【第121回】若手編集者に聞く! 先が気になる「第1話冒頭5ページ!」

いつも「ジャンプルーキー!」へ投稿いただきありがとうございます。

今回の編集部ブログでは、『先が気になる「1話冒頭5ページ」!』というテーマで、少年ジャンプ+編集部の若手編集者5人に聞いてみました。

どんなジャンルの漫画でも、一番重要と言っても過言ではない冒頭の入り方。読者は最初の数ページでその作品を読むか読まないかを判断しています。せっかく面白い展開が描けても、冒頭が分かりにくかったり、フックになるものがないと、読者はそこで離脱してしまいます。
今回挙げた作品の1話は、全てジャンプ+で無料で読めます。ぜひ漫画づくりの参考にしてみてください。

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● 編集S.R.『ゲーミングお嬢様』
「主人公のキャラクター性」「このマンガの楽しみ方」が冒頭5ページで分かるのが巧みです。
3ページまでで世界観の提示。4ページ1コマ目でひと笑い取りつつ、主人公がどういうキャラクターなのかが描かれます。ここまでで「こういうマンガなんだ」と理解させられるので、5ページ以降のノリに付いていくことができます。そもそも金髪コテコテお嬢様が暴言を吐く絵自体が面白いです。
見たことのないオノマトペに聞いたことない専門用語、可読性は低いはずなのに、スイスイと読めてしまいます。素晴らしい冒頭5ページだと思います。

第1話を読む


● 編集T.M.『地獄楽』
1p目冒頭、「打ち首」の難しさを説明するところから始まり、2p目で、首が切られるはずの主人公が、無傷であるシーンを出すことで、主人公の強さを示しつつ、そんな彼がなぜ打ち首になっているのか?と先を読ませるフックとなっています。
その段階で扉(3p目)が入り、4~5p目で主人公のモノローグが入り、どのような状況に置かれているかが説明されていきます。
このセリフ回し、主人公の格好良さ、『地獄楽』という作品の面白さが詰まっています。

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● 編集T.K.『株式会社マジルミエ』
冒頭のセリフ、および扉絵に注目していただきたいと思います。まずセリフについて、一般的にファンタジーの要素という印象が強い「魔法少女」という単語を「立派な一つの職業だ」と言い切ることによって、端的に「魔法少女×お仕事モノ」というこの企画の異質さを伝えている点が秀逸だと思っています。また扉絵について、「魔法少女」というテーマながら就活生の装いをしている主人公・桜木カナの立ち絵が大きく描かれている点にも、企画の異質さが強く表れています。「『魔法少女』と『お仕事モノ』という馴染みのあるモチーフ同士を組み合わせて、異質さを作っている」というのがこの作品の強みの一つですが、元々の企画さえ立っていれば多くの説明を入れずとも、シンプルな仕掛けで読者を引き込めるのだと感じる冒頭です。

第1話を読む


● 編集I.T.『暗殺教室』
馴染みの深い朝の教室の風景に、全く既視感のない生物、状況に相反する大量の銃器…と、多くの読者が共感できる「日常」から、違和感に興味を惹かれる「非日常」への移行がコンパクトかつ鮮やかに行われる、素晴らしい冒頭だと思います。文字情報と画面でギャップを作っていたり、動きのあるシーンを見開きで派手に見せたりと、「その先を読みたい」と思わせる漫画的な工夫がたくさん見受けられます。4pまでで醸成された緊張感が5p目でコメディ風味に緩和される部分も楽しいです。この作品の面白さを端的に見せるという意味でも、『暗殺教室』の冒頭として一種の完成形なんじゃないかと思います。

第1話を読む


● 編集S.K.『シバつき物件』
『シバつき物件』の冒頭5ページがすごいです。「ホラー音痴の高校生が家賃4800円の1LDKに引っ越すことになり、どんな“ワケあり物件”なんだろう…と思いきや、柴犬の地縛霊が憑いていた」という作品の主旨を4ページで過不足なく伝えつつ、5ページ目でワンテンポ置くことでその先の展開に入りやすいリズムが作られています。画面構成についても、氷とむうの初登場は、キャラ像を象徴する表情を大ゴマで見せることで、序盤からキャラを読者に確実に印象付ける設計になっていたりと、先を読ませるための工夫と技の詰まった珠玉の冒頭5ページだと思います!

第1話を読む

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いかがでしたか?

様々な回答が集まりましたが、どの作品にも共通して、「先が気になる仕掛け」があったかと思います。
今回集まった作品のほかにも、1話目の冒頭は、沢山の工夫がなされています。
ぜひ、「つかみ」を意識しながら作品を作ってみてください。より多くの読者に読まれる作品になるかと思います。

少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。



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