出したいと考えていました。最初と最後が大事というイメージです。あとはばーっと描いて、打ち合わせで掘り下げていく感じでした。
作画では、顔のアップの大ゴマを意識しています。特に大事な台詞では、分かりやすいシンプルな真正面の顔にすることが多いかもしれないです。

↑表情が繊細だからこそ、シンプルな言葉の方が伝わる。

――『タコピーの原罪』は絵に関しても過去の読切と印象が異なりますが、意識されていることはありますか?

タイザン5読切の頃は今よりデフォルメして、アニメっぽく線の少ない絵にしようとしていました。『タコピーの原罪』ではちゃんと表情を描こうとして、頬の線などをしっかり入れて情報量を増やしたところ、最終的に今の絵になりました。意図的に絵柄を変えたというわけではありませんでした。

F田連載が始まる時に「絵を頑張るぞ!」と話し合いましたよね。しずかちゃんが可愛く見えてほしいなと思っていました。

タイザン5あとはアニメの表現も参考にしていると思います。アニメでキャラクターの泣き顔とか、たまにすごく崩した描き方があるのが好きで、模写したりもしています。

↑アニメ的なキラキラの表現で、読者の心にも訴えかける。

――『タコピーの原罪』はページや話ごとの情報量は多いのに、コマ数はかなり少ない印象がありますね。

タイザン5連載を始める時、とにかくコマを減らすことを考えました。そしてコマが少なくても、プロットで決めたものは絵を工夫して入れるようにしました。スマホだとコマ数が多いと読みにくいかなと思ったためです。同じ理由でフキダシもできるだけ大きくするようにしています。

――タイザン5先生は、読まれる際は紙とスマホのどちらを意識していますか?

タイザン5連載は完全にスマホを想定しています。見開きもどうしても使いたい時は描きますが、重要な場面は1ページで表情を大きく描いて、スワイプした時にインパクトが出ればと考えています。


◆作家としての興味や方向性

――タイザン5先生にとって「作品作りで、常に変わらず芯になっているもの」があればお聞かせ下さい。

タイザン5今のところは、ものすごい悪役を出していないことでしょうか?「巨悪を倒してハッピーエンド!」みたいなスカッとした結末が、自分だと面白く描けなかったからかもしれないです。タコピーでは特に、みんなちょっとずつ悪いところがある、という描き方を意識しています。

↑悪役と思われたまりなも、家庭事情を描かれて印象が変化。

――ご自身のルーツや、目指している作家さん・作品はありますか?

タイザン5浅野いにお先生が大好きです。自分の初期の読切から、特にコマ割りや背景はとても影響されていると思います。一番好きな作品は『おやすみプンプン』です。

――普段からインプットとして張っているアンテナ、心掛けている習慣はありますか?

タイザン5映画、アニメ、小説、ゲームはいろいろ見ていて、映画は有名どころや最近の受賞作品を、アニメも面白いと評判のものは観るように心掛けています。最近…ではありませんが、アニメだと『宇宙よりも遠い場所』が好きで、ゲームだと『UNDERTALE』が面白かったです。小説は重松清先生や伊坂幸太郎先生の作品をよく読んでいます。芥川賞を獲られた町屋良平先生の『1R1分34秒』も面白かったです。

――物語のまとめ方や絵の練習方法など、作品作りのための技術はどのように身に付けてきましたか?

タイザン5漫画は自分の好きな作品をたくさん読んで、何となく描いてきました。好きな作品の好きな巻だけをずっと読むので、それで染みついたのかも知れません。絵はネットでお勧めされているデッサンの本を見たりと、自分で練習方法を調べています。好きな漫画を模写したりとかもしました。

――今、興味がある題材はありますか?

タイザン5宇宙とか野球とかプロレスとか西部劇とか…若干渋めの題材かもしれないです。ただバトルシーンが苦手なので、実際に自分が描くことは難しいと思っています。


◆あらゆる作風を受け止める「ルーキー!」&「ジャンプ+」

――「ジャンプルーキー!」に投稿した理由と、投稿して「良いな」と感じたところがあればお聞かせ下さい。

タイザン5投稿したのは…有名な投稿サイトだったので何となく、です(笑)。ルーキー!内で受賞すると、すぐに「少年ジャンプ+」で読切が描けることがありがたかったです。他の投稿サイトだと、投稿すると担当編集さんが付いても、即座に読切まで繋がらないことが多い気がします。ルーキー!は工程を1つ飛ばせるところがいいと思いました。自分に合った担当さんとマッチングして頂けますし。新人の頃からすごく相談に乗って頂いています。

――「少年ジャンプ+」を活躍の場として選んだ理由と、連載しての感想があればお聞かせ下さい。

タイザン5ルーキー!で受賞したからというのもありますが、多様な題材の読切が掲載されているので、雑誌のカラーに縛られず色々な作品が描けると思ったからです。最初にルーキー!に投稿したものはサブカル的なものでしたが、その路線でも「ジャンプ+」だったらいけるかも、と思っていました。

F田初対面の頃、タイザン5先生は「ジャンプっぽくない漫画でもいいのでしょうか」と気にされていましたよね。

↑鮮烈で衝撃的な作風は、世間で思われている「ジャンプ」の枠組みを超える。

タイザン5はい。実際に連載してみると「ジャンプ+」はすごくたくさんの読者の方が読んで下さり、嬉しいです。しかも(連載中の作品はアプリ版で)初回全話無料なので、いつでも新しい読者が入ってくれるのもいいと思います。

――『タコピーの原罪』はいよいよ佳境です。読者にメッセージと、タイザン5先生の今後の目標をお聞かせ下さい。

タイザン5ここまで連載を読んで下さりありがとうございます。少しでも楽しんで頂けたら幸いです。よろしければぜひ、最後までお付き合い下さい。そして発売中のコミックスも手に取って頂けるとありがたいです。
今後の目標は、もう少し長く続けられる話を考えたいです。『タコピーの原罪』は元々が短いイメージだったので、長期連載できる作品に挑戦したいと思っています。これから頑張って考えます!

――ありがとうございました。


<タイザン5先生の作品はコチラ>
『タコピーの原罪』第1話
・ 読切『キスしたい男』
・ 読切『ヒーローコンプレックス』
・『ジャンプルーキー!』タイザン5先生の投稿作品


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