【第119回】大好評の新連載『シバつき物件』大森えす先生に聞く!可愛い動物の描き方

2023年7月、ジャンプ+にて同名読切が公開されると瞬く間にSNSでトレンド入り。閲覧数130万&コメント数6000件超(2024年8月現在)と話題をかっさらった『シバつき物件』が、今年6月、ついに連載としてカムバック!

最新話が更新されるたびに“尊い” “かわいい” “癒される”と、沼にハマる読者が急増中の本作。
『シバつき物件』以前にも、『たぬきとたまき』『人間テスト』など、動物のキャラクターが登場する作品を発表しては、その可愛さで読者を骨抜きにしてきたジャンプルーキー!出身作家の大森えす先生に、「可愛い動物の描き方」をテーマにインタビューを敢行しました!

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――連載開始おめでとうございます! 毎話「可愛い」という反響がすごいですね!

ありがとうございます! とても嬉しいです!

――大森先生の描く動物たちの生き生きとした可愛さに、かなりの動物愛を感じます。

最近よくそういっていただきますが、自分が特別に動物好きだとは自覚していませんでした。大半の人は、動物が好きだろうと思っていたので…(笑)
ただ今回インタビューのお話をいただいて、これまでの人生を振り返ってみると、たしかに幼少期から、絵本やアニメなど動物ものばかり好んで触れていたことに気がつきました。

――動物ものを「観る」から「自分で描く」に変わったのはなぜでしょうか?

最初期に遡ると、幼稚園時代に動物のキャラクターが出てくる絵本を模写し始めたのが始まりだったと思います。
自作の動物キャラクターを絵本の中に勝手に描き加えたり、最終ページの先にオリジナルストーリーを付け足したりして注意されていた記憶があるので、動物ものの創作のきっかけは絵本なのかもしれません。
その後、小学生の頃には、オオカミやトラなどかっこいい動物に憧れ、動物図鑑の模写をするようになりました。よく考えると、動物図鑑って超リアルな動物画集なんですよね…。
図鑑の模写をしていたのが、自分の動物の絵の基盤になっているのかもしれません。

――『シバつき物件』には「柴犬っぽさがリアル」という声がよく届いていますね。

(第6話 8p/第7話 22p)

7歳の時から柴犬と暮らしていたので、そのおかげだと思います。
幼い頃から愛犬を日々たくさんスケッチしていましたし、小学校の自由研究で行動観察レポートを書くぐらい本当に大好きでした。

――「柴犬のここが可愛い!」というシーンが大森先生の中にたくさん蓄積されているんですね。

(第5話 18p)

そうですね。でも、自分が感じる可愛さをなかなか絵では表現しきれないので、いつも四苦八苦しています。

――模写だけでは到達できない何かがあったということでしょうか。

はい。何度スケッチして模写が上手くなっていっても、全然目の前にいる犬のようには可愛くならなくて…。
「写真を撮ってトレースすれば本物と同じぐらい可愛く描けるはずだ!」と試してみたものの、それでも可愛くならず…。
「どうしてもこの可愛さを再現したい…!」と、試行錯誤する中でたどり着いたのが「デフォルメ」なんだと思います。
例えばですが、「後ろ足ふんばってるかんじが可愛いのに、伝わらない…」と思ったら、実際よりも足を広げて誇張するように描いたり、「ほっぺのここがぷくってなってて可愛い!」と思ったら、その「ぷくっ」を誇張したり。
自分がリアルに感じる「ここが可愛い!」を誇張(=デフォルメ)し始めて、ようやく「伝わるように描けた」という実感が少しずつ得られるようになっていきました。

(第6話 19p/第5話 4p)

――デフォルメすることでリアルな可愛さが伝わる、というのは一見逆説的ですが、とてもわかりやすいですね。

「見たそのまま描く」のではなく、「観察して好きなところを自分の中で言語化し、誇張して描く」という考え方は動物に限らず、ほかのものを描くときにも意識していけたらなと思っています。

――動物のデフォルメ表現は何を参考にしましたか?

子どもの頃好きだった絵本の影響が大きいかもしれません。よく読んでいたのは、芭蕉みどりさん、いもとようこさん、山脇百合子さん、いわむらかずおさんの絵本です。また、Janell Cannon さんも好きで、現実では苦手な人も多そうな蛇やコウモリなどの動物を、デフォルメしすぎるでもなく、リアルな感じを残したまま可愛らしく描いていらっしゃるのが憧れです。

――最後にブログを読んでいる漫画家志望の方々へメッセージをお願いします!

漫画を描き始めたころ、自分はよく題材で悩んでいました。
担当さんからは「とにかく自分が好きなもの」を描いていいと言われていましたが、その頃は自分の好きなもの自体がわかりませんでした。
何作か書くうちに「動物と食べ物が好きだ」と気が付きましたが、好きなことって、意外と自分では当たり前になっていて自覚できないものなんだなと思ったんです。
なのでもしも今、漫画の題材で悩まれてる方がいらしたら、ご自身の周りで「当たり前」になっているものに注目してみるのもいいかなと思います!

――大森先生、ありがとうございました。

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『シバつき物件』記念すべきコミックス1巻は9月4日(水)発売! 大森先生の柴犬の可愛さへのこだわりがぎゅぎゅっと詰まった一冊になっています。ぜひ手に取ってみてください。

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