こんにちは!
いきなりですが、最近 “小説” を読んでいますか?
新人さんは勉強のためにマンガはかなり読んでいる印象ですが、
小説を読んでいる方は少ない気がします。
確かにマンガと違う面も多いですが、実は参考になることが多いんですよ!
そこで、今回は小説を読む習慣がないという新人さんに
小説から得られる面白いマンガづくりのヒントをご紹介していきたいと思います。
さて、どんな小説を読めば良いかですが、正直どんな作品でもOKです!
とはいっても、そう言われると選べないという方には
“過去1年間に発売された色々なジャンルの面白い作品を読める”
『本屋大賞 ノミネート作品』をオススメします!
本屋大賞は「売場からベストセラーをつくる!」をコンセプトした賞で、
審査は全て全国の書店員さんの投票で行われます。
本に詳しい書店員さんたちが「面白い」「読んでほしい」と思う作品を選ぶので、
ノミネートした10作品には選ばれる何かがあるんですよね。
それでは早速、今年のノミネート作品を例に
小説から学べるマンガづくりのポイントを見ていきましょう!
テーマと題材選びの工夫
新しい作品を描くとき、使いたい題材が他の作品でも使われてきたものであることは多いと思います。その時に、題材を他の人と同じように描いてしまうと作品に新鮮さが欠けてしまいます。
そんなとき、他作品との差別化を計る方法として「題材を描く視点を変える」を試してみてください。例えば、サッカーを題材にしたとき「選手」の視点で描くのではなく、「監督」や「マネージャー」「サポーター」などを視点にしてみると、サッカーを新しい形で描くことができます。
「川のほとりに立つ者は」(寺地はるな/双葉社)では題材を変わった視点から描き、そうしなければ見せられない部分を見せています。こういった工夫があると他作品と同じ題材でも十分新鮮に見せることができます。
また、題材の切り口を変えるのも重要です。「君のクイズ」(小川哲/朝日新聞出版)は「クイズ」、「ラブカは静かに弓を持つ」(安壇美緒/集英社)では「音楽」が題材になります。こういった題材を描く時には「才能と努力」や「題材そのものの面白さ」などに焦点を当てて作品を描きたくなりますが、この2作品はそこから少し距離を置き、それぞれの題材とあるものを掛け合わせて新鮮さを生みました。
ではどうすればそういった発想が出るのか、といった時にまず試して欲しいのが題材について深く調べることです。両作品とも参考文献が多いことが特徴的でした。最近興味のある題材について、まずは深く調べてみると作品づくりのヒントが見つかるかも知れません。
題材やモチーフの組み合わせが良いと作品のテーマが読者に伝わりやすくなります。例えば、「月の立つ林で」(青山美智子/ポプラ社)では、いる場所が違えど見えるものは同時「月」と、どこにいても同じ内容を聴くことができる「ポッドキャスト」の組み合わせで、人と人との繋がりを描きました。月は昔からよく作品に用いられますが、ポッドキャストは現代だからこそ選べた題材だと思います。自分が描きたいテーマに合い、且つ新鮮な読み味を出していけるように、世の中の様々なものに興味を持ち、題材の選択肢を広げてみましょう。
展開の爽快感
意外な展開でありつつも、期待外れでないラストは読後に爽快感を得ることができます。そういった展開づくりはまとめ上げるのがかなり難しいのですが、「#真相をお話しします」(結城真一郎/新潮社)、「方舟」(夕木春央/講談社)では鮮やかな裏切りを見ることができました。少し異なる裏切り方をしていますが、どちらも十分爽快感を得られます。こういった体験を読者に届けるには、緻密な構成を丁寧な状況描写で描き、読者のために一番良い視点を用意する必要があります。こういった作品を読み、読者への仕掛け方を勉強してみると、自分でも読者を驚かせられる展開が描けるようになるかもしれません。
キャラクターの見せ方
答えのないテーマを描く時、結末を決めるのが難しいことはないでしょうか。そんな時、キャラクターに結末の説得力を上げてもらえることがあります。
「汝、星のごとく」(凪良ゆう/講談社)、「光のとこにいてね」(一穂ミチ/文藝春秋)では、答えを出すのが難しいテーマを描いていましたが、読後にモヤモヤはなく、素直に感動を得られました。これは「キャラクターにとっての結末」という見せ方ができていたからだと思います。結末までのエピソードを通して、キャラクターがどんな経験をして、何を考えて来たのかが分かると、選んだ道に納得しやすいです。どの作品でも当てはまるような正解ではなく、この作品・このキャラクターだからこそ納得がいく正解であればあるほど、印象的な作品になるのではないでしょうか。
自分とは全く違うタイプなのに、深く共感できるキャラクターと出会ったことはありませんか?「宙ごはん」(町田そのこ/小学館)ではそんな体験ができました。表面的には違うように見えるけれど、抱えているものや考え方に共感ができたからだと思います。そういった繊細な感情描写はマンガにも通ずる部分があり、文字だけでそれを表現する小説は感情描写、キャラクターの表現方法の教科書のようなものです。色々なパターンを頭の引き出しにストックしておけば、マンガの絵を描くときに「何を見せれば、何が表現できるのか」がスムーズに導き出せるようになるかもしれません。案外、感覚ではなく言語化して始めて使いこなせることが多いので、そういった意味でも小説は良い教科書だと思います。
深く共感できるキャラクターの逆で、異質なキャラクターも作品の魅力を高めることがあります。「爆弾」(呉勝浩/講談社)ではミステリー要素の面白さに加え、魅力的なヒール役がいました。嫌な言い回し、動作などを言葉で見せてもらえるので、マンガからでは上手く言語化して整理しにくい、変わったキャラ作りのポイントを確認することができるかもしれません。
以上、10作品からマンガづくりに活かせるポイントの例を紹介しました!
本当はもっと語りたいところなのですが、今日のところはここまでとします。
今回は小説を紹介しましたが、世の中には様々なコンテンツがあります。
ぜひ、貪欲な気持ちで色々なことを吸収した上で素敵な作品を作ってください!
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