【第77回】間違えると致命傷!? 新人作家さん原稿ミスあるある3選!

いつもジャンプルーキー!にご投稿ありがとうございます! 今回のブログはジャンプ+の小池均(こいけひとし)が担当させて戴きます。

抽象的・具体的とわず創作論は読んでいて楽しいものですよね。
そこで皆様の漫画をレベルアップさせる金言の様な創作論をご紹介…というわけでは今回はありません。
今回は逆に間違うとかなりヤバい。皆さんの漫画を「台無しにしない」ための注意項目のご紹介です。
題して「間違えると致命傷!? 新人作家さん原稿ミスあるある3選!」
面白い漫画を描くための方法論は一筋縄には習得できませんが、原稿を台無しにしないためのいくつかの方法は5分もあれば習得(確認)できます。
原稿を描きなれた方には当然の内容ばかりですが、今回あげた3点は未だに非常に多く、編集者として「何度言っても言い足りない。一生言い続けなければいけない」系の注意喚起です。事故を防ぐための事務連絡みたいなものとしてお付き合いいただければ幸いです!

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【1】セリフの文字の大きさが小さい
「そんな初歩的な!」と驚かれるかもしれませんが、マジのマジで多いです
絵を描くのが大好きな新人さんがキャラや背景を目いっぱい描いた結果フキダシが小さくなる場合や、ギャグ・コメディ作品を描く新人さんがこれまたノリノリでセリフ紡いだ結果メチャクチャ読みにくくなるケースが多発しております。

具体的なQ数はスマホで読む事を想定する場合「22Q」以上が望ましいです。
私が以前、週刊少年ジャンプに所属していた時は
『18Q以上推奨で小さくても15Qが限界。14Q以下は読者にかなりのストレスを強いる、ないし印刷が荒い場合そもそも読めない可能性も』
と先輩から教えを受けましたが、スマホで画面が小さくなった結果それより+4~5Qそれぞれ上昇している印象です。

文字は基本、大きければ大きいほど読みやすいです!
バランスは取る必要はありますが、基本「セリフは大きく!」を意識してみてください!


【2】画面の外側にフキダシやキャラの顔を寄せて描いてしまう
これもメチャクチャ多いです。
よくルールとして言われるのは「フキダシの文字やキャラの顔は基準枠内に収める」です。勿論こちらを守れば当然完全セーフなのですが、基準枠の外側に出てもちょっとぐらいなら別にセーフです。
ただ、とんでもなくはみ出て「外側の仕上がり枠に近づき過ぎてしまう」とNGになります。

「なんで? 仕上がり枠=スマホ・PC画面の表示枠なんだから大丈夫でしょ?」とお考えになる新人さんがいらっしゃるかもしれませんが、一般的な商業作品の場合は電子書籍だけでなく紙の書籍も想定したデータ(漫画画面)作りをします。
紙の印刷はアナログ・物理なので、絶対100%印刷や裁断がズレず仕上がり枠どおりの紙の書籍ができるとはなりません。残念ながら。
なので、それを想定して印刷所では「多少の余裕」を仕上がり枠から間引いてデータを作ります。
その「多少の余裕」を侵すくらい外側にフキダシや顔を置いた場合、印刷所の方はセリフの文字を小さくしたり、印刷面を縮小したりズラしたりなど読みやすさを犠牲にしながら事故防止の為に対応します。
それが悲劇の顛末です。

具体的には8~10ミリほど仕上がり線から余裕を持たせましょう!


【3】グレースケールはNG!
悲しいかな、これも多いです!
商業誌でモノクロ漫画を描く場合、基本的にグレースケールは使ってはいけません!

これも【2】同様、電子版と紙版の両方を想定した漫画データ作りをしないといけない事による弊害です。
アプリ雑誌で連載する上で、ないし電子版の単行本を出す上ではグレースケールは問題ありません。が、紙版だとグレースケールが再現できないからNGです。
アナログのモノクロ印刷では網点の密度で疑似的に濃淡(グレー)を作り出しています。同様の方法で濃淡を作るのがアナログ原稿で使うスクリーントーンです。
グレースケールの濃淡は上記の方法と違う表現。なので、アナログの印刷では綺麗に再現出来ないのです。

必ずデータはモノクロ2階調でお願いします!

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以上、ありがちな新人作家さんの原稿ミスをお送りしました。
最後にもう一つ。諸々のチェックのためにジャンプルーキー!を活用しましょう! 漫画が公開された時の完成形を画面で実際にチェックできるのは非常に有用です! 特に今回の【1】はバッチリチェックできます。
下書きの段階ならば読者には公開されませんので、「別にルーキーに投稿したい訳ではないのですが」という人にもおススメです。

ジャンプルーキー!では今後も皆様のご投稿をお待ちしております!



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