【第88回】『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』募集開始!プロに聞く恋愛漫画の極意!!

春真っ盛りな今日この頃。
今回は4月27日(水)に募集開始した『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』の投稿を考えている新人作家さん必見!

現在少年ジャンプ+で恋愛をテーマにした漫画を連載している下記の作家さんたちに恋愛漫画の極意を聞いてみました!!

*****

『オトメの帝国』 岸虎次郎先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

漫画を描く際に重要視するのは「文字にならない部分の表現」です。
極端な話、「モノローグに頼らない」こと。
ともすればモノローグは「表現」ではなく「説明」になってしまい作品への没入感を逆に阻害すると考えています。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

例えばその日主人公はどうしてその服を選んだのか、もしかして逆に選ぶ余裕がなかったからその服なのか?告白の瞬間の空気の冷たさ、風の強さ、光の向き、それら全てを心情描写のツールとして使うこと。
「なんとなく」は表現の放棄です。
文字に頼らない表現とは作品世界の情報量の多さであり、コマの外にも実際にその世界が存在しているような錯覚を持たせてくれます。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

恋愛作品の結末はイエスかノー、間を取っていい友達になったとしても3パターンしかありません。
作品で伝えるものが「感動」だとして、それがただ消費されるものではなく10年先にも残る感動にするためには、単に「ストーリー」というよりも「キャラの人生」を描くという意識が必要なのかなと思っています。


『口が裂けても君には』 梶本あかり先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

見守っていたくなる、最後まで見届けたくなる二人を目指して描いています。
「恋愛がテーマの漫画」に限ったことではないと思いますが、キャラクターの特徴や性格、それぞれが持つストーリーを意識して全体の流れやシチュエーションを考えることが多いです。
結果こういう恋愛したいな、こんな相手がいたら素敵だな、と思えるような作品になっていれば万々歳なのですが、最低でも見ていて苦にならない作品にしたいと心がけています。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

違いを出すことに重きを置いてこなかったので、質問の答えになっているかわかりませんが、私は「メインの二人の恋愛」の物語を軸に、他のキャラクターが中心の物語も作り込むようにしています。
ストーリー展開や絵柄、演出等、作家にはそれぞれの作風があると思うので、それだけで全体が一つのオリジナリティがある作品として、他とは違うものが出来ているんじゃないかな?と信じたいです。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

己の出せる最大限の力で、まずは自分が楽しんで描き続けられる恋愛漫画を描いてみるといいと思います。
もし恋愛のことが沢山わかってなくても大丈夫です。恋愛観は人それぞれですし、そんなもんわかってる人なんて この世に殆どいないので気負わずに、貴方なりの作品を作ってください。偉そうなこと言ってたらすみません。応援しています。


『ココロのプログラム』 中村ひなた先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

友達の恋愛話は気になるし、どうしてその人を好きになったの?とか色々聞きたくなるけど、知らない人の恋愛話に興味を持つのはちょっと難しいですよね。それはやっぱり、友達のことは好きだからもっと知りたくなるという心理だと思うので、漫画でも、登場人物のことを「知らない人」じゃなくて「友達」と思ってもらえるように描けたらいいなと思っています。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

男女どちらの方が読んでもあまり違和感がないようにすることでしょうか。 少年漫画・少女漫画というジャンル分けに捉われない作品は少し珍しいと思うので、違いは生まれるのかな…と。 少年(青年)漫画も少女漫画も好きなため結果的に中性的な作品になったというだけなので工夫とは言えないかもしれませんが、そんな感じで好きなもの同士を組み合わせると新しい雰囲気の漫画になると思います。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

恋愛は多くの読者が興味を持っていて、かつ描きごたえもある、ものすごくいいテーマだと思います。 自分なりの恋に対する偏見や理想をかたちにしてみてください。


『道産子ギャルはなまらめんこい』 伊科田海先生

<ジャンプ+で読む>

・ 恋愛をテーマにした漫画を描くにあたって意識している点をお教えください

ご褒美を用意する事。具体的にはキメ顔とかキメポーズとかハプニング展開とかです。

・ 数ある恋愛をテーマにした漫画の中で、他の作品と違いを出すための工夫をお教えください

自分の実体験や育った環境、趣味や特技を取り入れる事。逆に興味のない事や自分とかけ離れた要素を入れ過ぎると描く時に難しいと思います。

・ 最後に、恋愛をテーマに漫画を描こうと思っている新人作家さんたちに一言

空気感や雰囲気も大事ですが、物事を細かく具体的に描く事も大事ですので、その辺のバランスを意識してみて下さい。あと『その漫画でしか読めないもの』とかがあると、人に勧めやすくなるのでお得です。

*****

以上、少年ジャンプ+にて恋愛をテーマに連載をしている作家さんたちの恋愛漫画創作の極意でした!

取材ご協力いただいた岸虎次郎先生、梶本あかり先生、中村ひなた先生、伊科田海先生、ありがとうございました!!

最後に『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』を企画立案者した編集者K谷にも投稿を考えている新人作家さんに向けてコメントをもらいました!ぜひ参考にしてみてください!!

・ 今回の『少年ジャンプ+恋愛漫画賞』でズバリどんな作品を求めていますかお教えください

編集者K谷:「恋愛」を自由に描いてほしいです。自分では普通だと思っていた感覚が他の人には新鮮に感じられることもあるので、自分なりの恋愛を全力で描いてもらえたらと思います。恋愛には「楽しい」「嬉しい」だけでなく「悲しい」「悔しい」「許せない」など色々ありますからね…(笑)今の自分が描きたいものを恋愛を通して表現してみてほしいです。皆さんの熱のこもった作品を楽しみにお待ちしております!


漫画賞の投稿に向けて少しはお役に立てたでしょうか?
恋愛の形や価値観は多種多様です。その中でも熱い想いで表現できている漫画に我々ジャンプ+編集部は心惹かれます。
ぜひ今回のブログを参考にしていただき、素敵な作品を投稿いただけることを願っております。
締切は7月31日です。たくさんのご投稿お待ちしております!!

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【第87回】ジャンプルーキー!投稿から1年足らずでジャンプ+連載開始!! 「恋人以上友人未満」yatoyato先生インタビュー!

皆さま、こんにちは! 4月の編集部ブログを担当させていただく、K谷です。

今回は3/29(火)に少年ジャンプ+(以下、ジャンプ+)で連載が始まった「恋人以上友人未満」の作者yatoyato先生にインタビューを行いました!

第1話はこちらから!

yatoyato先生はジャンプ+への作品持ち込み・ジャンプルーキー!投稿から1年足らずでジャンプ+連載デビューをしたジャンプルーキー!出身作家です。
そんなyatoyato先生に今回はジャンプ+へ持ち込みのきっかけから連載作品についてまで、色々なことを聞いてみました。


*****


ジャンプ+持ち込みから月間ルーキー賞受賞まで

K谷本日はよろしくお願いします。まず、yatoyato先生がジャンプ+へ作品を持ち込みをしたきっかけについて教えてください。

yatoyatoコロナウイルス感染拡大の影響で対面持ち込みが難しかったので、オンラインで持ち込めるところを探しました。持ち込んだ「恋人以上友人未満」はラブコメですが、自分に向いている作品のジャンルが分からなかったのでまずは色々描いてみるつもりで…。ジャンプ+に掲載されている作品のラインナップが本当に幅広く、ジャンルやページ数に制限が無さそうだったのが最終的な決め手ですね。

「恋人以上友人未満」
元AV女優の宮子がお見合いで再会したのは、元仕事相手だった…!凸凹な2人が織りなすオトナ可愛いラブコメディ!

K谷そういう考えがあったんですね。「恋人以上友人未満」をジャンプ+に持ち込んだ後、同作品をジャンプルーキー!にも投稿しましたが、投稿してみていかがでしたか?

yatoyatoまず、沢山の閲覧やコメントが頂けて嬉しかったです。あとは自分で思っていた作品の売りとは違う部分を好きになってくれる方もいて、なるほどなぁと思いました。ジャンプルーキー!に作品を見に来る方は、漫画が凄く好きな人が多い印象です。作品の荒い部分はスルーして、気に入った部分を上手く褒めてくれてありがたかったです。

K谷コメントから自分の作品の新しい一面を知ることができるのはいいですね!

yatoyatoそれと個人的には編集さんに見てもらえることがモチベーションに繋がりました。(※編集部はジャンプルーキー!全投稿作品をチェックしています。)月間ルーキー賞(※ジャンプルーキー!で毎月開催される漫画賞、以下ルーキー賞)の結果次第でジャンプ+に掲載され、さらに多くの方に読んでもらえるのも嬉しいですね。(※ブロンズ賞以上の受賞作品はジャンプ各誌への掲載あり!)また、連載作品を投稿した時に画面が見やすいのも良いなと思います。あとは誤字脱字、絵の修正でページを差し替えるのがとても楽で良かったです。

K谷ページ差し替えは作家さんならではの視点ですね!今、ルーキー賞の話題が出ましたがyatoyato先生も「恋人以上友人未満」でブロンズルーキー賞を獲得されましたよね。ルーキー賞について何かご意見あれば教えてください。

yatoyatoルーキー賞について調べた時、ルーキー賞のランキングの上位の作品がページ数の多い大作が多かったので、求められている作品がそういうものかもと思っていました。なので賞を頂けて、とても驚きましたね。

K谷「恋人以上友人未満」はページ数が少なめなので、そう意味では珍しい受賞作かもしれませんね。

yatoyatoルーキー賞に応募するときにはジャンプルーキー!に作品を投稿するので、賞応募作品にももちろんコメントがもらえますし、さらに言うとその読者の反応も作品の評価として編集者の方に見てもらえると思うので良いな、と。例えば、作品を編集者の方が読んだとき、あまり刺さらなかったとしても読者からの反応が良ければ、「この作品、良いかもしれない…?」と思ってもらえるとかありそうで(笑)

K谷なるほど!(笑)確かに読者の温度感も賞を選考する編集者に伝えられますね。


Twitter での作品宣伝

K谷そういえば、ジャンプルーキー!に「恋人以上友人未満」を投稿後、作品紹介ツイートをしていましたよね?そのツイートがきっかけでジャンプルーキー!の作品を読みに来てくれた方もかなりいたかと思います。(2022年3月現在:9.1万件いいね 2.5万件リツイート)

yatoyato想像以上の方に読んでもらえて驚きました! Twitterの反響は何よりも、とにかく運が良かったと思います。作品のページ数が短かったことや、キャラの関係性が難しい設定じゃなかったことも、Twitterと相性が良かったのかもしれないですね。

K谷確かに相性はある気がします。最近、作家さんがTwitterで作品の宣伝をすることが増えていると思いますが、どう感じていますか?

yatoyatoダイレクトに反応が貰えるので良いと思います。ただ作風によってTwitter向き不向きがあるので、Twitterの結果がすべてではないと思いますね。

K谷ちなみに、私見で構わないのですがTwitter宣伝に向かない作品とはどういったものだと思いますか?

yatoyato世の中に出ている作品はどれも素敵なので難しいですが…強いていうなら、世界観やキャラクターの境遇などを最初に丁寧に説明しなければいけない作品、ですかね。Twitterだとどうしても4ページで区切られてしまうので、最初の4ページで読者の心を掴まなければなりません。そう考えると、最初の4ページで作品の面白さが伝わる構成だとTwitterでの宣伝に向いているように思います。

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恋人以上友人未満 1話P1〜P4:確かに、4ページまでで作品の肝になる面白さがわかるようになっている


持ち込みから1年足らずでジャンプ+連載開始…!

K谷持ち込みをした「恋人以上友人未満」で今回ジャンプ+連載デビューとなりました。連載決定時のお気持ちはいかがでしたか。

yatoyatoTwitterの件もそうですが、全体的に運がかなり良かったと思います。さすがにトントン拍子過ぎて、後の反動が怖いです。持ち込みや賞受賞後は担当さんと新しい作品を作って行くのが普通だと思うのですが、「恋人以上友人未満」の2人の関係の続きも描きたかったので、ダメ元でジャンプ+での連載を担当さんに提案してみました。その結果、快くOKして下さり連載会議に出して頂けて今に至ります。

K谷おっしゃるように珍しい連載開始方法だったと思います。かなり作品への思い入れが強かったということでしょうか。

yatoyato2人の続きが描きたいという気持ちはもちろんありましたが、必ずこの作品で連載会議を通すんだ!というよりも、チャンスがあるなら挑戦してみて、もしダメなら違う道で2人のお話を描こう、という気持ちでした。ジャンプルーキー!にはジャンプ+でのインディーズ連載権を獲得できる「連載争奪ランキング」もあったので、もしダメだった時にはそちらでジャンプ+の連載を目指すつもりでしたね。

K谷そういう柔軟な考えは新鮮ですね。強い気持ちも大事ですが、臨機応変に色々な可能性やチャンスを模索することも大事だと思います。持ち込みから1年足らずで連載開始とかなり早いペースだったかと思うのですが、その点についてはいかがでしたか。

yatoyato色々なタイミングが重なり、良いペースで連載することができてとてもありがたいことです。でも、近年はネット上の時間の流れが速いので、これでも焦りました。ジャンプルーキー!のコメントやTwitterで続きを楽しみにされている方の声はチェックしていたので。正直、忘れられてないかなと心配していました。

K谷ネット上の情報更新スピードは速いですよね。その危機感は今後マンガ界全体でも課題になってくると思います。

yatoyatoはい、なので連載決定をTwitterでお知らせする時には少し緊張しました…。多くの方に反応をもらえて、待っていてくださった方がいたんだと嬉しくなりましたね。

K谷待ってくださっていた読者にやっと作品が届けられる、ジャンプ+連載開始ということですが、今の正直な気持ちを教えてください。

yatoyato漫画に関する経験値が圧倒的に足りてないと思うので不安です。話の終着点はなんとなく決まっていますが、道中を考えていなかったのでお話作りがきちんとできるかどうか…。

K谷不安も大きいですよね。お話づくりは中々難しいことが多いと思うのですが、今回の連載作品の見どころはどんなところでしょうか。

yatoyatoちょっと変わった2人の関係ですかね。あとは全体的に雰囲気がほんわかしているので、そういったところも楽しんでもらいたいです。他にもあるのですが…今は言わない方がいいかなと!(笑)気になる方は作品を読んでいただけたら嬉しいです。

K谷ぜひ読んでいただきましょう! ここまでお話を伺っていて、作品や読者を大事にされている印象を持ったのですが、マンガを描くときに大事にしていることを教えてもらいたいです。

yatoyatoなるべく読みやすい漫画にしたいと思っています。なかなか守れていませんが、手癖で描かないようにしたいです。でも描くのが辛くなるので、背伸びしすぎないということも大事かと。目標は「読んだ方が手元に置いて何度か読み返してもらえるような漫画」なので、そこは忘れずに作品を作っています。

K谷今回の連載作品も多くの人が手元に置きたいと思ってもらえたら嬉しいですね! 最後にブログ読者の皆さまへメッセージをお願いします。

yatoyato初めての方へ。大人だけど可愛い恋愛、みたいな作品が好きな方は是非見てください!
ジャンプルーキー!やTwitterですでに知っていて続きを楽しみにして下さっていた方、お待たせしました!
漫画を描いている方へ、ジャンプルーキー!にはチャンスが詰まってます。ルーキー良いとこ一度はおいで。


*****


以上、「恋人以上友人未満」yatoyato先生でした。
yatoyato先生、ありがとうございました!

新連載「恋人以上友人未満」が気になった方は以下よりご覧ください!

「恋人以上友人未満」yatoyato 毎週火曜更新!


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【第86回】『タコピーの原罪』タイザン5先生インタビュー

3月4日発売のコミックス上巻が即大重版!発売2週間にして早くも35万部突破、そして連載もいよいよクライマックスの『タコピーの原罪』最新話が更新するたびにTwitterのトレンド1位連発の衝撃的な初連載を飾ったタイザン5先生に執筆の裏側、そして「ジャンプルーキー!」などについて、担当編集者であるジャンプ+編集部・F田同席のもと語って頂いた!


*****


◆「思いつき」から打ち合わせで決める

――過去に発表された読切『ヒーローコンプレックス』『キスしたい男』は異なる方向性の作品ですが、どのように考えられましたか?

タイザン5読切はその時の思いつきから作ったので、決まった方向性がなかったのだと思います。『ヒーローコンプレックス』は「漫画家の友達が主人公をネタにしてきて、それが嫌だ」という話を思いつき、展開を派手にしようとふたりに収入格差をつけたり、分かりやすいように兄弟にして、F田さんと打ち合わせしながら形にしていきました。

↑「思いつき」をより活かすために兄弟、そして収入の要素も。

『キスしたい男』は、最初は主人公がTOEICの試験を受ける話でした。英語を勉強してアメリカに行くことを目標にしていました。

F田「夢に向かって進むキラキラした話にしましょう!」と打ち合わせしていましたよね。

タイザン5ただ、あまり上手くいきませんでした。その時F田さんに、ストーリーの中の主人公のトラウマみたいな苦悩が面白いと言われて、そこを主軸にシフトチェンジして、現在の形になりました。どちらも最初から全部を決めるのではなく、思いついたものを打ち合わせしながら決めていきました。

↑主軸を変えたことで、サクセスストーリーから大変貌!

――『タコピーの原罪』はどのように生まれましたか?

タイザン5F田さんに「好きな題材で描いてみては?」と言われて、『ドラえもん』が好きなので「陰湿なドラえもんをやりたい」と思いついたことが最初です。さらにタイムリープものにしたら連載として続けられるのではと思いました。

F田アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』の話もよくされていました。お好きな作品でしたよね。

タイザン5現代人の主人公が異世界に行く、という異世界転移ものですが、タコピーは異星人が現代に来るという、逆バージョンのイメージでした。

↑別世界から来たゆえに、持ち前のピュアさと現代の闇が引き立つ。

――人物や物語展開は当初、どこまで考えられていましたか?

F田まず連載会議を経た段階で、編集部では「この作品は2巻完結がベストでは」という意見がありました。それをタイザン5先生にお願いした上で考えて頂いた形になります。

タイザン5そこから全話のプロットを練っていきました。ただ最後の部分は連載中に少し調整しました。


◆最初に全話を組んだ『タコピーの原罪』

――全話のプロットやネームはどれくらい時間をかけられましたか?

タイザン5大まかなプロットは1~2週間くらいです。テキストで「第○話:何々をする」みたいなものを全話分作りました。

F田その時点で仮のサブタイトルも付けていましたよね。「まりなちゃんの家庭」とか、「兄vs弟」とか。

タイザン5話ごとに何となくテーマがあったのだと思います。その後はネームですが、半分くらいは連載前に作りました。最初に大まかなネームをF田さんにお送りして、打ち合わせして、2~3回の直しを経て、大体2日くらいで決定稿になりました。

F田結局、第1話の作画に入る頃には9話分のネームができていましたよね。

――ちなみに作画はどれくらいかけていますか?

タイザン5理想は5日間で1話ですが、たまに7日くらいかかる時もありました。

――執筆の各工程で、特に重視していることはありますか?

タイザン5ネームはできる限り、冒頭と引きのインパクトを出したいと考えていました。最初と最後が大事というイメージです。あとはばーっと描いて、打ち合わせで掘り下げていく感じでした。
作画では、顔のアップの大ゴマを意識しています。特に大事な台詞では、分かりやすいシンプルな真正面の顔にすることが多いかもしれないです。

↑表情が繊細だからこそ、シンプルな言葉の方が伝わる。

――『タコピーの原罪』は絵に関しても過去の読切と印象が異なりますが、意識されていることはありますか?

タイザン5読切の頃は今よりデフォルメして、アニメっぽく線の少ない絵にしようとしていました。『タコピーの原罪』ではちゃんと表情を描こうとして、頬の線などをしっかり入れて情報量を増やしたところ、最終的に今の絵になりました。意図的に絵柄を変えたというわけではありませんでした。

F田連載が始まる時に「絵を頑張るぞ!」と話し合いましたよね。しずかちゃんが可愛く見えてほしいなと思っていました。

タイザン5あとはアニメの表現も参考にしていると思います。アニメでキャラクターの泣き顔とか、たまにすごく崩した描き方があるのが好きで、模写したりもしています。

↑アニメ的なキラキラの表現で、読者の心にも訴えかける。

――『タコピーの原罪』はページや話ごとの情報量は多いのに、コマ数はかなり少ない印象がありますね。

タイザン5連載を始める時、とにかくコマを減らすことを考えました。そしてコマが少なくても、プロットで決めたものは絵を工夫して入れるようにしました。スマホだとコマ数が多いと読みにくいかなと思ったためです。同じ理由でフキダシもできるだけ大きくするようにしています。

――タイザン5先生は、読まれる際は紙とスマホのどちらを意識していますか?

タイザン5連載は完全にスマホを想定しています。見開きもどうしても使いたい時は描きますが、重要な場面は1ページで表情を大きく描いて、スワイプした時にインパクトが出ればと考えています。


◆作家としての興味や方向性

――タイザン5先生にとって「作品作りで、常に変わらず芯になっているもの」があればお聞かせ下さい。

タイザン5今のところは、ものすごい悪役を出していないことでしょうか?「巨悪を倒してハッピーエンド!」みたいなスカッとした結末が、自分だと面白く描けなかったからかもしれないです。タコピーでは特に、みんなちょっとずつ悪いところがある、という描き方を意識しています。

↑悪役と思われたまりなも、家庭事情を描かれて印象が変化。

――ご自身のルーツや、目指している作家さん・作品はありますか?

タイザン5浅野いにお先生が大好きです。自分の初期の読切から、特にコマ割りや背景はとても影響されていると思います。一番好きな作品は『おやすみプンプン』です。

――普段からインプットとして張っているアンテナ、心掛けている習慣はありますか?

タイザン5映画、アニメ、小説、ゲームはいろいろ見ていて、映画は有名どころや最近の受賞作品を、アニメも面白いと評判のものは観るように心掛けています。最近…ではありませんが、アニメだと『宇宙よりも遠い場所』が好きで、ゲームだと『UNDERTALE』が面白かったです。小説は重松清先生や伊坂幸太郎先生の作品をよく読んでいます。芥川賞を獲られた町屋良平先生の『1R1分34秒』も面白かったです。

――物語のまとめ方や絵の練習方法など、作品作りのための技術はどのように身に付けてきましたか?

タイザン5漫画は自分の好きな作品をたくさん読んで、何となく描いてきました。好きな作品の好きな巻だけをずっと読むので、それで染みついたのかも知れません。絵はネットでお勧めされているデッサンの本を見たりと、自分で練習方法を調べています。好きな漫画を模写したりとかもしました。

――今、興味がある題材はありますか?

タイザン5宇宙とか野球とかプロレスとか西部劇とか…若干渋めの題材かもしれないです。ただバトルシーンが苦手なので、実際に自分が描くことは難しいと思っています。


◆あらゆる作風を受け止める「ルーキー!」&「ジャンプ+」

――「ジャンプルーキー!」に投稿した理由と、投稿して「良いな」と感じたところがあればお聞かせ下さい。

タイザン5投稿したのは…有名な投稿サイトだったので何となく、です(笑)。ルーキー!内で受賞すると、すぐに「少年ジャンプ+」で読切が描けることがありがたかったです。他の投稿サイトだと、投稿すると担当編集さんが付いても、即座に読切まで繋がらないことが多い気がします。ルーキー!は工程を1つ飛ばせるところがいいと思いました。自分に合った担当さんとマッチングして頂けますし。新人の頃からすごく相談に乗って頂いています。

――「少年ジャンプ+」を活躍の場として選んだ理由と、連載しての感想があればお聞かせ下さい。

タイザン5ルーキー!で受賞したからというのもありますが、多様な題材の読切が掲載されているので、雑誌のカラーに縛られず色々な作品が描けると思ったからです。最初にルーキー!に投稿したものはサブカル的なものでしたが、その路線でも「ジャンプ+」だったらいけるかも、と思っていました。

F田初対面の頃、タイザン5先生は「ジャンプっぽくない漫画でもいいのでしょうか」と気にされていましたよね。

↑鮮烈で衝撃的な作風は、世間で思われている「ジャンプ」の枠組みを超える。

タイザン5はい。実際に連載してみると「ジャンプ+」はすごくたくさんの読者の方が読んで下さり、嬉しいです。しかも(連載中の作品はアプリ版で)初回全話無料なので、いつでも新しい読者が入ってくれるのもいいと思います。

――『タコピーの原罪』はいよいよ佳境です。読者にメッセージと、タイザン5先生の今後の目標をお聞かせ下さい。

タイザン5ここまで連載を読んで下さりありがとうございます。少しでも楽しんで頂けたら幸いです。よろしければぜひ、最後までお付き合い下さい。そして発売中のコミックスも手に取って頂けるとありがたいです。
今後の目標は、もう少し長く続けられる話を考えたいです。『タコピーの原罪』は元々が短いイメージだったので、長期連載できる作品に挑戦したいと思っています。これから頑張って考えます!

――ありがとうございました。


<タイザン5先生の作品はコチラ>
『タコピーの原罪』第1話
・ 読切『キスしたい男』
・ 読切『ヒーローコンプレックス』
・『ジャンプルーキー!』タイザン5先生の投稿作品


*****


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【第85回】インディーズ連載のぶっちゃけ話。「ミス・リトルグレイ」穂高汐先生インタビュー!

突然ですがみなさん、個人で自由に少年ジャンプ+で連載できる “インディーズ連載” についてご存じでしょうか?

ジャンプルーキー!の “連載争奪ランキング” で人気1位を勝ち取れば、担当編集が付くことなく少年ジャンプ+で連載ができるこのシステム。しかも原稿料に加え、閲覧数に応じて人気ボーナス金が出るので、人気次第では大きな収入も夢じゃない! また少年ジャンプ+の人気連載陣と同じ枠で掲載されるので、人気作と競って連載できます!

ですが、「ぶっちゃけインディーズ連載ってどうなの?」と悩んでいるそこの皆さん…。
昨年7月よりインディーズ連載として「ミス・リトルグレイ」を連載中の穂高汐先生が、インディーズ連載の内情を本音で語ってくださいました!


*****


<インディーズ連載を目指したきっかけ──1人でできる喜び>

―――本日はお忙しいところありがとうございます! まずは、インディーズ連載を目指したきっかけを教えていただけますか?

編集者さん怖そうで喋りたくなかったからです…こんなこと言ってすみません…。

―――あはは。1人でできるって最高じゃんみたいな感じですよね。

そうですね。


<インディーズ連載の魅力①──多くの漫画好きに読んでもらえる>

―――インディーズ連載のどんなところが魅力的だと思いますか?

たくさんの読者に読んでもらえることです。アプリが1900万ダウンロードされているのは知っていましたが、最近友人や親がジャンプ+を読んでるのを聞いて改めてその媒体力を実感しました。

―――いやいや、ありがたいです。

また、ジャンプ+は漫画が好きな層にリーチできるのも魅力でした。Twitterは拡散力が強いですが、漫画を読むのを一番の目的にしている人は少ないと思います。

―――確かに、ジャンプ+は漫画が好きな人に集まっていただいていますね。

あとは、実績がなくてもOKだったのがすごかったです。これまでどんな漫画を描いてどんな賞を取って…みたいな経歴が全然問われませんでした。「あなたには連載する実力がないのでお断りさせてください」みたいな連絡が来てもおかしくないと思ってましたが、何も来ませんでした。


<インディーズ連載の魅力②──お金をもらって連載できる>

お金が出るのが1番ですね。原稿料があるから毎日漫画だけ描くことができてます。

―――人気ボーナス金ってどうですか?ぶっちゃけ…

どのくらいのPV数がいい数字かよく分からないので、人気ボーナス金の早見表で今の自分のレベルを知れるのが良かったです。


<インディーズ連載の魅力③──周りのレベルが高い>

―――人気作品と競って連載できることに魅力を感じる方も多いですよね。

周りを見ると人気漫画家と競えるっていうのに魅力を感じてる方は多い印象です。私はそんな競い合えるレベルじゃないですが、ただマラソンで周りがハイレベルだと自分も速くなる現象とかあるじゃないですか。

―――引きずられて速くなるんですよね

そうですそうです。周りのレベルが異次元に高いので、今のクオリティーで載ってるの申し訳ないな、もっと頑張ろう!ってなります。

―――いいですね、周りに引っ張られて自分のレベルが上がっていくみたいな。

はい。あとは、Twitterやpixivと違って、ジャンプ+はある程度掲載している漫画の数が決まっていますよね。限られた作品数だからこそ差が浮き彫りになって、より目指す所が明瞭になると思います。


<インディーズ連載の魅力④──1人で自由に連載できる>

―――自由に連載できるっていうのはどうでしょう?

失敗しても編集さんに迷惑がかからないのがとても良いです。自分1人が責任を被るので、その辺の心理的負担がないです。

―――確かに編集と組むと2人1組になるから、よくも悪くも一蓮托生ですよね。


<インディーズ連載の魅力⑤──締切が自分を追い詰めてくれる>

―――今はTwitterやpixivに自分の作品を載せられる時代。インディーズ連載との大きな違いってなんでしょう?

個人でやることと商業でやることの1番の違いは、締切の有無だと思います。私は締切がなかったらこんなにたくさん描けないです。

―――じゃあ穂高さんはインディーズ連載にすごく向いてるってことですね。

そうかもしれません。締切があると強制的にやる気が出ます。漫画描くのってしんどいので、個人だとなかなか継続できないという方にもインディーズ連載がマッチするかもです。

―――締切がないと、人間ほんとにやらないですからね、分かります。


<インディーズ連載へのぼやきと不安──1人で描き続ける心細さ>

―――インディーズ連載に対してマイナスな印象ってありますか?

そうですね…。相談窓口が欲しかったです。基礎的なことですが、原稿の枠があるじゃないですか。その外枠超えてもアプリ上で表示されてることがあって、どこまで描けばいいのかよく分からなくて困りました。

―――窓口はあることにはあるのですが、作品について相談できる人はいないですからね。確かに、編集がいない分そういう苦労はありそうですね。

そうだったんですね、調べ不足ですみません。

―――とんでもないです!毎週描くのはやっぱり大変でしたか?

次の話思いつくのかいつも不安です。

―――お一人でやられてますから猶更ですよね。それってどんなふうに乗り切ったんですか?

妥協点を決める。明日の自分に期待。そして追い詰められると何とかなります。

―――妥協というと言葉は悪いですが…。あと、連載の形式で鍛えられてるってことですよね。

そうだといいです。


<連載争奪ランキングへの不満あるある──フォロワー数が多い作家さんには勝てない?>

―――現状のインディーズ連載は、ジャンプルーキー!の連載争奪ランキングで1位を取ったら連載権利を勝ち取れる仕組みです。ランキングは閲覧数の順なので、フォロワー数が多い作家さんに勝てそうにないっていう意見はよく伺いますね。どう思われますか?

確かにその気持ちは分かります。ただどういう人に来て欲しいかの決定権はプラットフォームを持つ側にあるので、掲載させていただく側は与えられたルールの中でできることをやるしかないと思っています。もし編集部が企画を走らせていく中で集客力ではなく純粋な漫画の内容で競争させたいと考えたなら、そのときルールがアップデートされるんじゃないでしょうか。

―――自分をプロデュースする力も含めて試されている、というイメージですね。

はい。作品を告知する力とか自分で自分をブランディングする力とか、今の時代あって絶対に損はないと思います。せっかくの機会なので、どうやったら集客力を高められるのか色々試してみると楽しい気がします。私ももっと試行錯誤したいです。

―――1人でやられている方が言うと説得力がありますね。確かに本来だったら編集や宣伝の担当分野ではあるので、ご自身でカバーしていくっていうのは大変ですよね。


<インディーズ連載を始めてから変化──自分への自信>

―――インディーズ連載を始めて良い変化はありましたか?

自分に連載ができるのか不安でしたが、曲がりなりにも半年続けてこられて少し自信がつきました。ちょっとずつできることが増えていくのが楽しいですし、漫画を読んでくれる読者さんの存在もありがたいです。

―――自分描けるじゃんって思えたってことですよね。自分を見直せたみたいな…

はい。やってきたことしか自信につながらないので。ジャンプ+さんには、連載をさせていただいて本当に感謝しています。


<インディーズ連載を目指している方々へ一言!>

―――最後に、インディーズ連載目指してる人たちに一言お願いします!

自分は連載前にジャンプ+の読者の傾向をちゃんと分析できてなかったことを後悔しています。なるべく良質な仮説を立てて漫画を描いた方が、より改善にもつながったはずです。なのでどうか私と同じ轍を踏まないでください。

―――実感がこもっている…!読者の研究は大事ですよね。

こんなんですみませんって感じですが…

―――いやいや、リアルな意見でとても参考になると思います。本日はありがとうございました!


*****


穂高先生のぶっちゃけトーク、いかがでしたか?
苦楽あるインディーズ連載ですが、ご自分の作品をより多くの人に見てもらえる大きなチャンスです!是非皆さんのエントリーお待ちしております。


連載争奪ランキングへのエントリーはこちらから!↓

「ミス・リトルグレイ」は少年ジャンプ+で好評連載中!!


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【第84回】デビューするには『ジャンプルーキー!』が一番です!

新人さんや持ち込みの方からよく質問されることがあります。
それは

【どうやったらデビューできますか?】

皆さんなんとなくわかってるような、わかってないようなことが多いです。
一般的な出版社及び電子レーベルだと漫画賞に応募して賞を獲る、フリーの投稿サイトやTwitterなどでスカウトを受けるなどが第一歩です。でも、それぞれ枠が限られていますね。

そんな中で、私が自信を持ってお勧めするのが、投稿サービスジャンプルーキー!です。常に編集者がチェックしておりますし、たくさんの漫画賞を開催しております。特に毎月必ず行うルーキー賞はチャンスが大きいです。
そんな『ジャンプルーキー!』からデビューし、まさに今現在、連載中の皆さんの(将来の)先輩にあたる2人の先生にデビュー前、後のインタビューをしました。
ぜひぜひ、チャレンジへの参考にしていただければと思います!


◆海野久遠先生インタビュー
 <先生のルーキー!投稿作はコチラ
① ジャンプルーキー!で賞を獲るまでどんな漫画の勉強をしてましたか?
商業誌の作品を見て、コマ割りやベタ・トーンの処理はどう工夫したら読みやすいか学んでました。演出やキャラ作りは受賞前はあまり深く考えておらず、賞を獲った後に担当さんの指導で意識するようになりました。

② ジャンプ+で連載コンペを通過するのに、どんなことを意識してコンペ用作品を描いていましたか?
私の場合は通常の連載コンペではなく、連載グランプリ2020でしたが…読みやすさと、何が描きたいのかが伝わるようにを特に強く意識していたと思います。とはいえ一番苦労したのは3話分のストーリー作りだったと思います。

③ ジャンプルーキー!からジャンプ+デビューを目指す皆へ一言お願いします!
ジャンプルーキー!の一番の強みは投稿からデビューまでのスピード感だと思います。一刻も早く漫画家としてプロデビューしたい方はぜひ活用してみて欲しいです。


◆タイザン5先生インタビュー
 <先生のルーキー!投稿作はコチラ
① ジャンプルーキー!で賞を獲るまでどんな漫画の勉強をしてましたか?
映画をなるべくたくさん見るようにしていました。『トレインスポッティング』『2人のローマ教皇』など好きな作品は繰り返し見ています。

② ジャンプ+で連載コンペを通過するのに、どんなことを意識してコンペ用作品を描いていましたか?
暗い話数でも、なるべく一息つけるような明るいシーンを入れること・1話あたりをできる限り短めにすること・引きを作ることを意識しました。

③ ジャンプルーキー!からジャンプ+デビューを目指す皆へ一言お願いします!
編集さんのアドバイス通りに直すのが非常に勉強になるので、持ち込みや投稿は気軽にやってみるといいと思います!共に頑張りましょう…!


いかがでしたか?
ジャンプルーキー!は投稿も気軽にできますし、努力次第では連載作家として活躍も夢ではありません。気になる方はぜひジャンプルーキー!へアカウントを作ってみてください。


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【第83回】最初が肝心! 人気作品から学ぶ「掴み」の技術!!

ジャンプルーキー!をご覧の皆様、こんにちは。
今回のブログを担当させていただく、ジャンプ+編集部の岡本です。

今回のテーマは、【最初が肝心!人気作品から学ぶ「掴み」の技術!!】ということで、
漫画における冒頭部分についてお話しします。

冒頭、導入、掴み、言い方は色々ですが、漫画の最初の10p程度だと想定してみましょう。
ここで読者に「ややこしいな」「退屈だな」「面白くなさそう」と思われてしまうと、どんなに時間を費やし、全力で仕上げた作品でも、その続きを読んでもらうことは難しいでしょう。
残酷な話ですが、だからこそ、冒頭で読者の気を惹き、次のページへと進んでもらうことが重要です。
そのための技術を、人気作品から学んでみよう!というのが本日のテーマです。
※紹介する作品・意見は岡本個人によるものであり、編集部としてのものではありません。

では早速、1作品目です。

説明不要の大ヒット作ですが、

  • 教壇に立つ謎のタコ型生物
  • 「起立!」の号令とともに向けられる銃口
  • 圧倒的弾幕を華麗に避けながら出席を取る

…いかがでしょうか。強烈なインパクトと同時に、「この生物は何!?」「一体どんな状況!?!?」と、次の展開が気になって仕方ないのではないでしょうか。誰もが知っている教室という舞台で繰り広げられる「暗殺」という異常事態…もはや不可抗力で、ページをめくってしまいます。
読者がよく知っているものを基盤にして、複雑さや理解するための労力を排除しつつ、そこに目を惹く異常な要素を組み合わせる。応用が効きそうな技術ですね。


続いても週刊少年ジャンプのヒット作から。
主人公・トリコの初登場シーンは編集部でも「お手本」と言われるほどの名シーンです。
具体的な内容としては、

  • 数メートルの巨大な虫を餌に、鉄骨とロープで釣りをしている
  • エビを手掴みで丸齧り
  • ブランデーの瓶を手刀で切り、一気飲み
  • 近くに生えていた「葉巻木」を折ってくわえ、指パッチンで着火

…というものです。
トリコの豪胆で健啖家な面を強烈に印象付けると同時に、葉巻木というそのまま葉巻になる植物の存在、巨大な虫、さらにそれを餌として釣りをする=さらに巨大な生物がいる、という、「キャラ見せ+この世界がどんな場所かの説明」を非常にスマートに達成しています。
やることが多い冒頭ですが、こういった複数の役割を「兼ねる」シーンを入れることで、上手く読者を楽しませつつ、キャラや世界観が説明できるのではないでしょうか。
ちなみにこの「兼ねる」技術については、『暗殺教室』の松井優征先生も、「ジャンプの漫画学校」で語られています。


冒頭、ではないのですが…主人公、一歩の才能の見せ方が非常に巧みです。
いじめられっ子の一歩は、プロボクサー・鷹村に出会い、憧れを抱きます。
「ボクシングをやりたい!」と言う一歩に、鷹村は「ジャブで空中の木の葉を、10枚掴みとれ」という課題を出します。
期限となる一週間後…

  • 一歩は見事に成功し、10枚の木の葉を掴み取る。
  • 驚く鷹村。「なんでできちゃったんだよ…」と、プロである鷹村さえまさか出来るとは思っていなかったレベルの課題だったことが判明。
  • しかも一歩は左手だけでこの課題をクリア。「両手で10枚のつもりだったのに」とさらに驚く鷹村。

見事な「キャラ見せ」ですね!
ここでは、一歩が、プロの第一線で活躍する鷹村を驚かせる存在であること、さらには「両手で10枚の課題を片手でクリアした」と明かし、一歩の才能にもう一段の凄みを持たせています。
漫画において主人公の存在は重要です。特に冒頭では、「こいつは凄い」「ずっとこいつを見ていたい」と思わせることで、次のページをめくってもらえる確率も高くなります。

以上、漫画の冒頭についてお話しさせていただきました。
あくまで今回ご紹介したのは先例、参考意見として、「続きが気になって仕方ない」「凄い作品に出会った!」と鳥肌が立つような冒頭を考えてみてください。
いつか漫画賞や持ち込みで、皆様の作品を拝見できる日を楽しみにしております。



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【第82回】ジャンプ+連載・読切作家を十数名輩出!『プロ漫画家のための「NEXTステップ」作品募集』出身者にインタビュー!

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!
現在、ジャンプ+では第3回となる『プロ漫画家のための「NEXTステップ」作品募集』という企画を実施中です。こちらは2年以内に連載または読切経験のある漫画家の方から作品を募集するというもの。つまり、ジャンプ+以外の雑誌での掲載経験ある方向けの作品募集企画となっています。

そこで今回は、そんな『プロ漫画家のための「NEXTステップ」作品募集』への応募をきっかけにジャンプ+での連載、読切に至った方へインタビュー。「賞への応募のきっかけ」や、「ジャンプ+と他誌との違い」について聞きました!

(『プロ漫画家のための「NEXTステップ」作品募集』はプロの方が気軽に投稿して頂けるように「過去に他媒体に掲載された原稿」や「没ネーム」でも投稿OKで、投稿作は非公開となっています。そのため、今回のインタビューも出身作家の方は匿名とさせていただきます。)

ジャンプ+連載経験者A先生

  • NEXTステップ作品募集へ応募してみようと思った理由を教えてください

将来の事を考え仕事の幅を広げようと考えていた時に、タイミングよく「他社での没ネームOK」だったNEXTステップ作品募集を見つけたからです。他の連載もあり、新しい持ち込み原稿を用意する余裕がなかったので、手持ちの駒で勝負できる所が魅力的でした。

  • 別の媒体で描かれていた時と、原稿を描く上で違う部分はありましたか?

以前は読者の年齢層が高い媒体で描いていたので、描く題材に制限がありました。あまりファンタジー過ぎてはいけない、とかです。その点、少年ジャンプ+は「少年」とついてはいますが、幅広いアプローチが可能かなと思います。

  • 実際に作品を発表してみて、どう感じましたか?

なんといっても反響が多いです。読者さんが多いので、賛否両論どちらの意見もバシバシきます。良くも悪くも鍛えられます。

ジャンプ+読切経験者B先生

  • NEXTステップ作品募集へ応募してみようと思った理由を教えてください

掲載先の見つからないネームが手元に溜まっており、新たな持ち込み先を探していた折に本企画を目にしました。
募集要件が新人作家をターゲッティングしているところがユニークで、興味を持ちました
ジャンプ+については、以前よりマンガテックなどいくつかの試みには注目していたのですが、掲載先としては考えていませんでした。これは単純にジャンプ+がジャンプルーキー!の生え抜き作家の掲載に力を入れているのではないかという思い込みがあったためです。
ジャンプ+のメディアとしての理念には将来性を感じており、掲載はされずとも見聞のために良い機会だと思い応募しました。

  • 別の媒体で描かれていた時と、原稿を描く上で違う部分はありましたか?

作品のディレクションが極めて論理的で明快で大変助かりました。またスケジュール管理や事務的調整も丁寧に対応していただいたので、作品のクオリティアップに注力出来ました。
まず、紙媒体とは喜ばれる作品の傾向や読者層が違うと思われるのですが、特に電子メディア固有の問題としては効果的なアイキャッチやフォント調整などに気を使いました
何よりスマートフォンでマンガを読む体験には乏しかったので、実際に様々なメディア機器試してながら読みやすいレイアウトデザインを模索しました。

  • 実際に作品を発表してみて、どう感じましたか?

公開直後からレスポンスがいただけるため、作品と読者の相互作用によって本作が本来のポテンシャル以上に楽しく読まれているなと思いました
特に作中の個人的な体験を投影出来るような空白的部分について、感想を通して相互補完的な面白い読書体験を生んでいるように感じました。
刹那的な感傷や思弁、様々な言い表せない個人的経験が感想欄で共有されていてたように思います。
流通によるタイムラグがない斉時的な発表媒体であることの効果は想像以上に大きかったなという感想です。
また、以前はこういった即時性はマンガ的手法のバラエティ的な過度な最適化を促すのではないかと考えていたのですが、本作の掲載を通してジャンプ+の作品群がむしろ多様的な表現を生み出すことに成功しているように感じられて興味深かったです。

***

以上。どちらの先生も、この作品募集の手元にあった「没ネーム」で投稿できる点や、ジャンプ+の多様性、反響の多さを挙げてくださっているのが印象的でした。応募を迷っている方がいましたら、ぜひ気軽に投稿してみて頂ければ嬉しいです。

また、ジャンプ+は今回ご紹介した『プロ漫画家のための「NEXTステップ」作品募集』以外にも、常に様々な漫画賞・作品募集企画で新たな才能を求めています。

皆様の作品に出会える日を楽しみにしております。



第3回 プロ漫画家のための「NEXTステップ」作品募集はコチラ↓

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