【第114回】少年ジャンプ+副編集長・中路が選ぶ、創作に役立つジャンプ+傑作読切3選

少年ジャンプ+副編集長の中路です。

新しい才能を発掘し、これまでに無かった作品を世に出すことが媒体としての使命と考え、ジャンプ+は創刊以来沢山の読切を掲載してきました。

他の人が描いたアイデアの集積である読切は、これから連載や読切掲載を目指す志望者の方にとって、これ以上ない良い教材です。

とはいえ、ジャンプ+で読める読切はあまりに量が多く、何を読んだらいいのか選ぶのに迷ってしまいそうです。

シンプルにランキングの上から順番に読んでいくのでも良いですし、サムネイルやタイトルで気になった作品を読んでみるのも良いと思います。
※その場合、サムネイルやタイトルにすでに読者が興味を持つためのアイデアが入っているので、なぜ気になったのか考えてみるのも良い思考の訓練になります。

今回のブログでは、多くの選択肢の中から選ぶ際の1つのヒントとして、沢山の方に読まれた名作読切の要素を分解し、その切り口から見たおすすめ作品を3つ紹介していきます。

私自身、これまで編集者として漫画家さんと一緒にたくさんの読切を世に出し、またジャンプ+に入ってからは副編集長として掲載可否の判断のため、スタッフから回ってきた読切を読んでは読者の反応をずっと見てきました。
そうした経験を重ねていくうちに、多くの方に読まれる読切にはいくつかの要素があることがわかってきました。

A・読みやすい
B・感情を揺さぶられる
C・作者の嗜好が強く反映されている
D・驚かせる仕掛けがある
E・共感性が高い
F・キャラクターが良い
G・印象的なセリフがある
H・印象的な演出がある
I・導入の数ページで印象に残る場面がある
J・ポジティブな印象を残す
K・見せたいアイデアの焦点が絞られている
L・興味を惹く舞台設定

などが挙げられます。

話題になる読切は、上記の要素のどれかを強く持っているか、複数持ち合わせています。
では実際にどのような作品があるのか、具体的におすすめの読切を紹介していきます。

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『骸区』鈴木祐斗先生
少年ジャンプ+で読む

現在、週刊少年ジャンプで『SAKAMOTO DAYS』を描かれている、鈴木先生のアクション読切です。
治安の悪い環境、視点役の切羽詰まった状況、そんな中ガラの悪いチンピラに絡まれる老人が見せる意外な行動…と、導入から一気に作中世界に引き込まれます。
また、ラスト付近のどんでん返しの仕掛けも、作品を強烈に印象づけています。
前述の ADHIK といった要素が強いですね。
他にも限りなく余計な要素を省いて、31Pという短いページ数にまとめている、抑制的な構成能力の高さも素晴らしいです。
同じ鈴木先生の『ロッカールーム』も、驚かせる仕掛けのある素晴らしい読切なので、未読の方はぜひどちらも読んでみてください。


『ヒトナー』屋宜知宏先生
少年ジャンプ+で読む

最近、大きな話題になったので、読んだ方も多いと思います。
獣人の世界に宇宙の遥か彼方から人間がやってきて、獣人たちが人間を知るうちに、次第に獣人世界に不穏な空気が広がっていきます。
ここからどうなるんだろうと思わせてくれる舞台設定、理性を保とうとしても猫としての本能に抗えない愛くるしいキャラクターに、強く心を惹かれます。
前述の要素としては、 ACFJKL でしょうか。
また、高い人間の能力を読者は最初から知っているけれども、作中のキャラクターたちは気づいていないという状況設定も、そこから美味しい展開が作りやすい優れた設定です。
同様の状況設定は多くの作品で取り入れられています。


『静と弁慶』三木有先生
少年ジャンプ+で読む

薙刀という題材で、青春期の男女の別離と成長を描いた作品です。
淡々と進む展開の中で、これまで普通にあった二人の関係が決定的な別れを迎えるまでを描いています。
徐々に高まっていく感情と決定的な別れの場面、そしてそれを一筋細い糸で繋ぎ止めるために見せた勇気。
練り上げられたセリフの一つ一つが対応する場面と相まって、大きく感情を揺さぶる効果を発揮しています。
成長を描いたラストシーンの効果で、ポジティブな読後感も増しています。
主な要素は、 ABEGHJ といったところかと思います。
ジャンプ系だからといって派手な題材である必要はなく、描き方次第で多くの読者を獲得できることを示した作品だと思います。

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以上になります。
参考までに他のおすすめ読切も挙げておきます。
ほとんどが無料で読めるので、ぜひご一読ください。


 
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