【第81回】〜全ての漫画は“ネーム”から始まる〜『少年ジャンプ+ ネーム原作マンガ賞』受賞作家インタビュー!!

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!
先日、少年ジャンプ+初の漫画賞である『少年ジャンプ+ ネーム原作マンガ賞』が開催され、900作品を超える多くのご投稿をいただき、類稀なる才能の作家さん方と出会うことが出来ました。

ネームは漫画を描く上での設計図となり、非常に大切な工程の一つです。新人作家さんや連載作家さん問わず、漫画を描いたことがある誰しもがネームに悩んだことがあるかと思います。今回のブログでは、『少年ジャンプ+ ネーム原作マンガ賞』において編集部や審査員の先生が満場一致で大賞・準大賞に推した3名の作家さんに<ネームの作り方について>インタビューを行いました。

大賞受賞
『勇者ミーリは58歳』 寺屋キハチ先生

準大賞受賞
『骸骨と恋はできるのか?』 小東のら先生

『スミレちゃんレシーブ!』 宮野あのね先生


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【寺屋キハチ先生】
―――普段、もしくは今回の賞に応募するにあたって、ネームを描く際に大事にしていること、気をつけていることはありますでしょうか?
(1)大勢の目を引くキャッチーさをテーマに据えること
(2)小さく笑えるやり取りをいれることを心がけています。まずは(1)によって漫画の入り口に立ってもらい、(2)によって登場人物への親近感を抱いてもらうことで、物語のピリオドまで読んでもらうことを意識しています。後は自分の好きな関係性を欲望のままに描いています。

―――今作の構想からネームまで、どのような作業とスケジュールでしたか?
プロットが1週間、コマ割りや文字入れ等が3週間で、合計1ヶ月程度かかりました。プロットが長くなってしまったため、上限の55ページまでコマを削る作業に時間を要しました。

―――憧れている・参考にしている原作者の先生はいらっしゃいますでしょうか? また、理由も教えてください。
沢山いますが、今回は勇者モノを描いている山田鐘人さん(葬送のフリーレンの原作者)を挙げさせて下さい。言葉で表現するのが難しい感情の掘り下げや、間の取り方、人を傷つけない笑いの表現が非常に上手く、憧れています。

―――今後の目標について教えてください。
自分が描いたネームを作画家の方に仕上げてもらう経験を何度も体験したいです。そのために、沢山のネームを描いて、物語を魅せる力を磨いていきたいと思います。


【小東のら先生】
―――普段、もしくは今回の賞に応募するにあたって、ネームを描く際に大事にしていること、気をつけていることはありますでしょうか?
今回の賞のテーマが『特殊恋愛』でしたので、出来る限り変わったへんてこな恋愛を描けるよう努力しました。
普通恋愛出来そうにないテーマを探りつつ、ちゃんと恋愛の楽しさを演出できる場面を探ったところ、「骸骨との恋愛」というアイディアが浮かんできました。

―――今作の構想からネームまで、どのような作業とスケジュールでしたか?
「特殊な恋愛ってなんだろう?」という思考をぐるぐるぐるぐるとしていました。
それと「骸骨ならではの恋愛」という部分が難しかったです。ラッキースケベとかじゃ全然嬉しくないよなぁ、とか、しょーもないことばかり考えていました。
ネーム作業に2~3週間ほど掛かりました。へたっぴな絵ですが、あれでも一応丁寧に一生懸命頑張りました。

―――憧れている・参考にしている原作者の先生はいらっしゃいますでしょうか? また、理由も教えてください。
『Dr.STONE』の稲垣理一郎先生です!
毎週毎週、話に見所があり、物語にアイディアが詰まっているところが本当に凄いと思います。読者を楽しませる工夫がとても素晴らしく、ジャンプで毎週楽しませてもらっています!
それと原作者とは少し違うのかもしれませんが、『ワンパンマン』のONE先生もファンです。
『ワンパンマン』も『モブサイコ100』も予想外のアイディアが盛り込まれており、とても楽しく読ませて頂いております。

―――今後の目標について教えてください。
『面白い話を描く』という目標を軸に置いて活動をしています。
面白い話を描けば売れる、というわけではないのは分かっています。売れる作品を作るためには様々な要素を複合して工夫しなければならず、単純に話が面白ければ良いとは考えていません。もちろん売れる努力も精一杯頑張ります。
ただ、一番の目標が何かと考えた時、やはり『面白い話を描く』というのを自分の軸として頑張っていきたいと思います。


【宮野あのね先生】
―――普段、もしくは今回の賞に応募するにあたって、ネームを描く際に大事にしていること、気をつけていることはありますでしょうか?
セリフは極力少なくするように気を付けています。
長くても意味が有って面白ければ良いと思いますが、言わなくても絵で補える所は絵で伝えた方が読む方が疲れないのではと考えています。
何となく暇つぶしでペラペラと読んでてもどんな漫画か分かって楽しんでもらえるのが目標です。

―――今作の構想からネームまで、どのような作業とスケジュールでしたか?
最初考えた時(2年前位)に2日間、今回中盤から描きなおして1日です。なので合計3日です。
ネーム(というかお話)が頭に浮かんだら、忘れないうちに描かないといけないので基本丸々2日間です。でも頭に何も浮かばない事も多々あります…。
その期間が長いと凄く焦るし…落ち込みます。〆切が明確な時は今ある技術で何とか仕上げます。

―――憧れている・参考にしている原作者の先生はいらっしゃいますでしょうか? また、理由も教えてください。
審査員をして頂いた稲垣理一郎先生です。今回応募したのも、上位にいけば稲垣先生に見てもらえると期待したからです。
スポーツ漫画を描こうと思ってから何度も先生の作品を見返しています。
描いてみるとぶち当たるスポーツ漫画特有の難しさを全てクリアして最高のエンタメに昇華されている印象です。いつか読んで学んだことをちゃんとアウトプット出来るように頑張ります…。

―――今後の目標について教えてください。
思い付きといきおいで描くことが多いので、それが無くても(発想に詰まっても)お話が描けるような技術を得たいです。
あとはやっぱり連載したいです!


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以上。
各先生方の受賞作については、作画がついてパワーアップした形で少年ジャンプ+で随時掲載されます。今後のご活躍を楽しみにお待ちください。

また、初めての試みであったネーム原作マンガ賞の熱を受け、11月頃より『第1回ジャンプ+ 画力マンガ賞』を開催致します!
物語の面白さは一切関係なく、“画力だけ”が評価基準となります。
絵に自信はあるけれど、漫画を描いたことがない方でも投稿できるように編集部が公式ネームを用意する予定です。
詳細は追ってジャンプルーキー!のHP上に掲載しますので、皆様のご応募をお待ちしております。


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