皆さんこんにちは。「ジャンプルーキー!」をご利用いただきありがとうございます。少年ジャンプ+編集部のS浦です。
突然ですが、「少年ジャンプ+」ではユーザーの方々からいろいろなデータを取得し、マンガ作りに活用していることをご存知でしょうか?この度「少年ジャンプ+」のデータ管理担当のKさんにお話を伺ってみたところ、新人作家の方々に役立ててほしい情報をたっぷりと入手することができました!
S浦:本日は快くインタビューを引き受けていただきありがとうございます! では早速、Kさんは実際にどのようなデータを収集・管理されているのでしょうか?
Kさん:アプリ内のユーザーの行動は一つ一つデータとして収集・管理しています。特にマンガを読むページは情報量が多く、1ページごとの閲覧数はもちろん、ユーザーが途中で読むのをやめてしまった場合は何ページ目で離脱したのかというデータも取っています。
また、1ページごとに開いた時刻も収集していますので、1ページ読むのにかかった時間も算出し、管理しています。なので、ジャンプ+の作品は基本的に1ページ毎の閲覧数と閲覧時間の二つの軸で収集が行われています。S浦:ユーザーが読むのをやめてしまうというのは新人作家の方々にとってはかなりショッキングな事実だと思うのですが、どのくらいのユーザーの方が離脱されるのでしょうか?
Kさん:作品閲覧を促すアプリ内広告や誤タップによって意図せずビューアを開いてしまうユーザー、サムネイルが気に入ってビューアを開いたが1ページ目の雰囲気が好みでなく離脱するユーザーなどがいるため、ほとんどの読切作品では2~3割のユーザーは1ページ目で離脱しています。
その後、大体のユーザーは最初の3~5ページ、長くても10ページ前後で読むかどうかを判断している傾向にあります。
ページが進むにつれて読者は減りにくくなっていき、前のページの読者の99.8%以上が次のページを読んでいるような状態になると読者が定着したと感じられます。
そのため、マンガにおける“掴み”の強さとは、99.8%という数字にどれだけ早く近づけるか、にかかってきます。あまり掴みが強くない作品だとここまでに20ページくらいかかってしまうことがあり、その間に読者はどんどん離脱していってしまっているため、もったいないなと感じています。
S浦:なるほど、では実際に読者維持率が99.8%に達するまでに時間がかかった作品に共通する要素などはありますか?
Kさん:そうですね、まずは文字量が多いことだと思います。
「少年ジャンプ+」を利用されているユーザーは大半がスマートフォンでマンガを読んでいるので、画面が小さいことが前提としてあります。そのため、文字量が多いとその文字を詰め込むために文字のサイズも小さくなってしまい、離脱ポイントになりやすいです。
S浦:新人作家の方だと具体的にどのくらいを目指せばよいのかわからない方もいると思うので、目安の数字を教えていただけますか?
Kさん:もちろん基本的に少なければ少ないほど良いのですが、1ページあたり100文字未満だとかなりスマホでも見やすい画面になると思います。
また、特に序盤はユーザーが作品に没入していないので、セリフ量は減らした方が良いと思います。どうしても文字量が多いページは出来るだけユーザーが作品に没入した後に出す必要があるでしょう。
また、読者に負担のかかるページは連続してしまうと読者維持率が大きく減少するきっかけになってしまいます。負担のかかるページは連続しないように心がけることは重要だと思います。
S浦:なるほど、では反対に読みやすさが数字として表れていた作品はありますか?
Kさん:「少年ジャンプ+」で『マリッジトキシン』が連載されている、静脈先生と依田瑞稀先生の読切『ハイパーハードスペシャルミッション』でしょうか。
文字数も少なく、6ページ目には読者維持率が99.8%に到達し、8ページ以降99.8%を下回ることはありませんでした。序盤の引きがとても上手い方だと思います。
物語後半では閲覧時間が10秒を超えるページもありましたが、そのページでも読者維持率が99.9%を下回ることはありませんでした。ユーザーが作品にしっかり没入してくれた証拠だと思います。
S浦:なるほど、確かに読者をがっちり確保できていますね。掴みの強さが重要だと良く分かりました。それでは最後に、新人作家の皆さまに向けて一言お願いします。
Kさん:「少年ジャンプ+」ではこのようにたくさんのデータを取っていて、編集者の方と一緒に作品作りしていく中で一つの手助けとして利用出来ますので、是非とも「少年ジャンプ+」に読切を載せていただき、自分の作品がどのように読まれているか気付きを得て今後の作品作りに生かしていただければ嬉しいです。
Kさん、ありがとうございました! 今回はあくまで閲覧数や読者維持率、閲覧時間などの数字的一面に焦点を当てた制作論になりますので、マンガを面白くする選択肢の一つとして役立ててもらえればと思います!
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