今回は、コミックスカバーの制作過程に迫ります!
マンガの数だけ、コミックスカバーにも多様なデザインが存在します。
キャラクター推しなカバーデザイン。
書店で目立つカバーデザイン。
デザインがカッコいいカバーデザイン。
タイトルがアピールされてるカバーデザイン
などなど・・・。
そんなコミックスのカバーがどのように、作られているのか。
作家さん、担当編集者、デザイナーさんなど、関わる人たちの汗と涙の激動の制作過程に密着!
実際に、少年ジャンプルーキー出身作家であるメガサワラ先生の『スライムライフ』2巻を例に、ご紹介します!
1.デザイン案の打ち合わせ、イラストの制作
まずはデザインの大きな方向性について、作家さん、デザイナーさん、担当編集者とが相談しました。
作家:この作品はスライムの可愛さがメインですが、黒魔道士ダルルの可愛いさを求める声も大きいので、ダルルの可愛い表情をもっと見せたいです。
担当:激しく同意です! 1巻より笑顔の可愛い絵にしましょう。ただ、1巻ではスライムの顔が潰れてしまっていたので、そこは反省点として修正したいですね。
デザイナー:それではその方向性で、いくつかラフを用意しますね。
作家&担当:お願いします!!
ということで、“ダルルの表情を明るく” そして “スライムの顔を潰さずに可愛さを表現する” というコンセプトに決まりました。
そしてデザイナーさんが考えてくれたラフがこちら。
作家:どれも可愛いですね!! 個人的には左と真ん中のダルルが可愛くて好きです!
担当:真ん中は1巻の構図にちょっと近いのが気になります…。ただダルルの表情は一番可愛いですね。それにしてもどれも素敵なラフで、素晴らしいです。
デザイナー:ありがとうございます。大好きな作品なのですぐに構図は思い付きました! 中でも可愛くて仕方ないダルルの叫び「うっはぁぁぁ!!」はぜひ、やりたかったんです。なので真ん中はイチオシです!!
作家:あと、イラストの顔を大きく目立たせたいですね。
デザイナー:確かに、書店で並んだ時にこの可愛い表情を大きくして目を引きたいですよね。そういった意味では右と左はスライムとダルルの顔が離れているから小さくなってしまうかもしれません。
担当:では、真ん中ですかね? ただダルルが目をつぶってしまっているのは修正したいです。書店で並んだ時に目が合わないとお客さんの目に留まりにくいかもしれませんね。
作家:なるほど。
打ち合わせの意見を踏まえ、作家さんが描いたイラストがこちら。
担当:イラストありがとうございます! ダルルの表情が可愛いです! ただ一点、申し訳ないのですが、スライムの笑顔Ver.も見てみたいです。
作家:任せてください!
担当の要求に快く答えてくれ、“スライムの可愛い表情”に修正をしたイラストがこちら。
“ダルルの表情を明るく” そして “スライムの顔を潰さずに可愛いさを表現する” という最初のコンセプトに近づきました。
完成まであとわずか。
担当&デザイナー:スライムも笑顔の方がやっぱりいいですね!
作家:ですよね! 修正してよかったです!
デザイナー:あと色味で相談なのですが、ダルルとスライムの服が同色なのがちょっと気になりませんか?
担当:確かに同色で沈んで見えますね。1巻の色味に合わせたモノにしたらどうでしょう。
そして、色味を調整したモノがこちら。
ダルルの髪と服が1巻の色味に近づきました。
これでカバーイラストが完成です!
2.デザイン作業、入稿&校正作業
完成したイラストを、デザイナーさんがタイトルロゴを入れたりして、デザインを組んでいきます。
そして、デザインしたデータを印刷所に入稿します。
待つこと1週間近く。
印刷所から初校紙という、チェック用の紙が届きます。
実際のコミックスと同じような、光沢の貼ってある加工もされています。パソコンの画面でみたデザインと発色や見え方が違うこともあるので、チェックします。
担当:印刷所からカバーの初校が届きました。ご確認ください。
作家:ちょっとダルルの顔、ピンクが強いですね。
担当:スライムももう少し透明感を出して欲しいです。ちょっと黄色っぽいかな。
デザイナー:そうですね。それらを修正しつつ、ロゴに使用している特色の蛍光グリーンを強めて、もっとロゴを目立たせましょう。
作家&担当:お願いします!!
色味を確認して、修正箇所を書き入れます。
そして印刷所に初校紙を戻します。
そして待つこと4日ほど。
再校紙と呼ばれる、初校の修正を反映されているかを確認するモノが届きました。
再校紙と初校紙を見比べて修正が反映されているかを確認。
担当:カバーの再校が届きました! いい感じです!
作家:うん、素晴らしい! ありがとうございました!
今回は再校時の修正はなかったので、印刷所に戻して、作家さん、担当編集、デザイナーさんの作業はこれにて終了。
3.ついに完成!!
発売日から数日前、
編集部に「見本本」と呼ばれる完成したコミックスが一足早く届きます。
担当:メガサワラさん! 見本本が届きました!!
作家:ありがとうございます!! 初めて書店で自分のコミックスが並んでいるのを見た時もそうですが、実際に完成したコミックスを手にした時の、この感動は何にも代えがたいものですね!! 連載をしながらのコミックス作業は本当に大変でしたが、今は早く読者の人に読んでもらいたい気持ちでいっぱいです。
担当:本当にお疲れさまでしたー! 2巻の作業が終わって、さっそくなんですが3巻の打ち合わせを…。
作家:……頑張ります。
こうして連載が続く限り、コミックス仕事との並行作業は続いていくのでした。
今回はカバーの制作工程に迫ってみました。
作家さんのこだわりや、デザイナーさんとのやりとりなど、コミックス完成までの労力が伝わったでしょうか。
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