【第66回】担当作家 藤本タツキ先生Q&A!

皆様、お久しぶりです。
少年ジャンプ+の林士平です。

本ブログは、プロの漫画家を目指す方々に役立つであろう記事を編集部員で持ち回りで、書いております。

僕がこのブログで、過去に書いた記事は以下の2本です。

【第41回】漫画編集者が伝える、新人作家への最初の課題
【第48回】漫画家と担当編集者の出会いの全7パターン詳細説明と、良い点・悪い点

新人作家さんに一番最初に伝える課題と、担当になるきっかけ・出会い方を書きました。

出会って打合せを始めますと、必ずやること、言うことは特にないです。
各作家によって、何を伸ばすべきか、どういう考え方を持つべきか、は違います。
描きたいもの、描けるもの等、作家さんと担当編集で、コミュニケーションをしながら、人によって伝えること、アドバイス、考えてもらう題材等は、変えています。

なので、自分へのアドバイスが欲しい方は、まずご自身が描かれた最新作の持ち込みをするのが一番良いのです。

って言うとブログに書くことがなくなってしまうので、ちょっとでも多くの作家さん達に参考になることはないか、悩んだので、「そうだ作家に聞こう!」という思いに至りました。
(前フリ長くて申し訳ないです。)

本日は、担当作家、藤本タツキ先生へのQ&Aを通して、現役のプロの作家の制作方法や編集者との向き合い方、考え方等、1つのパターンとして、参考にして頂ければ幸いです。

僕が、藤本タツキ先生との出会ったキッカケは、彼が17歳の頃の月例の漫画賞への投稿作品『庭には二羽ニワトリがいた。』でした。
最終候補で、若手から担当希望を指名できる制度だったので、僕の指名ターンで、17歳という若さと、常識をはみ出るときに、滲む“熱量”に可能性を感じて、担当にならせていただきました。確か2011年12月だったはずです。

担当になって、次は受賞を目指そうということで、打合せが始まりました。
最初は、藤本先生が、地方在住だったこともあり、基本はメールと電話でした。

久々にメールを見返していて、面白かったのですが、担当になった翌月くらいの2012年1月1日の元旦の1時42分に受け取ったメールが↓になります。

あけましておめでとうございます
ネームができました
タイトルは「勇者制度」から変更して「勇者の剣」です
ネームに矛盾や意味がわからない部分が絶対あります。すいません
ないかもしれないです
(文章・改行箇所等ママ)

元旦になって、すぐに完成したネームを送ってくる、随分とやる気に溢れた作家だな、という記憶があります。

担当して約8年、上記のように全部を詳細に語ることはできないので(記事導入で、既に何字書いちゃったのか…)
今回は、色々な作品をご一緒してきた藤本タツキ先生に新人作家が気になるであろうことを、Q&Aで聞かせてもらいました。

僕が考えた質問と、読者の皆様から頂いた質問に答えていただいたので、以下に書かせてもらいます。

*****

本日はルーキーブログのためにお時間ありがとうございます!
早速質問させていただきますね。

はい、何でも聞いてください。
 

Q.使っている道具の変遷を教えて下さい。

最初は板タブで描いていた。
中3で購入しました。投稿作までは板タブで描いてました。
『佐々木くん銃弾止めた』までは板タブでした。その賞金で、液晶タブレットを購入しました。
読切『恋は盲目』の時からは液タブで執筆するようになりました。
それ以降ずっとWacomの液タブで執筆しています。

Q.アナログの画材の使用経験等伺えれば。

新人作家さんに聞かれるのですが、やはりアナログでの作画経験は必要なのでしょうか?
藤本さんが、美大の油絵科卒なので伺えれば。

人によるとは思いますが、必須ではないと思います。
 

僕は、新人作家からの「絵が上手くなるためにはどうすれば良いですか?」の質問に対しては「美術的な基礎トレーニングを地道に」「目で覚えて模写してください」と伝えております。

デッサンは写真を見てやるより、実物を見たほうが効果的だって言われてますけど、デジタルとアナログで差異があるとは思わないですね。アナログの画材じゃなきゃいけない理由はないとは思います。
一番よくないのは、画力が成長しないこと。画力が動かなくなったら、刺激のためにアナログでの練習はアリかもしれないですが、モチーフを変えたり、描き方を変えてみるのも良いと思います。

自分の絵が上手くなっているかどうか、どう客観視すればよいのでしょうか?
 

担当編集に聞くか、絵を描く友人に聞くのが良いと思います。
忌憚のない意見を言ってくれる人が身近にいると助かると思います。
ネットに絵をUPしても、良い意見をくれる人があまり多くないとは思うので。
実際の人に意見をもらったほうが良いです。美術系の学校に行く、最大のメリットは、絵に関して、意見を言い合える友人をつくりやすいことかもしれないです。

持ち込みに来て頂ければ、新人作家さんの絵、編集者が丁寧に意見を伝えます!


Q.漫画を書き始めたキッカケは?

最初から漫画が好きだったので。落書きでも描いてましたし、特別な決心の瞬間、みたいなのはなかったです。


Q 自分自身どんな新人作家だったか?

分からないです。林さん僕、どんなでしたか?笑
 

沢山描く作家さんだったなと。荒くても気にせず作品を送ってくる人、というイメージでした。
セルフボツを続けて、中々作品を送ってこない人のほうが多いので…。

それは勿体ないですね。描いたら送ってみて、担当さんの意見を聞いてみる、というのも大事だとは思います。丁寧で客観的な意見が聞けるので。

Q.今の自分が、あの時代に戻れたら何を重要視するか?

デッサンをしますね。学生時代は、クロッキーしかしていなかったので。
もっとデッサンをしっかりやっておけば、と今は思っています。

Q.編集者と打合せしてて、役に立ったことは?

漫画を買ってもらえたり、小説や資料を色々もらえたことです。
超大切だと思います。若い頃はお金ないから。凄く助かった記憶があります。

Q.編集部の利用の仕方とは?

さっき言った絵やネームを見て、客観視した意見をもらうことと、自分が観たほうがいい資料を買って貰えることです!

Q.新人作家は何を気をつけて日々過ごすべきか?

沢山の創作物に触れることは、ずっと大事だと思います。
 

Q.ネームや物語作りが成長するために、必要なことは?

なんなんでしょうね…難しいですね。
 

藤本さん、確実に昔より上手くなっているはずですが。
 

本当ですか。
 

だって沢山のボツを重ねた、長い時間を考えたら…。
 

う〜〜ん、一杯、作品を観ることで変われたんですかね。
 

何を観て、どこで変わった、成長したって実感あります?
 

多分、どこで変わったか分からないくらい、多くの作品を観たからな気がします。
 

担当としては、確実に変わったな、と思う瞬間は読切の『予言のナユタ』の前後だった気がします。それまでは、結構ボツが多かった気がするので。

確かに、ずっとボツはありましたね。
 

ナユタ以降は、随分ボツにすることが減ったな、という印象です。
 

あーそうですね。コツ掴んだ感じは確かにありました。
自分の好きな作品、好きなシーンを、上手く自分なりに取り込んで漫画に描けるようになったのかもしれないです。自分でも、何故かは分からないですが。

読切の『かみひこうき』『人魚ラプソディ』を描いている頃は、メッチャ面白い訳ではないけど、物語の形になったから、賞に、コンペに回そうって感じだった記憶があります。でも『予言のナユタ』からは「藤本タツキらしさ」が毎作品しっかり込められるようになった、成長したなって記憶があります。この、変わった、成長したって瞬間が沢山あれば、プロの作家になれるのでは。
新人作家さんはこの「成長」の瞬間をめっちゃ追い求めていると思います。

自分らしさを見つけられたってことですかね。
「作家性」ってその人の「これやったら面白いロジック」のことを言うと思うんですよ。
それを見つければ良いんだと思います。
明確なキッカケはないですが、色々な作品に触れて、それを徐々に見つけていったのかな、と思います。

一定量以上の作品の知識と、気付きが溜まった瞬間、あるレベルが超えたら、「成長」できると。
 

はい。
 

僕、『極道めし』の土山しげる先生の作品が好きで、殆どの作品を読ませてもらっているのですが、お金持ちになって食べる豪華なご飯より、家族の味が美味しいよね、慣れしたんだ料理が美味しいよね、という形のドラマを良く描かれていらっしゃるんです。それが、この先生の「これを描いたら面白いパターン」で、実際に毎回、面白いんです。それが「作家性」なんだと思っています。

確かに。藤本さんの『ファイアパンチ』と『チェンソーマン』僕は、根底が近いと思っています。
 

両方とも、自分の「これやったら面白い」を込めているので、近いんだと思います。
 


Q.新人が読んだら良いと思う、本・漫画は?

無限大にあります(笑)僕の好きなものだと、少しマニアックになってしまうかも。
自分は、少し変わっているものを好きだってことも、自分では理解しているので。

例えば、シナリオ術とか、脚本術とか、そのような参考書は?
 

覚えておくくらいでよくて、その方法を再現しようとするのは、どうかな、と思っています。
 

知らないよりは知ったほうがいいな、と僕は思っています。
 

それはそうですね。知っていて損をすることはないと思います。
 

僕が良く新人作家に言うのは、映画でも小説でも、「名作」と言われるものは時間の許す限り摂取していきましょう、と言っていますが。

あ、それは絶対正しいですね。沢山観るの大事だと思います。

<読者からの質問項目>

パーピー@parpie_fi さんより
Q. 悪魔や魔人のデザインはどのようにして思いつくんですか?(類似質問多数)

自分の好きなデザインをずっと集めています。映画やゲームのキャラデザとか。そういう3〜4つ複合してデザインしています。

スクラップブックとかに集めているんですかね?
 

ネットで見つけたカッコいい絵や写真は保存してますね。
勿論、画集も買います。例えば、最近ですと『ヘルボーイ』とか、『アート オブ アリス マッドネス リターンズ』とかの画集がセールしていたので買いました。カッコいいなって思ったデザインはずっと集めています。

空目晴彦 haruhiko utsume@el_psy_congro さんより
Q. チェンソーマン第57話「突然」のネームを作成する際どういった心構えで挑んだのでしょうか?

打ち合わせの時に、衝撃のシーンは聞いていなかったですよね。
 

だってあのシーン言ったら…衝撃も減るので。
 

打合せの時に意図して言わない、ネームで描くから読んで欲しいって仰ることよくありますしね。
 

他の話数と、同じ作り方でした。
 

りこてんの異常な愛情@Licolly105 さんより
Q. どんなペン設定で描いてるのか気になります。 あと会話がすごくリアルな感じがするんですがどうやって考えているんですか。

液タブは、全部初期設定で、何もいじっていません。
 

会話はなるべく説明に無理やりもっていこうとしないくらい、ですかね。
 

紫鈴@shirinraka さんより
Q. キャラを作る際、大まかに設定を考えるのか、細かく(例えば履歴書を作るみたいに)設定を考えているのか、どちらが近いでしょうか?どちらも近くなければキャラの作成の仕方を伺いたいです。

全然作っていないですね。
 

何となく頭の中にキャラがいて、それを描きながら形作っているイメージですかね。
 

はい、そうですね。
 

manga@sick@manga_sickshock さんより
Q. 作品に現実の出来事を反映させることはありますか?例えば銃の悪魔は世界で起きる銃乱射事件がモチーフだったりするんでしょうか⁉︎

ないですね。
 

現実の明確な出来事ではないですが、現実の空気感は拾っていますよね。
 

それはあると思います。ただ、あまりにもタイムリーな事件はモチーフにはしていません。
 

ペテロ2号機@peter666monster さんより
Q. 少年時代に読んでた漫画、好きな漫画を教えて欲しいです

自由人HERO』が好きでした。
 

おぉ、柴田亜美先生! 1年目に担当させていただきました。エネルギッシュで素晴らしい先生です。


あと『ドラゴンドライブ』も。子供をワクワクさせていた作品だと思います。
アライブ-最終進化的少年-』も凄く好きでした。

ナム子@YonMirudakedayo さんより
Q. 人気投票では女性キャラクターの人気が圧倒的でしたが、魅力的な女子を描くに当たって心掛けている事はありますか?(※キャラをどう作っているかという質問多数)

僕の好きな女の子を描いています。
 

作家さんの好きが詰まっているキャラは、良い表情、良い絵が上がってくることが多いので納得です。


日々丁寧に生きる欲まみれの化け物@taispeed さんより
Q. どうしたら、みんなの想像できるものの、さらに向こう側のことが想像できますか。

どうしたら描けるんですかねぇ?(笑)
 

よく「意外な展開」って言われる作風ではあると思います。
 

そうですね。
 

意外なことやりたいから、意外な展開になっている訳ではないと思いますが。
 

多分、沢山映画を観て、漫画を読んでいると、絶対このあと、こうなる!って展開がありますよね。それだけは絶対避けよう、って思っているからかもしれないです。

それは大事な考え方だと思います。驚きは大事ですから。
 

『ゲーム・オブ・スローンズ』は本当に凄かったですよね。
 

あれは本当に驚きの連続でしたね。
 

シャウアプフ@q6pNcYi5BcplUVh さんより
Q. ストーリー・テーマ・キャラ等、漫画を作る上でまず何から決めますか? また、漫画で一番重要なのは何だと思いますか?(理由も教えてほしいです)

僕はテーマですね。
 

テーマ決めて、キャラとストーリーに落とし込む感じですかね。
例えば読切『妹の姉』のテーマは?

「兄弟姉妹に対して”悪い意味”で離れられない」ですね。
創作物では兄弟姉妹の関係性って、良いものとして描いてあることが多いですが、殆どの人が悪い部分の方を大きく体験しているんじゃないか、って思っていて。

最終的にはハッピーエンドのようにも捉えられるかもしれないですが…
 

姉が絵をやめているのに、才能溢れる妹が家に描きに来るんですよ。
 

それは…嫌ですね(笑)
 

嫌ですよね、油絵って凄く臭いし。
 

ぴ@pppppusapppp さんより
Q. 人間への洞察の深さに憧れています。 キャラ表情や感情や何気ない仕草、吐く言葉すべてにその人らしさを感じます。 ”マジ感”のストックはどのように増やしていますか? 人と触れ合うときにどういう点を見ていますか?

子供の頃から貯蓄したものをずっと使っているんだと思います。
 

今まで周りの人間を、しっかり観察してきたってことですね。確かに打合せで良く、藤本さんが見聞きした、人の表情や、反応の話が出てくるので、かなり観察していらっしゃるのかな、と思います。

ぷー@sVMzfo88t8CdW38 さんより
Q. 担当の林さんとの印象的なエピソードがあったら聞きたいです。

林さんが、『ファイアパンチ』の連載直前にTwitterで、「ながやまこはる」アカウントを見つけてきて「藤本くんの関係者を騙っている人がいるから、警告してやめないなら、訴えようと思っている」って言ってきて…

覚えている…!藤本くんに早くもヤバいファンがいる、訴えなきゃって言った記憶が。
 

あーどうしようって思って「それ僕です」って言ったら、林さんが凄くびっくりしていて…。
かなり狼狽していて、僕を畏れているような感じの表情を林さんがしていました(笑)

めちゃくちゃ動揺した記憶がありますよ笑。
何で?どうして?何のために?って思ったからね。

ぴ@pppppusapppp さんより
Q. 漫画、映画以外に普段どんな情報に触れていますか? 新しいのに好きになってしまう、古くないのに親しみやすいキャラデザに心を動かされてばかりです。 源泉を知りたいです。

う〜〜ん、ヤフーニュースとかのTOP NEWSくらいですかね。ゲームもしませんし。
ずっと好きな映画を流しっぱなしです。基本は映画と漫画です。

◆▽リょウ▲◇@ryo2000_0629 さんより
Q. 「漫画で使える画力を上げよう!」そう思った時、先生なら今までどんな事に取り組んでいましたか?

デッサンです。ひたすらデッサンです。
 

ぴ@pppppusapppp さんより
Q. 先生の大胆な色遣いが楽しくて見るたびに嬉しいです。色を決めるときに何を考えているのか知りたいです。

感覚で塗ってはいるのですが。
 

赤とか茶色が好きです。油絵の時によく使っていました。安いんですよ絵の具が。
赤系は、土から作られているから、安いんです。

今はデジタルでの彩色だから画材の値段関係ないのに(笑)
でも印象としては、寒色のカラーも描かれることが多いと思っていますが。

意識して描いてますね。好きな風に塗ってたら、赤ばっかりになっちゃうので。
 

ぴ@pppppusapppp さんより
Q. 一枚絵も一つ一つのコマも構図が素敵で惚れ惚れします。 一枚絵と漫画で気をつけるポイントが違うと思うのですが、それを知りたいです。

チェンソーマンに関しては止めの絵を沢山使いたいなと思っていて、決めゴマはしっかり止めて、それ以外は動きのある絵にしようと、連載描き始める時から決めてました。
沙村広明さんの『無限の住人』が凄くカッコよかったので、意識していると思います。

雨雲@rainydayafter0 さんより
Q. 先生はいつも予想の斜め上の展開を用意されていますが、 そのギリギリのラインの見極めというのは、論理的に構築されているのでしょうか。 それとも感覚でしょうか?

感覚です。どうやって論理的に構築できるのか、逆に知りたいです。
 

沢山の作品を観て、予想される展開をやらないって考え方は、もしかしたら、論理的なのかも、とは思いますが。
 

論理的な部分もありますが、全体としては、かなり感覚で描いている感じではあります。
 

こより@apple_Grnd00 さんより
Q. 大胆で個性的かつ絵画的なシーンの多いチェンソーマンが大好きで。特に闇の悪魔の登場シーンや空からでてきた大きな手がタンポポを毟るシーンが大好きなのですが、何を見て生活をすればこのような息を飲む美しいシーンが思いつくのでしょうか。

観ているのが基本、漫画と映画だけなので、そこからだと思います。
 

あいいちろう@I1low さんより
Q. ネームの作り方、特にネームの修正方法が知りたいです。 どこをどう直せばいいかわからないときになにをポイントにしてネームを修正しているのかを教えて頂けたら嬉しいです、、、、!!

チェンソーマンはそんなネームの修正ないですね。
 

セリフ・シーンの分かりにくさ、くらいですかね。すぐに直してくれますしね。
 

もしネームで、修正方法や方向が見えないのであれば、「直し方」というより、もっと根本な気がします。
 

そのネームで何を描きたいか、を考え直すってことですかね。
 

キャラが間違っている可能性も、企画が間違っている可能性もあります。
大元をしっかり考え直す必要があると思います。

KSMNK@Pomanpi さんより
Q. プロット書いてますか?ネームぶっつけですか?

プロット書いてます。
最初は文字だけで、描きたいことやシーンの繋ぎ方のアイデアを描いていきます。
次の段階では、セリフを全部書きだしてプロットにします。
その後に、絵でどう見せるか、を考えながらネームを描いています。

ネームぶっつけのときもあるかな、と思っていましたが。
 

ぶっつけはないですね。チェンソーマンは、全部この形で制作しています。
 

Q.今後の新人作家へのメッセージ。

Netflixに登録するといいと思います!
 

沢山映画を観たほうがよいってことですね。
 

本日はありがとうございました!
 

@2020年6月17日 都内某所 喫茶店個室にて。


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【第65回】どうやって勉強すればいい?~映画から学ぼう~

◆はじめに
皆さんこんにちは。ジャンプ+編集の高橋です。
漫画を作るための方法やストーリーの組み立てかたなどはネットや本にもありますが、意外とどうやって勉強したらいいのか分からないという話をよく聞きます。
そこで、今回は私が実践している映画を使った勉強方法をお伝えできればと思います。
あくまで今までの経験上のものなので、一つの方法として参考にしていただけますと幸いです。

ちなみに、なぜ映画かというと、漫画と映画は似ているからです。
編集部の先輩にも、
「映画はたくさんのプロによって作られるけれど、漫画家は映画を1人でこなすようなもの」
と言われますが、私もその通りだと思っており、担当の漫画家さんにも良く同じことを伝えます。
もちろん映像と紙では表現方法が違うので100%同じではないですが、ストーリーの組み立て方やキャラクターの出し方などかなり参考になります。
漫画だけを読むのでなく、映画(や他の芸術・エンタメなど)から学んでみると、思ってもいなかった視点や方法を思いつき表現の幅が拡がる手伝いとなります。私もそうでした。
機会を見つけてチャレンジしてみてください!
(以下、ちょっと長いので時間あるときに見てください)


◆映画「ズートピア」で見る組み立て方
具体的に説明する資料として今回選んだのは、ディズニー映画『ズートピア』です(アナ雪と迷いましたが、これは動物が好きという私の趣味に走ります)。
ディズニー映画作品はどれも構成がハリウッド映画のお手本のようにシンプルな【3部構成】になっています。そのため初心者でも分析がしやすく、漫画に役立てるのに持ってこいです。
特に『ズートピア』はいわゆる【バディもの】と言われるもので、青春・バトル・ミステリーなどなど様々なジャンルに使えます。なのでぜひ今回の分析をもとに、漫画でもやってみてください。最初は読切をやることからお勧めします。


◆3部構成とは?
スバリ!映画的には以下の3つを指します。
・セットアップ(設定)
・ディベロップメント(展開)
・レゾリューション(解決)

人によってはビギニング・ミドル・エンドと言ったりもします。ネットでもよく見かける3部構成ですが、あまりにもざっくりすぎてわからない!という人が多いと思いますので、具体的に分けていくとどうなるかをまとめます。
<セットアップ>
 1 オープニング・イメージ
 2 テーマの提示
 3 セットアップ
 4 きっかけ
 5 悩みのとき
<ディベロップメント>
 6 第一ターニングポイント
 7 サブプロット
 8 お楽しみ
 9 ミッド・ポイント
 10 迫りくる悪い奴ら
 11 全てを失って
 12 心の暗闇
 13 第二ターニングポイント
<レゾリューション>
 14フィナーレ
 15 ファイナル・イメージ
と細かく分けることができます。
(人によっては第二ターニングポイントがレゾリューションと言う人もいるかもですが、私はここまではミッドだと思っているので上記でお伝えしますね)
こちらの分け方は脚本術を大変わかり易くまとめた『SAVE THE CATの法則』という本を参考にしています。興味のある方はぜひご一読ください!

『SAVE THE CATの法則』


◆具体的に映画に当てはめてみよう!
じゃあ、実際にストーリーに物語に当てはめていくとどうなるのか?となりますね。
そこでいよいよ『ズートピア』の出番です。具体例があるだけで、自分のオリジナルストーリーを作る時に、見本として比べながら作ることができます。物語は違ったとしても、基礎の一つにできると思いますので、ご参考になさってください。

<セットアップ>
 1 オープニング・イメージ
世界観、舞台の説明です。ズートピアでは主人公・ジュディが幼い頃の舞台演劇という形で、この世界は草食動物と肉食動物がおり、進化を果たして共に手を取り合い夢を追いかけることができるようになったと説明しています。そして、その理想郷「ズートピア」であるとしっかり観客に提示しているのです。
 2 テーマの提示
ジュディは演劇で「そして、私は警察官になるの!」と堂々と叫びます。しかし周囲の様子から草食動物でもか弱くフワフワな可愛いうさちゃんが警察官になるのは困難で前例のないことだと分かります。同郷の肉食獣・狐のギデオンから馬鹿にされてしまう…けれどジュディは諦めず「夢」を叶えることを誓うのです。パッと見るとテーマは「夢」を叶える話か…?と思いますが、ここがさすがディズニー。夢を叶えるだけでなく、このジュディとギデオンを使って、現実の縮図「草食は肉食に怯え、肉食は草食を喰らう本能がある」というのも同時に見せることで、この後に起こる事件やテーマを部分的に見せているのです。
 3 セットアップ
そして、いよいよ物語の本番にして重要な部分。ここでは主人公の目的・理由が再度語られ、物語のテーマを提示します。「ズートピア」では月日は経ち、ジュディは念願だった警察学校へ入学し、最初は他の大型動物に見下されますが、知恵を働かせ持っているウサギとしての身体能力を生かし、見事【初のウサギ警察官】となります。
また、物語を動かす理由も同時に見せます。ジュディは憧れのズートピアへ配属!ジュディは夢を叶えるのです。そしていよいよ舞台はズートピアへ!ここから物語のスタート地点とばかりにオープニング音楽と映像が流れます。(漫画なら扉絵などでもいいかもしれませんね)
 4 きっかけ
ジュディは理想と希望を胸に警察官としての第一歩を踏み出しますが、そこには現実という壁があります。彼女を待っていたのは「小さいうさちゃんに何ができるのか」という大型動物たちからの見下し。警察学校と同じく知恵と機転を利かせればいい…と思いどんなに頑張っても報われず、任される仕事は自動車違反切符を切るだけ。ジュディの思っていた刺激的で理想的な警官らしい事件「肉食獣行方不明事件」があるにもかかわらず、情報すらも共有してもらえず、ジュディは初日から悔しい思いを味わいます。主人公は理想と現実のギャップを何度も突きつけられるのです。
 5 悩みのとき
そんな時、ジュディは後に相棒となる狐のニックと出会うのです。彼に騙され最悪の出会いを果たしたジュディはニックから現実を突きつけられます。「ズートピアに来るやつは何にでもなれると思っているが自分を変えられない」と。ジュディは理想と現実の間で悩み、もがくことでストーリー上の問題を提示します。

<ディベロップメント>
 6 第一ターニングポイント
落ち込んでいる時、泥棒を追うことに!これぞジュディが待っていた警察官らしい仕事とばかりに張り切ります。しかし、犯人を無事に逮捕したにも関わらず、街を困らせたジュディを署長は厄介者としてしか扱いません。そこへさらなる事件が…行方不明者のカワウソの妻が夫を探してと訴えてきます。ジュディは勝手にも探すと約束し、羊のヴェルウェザー副市長の助けもあって48時間の期限付きで事件を追うことを許されます。警察官という自身の夢をかけて…いよいよ物語は勢いを増し、観客を楽しませるアクションが開始されるところになります。ここをいかにワクワクさせられるか…腕の見せ所となります。
 7 サブプロット
ここで事件を追う手助けをさせるためにニックと手を組むことに。2人の関係はお互いに「気に食わない奴」というスタート。バディもののお約束!嫌いな奴と組むことになるのです。観客へ2人が深い関係になることをしっかり予感させています。ここでのやり取りは後の方でも2人の会話のテンポや関係性に大きく影響を与えるので、どういうバディにしたいのかを考えながら入れることをお勧めします。
 8 お楽しみ
ここからはジュディとニックのお互いの駆け引き!ニックはあの手この手でジュディの邪魔をします。2人は嫌味の応酬を繰り返しながらも事件を追いかけます。ジュディとニックは少しずつお互いのことを知っていき、ジュディによってニックは助けられ、関係が前進するのです。(漫画だとコメディパートになるような抜け部分となって読者を緊張感から解き放ち、より物語を気軽に楽しむきっかけとなります)
 9 ミッド・ポイント
ミスタービッグというマフィアのボスにより、カワウソ探しの大きな手がかりを得ることに。そこで肉食獣が理性を失くし野生化をしてしまう姿を目撃し、ただの行方不明時間ではないことを知ります。ここが物語の中間地点で前半と比べると物語が大きく転換する箇所となります。前半と比べていかにギャップを見せられるかが大事になってきます。
 10 迫りくる悪い奴ら
ミッドポイントで一つ真相に近づいたら、野生化した肉食獣に襲われるジュディとニック!取り逃してしまったジュディは警官をやめろと迫られますが、ここでニックがジュディを助けることで、2人は仲間らしくなります。そして、事件をさらに進めるきっかけを掴んでいきます。ここではしっかりとバディとしてのお互いの形が見えてきて、ジュディとニックはお互いの得意分野で助け合いながら真相を追う形で関係をしっかり築いていきます。(漫画では一番楽しめるキャラの関係性の変化なので、丁寧にしっかり描いていくことをおすすめます)
 11 全てを失って
ジュディとニックは野生化した行方不明者を見つけ、さらに犯人を見つけたことにより、ジュディは警察官として認められることに。けれど、その結果「肉食獣は危険」という恐怖を市民に植えつけてしまい、ジュディは相棒であったニックの信頼を壊してしまうことに。警察官の理想を追い求めて大切な相棒を失ったジュディは、警官バッチをそっと置いて立ち去ります。物語で一番大きな挫折となり観客をハラハラさせる部分。次の読者へのワクワクへとつなげるために上手くいれる必要があります。
 12 心の暗闇
ジュディは実家へ戻り、自分の甘さを認め悩む。「罪のない肉食獣を追い詰めてしまった…」と。けれど、ジュディを救ってくれたのは、幼なじみの狐・ギデオン。両親とギデオンは草食獣と肉食獣でお互いに手を取り合って生活をしていました。ここで、ジュディは迷いを振り払い自分と向き合い、そして真の意味で夢を諦めず、どんな困難にも立ち向かうと決意するのです。このシーンこそテーマを伝えるための必要なステップです。(漫画なら読者に主人公を本当の意味で応援したいと思わせる大切な葛藤シーンです)
 13 第二ターニングポイント
ジュディは実家で肉食獣の野生化の鍵を見つけます。その事件解決の鍵を握って再びニックとバディを組んで事件の真相へと近づいていく!ここが作品の一番盛り上がるところ!アクションも今までの中で一番ド派手に!そして、事件の真相は意外な動物の罠だったことが分かます。ここで物語全体の真相と共に真のバディと2人はなるのです。バディに関してはお約束通り心を通わせますが、さらなる真犯人が出てくる部分…漫画ではここがすごく重要で“いい意味での裏切り=想像を超えるどんでん返し”となる部分です。ここの面白さで漫画の読後感が全く変わってきます。ですので、大事に丁寧に。

<レゾリューション>
 14 フィナーレ
真犯人を捕まえ、ジュディは草食獣と肉食獣の壁を知り、お互いの問題点、ジュディ自身の問題点に気づき、諦めずに世界をより良くしようと誓います。
理想ばかりを追い求めたジュディは言います。ズートピアは理想郷ではない。困難がいろんなところにある。けれど、諦めない──「自分を知り、自分を見つめ、自分を変えることからはじまる」理想に近づくためには一人ひとりが変わり、みんなで手を取り合って作り上げていくことが必要なのだと。
まさに一番言いたかったこの作品のテーマを主人公は自覚し、言葉にして観客へ伝えるのです。主人公は最後まで葛藤し続け、そうして終わりでようやく一つの答えへと辿り着く…決して早くもなければ器用でもないけれど、だからこそ観客は等身大の自身と見比べてジュディへと共感し、主人公を応援しようと思えるのです。漫画と同じですね!
 15 ファイナル・イメージ
ジュディは真の相棒となった狐初の警察官となったニックと共に、様々な事件解決へと奔走するのでした。1人だったジュディはみんなに認められ、ニックと共に未来へと一歩を踏み出す──まさに大団円です。未来の2人の活躍を思う人もいれば、この後2人がどういう関係になっていくのか想い馳せる人もいたと思います。これほど続きを想像し易く、けれど無限に考えられる終わり方はそうそうありません。それほどまでに、観客を惹きつけ、世界をしっかりと理解させて、キャラクターへと心を入れさせられる…ディズニーの完璧な作りに感服します。

こうやって当てはめていくと、ディズニー映画がいかに脚本術に忠実で、シンプルな作りなのか分かると思います。しかしその分、キラリと光る設定、キャラクター、物語のいい意味での裏切りの上手さ…!まさにお手本にしたい部分がたくさんです。


◆最後に
最初にディズニーの映画作品にした理由を伝えましたが、もう一つ理由があります。
それは「いいものを作るためには何度だって納得いくまでやり直す勇気」が必要ということです。
今回『ズートピア』を使用させていただきましたが、この作品は今のストーリーになるまで400本以上の脚本を捨てています(ディズニーファンの間では有名ですね!)。
それは「面白くないから」というネガティブな行動ではなく、「もっと面白くなるのではないか?」と常に監督や脚本家、映画を作るスタッフ全てが自分たち自身に問いかけ続け、納得のいくものを作り上げるため、ポジティブに更新を繰り返した結果です。
だからこそ、ディズニーは年齢・性別・時代に関係なく面白い作品を常に作り続けられるのだと思います。
私は漫画も同じだと思っています。(さすがに400本を1人でこなすのは難しいですが)
一度自分が満足したとしても、冷静に振り返ってみると、その作品にはさらに良くなる可能性が秘められていることに気づきます。もちろん、漫画賞の〆切などの制約はありますが、出来る限りネタや設定、キャラ、ストーリー、構成、演出、ネームなど振り返って、様々なトライ&エラーを繰り返してみてください。きっと漫画家としてためになる気づきを得られるはずです。

終わりに…現在「次世代少年漫画賞」を募集しています。
ぜひ漫画家への第一歩の場としてご活用ください。

【第64回】読者に刺さるストーリーを作るために~

皆さまこんにちは。ジャンプ+編集部の緑川です。
今回は、私が元ライター時代に学んだことやこれまでの編集経験から、物語の作り方についてまとめてみました。私の独断と偏見もあるかもしれませんが、一つの考え方として、作品作りで迷った時などに参考にしていただけたら幸いです。

◆物語の作り方

① 作品の『売り』を意識する
その作品の売り・コンセプトを意識した作品にしましょう。逆にこれがないと、いったい何の話なのかわかりません。また、複数のコンセプトを入れるのもまずい。一言二言で説明できる作品はわかりやすく、それが作品のイメージにも繋がります。

② 起承転結


導入部分であり、最も重要な部分。ここでキャラクターと世界観、どんなストーリーになるのか、読者にある程度理解させる必要があります。そのため説明ばかりになってしまうことがありますが、説明するのではなく読者に『予測』させればいい。

剣士が主人公なら、剣をにぎっているだけでも剣士と『予測』でき、わざわざ剣士と名乗る必要もありません。ナルトなら、忍者の学校を舞台にすることで世界観と忍者の学生であることをすでに説明できています。さらにナルトは冒頭で「火影になる」と宣言しており、3代目火影とのやり取りで目標がどういったものなのかも『予測』できます。

さらにここで重要なのは作品の『面白さ』であり、面白そうな設定やストーリー、面白そうなキャラであると読者に『予測』させる必要があります。そこは、物語の売り・コンセプトにも繋がります。


導入部分ができたら、転に行くまでの準備をします。ここで気を抜くと、途中で読者に飽きられてしまいます。飽きられないように、なおかつ面白く物語を構築するには、転に行くまでの間、読者の『期待』を煽り続ければいい。

ラブコメなら、主人公とヒロインがくっつきそうでなかなかくっつかない。バトルファンタジーなら、敵を倒せそうなのになかなか倒れない。(のちに転の第2形態となったりする)。
『転』で盛り上げるためにも『承』は重要な部分です。ジェットコースターなら登っていくところなので、しっかり登り切った上で『転』に入りましょう。


承で読者の『期待』を十分に煽ったら、ここでその『期待』にいい意味で『裏切る』必要があります。ここで単純に期待に応えるだけでは転ではなく、結になってしまいます。
例えば承でも書いたバトル漫画のように期待通りに敵に勝つのではなく、敵がさらに強くなることで読者の『期待』をより面白く『裏切る』ことができます。すると読者は、この苦境をどう乗り越えるのか『期待』します。

ラブコメなら、主人公のことを好きになったヒロインと何らかのトラブルで喧嘩になったり。ただし完全に嫌いになるのではなく、きっとヒロインはまだ主人公のことが好きなはずだと、そういった心理を匂わすシーンを入れることで読者の『期待』をより強くすることができるし、仮にそういったシーンがなくても読者がヒロインを気に入っていれば、勝手に『期待』してくれたりします。


承で『期待』を煽り、転で『裏切り』を入れたことによって読者が最終的に『期待』するものをここで投入しましょう。ここでは基本的に読者を裏切ってはいけません。裏切った場合はバッドエンドとなる場合が多いです。読者の殆どはハッピーエンドが好きなので、ここは素直に読者の『期待』に応えてあげましょう。

もしくは読者の『期待』を超えるようなハッピーエンドを入れられたら、さらに良い作品になるでしょう。

起承転結はあくまで基本であり、特に短編や読切を書く場合はこの形式を意識して描くとまとまりやすいです。ただし長い作品の場合は、起のあと『承と転を繰り返す』ことで読者を飽きさせず結に持っていくことができます。例えばドラゴンボールのセル編だと、セルの第二形態、最終形態みたいに転を二回使っています。

◆面白いって何?

① 読者の欲求を刺激する

作者自身が面白いものを描くことも必要ですが、読者も面白いと感じなければ意味がありません。では具体的にどんなものが読者にとって面白いと思えるのか、それは読者の『欲求』を刺激する作品です。

② 欲求とは?

人間には食欲、睡眠欲、性欲といった三大欲求がよく知られていますが、三大欲求の他にも安全欲求、承認欲求などがあります。以下、心理学者マズローの欲求5段階説です。

1)生理的欲求=睡眠、食事、排せつ、性欲など。生理的な欲求。
2)安全欲求=身の安全、健康、財産、雇用の安定など。安全安心であること。
3)社会的欲求=友情、愛情、家族など。他者と関わり、集団に属したい。
4)承認欲求=自尊心、自信、達成など。他者から価値のある存在と認められたい。
5)自己実現欲求=自分の能力を引き出し、創造的活動がしたい。最高の自分になりたい。

その他、ヒルガードの心理学では承認欲求の後に『認知の欲求(知ること、理解すること、探求すること)審美的欲求(調和、秩序、美の追求)』があります。

これらの欲求、例えば安全欲求はホラーやデスゲームなどでその欲を満たしやすいです。漫画の中であえて危険な状況にすることで、読者は安全欲求を求め、それを達成することで読者は欲求を満たすことができます。

社会的欲求は、例えば孤独な主人公に手を差し伸べるヒロインがいれば主人公は集団に属することができ、主人公に共感した読者は社会的欲求を満たすことができます。ヒロインとの関係がうまくいけば自尊心や自信につながり、承認欲求も満たすことができるし、内容によっては性欲を刺激することもできます。

自己実現欲求でいえば、読者が主人公に共感し、その主人公が目標を叶え、なりたい自分になることでその欲求を満たすことができます。

推理ものなどは、事件の謎を置くことでキャラクターは謎を解決しようと動きますが、犯人が殺人鬼であれば安全欲求を刺激できるし、なおかつ知的欲求(※ヒルガードの心理学)を刺激できます。

以上になります。
現在、ジャンプルーキー!では『次世代少年漫画賞』を開催中です。
皆さまの、次世代を作るような面白い作品を心よりお待ちしております。

→くわしくはコチラから

【第63回】読切の執筆で悩むなら...「短編集」を読め!!

ジャンプルーキー!ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ジャンプ+編集部、そろそろ2年目の岡本です。

今回はシンプルに「読切を描くにあたって参考になりそうな短編集」をご紹介します。

さて、世の中では日々、様々な漫画賞が開催されております。
「手塚賞・赤塚賞」「J新世界漫画賞」をはじめとして、ジャンプルーキー!でも「第2回 U23ジャンプWEBマンガ賞」「第4回 ジャンプルーキー!アナログ部門賞」が募集受付中。応募に向けて作品を執筆中の方も多いのではないでしょうか。そしてこう思っている方もいるのでは...?

「読切って、どうやって描けばいいんだ...!?」

そう、これらの漫画賞は「読切作品での応募」を義務付けるものがほとんどです。

たった1話で、設定や世界観を説明し、魅力的なキャラクターを出し、胸躍るストーリーを展開し、キレイに完結させる...

やることが多すぎる!収まらない!
詰め込みすぎてページ数が...!
この課題を、1話の中でどうすればクリアできるんだ...!?

お悩みの方も多いと思います。

ならば面白い読切を読もう!そしてプロの技を盗もう!!
ということで、オススメを紹介させていただきます。
「自分の作品に活かす」という視点抜きでも非常に面白いので、是非触れてみてください。
※あくまで岡本の個人的な意見です。


【WANTED! 尾田栄一郎短編集】尾田栄一郎
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<説明>
 史上最大の賞金首ギル・バスターに、幽霊がとりついた!? 幻の処女作『WANTED!』、大人気作品『ONE PIECE』の原点、もう一人のルフィがここに!『ROMANCE DAWN』ほか3編を収録!!(ジャンプBOOKストア!より)

全編傑作なのですが、特に『神から未来のプレゼント』は忘れられません!
尾田先生自身も「よくまとまってるなーっ」と評するこの作品。
特に主人公、スリのブランのキャラクターとその「魅せ方」に注目です。
冒頭2pで彼のキャラクターが説明されるのですが、それを「説明」と感じさせないその手法のスマートなこと...
また完全無欠なヒーローではなく、ちゃっかりしていたり、人並みに困惑したりと、人間臭さを残しているのも、彼の魅力的なキャラクターに貢献していると感じます。
そして彼の「武器」を活かした結末も必見!
またこちらに収録されている作品『MONSTERS』については、元ジャンプ編集者の齊藤さんがめちゃくちゃ詳しく説明しているので、こちらも併せてご覧ください。↓


【Present for me 石黒正数短編集】石黒正数
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<説明>
 名作『それでも町は廻っている』で一気に天賦の才能に花開かせた石黒正数が、2000年~2004年の頃に各誌に発表した好短編を堂々7点収録。石黒作品に流れる熱き血潮と冷静な感覚の閃きが、ここに存在する! 収録作品は『ススメ サイキック少年団』(2003年)『Present for me』(2003年)『なげなわマン』(2003年)『カウントダウン』(2002年)『バーバラ』(2002年)『泰造のヘルメット』(未発表作品。2004年)『ヒーロー』(デビュー作品。2000年)(少年画報社オフィシャルサイトより)

表題作『Present for me』、面白かったのはもちろんですが「凄い作品だ...!」と圧倒されました。
登場するのは女の子(喋らない)とロボット(表情がない)、こんなに感情表現が少ないキャラクターなのに、めちゃくちゃ魅力的!
ちょっとした動作や表情、セリフのチョイスでキャラクターの魅力を伝えることもできる...そう実感させられました。
そして何より驚いたのはラストの展開!
「読者の予想を裏切り、期待に応える」―まさにこの言葉通りの、忘れられない結末です。
こちらが気に入った方は、同じ石黒先生の『探偵綺譚』もオススメ。
ちょっとしたアイデアを作品に昇華させるヒントが随所に詰まってます。


【九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子】九井諒子
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<説明>
 前代未聞の漫画ここにあり! 2年の沈黙を破って、九井諒子ワールドの幕がふたたび開く。竜と人、人魚と野球少年、神様と小学生――それぞれの絆を題材とした過去の6作品に加え、全38ページの新作描き下ろし作品を収録。笑いあり、涙あり、きっとあなたが忘れていた、親と子の絆を思い出す7つ物語。収録作品:『竜の小塔』『人魚禁漁区』『わたしのかみさま』『狼は嘘をつかない』『金なし白祿』『子がかわいいと竜は鳴く』『犬谷家の人々』(BOOK☆WALKERより)

洋風ファンタジーから少し不思議?な短編まで、めくるめくアイデアの宝庫!
特に『人魚禁漁区』『狼は嘘をつかない』この2作品に注目です。
どちらも扱うモチーフは「人魚」「狼男」とよく知られたものですが、九井先生の手腕によって、唯一無二の作品になっています。
狼男や人魚が、実際にいたら?私たちと一緒に暮らすなら?彼らと友情を育むには...?
徹底的に考えることで、新たな魅力が見つかるかもしれません。
更に『狼は嘘をつかない』は狼男を子にもつ母親の苦悩を、なんと子育てエッセイ風に描くことから始まります。
狼男を扱った作品は数あれど、この切り口は他にないのでは!?
使い古されたモチーフも、工夫次第で輝くということを是非学んでください。


【藤田和日郎短編集 夜の歌】藤田和日郎
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<説明>
 新人コミック大賞入賞作『連絡船奇譚』を始め、『メリーゴーランドへ!』『夜に散歩しないかね』『掌の歌』『からくりの君』収録の初の傑作短編集。(小学館公式サイトより)

『うしおととら』『からくりサーカス』『双亡亭壊すべし』の藤田先生の短編集!
度肝を抜かれるデザインからバトルシーンまで、藤田先生の魅力がこれでもかと詰まった短編集です。
例えば『からくりの君』。タイトル通り、からくり人形を操る少女の活躍を描いた作品ですが...カッコ良い...!
からくり人形を操るギミック、人形のデザイン、登場シーン、そのすべてに迫力があり、斬新かつ、キマっています。
読切というと「ページ内に納めなければ」という点に苦心しがちですが、そんなときは「自分が描きたいのは何か」をもう一度考えてみるといいかもしれません。
あれもこれも、ではなく、大事なものを、全力をもって描き切る!
そんな心構えを教えてくれる作品です。


【ハードタックル~佐藤秀峰傑作短編集~】佐藤秀峰
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<説明>
 佐藤秀峰のデビュー作や雑誌未発表作を含む幻の初期作品集!!『おめでとォ!』『ハードタックル』『キムラ!』『エロ兄弟』の4篇を掲載。(BOOK☆WALKERより)

『ブラックジャックによろしく』の佐藤先生による短編集。
各作品の主人公に注目してください。熱い。熱すぎる。
スポーツものが多く収録されているのですが、それぞれの主人公は強烈な個性があるわけでも、必殺技を持っているわけでもなく、ただ、真っすぐで、熱い。
そう、たとえ今までにないキャラクター設定を考え付かなくても、誰もが持っている「素直さ」「ひたむきさ」も突き詰めるとキャラクターを支える個性になるんです!
ここに佐藤先生の鬼気迫る演出、描く表情の力が加わって、心を揺さぶられること間違いなし。
漫画の参考にとどまらず、創作への熱意を失いそうなときにも是非!

* * *

以上、5本を紹介しました。
本当はもっと紹介したい作品もあったのですが、まずは厳選してこの5本!
あくまでこれは私個人の意見ですので、ぜひご自分で、ここが面白かった、逆にこの作品は面白くなかった、どうすれば面白くなるのか...読んだ後に考えてみてください。
そうやって考えた過程は、自分だけの財産になり、創作を助けてくれるはずです。

作品を沢山読んでインプットしたら、次はアウトプット。
冒頭でも書いたように、現在ジャンプルーキー!では「月間ルーキー賞」に加え、「第2回 U23ジャンプWEBマンガ賞」「第4回 アナログ部門賞」が応募受付中!
さらに持ち込みも常時受け付け中です!
皆さんの渾身の作品を心よりお待ちしております。

(岡本 拓也)

■現在募集中!
『第2回U23ジャンプWEBマンガ賞』はコチラ↓

『第4回ジャンプルーキー!アナログ部門賞』はコチラ↓

■少年ジャンプ+への持ち込みはコチラ↓


持ち込みの方法はコチラから

【第62回】累計6億部以上!『ONE PIECE』『BLEACH』など大ヒット作の立ち上げ編集・浅田貴典が語る漫画話

2020年2月9日(日)、東京ビッグサイトにて行われた同人誌即売会「コミティア131」の「ジャンプルーキー!/ジャンプPAINT」ブースにて、『ONE PIECE』『BLEACH』『アイシールド21』などを立ち上げた編集者・浅田貴典による講演が行われました。「Twitterや会場で質問を募り、漫画編集の裏側を赤裸々に明かす」という趣旨で展開された講演のレポートを、皆さまにもお届けします!

集英社 第3編集部部次長 浅田貴典
イラスト:松井優征

集英社に入社後、週刊少年ジャンプ編集部、ジャンプSQ.編集部、JUMP jBOOKS編集部、キャラクタービジネス室を経て、現職。初代担当作品:『ONE PIECE』『BLEACH』『アイシールド21』『Mr.FULLSWING』『血界戦線』など。


■Part 1/作品作りの秘訣

浅田:初めまして。集英社の浅田と申します。漫画の編集部から小説、ライツ、デジタルなど色々な仕事を経験してきました。これからお話することは昔の方法論かも知れませんが、漫画を描かれる方の参考になることがあれば、ぜひ持っていって下さい。

司会・伊藤拓哉(「少年ジャンプ+」編集部):早速ですが、本日は浅田さんが考える作品作り、編集者の付き合い方などについて伺っていきます。事前にTwitterで質問を受け付けていたので、まずはそちらにお答え下さい。


【質問】「久保帯人先生の『BLEACH』のような作品を描くにはどうすればいいですか?」

浅田:いやぁ(笑)、いきなり難しい質問ですね。参考になるかどうか分かりませんが…例えば『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生は、鳥山明先生の影響を多分に受けられた方です。ただ尾田先生は『DRAGON BALL』をそのまま研究するのではなく、鳥山先生が影響を受けた作品に遡って勉強されたそうです。なので質問された方が『BLEACH』みたいな作品を描きたいなら、まずは自分が『BLEACH』のどこが好きなのかを考えるといいかもしれませんね。久保先生は色々な魅力を持つ作家さんですが、その中でもどこに一番惹かれるのか。キャラクターデザインのセンスだったり、リリカルな言葉遣いだったり、技を出した時の見栄を切る演出だったり。久保先生の一番好きな部分を意識して、自分が本当に好きなものを考えてみて下さい。その上で、インスタグラムを見るのか、詩を読むのか、色んな作品の演出アイデアを注目するか、やり方はいくらでもあるかと思います。

【魅力を感じるポイントは人によって千差万別。まず、自分の「好き」を探そう。】

伊藤:自分の嗜好を理解し直すということですね。

浅田:漫画家を志す方は、好きな作品をとにかく細かく読み込んだ方が良いかと思います。漫画は多くの要素の組み合わせなので、その中で自分は言葉が好きなのか、キャラクターが好きなのか…とか。「作品のここが好きで、それを見ていると嬉しい感情が湧いてくる」と自覚できるようになるといいですね。さらに言うと「好き」だけではなく「こんな演出があると不安になる」「この表現はなぜかムカつく」とか、何を見ると自分の感情がどう動くのか知ることが大切なのでは、と。


【質問】「『ONE PIECE』も『BLEACH』も台詞が心に残る「台詞が強い」作品です。台詞の力をつけるにはどうすればいいですか?」

浅田:難しい質問が続きますね(笑)。

伊藤:私も編集者として「頑張って色々な作品を研究してみてください」と参考になる作品をお渡ししたりすることが多いのですが、もっといいアドバイスがないか気になります。

浅田:例えばスポーツ選手が試合で発揮する力は、それまでに積み重ねてきた練習量によるものです。作品作りも同様に一朝一夕で言葉の力がつくことはありません。先程の話に通じますが、小説でも漫画でもTwitterでも、言葉によって心が動かされた経験が必ずあるはずです。その「この言葉を受け取った時、自分はこういう感情になる」ということを自覚することから始めた方がいいと思います。
もう一つは、その言葉が作中でどう使われるかの掘り下げです。例えば「愛している」という台詞がある時、それを言ったのは大好きな異性なのか、後輩なのか、ずっと憎んできた敵なのか。そして口調や言われるシチュエーションで、同じ「愛している」でも全然印象が変わってきます。さらには「自分だったらこんな風に“愛している”と言われたら、絶対に惚れちゃう!」という妄想までできれば完璧です。つまり「言葉が強い」作家さんは、「キャラクターにこう言われたら、自分はこう感じる」という意識というか、感情というかが、常人よりも強いんじゃないでしょうか。

【『ONE PIECE』574話でのエースの言葉。シチュエーションによって言葉の受け取られ方は大きく変化する。】

伊藤:台詞も作品に入り込んで考えるということですね。

浅田:作家さんだったら、まず作品に入り込めないことはありません。それでも「今ひとつ言葉が弱いなぁ…」と言われるのであれば、表現の仕方が拙いのかもしれません。感情の総量が足りないなら、もっともっと「好き」「嫌い」をつきつめた方が良いと思います。


【質問】「編集者に“もっとキャラクターを立てて強くして”と言われます。強いキャラクターはどう作ればいいのでしょうか?」

伊藤:これもよく聞く悩みですね。キャラクターの作り方というか…。

浅田:僕はよく「キャラクターは“作る”より“ずらす”方が100倍楽」とお伝えしています。例えば高橋留美子先生の『うる星やつら』『らんま1/2』という作品があります。『うる星やつら』の諸星あたると『らんま1/2』の八宝斎は、考え方や行動というキャラクター性だけ抽出すればかなり同じです。一方は高校生の主人公でもう一方はお爺さんですが、どちらも可愛い女の子がいると飛びつかずにはいられないキャラクターですね。年齢や立場、能力、周囲との関係性を変えるだけで、その印象は様々に変わるんです。
これは企画性にも言えて、『北斗の拳』とか良い例ですよね。あの作品には様々な魅力が組合わされています。池上遼一先生の『愛と誠』みたいな物語要素だったり、映画『マッドマックス』の世界観だったり、アーノルド・シュワルツェネッガーのようなマッチョなキャラクターだったり、ブルース・リーのような東洋の拳法を盛り込んだり…。だからといって『北斗の拳』が他の作品の寄せ集めかというとそんなことはまったくなく、多くの人の心を打つ作品に昇華されています。それはやっぱり武論尊先生の言葉、原哲夫先生のキャラの表情、絵柄の説得力という、作者の個性が強いからですよね。作家先生が「本当に好き、カッコイイ!」という部分が出ているんだと思います。

伊藤:本当に好きなものでないと取り入れても効果がないんですね。

浅田:ええ。種をどこから取るかということです。それは漫画でも小説でも映画でもゲームでもいいんです。現実の人物・出来事から着想を得てもいい。いっそ伊藤さんからキャラクターを作ってもいいんです。伊藤さんのキャラクター性を取り出して、ビジュアルを女の子にして、しかも萌えキャラにして…という風にずらしたりして(笑)。

伊藤:ブラッククローバー』の田畠裕基先生も、先輩をモデルにして団長のヤミを考えられたそうです。モデルを置いて、そこから変えていくという作家さんは多いのかも知れませんね。

浅田:この作り方は敵役でも良い。誰にでも1人くらい「あいつだけは絶対に許せない!」みたいな嫌いな人がいるじゃないですか。そういう人を自分の漫画の中で、けちょんけちょんにしてやりましょう。そっちの方が面白くなります。


【質問】「浅田さんが担当された新人時代の尾田栄一郎先生は、他の作家さんと比べてどこがすごかったですか?」

伊藤:当時からプロ意識がすごかったというお話はよく聞きますが…。

浅田:尾田先生はあらゆる面ですごい作家さんですが、僕が特に感じたのは、成長のためにご自身のステージを強く意識されていた点です。新人時代から自分を客観視して、「この能力を鍛えるために、今はこれをやるんだ!」と明確に意識されていたというか。尾田先生の中に、尾田先生を導くコーチが同居している感じでしょうか。

伊藤:「カラーを鍛えるためにカラーイラストを描くんだ」「キャラデザを鍛えるためにキャラクターを描くんだ」とか?

浅田:それこそ「少年ジャンプ+」の僕のエッセイインタビューでも言いましたよね。「連載になった時に、カラー原稿を描く機会が増えるから、その時のためにクオリティを上げたり、スピードを早めるために、カラーイラストの習作を描いておこう」とか。新情報でなくて申し訳ありません!


【質問】「一番効率のいい、画力の向上方法を教えて下さい」

浅田:ええ~(困惑)。それって絵が描けない編集者に言われて信用します?…なのでそこは差し引いて頂きたいのですが、まず「漫画において“上手い絵”とはどんな絵なのか」ということを考えたいです。一般的に「上手い」とされる漫画の絵は、線が多くて細部まで描かれている「精緻で画面の密度が高い」ものが多いですよね。実際にそういった絵は魅力的で、コミックスの売り上げにも影響してきます。
でも、漫画は絵だけで成立するものではありません。例えば『ボボボーボ・ボーボボ』の澤井啓夫先生の絵は精緻とは対極の印象ですが、作品として最大級に上手い絵だと僕は思っています。というのも澤井先生は『ボーボボ』のネームの面白さを表現するために、敢えて小学生が真似しやすいキャラクターデザインにして、絵も勢いを出すために乱雑にしています。そしてその絵があるからこそ『ボーボボ』は面白い、つまり漫画として最大限に上手い絵と言えるんです。

【第1話ボーボボの登場シーン。一目見て頭に残るキャラクターデザインと画面の勢いがある。】

そこで先程の「画力を上げるには」という質問に戻ると、「では、どういったネームを描きたいのか?」ということに立ち返ります。「女の子が可愛いラブコメ」を描きたいのであれば、女の子の表情が魅力的に表現できて、顔以外にもうなじの色気とか、シャツの隙間から覗く脇とか、座った時にちょっと崩れる太ももとか…僕の趣味ばかりで申し訳ないですが(笑)…自分のフェチにも気を使うべきでしょう。つまり「この作品を描きたいから、この演出が必要で、そのためにこの絵を描けるように練習をする」と逆算で考えるべきです。
その上で僕が練習として一番効果的だと考えるのが、自分が理想とする漫画ページの模写です。その際、コマ割も背景もフキダシも全部きちんと模写して下さい。そして「なんでこのキャラクターはこっち向きなのか、なんでフキダシがここにあるのか」とか、作家の意図を汲み取りながら描くんです。そうするとだんだん、ページに凝らされている工夫が自分の力になっていくと思います。

伊藤:台詞作りもキャラクター作りにも通じますね。観察して掘り下げて、それを自分のものにするということですね。

浅田:漫画には「たまたまこの絵になった」という偶然の絵作りはありません。カメラをどこから向けるか、どこにキャラクターを置くか、どこに台詞を置くか…と、すべて作家が考えて描くものです。
もっと言うとキャラクターデザインだって、そのお話で活躍させるためにはどんなビジュアルで、どんな佇まいで、どんな表情を見せるのか…とか、全部逆算から生まれています。漫画は作家がすべてを支配するメディアだからこそ、そこに意味や意図を込めて作ることが大切です。だから漫画に限らず他の作品を見たら、作った人の意図を汲み取ろうとして、そこで生まれた自分の気持ちを大切にして欲しいです。
たぶん成長するための秘訣って「何をお手本にするか」「その中から何をくみとるか」だと思います。そして、何をお手本にするかは、当人の「何となく好き」が大切なんじゃないでしょうか。
僕は何かに迷った時は「理由は分からないけれど、こっちの方が気になる!」と思った方を選ぶようにしています。「何か気になる」とは、過去からの経験が「こっちを選べ」と言っていることなんですよ。その上で「自分はこれのどこが気になるのか?」をひたすら突き詰めます。正しいとか間違っているとかは関係なく、自分に腹落ちする言葉が出てくればいい。これは作家さんも編集者もそうですが、「なぜこれが気になるのか、自分に納得できるように説明できる」ことが重要だと思っています。


■Part 2/編集者との関わり方

伊藤:では次に、会場の皆さんからの質問にお答えします。どなたかいらっしゃいますか?

【質問】「作品を持ち込んだ時、編集者は漫画家とどんな話をしていますか?」

浅田:作家さんによってバラバラです(笑)。ただ僕が心掛けているのは、作家さんにきちんと「このネームのここが好き」と伝えることです。それは特定のキャラクターの表情だったり、どこかの台詞だったり、作品のアイデアであるかも知れない。とにかく、好きになったものはどんなに細かいものでも、きちんと伝えるようにしています。とはいえそれ以外は、やっぱり作家さんによって違いますね。細かく伝えた方が成長する人もいれば、言うことを聞きすぎて小さくまとまってしまう人もいますし。…すいません、あまり答えになっていないですね。


【質問】「作品に携わることで編集者にも作品を作る能力が蓄積されていくと思いますが、浅田さんは漫画原作者になることを考えたことはありますか?」

浅田:編集者上がりの原作者さんはたまにいらっしゃって、浦沢直樹先生を担当された長崎尚志さんが有名ですよね。ただそれは個人個人のタイプによるもので、僕自身で言えば、まったくなれる気がしましせん(笑)。僕はどちらかというと「この作家さんすごい!」と仰ぎ見て、「こうなってくれたらもっと好き!」と…あくまで売り上げが上がることが前提ですが…作品を、より応援したいと考えるタイプです。

伊藤:ゼロから1を生み出すことが好きな人もいれば、1あるものを100まで持っていくことが好きな人もいますよね。ちなみに浅田さんが作品の企画やキャラクターなど、「これは自分がゼロから考えた」というものはありますか?

浅田:ないないない!全然ないです。そういうことは一切できる気がしない。世の中にはシングルタスク向きの人間とマルチタスク向きの人間がいますが、僕は編集者にあるまじき超シングルタスクの人間です。仮に編集をしながら自分で企画を考えたら、他の仕事がガタガタになってしまいます。絶対やれないです。


【質問】「編集者には様々なタイプがいますが、どんな編集者と付き合うべきですか?」

浅田:これは正直、その作家さんのライフプランによると思います。アマチュアの世界でスケジュールを気にせず納得のいく作品を描きたい方もいれば、他の仕事をしながらSNSで作品を発表したい方もいるし、商業でバリバリ描いて何億円も稼ぎたい方もいます。その上で個人的な意見ですが、まずは作品を見せて、それを好きだと言ってくれる編集者と付き合うべきだと思います。

伊藤:好みが一緒だったり自分の持ち味を分かってくれる編集者の方が、より作品を向上できるということですね。

浅田:「あなたの作品のここが好き!」ということを、きちんと腹落ちできる言葉にしてくれたり、作品にとって有益な意見を出してくれる人がいいですね。そもそも「あれが駄目、これが駄目」とずっと言われたら、まず気持ちがもたないですし。
あとは編集部のカラーで決めるという手もあります。このコミティアの会場にも多くの編集部が出張していますが、本当に色々な雑誌がありますよね。「この編集部は自分と同じカラーだから馴染めそう」「この編集部には自分のカラーがないから、逆に重宝されるかも」とか。


【質問】「複数の編集者から意見をもらうことがありますが、皆バラバラでどれを聞けばいいのか分からないです」

浅田:編集者によって考えが違うこともあるので、誰が正しいのか分からなくなることはありますが…僕はそれは作家さんの覚悟の問題だと思っています。編集者がどんなアドバイスをしようと、受け入れるのは間違いなく作家さんです。「俺は覚悟をもってこの意見を受け入れる!」ということは、逆に言えば「だから成功しても担当編集のお陰ではなく、受け入れた自分の手柄だ」ということです。異なる意見がいくつ出ようと、自分がいいと思うものを自分の覚悟で受け入れる。そして成功したら自分の功績である…と振る舞うべきです。とはいえ「こいつの言うことも聞いておかないと、ネームが通らないんだよなぁ…」という現実的な問題もあるかも知れませんので、キレイ事寄りの意見ではあります。


■Part 3/紙とデジタル…多様化する漫画界

伊藤:今、我々がいるコミティアもそうですが、同人誌即売会やネットなど、近年は漫画を発表する場がたくさんあります。商業誌で連載するメリットとは何でしょう?…と、僕が聞くのもおかしな話ですが。

浅田:いやいや、おかしいでしょう(笑)。…えーと、僕が考える商業誌のメリットを挙げてみます。
まずは担当編集が作品作りに携わる点です。僕は作家さんのネームに意見する時、重大な責任を感じています。僕の発言で作品が変わり、作家さんの人生も変えてしまう可能性があるからです。なので作家さんの「こんな作品にしたい」という方向性があり、僕から見て「こうした方が売れるのでは」という意見もあり、両者を結んだ点を、僕たちが目指す地点とします。そこに向けて作家さんにアドバイスするのですが、その言葉はできるだけエビデンス(証拠)に基づくように心掛けたい。
僕は作品を「自分が好きなもの」「自分が嫌いなもの」と、「売れているもの」「売れていないもの」の2×2の組み合わせで見ています。「自分が好きで売れている」作品は最高!「自分は嫌いで売れていない」作品もまあ、理解できます。一番気を付けているのが「自分は好きだけれど、売れていない」作品で、こういったケースこそ客観的なエビデンスが重要です。好きなのに上手くいっていないからこそ、アンケートの順位や売り上げといった数字のデータを元に、説得力のあるアドバイスを考えないといけない。そして版元にいるから、大量のデータを持つことができます。さらに版元の編集は自分の担当作品だけでなく、色んな作品のアンケートや売上げの結果に基づいてエビデンスが蓄積されて鍛えられるので、作家さんにより有益な言葉を発することができると思います。エビデンス抜きの言葉は、感想としてはアリですけど、助言としては精度が低いと考えてます。
あと商業誌の利点として宣伝があります。SNSで個人的に宣伝されている作家さんも多いですが、世の中に気づいてもらうことは大変ですよね。出版社には宣伝部や販売部があり、その部分を請け負えます。書店さんとのキャンペーンとか、個人ではほぼ不可能なことも実現できます。あと版権管理もありますね。一つの作品が成立した際はグッズ化や映像化、デジタル展開など、より多くのリターンを作家さんにお渡しすることができます。


【質問】「今の時代、web連載と雑誌連載はどちらが良いですか?」

浅田:え~…、作家さんによるとしか(笑)。

伊藤:web雑誌の編集として言わせて頂きますと、「少年ジャンプ+」はページ数も掲載ペースも自由に調整できる点が強みですね。紙媒体だとページ数や刊行ペースが決まっているので。逆に紙媒体は掲載に制限があるからこそ作品同士の競争が激しく、その分鍛えられるという面もありますね。

浅田:これも作家さんの人生設計次第ですね。それ以外で敢えて分けるとしたら、誌面の大きさでしょうか。例えば「少年ジャンプ+」はユーザーの環境によりますが、スマホの小さい画面で読む方が多いですよね。そうなるとスマホの画角で作品が生きるネームが有利となります。逆にB5判の雑誌で最大限に魅力が出る作品もありますよね。例えば三浦建太郎先生の『ベルセルク』が最初からスマホ連載だったりしたら、あの絵がもったいないじゃないですか!

伊藤:確かに!僕らは生原稿を手にすることが多いですが、読者の目に触れるのはスマホの画面かと思うと、もったいなく感じることは多々あります。例えば『群青にサイレン』の桃栗みかん先生の生原稿って無茶苦茶綺麗なんですよ!

浅田:ああ、桃栗先生の原稿の美しさはドン引きするくらいですね。上手い作家さんのアナログ原稿は「人間はこんなにも綺麗な線を引けるのか!」と驚かされます。アナログもデジタルもそれぞれ持ち味がありますが、原画は実際に手に取ると本当にすごいんですよ!

伊藤:こればかりは担当編集だけの特権ですよね。

【『群青にサイレン』の生原稿。一つ一つの線が美しく、見る者を魅了する。】


【質問】「「りぼん」連載作品『さよならミニスカート』が「少年ジャンプ+」でも掲載されていますが、編集部間での作家や作品の横断はよくあるのですか?」

伊藤:さよならミニスカート』は「少年ジャンプ+」読者にも刺さる作品だと思うので、編集長同士や作家担当が相談して掲載することになりました。こういった横断は最近特に活発になっている印象がありますね。

浅田:僕個人の意見ですが、現在は少年漫画・少女漫画・青年漫画…といったジャンルが大分曖昧になってきた印象があります。それはデータ分析の面でも表れてきて、かつてのような年齢・性別のリサーチ以上に、web上での行動・動態(どこのリンクからきたか、他にどんなサイトを見ているか、など)を重視して、それによってサービスを考えることが主流になっています。例えば『さよならミニスカート』が好きな読者が、13歳女子も26歳男子でもそれぞれがお客さんです。今、集英社には複数のデジタル媒体がありますが、そこに集まるお客さんを分析して、それぞれに受け入れられる作品を組んでいくというのが今の流れだと思います。

伊藤:「少年ジャンプ+」編集者は「週刊少年ジャンプ」に担当を持つこともあるし、逆に「週刊少年ジャンプ」編集者が「少年ジャンプ+」に担当を持つこともあります。雑誌間の交流は、昔以上に柔軟になっていると思います。

浅田:だからといって雑誌編集部の意義がなくなったわけではなく、雑誌が一つのカラーを作っていることは間違いありません。作家さんや編集者によって「このカラーの場で連載したい」「敢えてこのカラーで逆のことをやってやる」と考えは様々ですが、雑誌で培われてきた哲学が作品を作る指針にもなっている。そういう意味では、雑誌の存在意義は今後もあり続けるのではないでしょうか。

伊藤:それでは時間となりましたので、本日の講演を終了させて頂きます。お集まり下さったみなさん、ありがとうございました!

浅田:ありがとうございました。これからも宜しくお願いします!


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【第61回】漫画歴、約40日!超バズったルーキー投稿作『ゲーミングお嬢様』の作者に迫る!!

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!

2019年12月にジャンプルーキー!に投稿された格闘ゲームを題材にしたコメディ作品『ゲーミングお嬢様』

作者は今まで漫画を描いたことすらなかったにも関わらず、ジャンプルーキー!上で690000閲覧。(2020年2月6日現在)Twitter上ではトレンド1位、フォロワー数10倍増、各メディアでインタビューを受けるほど大きな反響がありました。

そんな今話題のルーキー作家である大@naniさんへインタビューしました。

*****

――いつから漫画を描き始めたのか、また『ゲーミングお嬢様』を描こうと思った経緯を教えてください。

以前より、いわゆる女子3バカの日常ものの漫画を描きたい、という構想がありました。ですが、そもそも漫画を描いたことがない、画力もない、と二の足を踏んでいました。
自分の考えたネタが面白いかどうかもわからなかったので、とりあえずネタだけメモり続けるという日々でした。

最初のきっかけは、10月の初旬にTwitterで「身の回りの発言まとめ」というミームが流行ったことです。漫画のネタに使えそうなワードなどを逐一メモっておいたのですが、それをもとに自分でもミームを作ってみました。

大@naniさんの「身の回りの格ゲー勢の発言まとめ」

その結果、予想以上の反響を受けて、その中で好評だったネタがいわゆる「クソわよっ!!」系の格ゲーお嬢様ネタで、これはイケるなと確信しました。
やはり格ゲーは面白く、格ゲーマー達は面白い。それをそのまんま描いたら面白いだろう。と考えました。

さらにバズりたいがためにかなりのネタストックを消費した末に、「最初から漫画描けばいいのでは?」と天啓を得て描き始めたのが2019年の10月24日でした。
漫画を描くのは初めてで、何一つわかりませんでしたが、気合でネームを2日間かけて仕上げ、見るに堪えない画力ですがなんとか完成しました。
ですので、『ゲーミングお嬢様』は大体40日前後で1話目ができたことになりますね。

好評ネタ「クソわよっ!!」


――『ゲーミングお嬢様』を投稿してからの反響はいかがですか?大きな変化などあれば教えて下さい。

突然Twitterのトレンド1位になって、いくつかのメディア様からインタビューを受けることになりました。そこから、いくつかの出版社様から連載についてのお話を頂くことになりました。
あまりにも想定外の出来事が続いたもので、スマブラにリュウが突然参戦したときぐらいの驚きと喜びがありました。
Twitterのフォロワー様も10倍以上に増えて、「下手な発言ができない!」とプレッシャーを感じているところです。

一番嬉しかったことは、多くのプロゲーマーの方や、創作に関わる人たちと知り合いになれたことです。
憧れのプロゲーマーの人に作品を見てもらえた、知り合いになれた、というだけで「描いてよかった!!」と心の底から思っております。

『ゲーミングお嬢様』はプロシーンでの印象深いシーンなどを多くネタに使っています。もちろん、私もリスペクトを込めて描いているつもりではあります。
ですが、もちろんプロゲーマーの方々が不快に思うようであれば、決して使えません。そこで、好意的な判断をしてもらえた、というのは安心できましたし、これ以上無いほどの喜びでした。
それと同時に基本的には、格ゲーに限らず、様々なゲームジャンルを楽しむ人々が思わず笑ってしまうような「ゲーミングあるあるネタ」を主軸に描いています。今後はゲームを知らない人でも勢いで笑ってしまうような作品にしたいと思っています。

――これから漫画を描く人、ジャンプルーキー!に投稿しようと考えてる人へ

『ゲーミングお嬢様』はこのような「お排泄物画力」でもルーキー賞を受賞し、少年ジャンプ+への掲載を勝ち取ることが出来ました。
私は絵を描きはじめて1年、漫画に至っては初めて描いたものです。
つまり、画力に関わらず、面白いものを描けば評価される、ということを身を以て証明できたと思います。自らの大好きなものを、面白いと思うものを、思うがままに描けば、それはきっと面白いものになります。
とにかく描いて、作り出してみること。熱意のある作品は、熱意のある人々に、必ず伝わるものと信じています。

*****

ジャンプルーキー!は漫画を描いたことがない初心者でも大歓迎!!
引き続き、熱意ある作品のご投稿をお待ちしております。


『ゲーミングお嬢様』がブロンズルーキー賞を受賞した、2019年12月期 月間ルーキー賞発表はコチラ
月間ルーキー賞とは

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【第60回】『先輩がうざい後輩の話』著者しろまんた先生特別インタビュー!短いページでもマンガを魅力的にする極意!!

皆様、こんにちは。ジャンプ+編集部のSです。

突然ですが、まずは現在募集しているマンガ賞『週刊少年ジャンプに絶対載る!Twitterラブコメマンガ賞』をご紹介!

史上初!Twitterから応募して「週刊少年ジャンプ」掲載確約の大賞を必ず1本選出する、前代未聞のマンガ賞!
過去のSNS投稿作品もご応募可能!皆様の投稿お待ちしています!


ということで前フリが長くなりましたが、今回の編集部ブログは、

『週刊少年ジャンプに絶対載る!Twitterラブコメマンガ賞』にて特別審査員を務めていただいている
Twitterマンガで大人気!フォロワー数76万越え!
『先輩がうざい後輩の話』の著者・しろまんた先生特別インタビュー!!


―――まずは、しろまんた先生が思う短いページ数でのマンガの良いところ、難しいところをお教えください。
短いマンガの良いところは、通勤時間やお昼休み、学校の授業の間などで軽く読めるので読むのにとっつきやすく、ストーリーも大体が凝縮されて分かりやすいものになっているので普段マンガを読まない、時間が無くて読めない方々にも優しいマンガだと思います。
続いて難しいところは、一見すると長尺のマンガより簡単そうに見える短いマンガですが、思いついた話を短いページに落とし込む必要があるので、無駄なセリフを省いたり、セリフが多くなって駆け足気味になると会話に違和感が生まれたりと、挑戦される方の中には苦戦される方もいらっしゃると思います。

―――短いページ数のマンガを作成するにあたって、注意している点はどんなところですか?
なるべくセリフが野暮ったくならないように文字数や言葉の選択などに気を使っています。
極端な例ですが、友達などをラーメンに誘う台詞などで「ラーメンを食べに行こうよ」だと少し言葉の滑りが悪く感じるので「ラーメン食い行こうよ」と言った感じに1度自分で声に出してみて、関係性に沿った自然な会話になるように気をつけています。

―――短いページ数の中でキャラクターを魅力的に見せる工夫などありますか?
表情にはかなり気を使っていて(描くのが楽しいのが一番の理由なのですが)セリフが多くない分、表情を見て読者側が「今こういう気持ちなんだろうな」とか「かわいいな」「かっこいいな」と思っていただけることを目標に描いています。

―――今回の募集ジャンルでもあります「ラブコメ」を描く上で大切にしている点などありますか?
僕自身、皆が幸せなお話が大好きなので落ち込んだ終わり方はあまりしないよう心掛けています。
描く側の僕がそうなんですが、読んでる側の方々も同様だと勝手に考えていて、応援してるキャラが幸せだと幸せな気持ちになっていただけると思うんです。
スパイスとして少し切なかったり悲しいお話も大切ですが、ずっと辛いラブコメを僕はあまり読むのが得意ではないので、自分が好きなものを精一杯描くよう努力しています。

―――では最後に、応募を考えている投稿者へメッセージをお願いします!
今回このような大役に推薦して頂き、本当に嬉しいです
投稿を考えられていらっしゃる方や、悩んでいらっしゃる方、または自分で呟くからいいと思われている方、様々かと思います。
ですが、4ページマンガは露出してなんぼだと思うのでTwitterだけにとどまらずこういう機会を逃す手は無いと思います!
可愛いラブコメや切ないラブコメ、またまた意外なラブコメ等楽しみにさせていただいております。

―――しろまんた先生ありがとうございました!


しろまんた先生が描く『先輩がうざい後輩の話』(一迅社)

購入はコチラ


君もしろまんた先生のアドバイスを参考にTwitterに投稿して今すぐ応募しよう!そして週刊少年ジャンプ掲載を決めよう!!

『週刊少年ジャンプに絶対載る!Twitterラブコメマンガ賞』は、2020年1月31日(23:59)まで応募できます。

投稿方法は超簡単!
① Twitter「ジャンプルーキー!」のアカウントをフォロー
② 「ジャンプルーキー!」のアカウントからのDMが受け取れるように設定
③ Twitterの1ツイート内に、原稿画像(4ページ以内)を載せ、作品タイトルとハッシュタグ #少年ジャンプに絶対載るラブコメマンガ賞 を付けて投稿

皆様の力作お待ちしています!!

『ジャンプルーキー!Presents 週刊少年ジャンプに絶対載る!Twitterラブコメマンガ賞』の詳細はコチラ↓


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