【第120回】超豪華特別審査員10名&最大賞金1000万円超えの可能性も!! 「少年ジャンプ+10周年漫画賞」の魅力に迫る

先月より募集が開始された、「少年ジャンプ+10周年漫画賞」
今回は、少年ジャンプ+史上最大規模であるこの賞の魅力を紐解いていきます!

まずは、規格外なポイント2点を改めてご紹介!

① 総勢10名!! 超人気連載作家陣が特別審査員に就任
下記の少年ジャンプ+超人気連載作家の皆様が、今回特別審査員に就任されました!

お名前を並べるだけでも壮観!これだけの先生方に同時に漫画賞の審査をしていただくのは、少年ジャンプ+史上初めてです!

② 最大賞金は1000万円を超えるかも!? 破格の賞金額
この賞の賞金額一覧がこちら!

大賞(賞金300万円)
各先生部門賞(賞金100万円×10本、複数部門受賞OK)
佳作(賞金30万円)
ティーン賞(賞金20万円、10代の応募作の中から1本確約)

見どころは10名の先生がそれぞれ一番好きな作品に投票する「各先生部門賞」! あなたの才能が、どなたかの先生に刺さるかもしれません。さらに、大賞と各先生部門賞は同時受賞も可能!
そのため、場合によっては賞金総額が1000万円を超える可能性も…!

今回は、この賞の企画を担当した担当F氏に賞のポイントをインタビュー!
応募を検討中の方々の参考になれば幸いです!

*****

――この超豪華な賞を企画した理由は?

少年ジャンプ+は作家の皆さまに支えられて10周年を迎えました。これからの10年を担う新しい才能を応援したく、この賞を企画しました!

――いつもの「少年ジャンプ+漫画賞」と比べ、応募者がさらに意識すべきことはありますか?

今回の賞では10人の先生が審査員として加わり、それぞれ一番面白いと思った作品に特別賞を授与します。皆さんの才能が、10人いらっしゃるどなたかの先生に刺さるかもしれません。こんなチャンス滅多にありませんので、より自分らしく才能を発揮した作品をお待ちしております。

――特定の審査員の先生に向けて作品を描く…という戦略もアリですか?

もちろんです! 憧れの先生にあなたの作品をぶつけるチャンスです。また10名も審査員の先生がいらっしゃるので、特定の先生に向けて描いたつもりが、意外と他の先生にも響くかもしれません。まずは応募してみてほしいです。

――10代の応募者から1名以上「ティーン賞」を選ぶことを確約していますが、10代の作家さんに期待していることは?

若い皆さんは伸びしろだらけですので、完成度が低いと委縮することなく、どしどし応募してほしいです。10代の皆さんの瑞々しい感性で描かれた作品を拝見するのを楽しみにしております。

――最後に、応募を考えている方に向けて一言!

この賞は過去10年の少年ジャンプ+の中で間違いなく最大の賞です。大賞を取るのはどんな方なのでしょうか。これから先10年を担っていく皆さんのご応募、楽しみにお待ちしております!

*****

担当F氏、ありがとうございました!

多くの先生方に作品を読んでいただける、そして少年ジャンプ+でのデビューに近づくまたとない機会です。
応募締切まで4ヶ月弱とまだまだ時間もありますので、皆様の力作を楽しみにお待ちしております!

少年ジャンプ+10周年漫画賞のご応募はこちらから↓↓↓


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【第119回】大好評の新連載『シバつき物件』大森えす先生に聞く!可愛い動物の描き方

2023年7月、ジャンプ+にて同名読切が公開されると瞬く間にSNSでトレンド入り。閲覧数130万&コメント数6000件超(2024年8月現在)と話題をかっさらった『シバつき物件』が、今年6月、ついに連載としてカムバック!

最新話が更新されるたびに“尊い” “かわいい” “癒される”と、沼にハマる読者が急増中の本作。
『シバつき物件』以前にも、『たぬきとたまき』『人間テスト』など、動物のキャラクターが登場する作品を発表しては、その可愛さで読者を骨抜きにしてきたジャンプルーキー!出身作家の大森えす先生に、「可愛い動物の描き方」をテーマにインタビューを敢行しました!

*****

――連載開始おめでとうございます! 毎話「可愛い」という反響がすごいですね!

ありがとうございます! とても嬉しいです!

――大森先生の描く動物たちの生き生きとした可愛さに、かなりの動物愛を感じます。

最近よくそういっていただきますが、自分が特別に動物好きだとは自覚していませんでした。大半の人は、動物が好きだろうと思っていたので…(笑)
ただ今回インタビューのお話をいただいて、これまでの人生を振り返ってみると、たしかに幼少期から、絵本やアニメなど動物ものばかり好んで触れていたことに気がつきました。

――動物ものを「観る」から「自分で描く」に変わったのはなぜでしょうか?

最初期に遡ると、幼稚園時代に動物のキャラクターが出てくる絵本を模写し始めたのが始まりだったと思います。
自作の動物キャラクターを絵本の中に勝手に描き加えたり、最終ページの先にオリジナルストーリーを付け足したりして注意されていた記憶があるので、動物ものの創作のきっかけは絵本なのかもしれません。
その後、小学生の頃には、オオカミやトラなどかっこいい動物に憧れ、動物図鑑の模写をするようになりました。よく考えると、動物図鑑って超リアルな動物画集なんですよね…。
図鑑の模写をしていたのが、自分の動物の絵の基盤になっているのかもしれません。

――『シバつき物件』には「柴犬っぽさがリアル」という声がよく届いていますね。

(第6話 8p/第7話 22p)

7歳の時から柴犬と暮らしていたので、そのおかげだと思います。
幼い頃から愛犬を日々たくさんスケッチしていましたし、小学校の自由研究で行動観察レポートを書くぐらい本当に大好きでした。

――「柴犬のここが可愛い!」というシーンが大森先生の中にたくさん蓄積されているんですね。

(第5話 18p)

そうですね。でも、自分が感じる可愛さをなかなか絵では表現しきれないので、いつも四苦八苦しています。

――模写だけでは到達できない何かがあったということでしょうか。

はい。何度スケッチして模写が上手くなっていっても、全然目の前にいる犬のようには可愛くならなくて…。
「写真を撮ってトレースすれば本物と同じぐらい可愛く描けるはずだ!」と試してみたものの、それでも可愛くならず…。
「どうしてもこの可愛さを再現したい…!」と、試行錯誤する中でたどり着いたのが「デフォルメ」なんだと思います。
例えばですが、「後ろ足ふんばってるかんじが可愛いのに、伝わらない…」と思ったら、実際よりも足を広げて誇張するように描いたり、「ほっぺのここがぷくってなってて可愛い!」と思ったら、その「ぷくっ」を誇張したり。
自分がリアルに感じる「ここが可愛い!」を誇張(=デフォルメ)し始めて、ようやく「伝わるように描けた」という実感が少しずつ得られるようになっていきました。

(第6話 19p/第5話 4p)

――デフォルメすることでリアルな可愛さが伝わる、というのは一見逆説的ですが、とてもわかりやすいですね。

「見たそのまま描く」のではなく、「観察して好きなところを自分の中で言語化し、誇張して描く」という考え方は動物に限らず、ほかのものを描くときにも意識していけたらなと思っています。

――動物のデフォルメ表現は何を参考にしましたか?

子どもの頃好きだった絵本の影響が大きいかもしれません。よく読んでいたのは、芭蕉みどりさん、いもとようこさん、山脇百合子さん、いわむらかずおさんの絵本です。また、Janell Cannon さんも好きで、現実では苦手な人も多そうな蛇やコウモリなどの動物を、デフォルメしすぎるでもなく、リアルな感じを残したまま可愛らしく描いていらっしゃるのが憧れです。

――最後にブログを読んでいる漫画家志望の方々へメッセージをお願いします!

漫画を描き始めたころ、自分はよく題材で悩んでいました。
担当さんからは「とにかく自分が好きなもの」を描いていいと言われていましたが、その頃は自分の好きなもの自体がわかりませんでした。
何作か書くうちに「動物と食べ物が好きだ」と気が付きましたが、好きなことって、意外と自分では当たり前になっていて自覚できないものなんだなと思ったんです。
なのでもしも今、漫画の題材で悩まれてる方がいらしたら、ご自身の周りで「当たり前」になっているものに注目してみるのもいいかなと思います!

――大森先生、ありがとうございました。

*****

『シバつき物件』記念すべきコミックス1巻は9月4日(水)発売! 大森先生の柴犬の可愛さへのこだわりがぎゅぎゅっと詰まった一冊になっています。ぜひ手に取ってみてください。

最新話はジャンプ+で隔週木曜日配信中です!

第1話を読む


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【第118回】TVアニメ『ラーメン赤猫』大好評放送中! アンギャマン先生にインタビュー

絶賛TVアニメ放送中の『ラーメン赤猫』。今回はジャンプルーキー!から初のTVアニメ化を祝してアンギャマン先生にインタビューをします!

『ラーメン赤猫』(作者:アンギャマン)
人間のいない、猫だけが営むラーメン屋に面接に来た珠子。猫の店長に猫好きか聞かれ、珠子は正直に犬派と答えるとあっさり採用される。しかし仕事内容はラーメン屋ではなく、猫のお世話係で…!?

第1話を読む


まずは歴史を簡単に振り返っていきましょう! 『ラーメン赤猫』はジャンプルーキー!の投稿から始まった作品です。2021年11月26日に1話が投稿され、その月の連載争奪ランキングで連載権を獲得。2022年3月14日にジャンプ+でインディーズ連載が開始しました。

インディーズ連載の好評を受けて、30話から通常連載へ移行しました。

そして、2022年10月4日に単行本1巻が発売しました。

勢い止まらず、ジャンプルーキー!から初のTVアニメ化が決定!!

飛ぶ鳥を落とす勢いのアンギャマン先生に、ジャンプルーキー!投稿からTVアニメ化までの軌跡を語っていただきました!

*****

――TVアニメ化おめでとうございます! ジャンプルーキー!から初のTVアニメ化となりました。TVアニメが決定した時のお気持ちを教えてください。
嬉しいというより信じられない 本当なのかという気持ちが大きかったです。
決定のお話をいただいてから、実際に動き出すまで時間もあったので、騙されてんじゃねぇかなぁと思うこともしばしばありました。

――TVアニメにはどのように関わっていますか?
キャラクターデザインや、絵コンテを送っていただいてそれについての意見をお返ししたりしています。
店内の3DCGなんかも私が実際に漫画でつかっているものをお送りして参考にしていただいてます。
非常にこちらの意見を尊重して制作していただいてるので有難いかぎりです。

――「ジャンプルーキー!投稿時代」「インディーズ連載時代」「ジャンプ+通常連載時代」それぞれの環境や心境の違いを簡単に教えてください。
ジャンプルーキー!投稿時は、漫画を仕事にするために必死でした。
ありがたく今の担当さんについていただいて、読切が初めて通ったときは本当にうれしくて走り回ったのを覚えています。

インディーズ連載は基本的にだれにも相談しないでやっていたので自由ではありましたが、すべての責任が自分にかかってくるので必死でした。
できることを〆切のなかでできる限りやるという気持ちでしたね。

ジャンプ+通常連載になると今度は生き残りに必死です。
でも、内容的にはインディーズ連載時とかわらず自由にやらせてもらっているし、スケジュールの事も担当さんに相談しやすくなったので有難いですね。
いつもご苦労おかけしてしまってます。

――ジャンプルーキー!へ投稿している過去の自分へ一言お願いします!
明日突然人気漫画家になれるわけじゃないから、理想とは違う今現在からどうソコに向かうのかを真剣に考えろ
と言いたいです。

――最後に、ブログを読んでいる漫画家志望の皆様へメッセージをお願いします。
ジャンプルーキー!・インディーズ連載・ジャンプ+通常連載・TVアニメ化と、人からはシンデレラストーリーとか言われたりしますが、その間、実際に私がやっていたことは漫画を描く事だけです。
結果を思い描くよりも、次に描く漫画の内容を思い描いて作品を積み重ねることが漫画家として一番重要な事だと思います。
お互いに頑張りましょう。

*****

アンギャマン先生、ありがとうございました!
ジャンプルーキー!から初のTVアニメ化となった『ラーメン赤猫』。アニメと合わせて原作漫画もお楽しみください!

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ジャンプルーキー!では24時間漫画の投稿を受け付けています!皆様の作品お待ちしております!

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【第117回】出張編集部のススメ&出張編集部から1年以内でデビュー!『サチ録~サチの黙示録~』茶んた先生特別インタビュー

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!
このブログを読んでくださっている方の中には、「プロの漫画家になりたい!」「ジャンプ+で連載したい!」と思っている方も多くいらっしゃると思います。
そんな皆様に今回は、「出張編集部」をご紹介したいと思います!

まず出張編集部とは、というところから参加手順やメリットなどを説明しつつ、最後には、ジャンプ+出張編集部への持ち込みから1年以内で連載を開始した、現在ジャンプ+で『サチ録~サチの黙示録~』を連載中茶んた先生からのインタビューを特別に掲載しています! ぜひ最後まで読んでいってください。


そもそも出張編集部ってなに?

漫画・アニメ関連のイベントにさまざまな編集部がブースを出し、そこで作家さんからの作品の持ち込みを直接受け付け・講評をすることを「出張編集部」と言います。大規模なイベントになると数十もの編集部がブースを出展することも!
基本手順は以下の通りです。(イベントによって手順はさまざまなので、わからない場合は各会場のガイドラインに従いましょう。)

1. 行きたい編集部を決める
2. 持ち込み用エントリーシートを記入し、該当編集部へ向かう。
3. 順番を待って、自分の作品を編集者に見せるだけ!

また出張編集部の大きなメリットとしては、以下二つが挙げられます。

➀ 出版社に行かずに、予約なしで直接持ち込みができる!

持ち込みというと、各編集部に予約の電話をして、日取りを決め、出版社に直接行って…という流れが基本です。しかし、お住まいの事情などで出版社へ行くのが難しかったり、予約が面倒だと感じたりする方も多くいるはず。
しかし出張編集部なら、東京以外の各都市で開催されることも多く、また予約も不要で当日参加大歓迎。日にちと場所さえ合えば、普通の持ち込みより断然手軽に編集者からの講評を受けることができます!

② 色々な編集部・編集者からのフィードバックがもらえる!

イベントにもよりますが、少年誌・少女誌・青年誌などバリエーション豊かな漫画編集部が一堂に会するのは、出張編集部ならでは。1日で複数の編集部・編集者に持ち込みができちゃいます。作品を客観的に見直すためにも、さまざまな意見をもらうことは有用です。(ただ全てを修正に反映することは難しいので、必要な意見の見極めには注意が必要。)
また自分の作風に合う編集部・編集者を探すためにも出張編集部はいい機会です。そこで担当編集がつくこともあるので、勇気を持ってどんどん色々な編集部に持ち込んでみましょう!

いかがでしょうか。志を共有する作家さんがたくさんいる環境に行けることも、大きなモチベーションアップに繋がるはず! ぜひ都合の合いそうな出張編集部を探して、参加してみてください。


ジャンプ+の出張編集部

ジャンプ+編集部は、年間を通してさまざまなイベントに出張編集部を出展しています。都度、ジャンプ+公式Xアカウントにて告知しておりますので、ぜひフォローしてチェックしてみてください!
最近のイベントでは、お持ち込みいただいた皆様に、「ジャンプ+特製漫画テクニカルブック」をプレゼントしております! ジャンプ+で活躍中の作家さんによるアドバイスをまとめた、プロを目指す方にぜひ読んでほしい一冊となっております。(数には限りがございます。お渡しできない可能性もありますのでご了承ください。)

ここで、ジャンプ+がほとんど毎回出展している参加率の高いイベントを3つご紹介いたします。

➀ 東京コミティア
主に東京ビッグサイトで開催される、自主制作漫画誌展示即売会です。年4回(春夏秋冬)ペースで開催されます。国内最大級の大型イベントのため、より多くの編集部に持ち込みたいと考えている方におすすめです。次回は8/18(日)に開催されるCOMITIA149です!

② 関西コミティア
京都または大阪で開催される自主制作漫画誌展示即売会です。関西にはデザイン系の大学も多いこともあり、いつも大盛況。次回は10/20(日)に開催されるコミティア71です!

③ 京都国際マンガ・アニメフェア2024
通称「京まふ」と呼ばれるこちらのイベント。西日本最大級のマンガ・アニメ・ゲームの祭典で、出張編集部以外にも見所多数です。今年は9月21日(土)・9月22日(日)に開催予定!(出張編集部出展日未定)

また最近では、福岡県で開催された九州コミティア8に参加するなど、全国各地の作家さんと出会う機会を増やすべく日々活動しております。ジャンプ+は、漫画家デビューを目指す皆様の作品を常に大歓迎でお待ちしています。新規作品・過去作品・同人誌・読切形式、連載形式なんでもOKです。いつでも気軽にお持ち込みください!

最後に、実際にジャンプ+の出張編集部ブースにお持ち込みいただき、そこから連載へとステップアップしていった経験のある、サチ録~サチの黙示録~茶んた先生へのインタビューを公開します!

少年ジャンプ+で読む

*****

――茶んた先生は、2022年9月のコミティアにてジャンプ+の出張編集部にお持ち込みいただき、翌年7月に『サチ録~サチの黙示録~』の連載を開始しました。改めて、連載までの詳しい経緯をお聞かせください。

月刊少年チャンピオンさんで連載していた『死亡フラグに気をつけろ!』が終わって、まだ漫画業界のこともよく知らないし、何か別の所で今までに描いたことのないジャンルを描きたいなーと思っていて、コミティアへオリジナルの同人漫画誌を描いて出張編集部にふらふら行きました。そこで今の担当編集さんと出会い、数ヶ月後に読切小学生歯みがき習慣ポスターコンクールを掲載しました。そのまた数ヶ月後に『サチ録~サチの黙示録~』の連載が決定と、テンポよく話が進んでいったかたちです。

少年ジャンプ+で読む

――その際は、どんな作品をどの編集部に持ち込んだのでしょうか。またその際の各編集部の反応はどうでしたか。

聖徳太子を題材にした歴史漫画と、鼻血を出す超能力を持った男の子の漫画と前作の『死亡フラグに気をつけろ!』の単行本を抱えて色々な編集部を回りました。同じ原稿でも編集部が違うと、こっちでは厳しい意見をいただきあっちではなんか褒められて…と全然違う反応が貰えて面白かったです。特にギャグとかは人によって良し悪し激しいだろうから、マッチングによるのかなあと思います。ジャンプ+に持ち込んだ理由は聞いたことある編集部から順番に回っていっただけです。その時は4つくらい回ったと思います。

――その後の掲載誌をジャンプ+に決めた理由はなんでしょうか。

褒められたからです。褒められるとそいつに尽くしてやろうという気分になるので、人を褒める行為は大変有効です。

――茶んたさんが感じている、出張編集部の一番大きなメリットはなんでしょうか。

一日でたくさんの編集部を回れる事です。会場には色んな出版社や編集部のブースがあったので、気軽に自分の漫画の色に合った編集者・編集部とのマッチングを見つけられるのは大きいなと感じました。直接出版社に単騎で乗り込むのとは緊張感も違うだろうし、カジュアルな感じで持込みが出来るのはありがたかったです。

――出張編集部への持ち込みを考えている作家さんへ、一言メッセージをお願いいたします。

良し悪し色々言われると思います。ですが漫画の好みは人それぞれですし、それは作家自身にもプロの編集さんにも言える事だと思っているので、褒められたら思い切り喜んで叩かれたらほどほどに受け止めて次の編集部に行くくらいの気分で挑むのが良いかなと思います。悔しくても悩んでもポジティブに筆を動かす原動力にしちゃいましょう。自分の漫画への自負を信じろ。

――ありがとうございました。最後に、ご自身の連載作品に関して何か読者にメッセージがあればお願いします。

今後も『サチ録~サチの黙示録~』を褒めてくれると嬉しいです。

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いかがでしたでしょうか。本記事が、出張編集部への持ち込みを考える皆様の参考に少しでもなれば幸いです。
ジャンプ+編集部は、いつでも皆様の作品をお待ちしております!



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【第116回】先が気になる展開を生み出す秘訣とは?『enigme【エニグマ】』『ラブデスター』『深東京』の榊健滋先生にインタビュー!

日頃から「ジャンプルーキー!」へ投稿いただきありがとうございます。

今回は、現在少年ジャンプ+で深東京を連載中、過去にはenigme【エニグマ】』『ラブデスターを連載していた榊健滋先生にインタビューします!

少年ジャンプ+で読む

週刊少年ジャンプでも連載経験のある榊先生に、読者を引き付ける展開やテンポ感の作り方を聞きました!

*****

――『enigme【エニグマ】』『ラブデスター』など、読者の興味を誘うコンセプトの作品を手掛けていると思いますが、どのようなことを意識して企画を立てていますか。

スリルを大事にしているので、最初に絶望的状況から始まるようにしています。

『enigme【エニグマ】』第1話
『enigme【エニグマ】』では、学校に閉じ込められ、一定時間以内に抜け出さなければならない状況から始まる。

『ラブデスター』第1話
『ラブデスター』第1話では、「告白」を強要し、失敗すれば死ぬ、という絶望的な状況が提示される。


――『深東京』では、テンポよく物語が進んでいくと思いますが、テンポ感を出すためのポイントはありますか。

畳みかけるように絶望を与えていき、キャラクターに目の前の状況を打破することに集中させています。説明は後回しにしています。

『深東京』では、見知らぬ世界「深東京」へ連れていかれ、

橋が壊れていて移動できず、

敵の「べんけい」に襲われる。深東京やべんけいの具体的な説明はせず、主人公たちに次から次へと絶望を与えることで、テンポ感を生み出している。


――長く連載を続けるうえで、新しく、物語に関するアイデアを出していく必要があるかと思いますが、どのようなことを意識していますか。

一つは友人と好きなものについて語りまくる事です。
自分が興味を持っているものがあぶり出されてきます。
もう一つは漫画以外の作品にたくさん触れることです。
海外ドラマや小説など話題のものがおすすめです。


――WJ時代を含め、これまで週刊連載を主として来たと思いますが、連載中の日々の作業時間や過ごし方などを教えてください。

〈作業時間〉
 ・ネーム2日
 ・一日の作業枚数は5-7枚
  空いた時間に他の細々した仕事をする
〈過ごし方〉
 ・徹夜はしない(睡眠時間6~8時間は取る)
 ・雨の日以外はランニングをする
 ・朝晩の食事は作る
 ・家族との時間を作る


――漫画家を目指す新人作家にアドバイスをお願いします。

〆切ギリギリで進めると精神的に追い詰められ、かなりきつい事になります。
自分に最適なペースを知っておくことをお勧めします!

*****

榊先生、ありがとうございました!
先が気になる展開を生み出すには、展開が動きやすいような状況を作り、説明をしすぎないことが重要だと分かりました。



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【第115回】「少年ジャンプ+漫画賞 2023年冬期」橋本悠先生講評全文を特別公開


本日、「少年ジャンプ+漫画賞 2023年冬期」の選考結果が発表されました。

特別審査員の『2.5次元の誘惑』橋本悠先生から、最終候補に残った作品に対して詳細な講評をいただきました!
選考結果発表ページには収まりきらなかった全文を、こちらで公開いたします。
受賞者以外の新人作家の皆さんにも参考になる内容になっておりますので、是非ご覧ください!


*****

佳作
『怪猫』永田暗治

【橋本悠先生講評】
72pの力作ありがとうございました。とても読み応えがある漫画でした。
暗い漫画かな、と不安になりながら読み進めましたが、ラストは素直に「よかった~」と思えて、よい読書体験でした。そういう意味できちんと漫画として完成しています。
「話のこのへんでこういうシーンを挟むとグッときそう」のような直観がすでに身についているのか、ページやコマは多いものの、意味のないシーンがあまりなく、気持ちよく読み進めることができました。
これだけのページ数を母娘の宿命という一つのテーマで(魔女と猫もここでは母娘でしょう)まとめきっていて、これは誰にでもできることではありません。
まずは誇りましょう。素晴らしいことです。最高!

そこでさらに、この作品がもっと良くできそうだな、と個人的に思ったところを2点、書かせていただきたいと思います。
長くなりますので気が向いたら読んでみてください。

①「リアリティ」について
全体的に細かいところでリアリティ不足が気になりました。
「漫画なので細かいリアリティは無視して都合のいいように描く」という考えもあり、これ自体は否定しません。ある程度ポップな漫画なら無視してもいいでしょう。ただリアリティの精度は作風や、読み手の「読み方」を左右します。
例えば「未成年が借金で苦しい思いをする」という話を読むのは読者にとって辛いことです。もちろん私も辛かったです。
人間は、辛いことに直面してそれを正面から受け止めきれない時、「発想の転換」でそのダメージから逃れようとします。
「ていうか子供が借金で苦しむとか現代日本ではありえないんですけど?怒」などと、「暗い話を読んで辛い気持ち」を「本来関係ない箇所への怒り」などに変換して逃げようとします。
これが読者の心の中で(無意識でも)起きる反応です。ひたたび読者をこの状態にしてしまうと、お話にどっぷり浸ってもらうことは難しくなります。「リアリティを高める」というのは「読者の逃げ道を塞ぐ」技術なのです。

終盤のカタルシスのために序盤中盤には必ず読者にストレスをかけることになります。
ここを諦めずに読んでもらうためには、読者をストレスから「逃がさない」ために丁寧に納得させなければいけません。そこで必要なのが「リアリティ」です。

なぜ現代社会で、未成年の主人公が親の借金に苦しんでいるのか?
50pに唯一「悪い大人の言われるがままハンコを押す」という描写があって設定が破綻しているわけではないのですが、この出来事の前におばあちゃんに引き取られて何年か過ごしているはずなので、その時に祖母(ないし法定代理人)は相続放棄の手続きをしてあげなかったのか、とかシングルマザーの借金が3000万に膨れているということは闇金でしょうから、警察、弁護士等に相談できなかったのか?など疑問は尽きず、「おばあちゃんが孫を守ってくれなかった」という不本意な描写にも繋がりかねません。

細かいことを突っ込んでいるように見えるとは思うのですが、これはむしろチャンスなのです。
「こんな設定ありえない!」と言っているのではなく「理由を描こう!」という意味です。
例えば「相続放棄や自己破産という手段も知らされていたけど、逃げずにちゃんと借金を返そうとしていた(それがクズの母と自分は違う、という証明になるから)」「祖母には母の借金の事実を隠し通したor死ぬ気で祖母を説得した」などの描写をもっと丁寧に重ねてリアリティを突き詰めていけば、母親に似た自分を嫌悪しながらも、「母親と私は違う!」と自分に証明するように生きる、この子の宿命に抗おうとする人間らしさを描くことができ、逆にさらに読者の感情移入が強めることができるかもしれません。(50pの描写にその片鱗が見えるのですが、個人的な感覚では、ちょっと遅いか、足りないです。)

長く連載をしていると、「どうしても描きたい話とリアリティに辻褄を合わせなければいけない」という状況に追い込まれます。そういう時、むしろそのギャップの大きさを頑張って埋めたときにかえってキャラが立つ、というのはままあることです。
「現実でありえない設定」は、リアリティを突き詰めて初めて、「現実にはいないくらい強いキャラ」になれるのです。

作者の方がもしとてもお若いのであればあまり意味のある指摘にならなかったかもしれないのですが、その場合「自分にはまだまだ知らないことがある」ということを自覚して、常に自分の話に対して「こんなこと現実で起きるか?」と調べるクセをつけてみるなど、「人生経験をリサーチでカバーする」という技術としても覚えていただきたいなと思います。

②「お約束」について
お話を描いたり読んだりするうえでは、守らなければならない「お約束」がいくつかあります。
その中の一つが、「都合のいいことが起きたら代償を払わなければならない」というものです。
これがなぜか、というのは、とても長くなるのでここでは理由は割愛します。
「それがフィクションにおけるリアリティだから」「読者は基本的に公平世界仮説を信じているから」とか端的な説明は存在するのですが、他人の解釈はどうでもよくて。それはこの先、作家として生きていく中で、沢山漫画を読んだり映画を見て、自分なりの理由を見つけてほしいなと思います。
ここではとりあえず、「そのお約束を守らないと読者が安心してドキドキしたりハラハラしたりできない」ものだと覚えておいてください。

この作品では序盤、これだけデカい猫がアパートの一室にいて変な声出してるけどバレてない、というギリギリのリアリティラインを「部屋から出なければバレない」と設定することで保っています。
読者も「わかった、そんぐらいのリアリティのバランスでいくのね。OK」と、ここで作者と読者の契約が成立します。
読者は、作者の匙加減であるリアリティを、この約束によってとりあえず納得してくれているわけです。その約束を、作者は最後まで守らなければなりません。
つまりどういうことか。
「猫が部屋から出たら、みんなにバレなければならない」んです。
「猫がリスクをとって部屋から出た」のに「別にバレなかったし殺されなかった」というオチを何の説明もなくやってはいけないんですね。
ということは、もちろんちゃんと説明があればやってもいいんです。「なんか別にバレなかったわ!」という都合のいいことが起きたなら、そのかわり悪いことでバランスをとる、という感覚です。
さすがにいくら風化したとはいえあれだけの懸賞金が残っている以上(いまだにツチノコを探している人も現実にいますし)あのサイズで今後もバレない、は無理でしょうから、例えばですが、
けだまが主人公を助けてくれたあのときに(読者との約束を守って)周りの住民にバレて追われて心配するんだけど、けだまはそのとき魔力を使い果たしてしまっていて、普通の猫サイズになって主人公のもとに帰ってくる。だからバレない。(都合のいいこと)
でももう二度と悪い人から守ってはくれなさそうだな。(ここが代償)
次は私が強くなって守らなきゃいけないんだ。
くらいのバランスでもいいかもしれません。これはあくまで一例で、このバランスのとり方というのは作家性が出るチャンスなので、ぜひ自分なりのリアリティを追求していって下さい。

私もご都合主義の漫画は大好きで、いいことばかり描きたいです。だから都合のいいことばかり起きるのは大歓迎です。
そこで私たちがやるべきは、それを「ご都合主義じゃん」と一蹴されないようにリアリティのバランスを頑張ってとっていくことです。描きたい話を面白く描くために、ぜひこの技術を覚えていってください。
とても長くなってしまいましたが以上になります。次の漫画も楽しみにしていますので、どんどん大作を描いてください!


橋本先生特別賞
『正反対のナルキソス』金野利幸

【橋本悠先生講評】
非常に完成度の高い作品でした。絵も上手いし、コマ割りも工夫されているのにとても読みやすく、技術的には言う事ありません。
特筆すべきはストーリーテリングで、美しさを保つために人を食べる美女、芸術家、モデル、真の美醜というテーマ。これだけ使い古されたモチーフの組み合わせにも関わらず、丁寧な描写の積み重ねによって、この作者にしか描けない漫画が生まれています。

登場キャラクター二人は特殊な設定にも関わらず、生い立ちや、感情の推移に全く無理がなく、大きく変化していくヒロインの気持ちがすっと入ってきます。
ストーリーのラストでたどり着く一言は、このテーマへの解答として本来とても陳腐な答えのはずなのですが、二人の紡いだ「非常に個人的な体験」を経たことによって、ヒロインの「超個人的なセリフ」に昇華しています。

本当に何か強いて言う事があるとするならば、「全体的にテクニカルすぎる」という点くらいです。
本当にこの作者が心から描きたかった話なのか?というのは感じました。「この漫画を読んで評価してくれ」と言われてちゃんと読んだら満点なのですが、「めちゃくちゃ面白いか?」や「買って読むか?」とかになるとまた別の評価軸が加わるのがプロの世界です。(ただその点を差し引いてもなお、『本当にいいストーリーだった。読んで良かった』というのが今回の評価です。)

技術的にはすでにプロフェッショナルなので、プロ漫画家を目指すのであれば、「誰の目にも魅力的なキャラやストーリー」を生み出したり、「自分にしかない表現のクセ」を獲得していったりしてほしいと思います。


編集部特別賞
『Bow!』夜久美良

【橋本悠先生講評】
絵と世界観はダントツで良かったです。いますぐこの絵と空気感で食べていける。そういうレベルです。
会話だけで物語が済んでしまうプロットはやや物足りなかったですが、表情やセリフの魅力がそれを補って、「空気感の魅力だけでファンを作れる作家」を目指せるポテンシャルを感じました。

一番気になったのはキャラ設定のリアリティでした。
ヒロインはこの家庭環境でいつ宝塚を目指すきっかけに触れたのか?
いつどこで知ったのか?実際に観たことはあるのか?
宝塚というキラキラした言葉だけが独り歩きして、このヒロインがどれだけ宝塚に憧れているか、いかにその舞台に立ちたいか、そういう本気度が今一つ伝わってこなかったのが惜しかった点です。
仮にモデルがいるとか、この世にこういう人が実在するとしても、読者に「本当?」と思われてしまうともったいないので、「宝塚に行きたい女子高生」のリアリティの補強か、もしくはヒロインの「本気度」がわかる描写が欲しかったです。それは次にどんな漫画を描くことになっても、キャラクターへ感情移入させるために必ず必要になる描写なので、ぜひ身に着けてほしいなと思います。


最終候補
『ゲームと小さな三銃士』高梨悠人

【橋本悠先生講評】
大風呂敷を広げず、身近な題材で一つ話をまとめようとした点は良かったと思います。
少しずつ変化していく主人公の感情はとてもわかりやすく丁寧に描かれており、誤魔化さずに正面から漫画を描こうという気概に100点をあげたいです。

惜しかったのはやはり、「誰でも想像できる感情」の範囲に収まってしまったかな、という点です。
某ゲームを一切やったことがない人でも描けそうなセリフがほとんどだったので、もしこの世であなたにしかない、非常に個人的な「昔の3人組でのゲーム体験と再会」があるなら、「あなたにしか書けないゲームを通じた友情」のストーリー、またはセリフ一つでもいいので、それを見たかったな、と思います。

最終候補
『どこでもキューブ』武藤凌平

【橋本悠先生講評】
面白い漫画を描いてやろう!読者を楽しませてやろう!というプロ意識を一番感じた作品でした。
ただ設定が奇抜な分、描くのが難しい漫画になったと思います。
キャラクターの行動規範に一貫性が乏しく、説明不足や描写不足も目立ちました。
「転送の際に着地点の人が犠牲になる」という設定は今回の話でめちゃくちゃ大事な要素なのですが、説明も主人公のリアクションも、読み飛ばしそうになるくらいアッサリしていて危なかったので、ポイントポイントでしっかり強い演出を心がけるとさらに読みやすくなると思います。

「仕掛け」を意欲的にたくさん配置している作品だったので、ワープ装置がルービックキューブである意味も、
最後に伏線として回収されるかな?と期待していましたが、そこももう一工夫あるとさらによかったです。
しかし「仕掛け」で盛り上げようというエンタメ意識は今回ほかの作品に不足していたものだったのでとても楽しめました。そのプロ意識はどんどん伸ばしていってほしいと思います。

最終候補
『寝相が悪い男』阪中博紀

【橋本悠先生講評】
非常に完成度の高いギャグ漫画でした。(いい意味で)普通に爆笑しながら読んでしまいました。
絵も可愛くて読みやすかったですし、絵柄と作風もマッチしていて、非常に完成度が高いと思います。
ギャグの面白さについて特に言えることはないのですが、(私はギャグ漫画家ではないので)フリの効いた天丼もしっかり決めて、ミッドポイントでライバルとなるヒロインの登場、ラブホテルでの長尺アクションと、飽きることなく楽しませる姿勢は紛れもなくプロです。

ただ強いて何か言うとすればちょっと長かったです。
現代漫画の感覚なら16pくらいでできそうな内容だったので、冗長なコマを詰めて密度を上げるか、34p描くならもう少し展開があっても良かったかもしれません。

*****

橋本先生、ありがとうございました!
読者の皆さんもこの講評を参考に、引き続き創作に励んでいただければ幸いです!

▼編集部の講評や総評などはこちらでチェック!▼


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【第114回】少年ジャンプ+副編集長・中路が選ぶ、創作に役立つジャンプ+傑作読切3選

少年ジャンプ+副編集長の中路です。

新しい才能を発掘し、これまでに無かった作品を世に出すことが媒体としての使命と考え、ジャンプ+は創刊以来沢山の読切を掲載してきました。

他の人が描いたアイデアの集積である読切は、これから連載や読切掲載を目指す志望者の方にとって、これ以上ない良い教材です。

とはいえ、ジャンプ+で読める読切はあまりに量が多く、何を読んだらいいのか選ぶのに迷ってしまいそうです。

シンプルにランキングの上から順番に読んでいくのでも良いですし、サムネイルやタイトルで気になった作品を読んでみるのも良いと思います。
※その場合、サムネイルやタイトルにすでに読者が興味を持つためのアイデアが入っているので、なぜ気になったのか考えてみるのも良い思考の訓練になります。

今回のブログでは、多くの選択肢の中から選ぶ際の1つのヒントとして、沢山の方に読まれた名作読切の要素を分解し、その切り口から見たおすすめ作品を3つ紹介していきます。

私自身、これまで編集者として漫画家さんと一緒にたくさんの読切を世に出し、またジャンプ+に入ってからは副編集長として掲載可否の判断のため、スタッフから回ってきた読切を読んでは読者の反応をずっと見てきました。
そうした経験を重ねていくうちに、多くの方に読まれる読切にはいくつかの要素があることがわかってきました。

A・読みやすい
B・感情を揺さぶられる
C・作者の嗜好が強く反映されている
D・驚かせる仕掛けがある
E・共感性が高い
F・キャラクターが良い
G・印象的なセリフがある
H・印象的な演出がある
I・導入の数ページで印象に残る場面がある
J・ポジティブな印象を残す
K・見せたいアイデアの焦点が絞られている
L・興味を惹く舞台設定

などが挙げられます。

話題になる読切は、上記の要素のどれかを強く持っているか、複数持ち合わせています。
では実際にどのような作品があるのか、具体的におすすめの読切を紹介していきます。

*****

『骸区』鈴木祐斗先生
少年ジャンプ+で読む

現在、週刊少年ジャンプで『SAKAMOTO DAYS』を描かれている、鈴木先生のアクション読切です。
治安の悪い環境、視点役の切羽詰まった状況、そんな中ガラの悪いチンピラに絡まれる老人が見せる意外な行動…と、導入から一気に作中世界に引き込まれます。
また、ラスト付近のどんでん返しの仕掛けも、作品を強烈に印象づけています。
前述の ADHIK といった要素が強いですね。
他にも限りなく余計な要素を省いて、31Pという短いページ数にまとめている、抑制的な構成能力の高さも素晴らしいです。
同じ鈴木先生の『ロッカールーム』も、驚かせる仕掛けのある素晴らしい読切なので、未読の方はぜひどちらも読んでみてください。


『ヒトナー』屋宜知宏先生
少年ジャンプ+で読む

最近、大きな話題になったので、読んだ方も多いと思います。
獣人の世界に宇宙の遥か彼方から人間がやってきて、獣人たちが人間を知るうちに、次第に獣人世界に不穏な空気が広がっていきます。
ここからどうなるんだろうと思わせてくれる舞台設定、理性を保とうとしても猫としての本能に抗えない愛くるしいキャラクターに、強く心を惹かれます。
前述の要素としては、 ACFJKL でしょうか。
また、高い人間の能力を読者は最初から知っているけれども、作中のキャラクターたちは気づいていないという状況設定も、そこから美味しい展開が作りやすい優れた設定です。
同様の状況設定は多くの作品で取り入れられています。


『静と弁慶』三木有先生
少年ジャンプ+で読む

薙刀という題材で、青春期の男女の別離と成長を描いた作品です。
淡々と進む展開の中で、これまで普通にあった二人の関係が決定的な別れを迎えるまでを描いています。
徐々に高まっていく感情と決定的な別れの場面、そしてそれを一筋細い糸で繋ぎ止めるために見せた勇気。
練り上げられたセリフの一つ一つが対応する場面と相まって、大きく感情を揺さぶる効果を発揮しています。
成長を描いたラストシーンの効果で、ポジティブな読後感も増しています。
主な要素は、 ABEGHJ といったところかと思います。
ジャンプ系だからといって派手な題材である必要はなく、描き方次第で多くの読者を獲得できることを示した作品だと思います。

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以上になります。
参考までに他のおすすめ読切も挙げておきます。
ほとんどが無料で読めるので、ぜひご一読ください。


 
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