【第134回】インディーズから単行本へ!『限界OL霧切ギリ子』ミートスパ土本先生インタビュー

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!
今回は、ジャンプルーキー!からインディーズ連載を経て、単行本化まで到達したミートスパ土本先生にお話を伺いました。

第1話を読む

『限界OL霧切ギリ子』(作者:ミートスパ土本)
限界生まれ限界育ち、癖の強い奴はだいたい知り合い…。霧切ギリ子が贈る、今日をなんとか生きるライフハック――!? 読めば新たな知見を得る限界群像劇。


それでは早速、インタビューの内容をご紹介します!


*****


――Q1. 『限界OL霧切ギリ子』という企画はどのように生まれたのでしょうか?

友人から「キラキラしてないグルメ漫画が読みたい」と言われ、当時の自分の壊滅的な食生活を題材にすれば描けると思ったのがきっかけです。
食の描写が “おいしそうじゃなくてもいい” という発想は目から鱗でした。ただ、それだけでは弱いので「壊滅的でも悲壮感は出さない」「有益な情報を盛り込む」といったルールを重ね、今の形になりました。


Q2. ジャンプルーキー!に応募した理由、インディーズ連載に挑戦した経緯を教えてください。

最初はXで公開していましたが、話数が増えたのでまとめて読める場所を探していたときにジャンプルーキー!を見つけました。
連載争奪ランキングは “8P✕3話” で挑戦でき、しかも毎月開催! 年12回もチャンスがあるのは驚きでした。すぐに結果が反映される仕組みも楽しく、挑戦を重ねる中で読者にどう楽しんでもらえるかを実感できました。


Q3. インディーズ連載から単行本化が決まったときの率直な気持ちは?

「正気かなあ」と「ついに来たか」の間で揺れる複雑な気持ちでした。恐怖5、喜び3、困惑2くらいの割合です。
インディーズのまま本が出るとは想定していなかったので、本当に驚きました。印象的だったのは単行本作業の際、デザイナーさんから「インディーズ連載前からXで読んでいた」と言われたこと。嬉しさ半分、恥ずかしさ半分でした。


Q4. これから投稿する漫画家志望者へのメッセージをお願いします。

「ルーキー!でテッペンを獲って、インディーズ連載からショートアニメ化、そして単行本化を目指しましょう! ここまで1年半でできます!」
なぜできたのかは説明しにくいですが、とにかく挑戦すれば道は開けます。
ジャンプルーキー!の敷居の低さと集英社の御威光はどんどん利用すべきです。どこで描いても読者はいて、その人たちに楽しんでもらうことは変わりません。私も未だインディーズ作家の身ですが、少しでも道を照らせればと思います。がんばりましょう!


*****


ミートスパ土本先生、貴重なお話をありがとうございました!
ぜひ連載争奪ランキングに挑戦し、インディーズ連載権獲得を目指してみてください!

単行本は明日 10 / 3(金)発売です!

<単行本はこちらから>


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【第133回】働きながら漫画家を目指す!! 『少年ジャンプ+』人気作家に聞く、兼業でデビューするための秘訣!!

いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!

今回はお仕事を続けながらプロの漫画家を目指されている皆様へ向けて、『少年ジャンプ+』の人気作家に仕事と執筆活動を両立するコツ、「デビューまでどのように過ごしていたか」の経験談をインタビューしました!

今回インタビューにご回答いただいた先生方はこちら!

  • クワハリ先生(『ふつうの軽音部』原作)
  • 川田大智先生(『半人前の恋人』)
  • 静脈先生(『マリッジトキシン』原作)

連載作家陣への貴重なインタビュー、毎日の創作活動を続けるための一助としていただければ幸いです!


*****


クワハリ先生

『ふつうの軽音部』あらすじ
ちょっと渋めの邦ロックを愛する新高校1年生・鳩野ちひろ。新品のギターを背に、軽音部の門を叩くも――!? 超等身大のむきだし青春&音楽奮闘ドラマ、スタート!

第1話を読む

――① デビューにいたるまでの経緯/状況について教えてください。

高校の教員として働きながら、ジャンプルーキー!に「ふつうの軽音部」を2週間に1回ぐらいのペースで描いて投稿していました。20話ぐらい載せたところで現担当から声がかかり、原作として少年ジャンプ+で連載を目指すことになりました。

――② 当時の1日(平日)のスケジュールと、休日の過ごし方について教えてください。

6時起床、7〜18時出勤という本業のスケジュールだけ決まっていて、漫画を描くスケジュールは決めずに描いてました。休日も漫画を描いたり遊びに行ったり溜まった仕事をしたり、色々なことをしていました。

――③ 仕事との両立、本当に大変だったと思うのですが、どうやって気持ちをつないでいらしたのでしょうか。

完全に趣味で描いていたので気持ちをつなぐとかは無いのですが、閲覧数やコメントがちょっとずつ増えていくのが嬉しくて、それがモチベーションになってました。

――④ ご多忙の中、どうやって時間を捻出していらしたのでしょうか。

移動中の電車の中で描いていました。ラーメン屋の行列に並びながら描いていたこともあります。別にストイックなわけではなく、そういう時間に漫画を描くとすごく得した気分になるのでやってました。

――⑤ 仕事を続けながら漫画家を目指している方々へ向けて、メッセージをお願いします!!

僕の場合は自分の漫画が好きで、自分が描かないと続きが読めないから描いていたという側面が強いです。こんな漫画は自分が描かないと他の誰も描いてくれないぞ!という題材を見つけることが重要だと思っています。
また、なるべくiPadなどを導入して、どこにいても漫画を描けるようにしたほうがいいと思います。職種にもよりますが、本業がある場合は外出先のわずかなスキマ時間でも漫画を描く習慣を身につけたほうがいいです。僕の知り合いの兼業作家の方は、友達との飲み会やカラオケに行ったときもiPadで漫画を描いているそうです。そこまでいくのは無理でも、漫画執筆作業に対するハードルを下げることが大事だと思います。



川田大智先生

『半人前の恋人』あらすじ
ある日、美術室で学校の備品を制作していると、すごく怖そうな女子がこちらを睨んでいて…!? 職人女子×美術男子 青春グラフィティ――

第1話を読む

――① デビューにいたるまでの経緯/状況について教えてください。

会社に勤めながら、平日の夜や休日に描いた漫画をいろんな出版社や編集部の漫画賞に投稿していました。そのうち1人の編集さんから声をかけていただいて、デビューに繋がりました。

――② 当時の1日(平日)のスケジュールと、休日の過ごし方について教えてください。

6時起床、8〜17時出勤、18時半帰宅、夕食と風呂を簡単に済ませて19時半〜23時くらいが執筆の時間だったと思います。0時が目標就寝時間でしたが、1時過ぎまで描いていることもよくありました。

――③ 仕事との両立、本当に大変だったと思うのですが、どうやって気持ちをつないでいらしたのでしょうか。

「虎視眈々」と自分で書いた色紙を部屋に飾って、とにかく毎日淡々(眈々)と過ごしていました。「漫画で食えるようになる」という目標を明確にしてからは、冷静に考えてそのために必要なことはやるし不要なことはやらないというシンプルな判断基準に従って過ごしていました。

――④ ご多忙の中、どうやって時間を捻出していらしたのでしょうか。

会社の残業はほとんどなく定時(17時)で終わる日が多かったので、帰りの電車で頭を切り替えて帰宅してからはすぐに机に座って描いていました。睡眠は多くて6時間少なくて4時間半で、休日も休まずに描いていました。とにかく「すぐに切り替える」ことが大切です。ダラダラした不毛な時間が減るので使える時間が増えます。

――⑤ 仕事を続けながら漫画家を目指している方々へ向けて、メッセージをお願いします!!

「生活のために稼がなきゃ」とか「漫画が思うように描けなくてつらい」とか、現実的な壁は高いですよね…分かりますよ…! 仕事と漫画の両立は体力的にも精神的にもキツいので僕はもう2度とやりたくないですが(笑)、そこで折れずに自分にとって大切なことを見極めて何とか乗り越えたということは重要な経験だったと思っています。自分の状況を客観視して、打破するために何が必要か不要かをよく見極めてください。そうしてメタ認知能力が向上するとそれが漫画にも活かされる時がきっと来ます。全てを漫画に昇華させましょう。



静脈先生

『マリッジトキシン』あらすじ
数百年続く殺し屋『毒使い』の青年・下呂。裏稼業に身を置き、女性が苦手な彼にとって結婚はするべきではないものだった。しかし、『毒使い』の血を絶えさせないため実家は彼の妹に対し、強制的に跡継ぎを産ませることを通告。そんな時、下呂は仕事のターゲットだった結婚詐欺師・城崎と出会い…!? 「――そんな提案(プロポーズ)、初めて」結婚詐欺師をアドバイザーにした殺し屋の婚活が始まる!目指すは最高の結婚…世界一ハードな婚活バトルアクション!!

第1話を読む

――① デビューにいたるまでの経緯/状況について教えてください。

マンガっぽいのは小学生くらいから趣味で描いてました。就職してから、「ひらめき☆マンガ教室」というマンガの教室に通いまして、「ネーム原作」という仕事があると知りました。そこでジャンプルーキー!に「※ネームです」という注釈をつけて投稿したところ、編集の方から声がかかりました。その方にかなり鍛えてもらって、ようやくモノになった…という次第です。

――② 当時の1日(平日)のスケジュールと、休日の過ごし方について教えてください。

8時起床、10-19時出勤、25時就寝。隙間の空いた時間に執筆してました。
休日も使える時間はだいたい執筆していたような気がします。

――③ 仕事との両立、本当に大変だったと思うのですが、どうやって気持ちをつないでいらしたのでしょうか。

設定された締切に間に合わせる!という意識しかなかった気がします。自分の性質上、期待が叶わなかった時に立ち直るのに時間がかかるので…粛々と、打ち合わせ等で生じた課題に応えていました。ありがたいことに金銭や時間などでカツカツに追い詰められた状況ではなかったので、商業媒体に読切が一度でも掲載できれば「もうこれで終わってもいい。だからありったけを…」という気持ちをぶつけてやっていました。

――④ ご多忙の中、どうやって時間を捻出していらしたのでしょうか。

自分の場合は「ネーム原作」という前提ですが…通勤してる最中や昼食の時間に、iPadで執筆してました。また、混雑している場合は、スマホのメモ帳で話の流れを考えたり…など。あとは、なるべく残業が発生しないよう、早めに仕事を切り上げられるように頑張ってました。やるべきことをやっていれば何も言われない職場だったので、かなり恵まれていたと思います。

――⑤ 仕事を続けながら漫画家を目指している方々へ向けて、メッセージをお願いします!!

面白いマンガを描いているはずなのに、商業的に全然評価されないな…と長年思っていました。そんな自分がブレイクスルーしたのは、誰かのためにマンガを描いてみたことです。具体的には、知人の作品を紹介するマンガを描く機会があり、次のことを念頭に置いてました。「こういう風に描いたら面白がってくれるんじゃないか。逆に、これを描いたら気分悪くなるかも…」と。ずっと自分の満足のためにやっていたのですが、その意識が入ってから、少しずつ結果がついてきたという印象です。
もちろん最初から「商品」を作れる方もいますし、自分が面白いと思ったことが評価されている場合は忘れてください。小さくまとまってしまう危険性もあるので…。


*****


先生方、ありがとうございました!

いかがでしたでしょうか。先生方の置かれていた状況はそれぞれ異なる中、それでも皆さん共通して「描き続ける」ことの重要性を語られていたのが印象的でした。ゴールが見えない中で仕事と執筆を両立し続けるのは、軽々しく言葉にできないくらい大変なことだと思います。この記事が、少しでも皆様の助けになることを心から願っています。

ジャンプ+編集部は、いつでも皆様の作品をお待ちしております!


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【第132回】漫画の現場に一番近い場所 連載作家のアシスタントにインタビュー!! リモート編

いつも「ジャンプルーキー!」へのご投稿ありがとうございます!
今回の編集部ブログを担当させていただきます、少年ジャンプ+新人編集のKです。

さて、今回の編集部ブログでは前回に引き続き、漫画の現場の最前線で連載作家さんをサポートしている「アシスタントさん」にインタビューしました!

前編では先生の作業場に直接出向く「通い」のアシスタントさんにご登場いただきましたが、後編では自宅などからオンラインでも勤務可能な「リモート」のアシスタントさんにご登場いただき、リアルな声をお聞きしました!


①:通いアシスタント:先生の作業場に直接出向き、一緒に作業するスタイル。
  →『幼稚園WARS』のアシスタントさんにインタビューさせていただいた前編はこちらから!

②:リモートアシスタント:自宅などからオンラインで作業を進めるスタイル。
  →今回のブログ

今回は後編のリモートアシスタント編ということで
現在少年ジャンプ+にて大好評連載中の『おかえり水平線』のアシスタントさんへのインタビューを掲載します!

「アシスタントって聞いたことはあるけど、結局何をするの?」
と感じている方はもちろん!

「プロの現場に、新人の自分が入っていいの?」
など、アシスタントに興味はあるけどやるかどうか迷っている漫画家志望さんもぜひ最後までお読みください!


*****


『おかえり水平線』あらすじ
海辺の街で、祖父と銭湯を営む遼馬。いつものように学校帰りに開店準備をしていると、父の隠し子を名乗る玲臣という少年がやって来て――?
舞台は銭湯。義兄弟が繰り広げる、ビターで温かいヒューマンドラマ開幕!

第1話を読む

今回インタビューにお答えいただくのはジャンプルーキー!出身で『おかえり水平線』のアシスタントさんの柚さんです!


――早速ですが、簡単な自己紹介と『おかえり水平線』で好きなキャラクターをお願いいたします!

はじめまして、柚と申します。
今までに少年ジャンプ+に読み切りを5本程掲載していただきました。
現在は少年ジャンプ+で連載中の『おかえり水平線』(渡部大羊先生作)のアシスタントに入らせてもらっています。
アシスタントに入るまで連載経験は無く、本格的なアシスタントの経験はありませんでした。

『おかえり水平線』の中で好きなキャラは主人公の遼馬です。
一本芯の通ったカッコ良さと、独特な面白さが混在していて読んでいて魅力的なキャラです!

柚さんの最新作はこちらから読むことができます!


――週に何日、どのくらいの時間働いているのか教えてください。

『おかえり水平線』が隔週連載なので、アシスタントも同じく隔週でだいたい3〜4日くらい参加させてもらっています。
一日の作業時間は8時間で、途中お昼休憩が一時間あります。
渡部先生が定期的にお茶飲んだりおやつ休憩を取ってくださいね!と言ってくださるのでお言葉に甘えながら自主的に小休憩も挟みつつ作業をしています!


――今、主にどんな作業を担当しているのか教えてください。

背景のちょっとした建物や自然物、雑貨などの小物類の作画を任せてもらう事が多いです。3D素材を使って描いたりもします。


――リモートアシスタント作業の方法について教えてください。

使用ソフトはクリップスタジオです。
先生との連絡手段はディスコードを使っています。
基本的にはメッセージや原稿データに直接文章で指示を貰う事が多いです。
口頭で伝えた方が分かりやすい場合にはその都度ディスコードの通話を使って指示をもらいます。
作業データの受け渡しは、クリップスタジオにあるチーム制作という機能を使っています。作業したデータをクラウドにアップロードして先生から確認を仰いだりしています!


――アシスタントに入って、どんな成長を実感しましたか?

目的のある背景を描けるようになりました!
アシスタントに入る前は背景がとにかく苦手で、誤魔化しながら作画している事が多かったです。
自主的に練習をしてはいたのですが苦手意識がなかなか拭えませんでした。
今思えばそもそも、どんな背景にしたいのかが分かっていなかったことが原因かと思っています。その背景に目的を持てていないので、パースや技術を練習してもそれをどう使えば良いのか分からず時間と労力を浪費していた感じでした。

でもアシスタントに入ってからは、先生からの指示や参考資料などを与えてもらった事で背景作画に明確な目的を持つ事ができました。

例えば引きの画面だから描き込み過ぎない、悲しい場面だから影をドラマチックに入れて情緒的に…など、初歩的な事かと思うのですが目的ができて自分なりに工夫や労力を使って描くようになりました。

明確な目的、指示に沿って描くという過程をアシスタント中に何度も繰り返して行う事が背景に対する分からなかったことの理解をさせてくれたと思っています。
また経験のある人からの修正をもらえるので、技術的にも成長させてもらえました!

実際に柚さんのアシスタントに入る前と後のご自身の漫画原稿のデータを見せてもらいました!

アシスタントに入る前の原稿
 
アシスタントに入った後の原稿①

アシスタントに入った後の原稿②

元からとてもお上手ですが、比べてみると確かにアシスタントに入った後の方が影の使い方や情緒のある画面作りがよりできるようになっているのが分かりますね!


――アシスタントに入ってから1番印象に残っていることを教えてください。

自分以外の人の原稿を見られることです。
嬉しかったので一番印象に残っています。
デジタル作画のため先生や他のアシスタントの方のレイヤーの痕跡を見る事ができるタイミングで『上手いな…こうやって描いてるのか…凄いな…』と学びを得られたのが嬉しかったです。


――リモートだからこそ良かったことを教えてください。

通勤時間がない事と誰とも対面しないので身だしなみを整える手間がかからない事です。
終業してすぐにご飯を食べたり、寝たりできるので助かっています。


――最後にアシスタントに応募するか悩んでいる漫画家志望にアドバイスをお願いいたします。

アシスタントを経験すると、技術的な面や精神的な面で自分の作品への良い影響があると思っています。
もちろん人付き合いも込みのお仕事ですので、相性はあると思いますが連載してらっしゃる先生、他のアシスタントの方など新たな出会いによって成長する機会が得られる事も期待できます。

以下はあくまでも個人的に、リモートアシスタントとして活動した経験が無い方向けの応募する前に押さえておくと楽な要項です。


① リモート作業ができる環境が必要

  • 通話、メッセージや原稿データのやり取りが可能なネット環境や機材を所持している必要がある。
  • デジタル作画の場合、使用ソフトがそれぞれのアシスタント現場の規定に沿っている必要がある。
  • アナログ作画の場合、リモートでアナログ原稿を共有する術を持っている必要がある。


② 背景アシスタント希望の場合

  • 遠近法など基礎的な事を押さえておく必要がある。

指示に従って背景を描いていくため、普段自分が描いている背景、描きたい背景とは違う描き方をする場合がある事を理解しておく必要がある。


③ 仕上げのためのアシスタント募集もある

  • 現場によっては仕上げを主に行うアシスタントを募集していることもある。

なので、作画に自信がない場合でも仕上げ要員としてアシスタントに参加してみる方法もある。
後々背景のアシスタントとしても活動したい場合はその事も込みで先方に相談をしてみる事もおすすめ。

  • トーン、ベタなどの仕上げ作業でも、プロの指示を受けながらやってみるとシーンによっての使い分け、演出のための技術など自分にとって学びになる事はたくさんある。


④ コミュニケーションは避けられない

  • リモートであっても人間同士が共同で作業していくのでコミュニケーションは避けられない。先生、アシスタント同士で性格の相性などもある。
  • 作業中のリモート環境でのコミュニケーション量を先方に聞いておく方が良い。
  • グループ通話をしながら作業、通話は指示の時だけ、メッセージのみでやり取りなど現場によってリモート作業のコミュニケーション方法は違う。
  • 報告連絡相談をメッセージや通話などでしっかり行う必要がある。
  • リモートなのでコミュニケーション、人付き合いの面で楽なところ難しいところがそれぞれある。


最後になりますが、アシスタントでの経験がご自身の漫画制作を手助けしてくれる瞬間があると思いますので、無理のない範囲でチャレンジしてみて下さい!


*****


後編のリモートアシスタント編は以上です。

柚さん、快くインタビューを引き受けてくださって誠にありがとうございました!!

今回のインタビューで、アシスタントというお仕事が少しでもイメージできたなら嬉しいです。

まだ「通い編」を読んでいない方は、そちらもぜひチェックしてみてください!


最後にお知らせです!
「ジャンプルーキー!」では非公開プロフィール欄にて、ご自身のアシスタント希望の有無を設定できます。

手順:設定 → 非公開プロフィール → アシスタント と進んでいただき、ご希望の勤務形態をご選択ください。

今回の編集部ブログを読んで、少しでもアシスタントに興味を持った方はぜひ設定してみてください!



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【第131回】漫画の現場に一番近い場所 連載作家のアシスタントにインタビュー!! 通い編

いつも「ジャンプルーキー!」へのご投稿ありがとうございます!
初めて編集部ブログを担当させていただきます、少年ジャンプ+新人編集のKです。
これから作家さんの漫画制作をサポートできるように頑張りますので、よろしくお願いいたします!!


さて、今回の編集部ブログでは漫画の現場の最前線で連載作家さんをサポートしている「アシスタントさん」にインタビューしました!

「アシスタントって聞いたことはあるけど、結局何をするの?」
と感じている方も多いかと思います!

そんな方はぜひこのブログを読んで、アシスタントさんの凄さを感じてください!!

また、
「プロの現場に、新人の自分が入っていいの?」
など、アシスタントに興味はあるけどやるかどうか迷っている漫画家志望さんもぜひ最後までお読みください!

しかも、今回は特別に2回のブログに分けて!!
「通い」と「リモート」という2つの働き方で活躍しているアシスタントさんに、それぞれリアルな声をお聞きしました!


①:通いアシスタント:先生の作業場に直接出向き、一緒に作業するスタイル。
  →今回のブログ

②:リモートアシスタント:自宅などからオンラインで作業を進めるスタイル。
  →『おかえり水平線』のアシスタントさんにインタビューさせていただいた後編はこちらから!

今回は前編の通いアシスタント編ということで
現在少年ジャンプ+にて大好評連載中の『幼稚園WARS』のアシスタントさんへのインタビューを掲載します!


*****


『幼稚園WARS』あらすじ
ここは世界の重鎮の子が通うブラック幼稚園。リタ先生は彼氏募集中だけど出会いが全く無かった。
ある日、子供を狙った殺し屋が現れ、超イケメンで!?
世界一“安全”な幼稚園で繰り広げられるアクション×ラブコメ!?

第1話を読む


今回インタビューにお答えいただくのは『幼稚園WARS』のアシスタントさんのこそうねすみさんです!


――早速ですが、簡単な自己紹介と『幼稚園WARS』で好きなキャラクターをお願いいたします!

はじめまして、こそうねすみと申します!
『幼稚園WARS』が始まる少し前、3年半ほど前から千葉先生の所でアシスタントをしています!
自分は漫画賞受賞を目指して漫画を描いているところです!
漫画は小学生の時に少し描いたことがあったのと、大学生になってから4コママンガを少し描いたことがある…くらいでした!

『幼稚園WARS』の登場人物の中では、ハナちゃんが好きです!
クールなように見えて実は一番表情豊かだったり、コマの端っこで動き回ってたりするところがコミカルでかわいいです!!!
あとはアシュリーもかなり好きです!メガネをかけてる大きいお姉さんが好きなので……


――週に何日、どのくらいの時間働いているのか教えてください。

1日8時間で週4日、余裕をもって働かせていただいてます!
10時~19時までの8時間(途中お昼休憩1時間あり)です!
千葉先生はアシスタントを大切にしてくださっていて、残業などないように気を遣ってくださいます。
ですので、限られた時間内でしっかり原稿を仕上げるサポートができるよう、時間には常に気を配っています……!
自分は、アシスタントとして描いた絵のラフ、下書き、ペン入れの時間を常に記録しています!
そうして作画時間全体の長さを決めてから、それぞれの工程の時間を割り出すようにしています。


――今、主にどんな作業を担当しているのか教えてください。

メインの作業は背景作画です!
背景はアナログで描いているので、ペンとインクでガリガリ描いてます!!!
キャラの大きさとざっくりしたパースの指定をもらって、背景を書き起こします。
また、物の配置や建物のデザインを、資料を調べながら作画します。
最初は窓ひとつ書くのも怪しかったのですが、資料をしっかり観察すること、調べることを徹底することで少しずつ描けるようになってきました!

なんと!特別に実際にアシスタントさんがペン入れをする前と後の貴重な原稿データをご共有いただきました!!

ペン入れ前

ペン入れ後

背景が入ることで作品の世界観の魅力がぐっと増しています!
アシスタントさんの作業が作品にとって非常に大切なことが伝わってきますね!


――職場の雰囲気はどんな感じでしょうか?

アットホームな職場です!
アシスタントと同じ部屋に集まって、机で作業しています!

実際の作業風景

先生が描けた原稿を見せてくださるので、みんなで「かわいい〜〜〜!!!」と盛り上がったりもします!
お昼休憩の時にはみんなで一緒にご飯を食べます!
映画をみんなで見て感想を言い合ったり……とにかく仲がいいと思います!

資料用のポーズ写真のモデルをすることも!

同じ空間で長時間一緒に仕事をするということもあって、コミュニケーションには特に気をつけています!お互いを気遣う思いやりの精神で過ごして、心地よく仕事ができるようにしています!!


――アシスタントに入って、どんな成長を実感しましたか?

自分の場合は、集中線の引き方から始まって、一から教えていただいたので全てが成長しましたが……特に成長したと思うことは、背景力です!
自分はモブキャラクターなどは描かないので、建物や風景を描く力が一番上がっています!

実際にこそうねすみさんのアシスタントに入る前と後のご自身の漫画原稿のデータを見せてもらいました!

アシスタントに入る前の原稿

アシスタントに入った後の原稿

元からかなりお上手ですが、比べてみると確かにアシスタントに入った後の方が背景はもちろん全体的に画力が良くなっているのが分かりますね!


――アシスタントに入ってから1番印象に残っていることを教えてください。

千葉先生の担当編集の林士平さんが、「背景のレベル上がりましたね〜」とおっしゃってくださったことです。『幼稚園WARS』が始まってしばらくして、そう言ってくださったことを先生づてに聞きました。
それまでは、自分にできる精一杯をやっているけれど、未経験ということもあり役に立てているか不安でした。
なので作品に貢献している自信が少しついたこの出来事が、今も心の支えになっています!

もう一つ、紙の単行本に自分の絵が印刷されたことも同じくらい強く印象に残っています……!!
先生のところでのお仕事中に『幼稚園WARS』1巻の献本が届いた時、真っ先に自分が書いた背景の部分を確認しました笑
アプリに掲載された時も感動しましたが、自分の仕事が本に載って形になる感動はひとしおです!!!


――対面だからこそ良かったことを教えてください。

コミュニケーションがとりやすいというのが、最大のメリットかと思います。
時々リモートで作業することもあるのですが、コミュニケーションの密度と早さでは対面に軍配が上がるかなと言うのが実感です。
自然物の細かいニュアンスや画面の雰囲気などを、その場で修正して見せていただけるのもとても参考になりました!
それに加えて、線の引き方やペンの持ち方を間近で見せていただけるのがとても勉強になります!


――最後にアシスタントに応募するか悩んでいる漫画家志望にアドバイスをお願いいたします。

興味があるなら、思い切って応募してみましょう!
連載している先生の現場でコンスタントに原稿に携わることは、必ず自身のレベルアップにも繋がります!
お金を頂いて、仕事として漫画に携わることになるので、実際の現場の雰囲気やシビアな部分なども知ることができます。

自分がやっていけるか不安……という方もいるかと思いますが、謙虚に取り組めば心配することはないと思います!
何よりも、アシスタント先の先生にリスペクトを持つことです!
アシスタントをすることは、絵のやり取りに限らず、人と人の関わり合いです。
それぞれの現場の雰囲気があると思うので、その職場のやり方に適応できるようにするのが大事なのではないかと思います!

実際の現場に入ることは必ずいい経験になると思います!
アシスタントに挑戦するみなさんを応援しています!


*****


前編の通いアシスタント編は以上です。

こそうねすみさん、快くインタビューを引き受けてくださって誠にありがとうございました!!

今回のインタビューで、連載作家のアシスタントというお仕事が少しでもイメージできたなら幸いです。

まだリモート編を読んでいない方は、そちらもぜひチェックしてみてください!

最後にお知らせです!
「ジャンプルーキー!」では非公開プロフィール欄にて、ご自身のアシスタント希望の有無を設定できます。

手順:設定 → 非公開プロフィール → アシスタント と進んでいただき、ご希望の勤務形態をご選択ください。

今回の編集部ブログを読んで、少しでもアシスタントに興味を持った方はぜひ設定してみてください!



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【第130回】スポーツ漫画の企画の立て方とは?『最強の詩』宮田大介先生インタビュー!


いつもジャンプルーキー!へのご投稿ありがとうございます!

漫画には、多くのジャンルがありますが、その中でも人気なのが「スポーツ」
ただ、実際に描こうとすると、「そもそもなんのスポーツが良いのか」「どんなシチュエーションから始めるのが良いのか」「そのスポーツを知らない人が楽しめるにはどうすれば良いのか」など、考えることが多く、難しい点が多いです。

そこで、現在少年ジャンプ+にて連載中のラグビー漫画『最強の詩』作者・宮田大介先生のインタビューを特別に掲載します! ぜひ最後まで読んでみてください。

『最強の詩』あらすじ
「完璧な一団(パーフェクト・スカッド)」と呼ばれたU-15日本ラグビー代表。この最強たちがいることで高校ラグビーのパワーバランスは大きく崩れていた。ここ陸善高校もまた勝つことを諦めたものたちの集まりだった。そこに、やってきた新入生・山田金山。彼の型破りなラグビーが高校ラグビー界を大きく揺るがすこととなる!


第1話を読む


*****


――『最強の詩』の企画を考えた経緯を教えて下さい。

とにかく強くて明るい前向きな主人公が好きなので、そういう主人公を描こうと。
また、ラグビーにおける分りやすいヒーローを作りたいと思いました。


――ラグビー漫画を作るにあたって、ラグビーを知らない人にも面白く読んでもらうために、気をつけていることがあれば教えて下さい。

基本的に全く知らない方へ向けて描いているつもりです。
スポーツものは、その競技において現実で行われる試合が1番に面白いエンタメなので、その競技の面白さをはみ出さずに信じる事と、その競技を心の底から好きでいる事だと思います。
気をつけているのは、ラグビーの面白さはゲーム性の面白さと、見ていて感じる直感的な面白さがあると区別して考える事です。
ゲーム性の面白さは難しいルールを把握しないと分りませんが、直感的な面白さは例えばタックルの激しさや痛そうさ、人間を弾き飛ばす迫力やスクラムのパワフルさはルールが分からなくてもエンタメとして楽しめるはずです。
直感的な面白さで惹きつけてから、「どういう事だろう?」となっていただけた時に少しだけルールを教えて覚えてもらうという事を繰り返していけたらと思っています。
なので、自分がラグビーを見たり、実際にやっていて感じた直感的な面白さを思い出したり、改めて感じたりして解像度を高めています。


――『最強の詩』では、キンザンという真っ直ぐで魅力的な主人公が特徴かと思います。キンザンのキャラクターを作るうえで、気をつけていることがあれば教えて下さい。

1番に気をつけている事は「変わらない事」です。
よく物語上で主人公が成長するといいますが、例えばダメだった人物がダメじゃなくなるとキャラクター性は変わってしまう・失われてしまうと思います。
なので、キンザンがルールを覚えたり、やるべき事がわかったりする時、それでも変わらない事を強く意識しています。


――長く連載を続けるうえで、新しく、物語に関するアイデアを出していく必要があるかと思いますが、どのようなことを意識していますか。

自分としては、アイデアは「振り」の時に重要なもので、「オチ」の時にはハードルは低く設けて基本的にセオリーをやるようにしています。
元々ラグビーという読者にとっては未知な題材なので、捻ったオチを出してもそもそもセオリーを知らないので、ただ伝わりずらいだけになります。
なので、どんな状況に陥るか、どんな感情を抱くかなど振りの方にアイデアを出して、気持ちよくオチを受け止めてもらえるように努めているつもりです。
もちろん、あえてセオリーからはずす隙もタイミングをうかがっています。


――これまで多くの連載を経験されてきたと思いますが、連載中の日々の作業時間や過ごし方などを教えてください。

過去、紙での連載時は週刊連載だった事もあり日々全ての時間を漫画に使っていましたが、ウェブでの連載では紙より融通が利く事もあり、育児や家事に割ける時間が増えました。
基本的に寝る事が好きでは無いので、あまり寝ずに作業をしていたのですがここ一年くらいは眠気に耐えられず睡眠時間が増えました。
いただいたファンレターやコメントを読んでモチベーションを上げてから仕事に入る事が多いです。


――漫画家を目指す新人作家にアドバイスをお願いします。

この業界にいて「才能」というのは、つくづく「勘違いする力」だと思います。
世間ではそう認知されていないものを「面白い!」と勘違いしたら、信じ抜いて欲しいです。
正気に戻そうとあらゆる力が働いてきますので。
とはいえ、もし「面白くない」と言われたら、読んでくれた方を疑うよりもまず、面白いはずのものを面白く描けていない自分の技術を疑って精進した方がレベルが上がりやすいと思います。
面白いと感じた自分の直感は、最後まで疑わずに信じ抜いて欲しいです。
その勘違いを信じる力が、「面白い」という説得力で世間に新しい価値観を広めると思います。そう信じて僕も頑張りたいと思います。


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いかがでしょうか。スポーツ企画は難しいところも多いですが、うまく描けると、そのスポーツの魅力を引き出すことができます。もし好きなスポーツや、描いてみたいスポーツがある方は、ぜひ参考にしてみてください。


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【第129回】「悪いヤツ漫画賞」募集開始! 『少年ジャンプ+』人気作家5名に聞く魅力的な敵役・悪役キャラの極意!

悪党こそがマンガの華⁉
本日から募集が開始された「少年ジャンプ+ 悪いヤツ漫画賞」

本漫画賞にご投稿される方々に向けて、『少年ジャンプ+』の人気作家5名に、敵役や魅力的な悪いキャラの発想法、物語上の活かし方などに迫るインタビューを実施しました!

今回インタビューにご回答していただいた作家はこちら!

作家陣への貴重なインタビューを参考にしていただき、ご投稿作品にチャレンジしてみてください!


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松本直也先生

――『怪獣8号』に登場する「怪獣9号」はどのような発想で生まれましたか。
ちょうど怪獣8号を描き始めた頃に発生したコロナウイルスは、次々と変化し、人間の対応力を超えてどんどんその被害を拡大していきました。そんな中で9号はウィルスのように変化していく災害として生まれました。

(第6話 23p)

――「怪獣9号」がキャラとして、物語上で目立つよう、どのように工夫されてますか。
怪獣を『悪ではなく災害』として描いているので、敵キャラを立てるのによく用いられる『思想や美学を持たせる』というのができませんでした。それをやると『災害』ではなく『悪』になってしまうのです。なので9号は得体の知れなさや、人類や自身の進化に対しての底のない好奇心といった、コロナウイルスのような先の読めない気味の悪さでキャラクターを目立たせていきました。

◆「怪獣9号」初登場のお話はこちらから!


賀来ゆうじ先生

――『地獄楽』に登場する「亜左弔兵衛」はどのような発想で生まれましたか。
心の中の「悪いヤツカッケえ!」に従っただけです。悪は現実活動では決して許されませんが、創作内においてのみ許容されます。ただ〝悪を創作し、表現する事〟自体は現実活動なので、作り出した悪をどう扱うかは慎重にすべきだと思います。

(第2話 24p)

――「亜左弔兵衛」がキャラとして、物語上で目立つよう、どのような工夫をされてますか。
ワルなのか、ゲスなのか、クズなのか…。〝悪〟で一纏めにせず、キャラの悪性の本質を見つけ出し一貫性を持たせました。悪には悪なりの信念があるからです。信念を貫徹するヤツはキャラとしても目立つと思います。

◆「亜左弔兵衛」初登場のお話はこちらから!


タカヒロ先生

――『魔都精兵のスレイブ』に登場する「紫黒」はどのような発想で生まれましたか。
まず物語の構成上、神話の「八雷神」を敵の幹部にしようと決めました。「雷神は蛇の形をしている」という伝承もあるので、八雷神の一人は蛇のような雰囲気で設定し、執念深く、残酷で狡猾な性格にしました。長きに渡って敵として出てくるので、美少女の多い本作品では、敵である彼女も可愛い感じになっています。

(第17話 20p)

――「紫黒」がキャラとして、物語上で目立つよう、どのような工夫をされてますか。
千里眼で見られている事を看破するなど、初登場シーンから「別格感」を出しています。今まで敵として出てきている醜鬼を束ねている様子なども別格感ですね。また幻術や言葉の虚実も使うなど狡猾な感じも、今作の他の敵にはあまり無い個性なので強調してます。あとは味方には優しい感じ、味方と遊んでいる所など、ちょっとチャーミーな所も個性として見せています。

◆「紫黒」初登場のお話はこちらから!


暗森透先生

――『ケントゥリア』に登場する「アルコス」はどのような発想で生まれましたか。
特にバトルシーンは状況が二転三転するように、アルコスの能力が主人公の能力と噛み合う様にしました。

(第10話 25p)

――「アルコス」がキャラとして、物語上で目立つよう、どのような工夫をされてますか。
価値観や人格面が主人公と絶対に相容れないようにした事と戦いにおいて優秀で賢く、油断ならない敵として描く事を工夫しました。戦闘での判断ミスをしない事で、戦闘経験の豊富さと強さを強調でき、その強さを主人公が上回る事でカタルシスを得られると思います。「悪い奴がしっかり強い」というのを描くのが大事だと思います。

◆「アルコス」初登場のお話はこちらから!


市川苦楽先生

――『ドラマクイン』に登場する「ノマモト」はどのような発想で生まれましたか。
個人的に良いヤツよりも性格が悪いヤツの方が描いてて楽しいので、捻くれた主人公にしようとは最初から決めてました。人の悪口で最高の笑顔を見せるような、人の失敗を見て手叩いて笑うような、そういう見事なクソ野郎に風情を感じます。

(第1話 62/63p)

――「ノマモト」がキャラとして、物語上で目立つよう、どのような工夫をされてますか。
なるべく突き抜けて性格を悪く描こうと心がけてます。中途半端に性格が悪いヤツって不快感が勝りますよね。でも突き抜けたクソ野郎だったらもはや一周回って気持ち良くなるんです。気持ち良いので当然きら星のように輝くキャラになります。そんな事ないと思うかもしれませんが、僕はそう信じて今日もこのクソ野郎を描いてます。

◆「ノマモト」初登場のお話はこちらから!


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皆さま、ありがとうございました!

『少年ジャンプ+ 悪いヤツ漫画賞』の応募〆切は 9月15日(月・祝)23:59!
本漫画賞へのご応募はこちらから↓↓↓


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【第128回】オーディション番組から考察!読者に「好きになってもらう」キャラの作り方

いつも編集部ブログをお読みいただき、ありがとうございます!
少年ジャンプ+編集部のT橋です。

さて、皆さんは「オーディション番組」はご覧になるでしょうか?
「なぜ『ジャンプルーキー!』の編集部ブログでオーディション番組の話を…」と思われるかもしれませんが、
「見ず知らずの状態から出演者を応援してもらう」というオーディション番組の見せ方は、
「見ず知らずの状態からキャラクターを好きになってもらう」という漫画の見せ方にも通ずるところがある…と私は思っています。

今回は昨年から今年にかけて大きな話題を呼んだオーディション番組『timelesz project -AUDITION-』を参考に、「『読者に好きになってもらう』ためのキャラの作り方」について考察していきたいと思います。特にキャラ作りに難しさを感じている新人作家さんの参考になれば幸いです!
(なお本記事は、『timelesz project -AUDITION-』の番組終盤の展開についても一部言及しています。完全なネタバレを避けたい方は、番組をご覧になってから本記事をお読みいただくことを推奨いたします。)

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www.netflix.com
※『timelesz project -AUDITION-』(以下、略して『タイプロ』)
STARTO ENTERTAINMENT所属の男性アイドルグループtimelesz(旧名:Sexy Zone)の、追加メンバー決定オーディションの様子を描く番組。
Netflixにて配信中。オーディションへの応募総数は18,922件。
結成12年超えの人気グループとしては異例となるオーディション企画は、国内で大きな話題を呼んだ。


ダンストレーナーの描写から「ギャップ」を考察する
まずはtimelesz候補生にダンスのレクチャーをしていたダンストレーナー、NOSUKEさんに注目してみたいと思います。

NOSUKEさんは数々の人気アーティストのライブに出演経験のあるダンサーで、
timelesz/Sexy Zoneの多くの楽曲の振り付けを担当するなど、timeleszとの関わりの強い振付師でもあります。

『タイプロ』内でも、候補生に対して「僕が一番 より厳しい目で見るつもりでいます」「もう入れさせない目で見てます」と、
長くtimeleszと関わり、グループへの強い愛情があるからこその厳しい思いを語ったNOSUKEさん。
番組内でも、厳しい言葉で候補生たちを叱咤激励するシーンが目立っていました。

そんな中話題になったのが、五次審査終了後の NOSUKEさんの涙でした。
五次審査の通過者と非通過者が発表された後、timeleszメンバーや候補生たちからは見られない場所で、NOSUKEさんは声を押し殺しながら激しく涙を流します。
長い審査を経て、厳しい課題を乗り越えてきたtimelesz候補生たちへの想いが溢れたであろう瞬間は、大きな驚きと話題を呼びました。

このシーンについては、
・候補生に対して厳しい態度を取ることの多かったトレーナーが
・審査結果の発表後に激しく泣いている

ので、そうではない人が泣いているのと比べて意外性が生まれたのかと思います。

このように「その人が持つイメージと真逆の行動をさせる」ことは、その理由がしっかり読者に共有されれば、漫画のキャラクターにおいても魅力的な「ギャップ」に繋がることは多々あります。

『タイプロ』内ではその他にも強い「ギャップ」を持つ出演者が数多く登場しますので、
「その人のどのようなギャップが魅力につながっているか」を考えて言語化すると、漫画のキャラクターにも活きるかもしれません。


候補生の描写から「共感」「憧れ」を考察する
今回は見事timelesz の新メンバーとしてデビューを果たした、元候補生の寺西拓人さんに絞って考察していきたいと思います。
『タイプロ』への参加発表前は5.5万人ほどだった寺西さんのInstagramのフォロワーは、現在は130万人を突破しました。

寺西さんは2008年、事務所に入所。timeleszメンバーの菊池風磨さんとは同期入所でした。
バックダンサーの仕事を中心にキャリアを積んだ後、『タイプロ』までグループに所属することはなく、俳優としての仕事をメインに活躍されていました。

一方で菊池さんを初めとする同年代がグループでアイドルとして活躍していく中、
「芝居をやりたいという気持ちも嘘ではないが、やはり歌って踊るアイドルへの想いも捨てきれない」と今回のオーディションに参加。

オーディション中はバックダンサーや俳優の経験で培った圧倒的なスキルで他の候補生をリードし、
芸歴十数年の経験値からくるアドバイスで悩める10代の候補生を導いたり…とそのスキルのみならずリーダーシップも高く評価されていました。

このように
共感できるポイント:同期が活躍していく中、かつての夢に未練を感じている
憧れられるポイント:とはいえ目の前の仕事には全力で向き合ってきたので、スキルも自信もしっかり身についている

と「共感」「憧れ」どちらもしっかり立っているのが寺西さんの魅力の一つだと感じています。

このような「共感」「憧れ」を軸としたキャラの立て方は漫画内でもよく見られるものです。
『タイプロ』をはじめとしたオーディション番組で、
好きな出演者の「共感できるポイントはあるか」「憧れられるポイントはあるか」を探してみるのも、良い思考実験になるかと思います。

*****

最後に
ここまで読んでいただいた方には、現実世界の人気者には「ギャップ」「憧れ」「共感」など、
漫画のキャラクターにも活かせそうな好感度の上がるポイントが少なからずあることが少しでも伝わったのではないか、と思います。
キャラ作りで迷ったら、自分の好きな実在の人物の「どこが好きなのか」を突き詰めて考えるのもいいかもしれません!



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