【第107回】「2.5次元の誘惑」橋本悠先生にインタビュー!プロとしてこだわるキャラクターデザインのポイントとは?

皆さんこんにちは。「ジャンプルーキー!」をご利用いただきありがとうございます。少年ジャンプ+編集部のS浦です。

マンガにおいて重要なものは「ストーリー」「セリフ」「演出」など数えたらキリがないですが、ぜひ意識してみて欲しいのはキャラクターデザイン!! かっこいいキャラ、可愛いキャラはマンガを読むうえでとても重要です。
今回は2024年にアニメ放送も決まっており、たくさんの魅力的なキャラクター、そして目に映えるコスプレ衣装が目白押しの「2.5次元の誘惑」橋本悠先生にインタビューしました!

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――キャラクターデザインについて、気を遣っていること、こだわっていることは何ですか?

ありきたりな回答になりますが、シルエットの差や記号的パーツを用いてキャラを見分けやすくすることです。

まず、なぜ「見分けやすくする」ことがそんなに大事なのか。
漫画はストーリーがメインで、読者はセリフを通じてストーリーを追っていきます。
そこでセリフを「誰が」発しているか、瞬時に判断できないとストーリーを追うのがかなりのストレスになるからです。
読者は余計なストレスをとても嫌います。
約束されたカタルシスの前フリとしてのストレス(後で徹底的にやっつけるための嫌なキャラの登場など)は上手くやれば我慢してくれることもありますが、「な~んか読みづらいな」というタイプのストレスは「切られる」原因になりやすく、プロの漫画家としては避けたいところです。

実は4人のキャラが会話しているページだが、それぞれのキャラが簡単に見分けられるのでストレスなく読むことができる!

次にどうデザインするかですが、「にごリリ」は現代が舞台で、リアリティをある程度重視する作風なので、あまり突飛なシルエットやパーツは利用できません。
そのため主に髪型や体型のシルエットに差をつけたり、前髪や目の形をある程度記号的に表現する、などで差別化を図ることになります。

「シルエットに差をつける」というコツは誰にでも納得しやすいかと思いますが、例えば「目の形を記号的に表現する」というのは少し難しい話かもしれません。
例えば作者の心の中で「このキャラはちょっとツリ目、この子は丸い目」と思って描いていても、意外と読者には伝わっていなかったりします。
これをより分かりやすくするには、例えば「目尻のマツゲをひと際長く伸ばす」とか「下睫毛のハジっこを尖らせる」とか「ジト目」と記号的に認識できるように上まぶたを直線的にデザインするとか、絵ではなく「記号」で表現するのも一つの手です。

泣きボクロとかヘアバンドとか傷とか、そのキャラ唯一無二のパーツがつけられれば一番分かりやすいのですが、目や前髪の形の中にもそういった記号表現が可能なので試してみてください。

ちなみに「にごリリ」における各キャラの体型の細かい描き分けは特にシルエットの差別化を意識したものではなく、「単なるフェチズム、こだわり」に該当するものですが、そういった「このキャラではこれを表現しよう」という拘りも差別化に繋がります。
「にごリリ」の例では まり姉ではふっくらした女性の柔らかさを表現をしたい、とか、美花莉では華奢な女の子の可愛らしさを表現したい、とか、リリサは主人公なので皆の中心となるバランスのいい表現にしようとか、各キャラに表現コンセプト(デザインコンセプトとは別)があります。

衣装だけでなく、キャラの体型にも注目!

――「2.5次元の誘惑」では、魅力的なキャラクターや多様なコスプレ衣装が出てきますが、キャラクターのデザインとコスプレ衣装のデザインで、それぞれ注意しているポイントなどは異なるのでしょうか?

作品の中核として「現実に生きている人間がコスプレによって2次元のキャラに近づく」という表現テーマがあるので、なるべくコスプレ前の服はリアルっぽく描くようにしていて、制服や私服、インナーなど、漫画的表現になりすぎないよう気を付けています。
漫画なので、コスプレの服は勝手に漫画っぽくなるのですが、コスプレも現実の服には違いないので、物理的に不可能な挙動はさせない、とか、現実的に不可能なデザインは出さないようにしています。
基本的に登場するコスプレ衣装は、どういう素材でどう縫ってるとか、一応設定はしてあります。(そこは漫画的に無視することもありますが)

――「2.5次元の誘惑」の中で一番デザインがお気に入りのキャラクターは誰ですか?

基本的にキャラクターデザインが得意というわけではないのですが、強いて言えば「リリエル」は会心のデザインだなと思っています。
コンセプトがわかりやすくて見どころがあるし、可愛いし(ツインテールだし)、ゴチャゴチャせずシンプルなのに一目でリリエルだと分かります。
本当に手前味噌でお恥ずかしいのですが、リリエルはある程度「いい」デザインと言えるのではと思っています。

他のキャラはリリエルからの派生や差別化で作っていけるので、連載前、最初にリリエルを描けたことが、天からの贈り物だったなと思います。

リリエルの初登場シーン!「2.5次元の誘惑」はここから始まった!!

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ありがとうございました!
ぜひ、見分けやすいキャラクターを考えてみる、それぞれのキャラで何を表現したいか決めてみるなど、ぜひ皆さんも試してみていただけると嬉しいです!


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