【第13回】ファイアパンチ担当編集インタビュー

今回のルーキーブログは、少しルーキーから離れてしまいますが、ジャンプ+本誌で4月に連載が開始され、その鮮烈な内容から大きな話題となった作品『ファイアパンチ』。

再生能力を持つ少年アグニを待ち受ける非情な運命を描く、衝戟のダークファンタジー。コミックス1巻、7月4日発売!

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恐らくルーキー投稿者の皆さんの多くも、既に読まれたのではないでしょうか?
作者の藤本タツキ先生は、『ファイアパンチ』が初めての連載になります。いかにして藤本先生は新人時代を経て連載に至ったのか?そこら辺の裏事情(?)を担当編集に聞いてみました。話題作を描いてデビューを飾りたい!そんな野望を持つ皆さんの参考になれば幸いです。

藤本先生による、担当編集Lの似顔絵(?)

――藤本先生との出会いは?

担当L:約5年前に、藤本先生が「ジャンプSQ.」に投稿した作品を拝見し、担当になりました。その作品は、その月の賞で最終候補止まりで、賞は受賞できなかったんですが。

――何か、光るものを感じた?

担当L:多くの新人作家さんが、今までの漫画…特に既存の作家の発表済の読切作品などを参考にして、いい意味で整った、悪い意味でテンプレに則った作品を描く場合が多いと感じています。藤本先生はそれと全く逆で、作品の内容は全く整っていなかったのですが、とにかく「これが描きたい!」という強い情熱が画面から溢れんばかりでしたね。

――藤本先生の新人時代のエピソードを教えてください。

担当L:先ほどの投稿作と一緒で、とにかく描きたい事が山のようにある!という印象が強いです。1週間に2~3作、多いときはそれこそ毎日、新しいネームを描いて見せてくるような作家さんでした。そのほとんどが、物語として形にはなっておらず、ボツになり…しましたが (笑)。でもボツになっても、藤本先生は全くめげない。すぐに次の作品に取り掛かり、ネームにしてくる。
一度藤本先生が日々ボツを重ねている時に、会って打合せがしたいと思い、一泊で上京してきてもらった時がありまして。
久々に直接会った時に、「連載が終了しました。」と言ってきたんです。何事かと思って聞くと、藤本先生は普段から5本くらいの作品を“頭の中だけで”連載しているんだと。その内の一本が、大体コミックス15巻くらいの量で完結をしたんだそう
で。
「不思議なことを言う新人作家だな」というのがその時は思いましたが(笑)、とにかく藤本先生は描きたいという情熱に溢れていましたね。それが、『ファイアパンチ』にも繋がっていると思います。

――『ファイアパンチ』が1話目から大きな話題を浚った心境は?

担当L:もちろん作品が「面白い」という自信はありましたが、本当に想像以上の反響でしたね。藤本先生は初めての連載なので、徐々に成長をしていって欲しいと思っていたのですが、これは最初からギア全開で劇的な成長目指して頑張ってもらわなくてはなと。
よく、1話目の過激な表現について言われるのですが、そんなに「過激さでお客を釣ること」を狙ったつもりは無いんです。藤本先生の描きたい事を突き詰めていったら、自然にあの形になったので。

――藤本先生や『ファイアパンチ』を通して、何かルーキー投稿者にメッセージを。

担当L:ルーキーは、雑誌の新人賞に比べ、型破りな作品が多いと思います。それは素晴らしいと思うのですが、表面的な表現・奇抜さだけではなく、その裏にある、読者に伝えたいメッセージみたいなものを感じたいですね。また、藤本先生もそうだったのですが、物語やキャラの「型を知る」事も大事だと思います。でないとエンタテインメント作品になっていかないと思うので。ただそれは後々編集と打合せを重ねながら覚えていく事もできますから、とにかく情熱に溢れる作品を期待します。

以上です。型破りな作品で読者の話題を浚い、是非次の『ファイアパンチ』を目指してください!

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