二次審査会議内容を公開-第1回「少年ジャンプ+」超連載グランプリ

二次審査連載会議の内容公開!!!

“超”連載グランプリとパワーアップした今回は、グランプリ作品をガチな読者投票で決定。
その二次審査では、「ジャンプ+」編集部員たちによる熱い連載会議が繰り広げられた。

「ジャンプ+」現場編集部員による
「連載会議」の模様を公開!!

過去の連載グランプリでは……

毎回、グランプリ作品は「少年ジャンプ+」での連載とコミックス化が確約されている。第1回グランプリの『誰が賢者を殺したか?』、第2回グランプリの『生者の行進』は共にジャンプコミックス全3巻が発売中。また、第3回グランプリには『この先、どぶ沼注意』が選ばれ、連載開始から半年後にジャンプコミックスが発売された。

第3回グランプリ受賞作
第3回グランプリ『この先、どぶ沼注意』

さらに第3回準グランプリの『君が不思議』、同じく第3回の特別部門賞に輝いた『サイコアゲンスト』の連載も決定。その連載で人気を博した『サイコアゲンスト』はジャンプコミックス1巻が発売されている。

3話合計の「いいジャン!」数で上位となり一次審査を突破した全34作品を、総勢7名の編集部員が徹底審査。果たして二次審査を勝ち抜いた作品とは…。

編集部員紹介
編集A

ジャンプ+のブレーン。一人での辺境旅行をライフワークとする旅人寄りの編集者。

編集B

朝から晩まで打ち合わせし続ける常にポジティブ、ハイテンションなベテラン編集。

編集C

30代中堅編集者。癒し系から死ぬ系まで硬軟極端な守備範囲を走る東北人。

編集D

ジャンプSQ.から加入した中堅編集。好きな漫画はアクションとラブコメ。

編集E

フットサル日本一の経験もあるスポーツマン。溢れる体力とコミュ力が凄い。

編集F

20代編集者。いつも気づけばそこにいる。編集部一の何でも屋。

編集G

ジャンプ+に配属され2年目。フレッシュさを生かして、日々奮闘中。

全作品の中から各編集部員が選んだイチオシ作品は!?

編集A

編集部の皆さんお集まりいただきありがとうございます。第1回「少年ジャンプ+超連載グランプリ」の二次審査を始めたいと思います。二次審査では一次審査を突破した全34作品から、10作品~15作品を選出したいと思います。まず最初に、各編集部員の一推し作品を挙げてください。

編集B

まず、一次審査1位の『おはようサイコパス』。絵柄が丁寧ですし、ネーム力もあるかなと思います。ホラーサスペンスとしての完成度は高かったですね。
2つ目は6位の『ちょろQ』。ちょろい男の子とその男の子に戸惑う変な女子という関係性がかわいいな、と思いました。

おはようサイコパス
『おはようサイコパス』

7位の『熱血幽霊さん』はテンポの良いネームを描くので、年齢的な伸びしろを考えても三次審査に残して良いと思います。
続いて13位『SNOW ADDICT』。非常に読みやすいネームでした。ただ、謎のキャラとの関係性が見えてこない上に、主人公の心理描写もあまりされないままでスノーボードのプロに誘うっていう1話目の作りはちょっと弱かったですね。
16位『守銭奴神官の崇高なる日々』は、今回見た中ではかなり高評価です。読みやすいし、キャラと設定のかみ合わせが絶妙だったと思います。欲望まみれの男が神官になって、教王という立場までどうやって登っていくのかという展開も気になります。

守銭奴神官の崇高なる日々
『守銭奴神官の崇高なる日々』

18位『アカツキの空』。大河ドラマのような、心地よい真っすぐな感情を描いているので、これは残したいなと思いました。
19位『1億諧謔曲』は終末世界SFですが、見どころのあるシーンを作れてて、物語の縦軸もしっかりあるので良い作品です。続いて22位『秘密の果実』。閉鎖的な村に隠された泉と、その泉にあるといわれる“桃”を巡るお話なんですが、この村がかわいい女の子が多くて、単純に「主人公がうらやましい」と思わせてくれたのも評価したいところです。
そして25位『妖精喫茶』。ほかの作品よりはちょっと劣ってしまいますが、小難しいことをせず、読みやすかったのがよかったと思います。キャラクターもしっかり描けていました。
最後に29位『おうちに帰ろ。』。キャラクターの人気が出るかは微妙なところですが、地道に磨いていけば光るセンスがあるかと思います。

編集A

ありがとうございました。続いて編集C、お願いします。

編集C

まずは1位『おはようサイコパス』。最初にキャラクターの好感度を高めておいて「実は……」という引きが見事で、1位の作品だけあって読みやすい作品でした。ただ、2話目、3話目になるにつれて息切れしているように思えたので、もっと新しい見せ方ができると良いですね。
続いて2位の『祝福のメロディライン』。こちらもキャラクターや設定が作りこまれていて面白かったです。ただ、絵も含めてもう少しキャッチーで魅力的な描き方ができればよかったかと思います。
次は4位『マナーの戦いと貧乏少年』。この作品は難解な設定を頑張って描こうとしているという姿勢が評価できます。ただ、回を進めるごとにルールがより細かく、難しくなっていきそうなので、そこは気になるところです。
6位『ちょろQ』は非常に分かりやすい設定で、読者が喜びそうなものを描こうとしているのが好感が持てました。
また、9位『掘りWORD』ですが、この作品はもっとも評価が高いです。「なんだこれ!?」と思わせてくれる設定で、1話から引きずり込まれて楽しく読めました。ただ、期待が大きかった分、2話、3話と謎が明かされた時にちょっとがっかりする部分もありました。

掘りWORD
『掘りWORD』

最後に16位『古城ナユタが気になってる。』。こちらもありがちな鉄板ネタなんですけど、女の子をしっかり見せていて、こういったジャンルが好きな人に上手く訴えかけられている漫画だな、と思います。僕は以上です。

編集A

続いて編集D。

編集D

まずは3位『深緋コンポート』。絵を一生懸命描いているのが好印象で、演出力もあり、読みやすい作品でした。
次は4位の『マナーの戦いと貧乏少年』。作風にオリジナリティがあって、かわいい絵柄に「マナー」という題材を組み合わせ、さらにそれがバトルものの展開になっていくという発想が面白かったです。
続いて6位『ちょろQ』。他誌でも連載されていたとのことで、レベルが高かったです。
7位の『熱血幽霊さん』は、ポジティブな幽霊に励まされるという構図が面白くて、好感度が高い作品でした。
そして9位『掘りWORD』。この作家さんは前回の第3回連載グランプリで『リメイズ ~マップつき~』という作品を応募してくれていたのですが、その時よりもクオリティが上がっているし、「その作品の独自のルールを漫画として読ませていく」というスキルに長けている作家さんだと思います。13位『SNOW ADDICT』。スポーツ漫画賞で大賞を受賞しているだけあって、スノーボードの描写が非常に上手かったです。
16位『古城ナユタが気になってる。』。いろいろな事件に巻き込まれる主人公を観察するというコメディで、大きな笑いがあるわけではないんですが、常にクスクスと笑わせてくれてオリジナリティのある作品だと思います。

古城ナユタが気になってる。
『古城ナユタが気になってる。』

19位『1億諧謔曲』は、今回見た34作品の中でもっとも発想がぶっ飛んでいて、アイディア力があるな、という作品でした。
最後に27位『機械甲冑緋鬼』ですが、ストーリーは江戸時代の「仮面ライダー」といった感じなんですけど、見せ場のシーンなどで凄く良い絵がありました。今後に期待したい作家さんです。

編集A

では編集E、どうぞ。

編集E

はい。私が選んだのは1位『おはようサイコパス』。感情がとても丁寧に描かれていて、好感度が高かったです。また、ネームがすごく読みやすかったですね。続いて6位『ちょろQ』。キャラクターや設定などの企画が、商品として成立している作品だと思います。お互いに“ちょろい”という男女の関係性だけで楽しめる漫画というのが推しのポイントです。

ちょろQ
『ちょろQ』

次に11位の『それは叶わぬ恋だから』。3話目で作品のテーマとちょっと離れてしまったのが残念でしたが、1話、2話が特に面白かったので残したいです。
そして13位『SNOW ADDICT』。物語の展開が少し遅く感じましたが、スノーボードのシーンが迫力のある演出で描かれていて、心に残りました。
16位の『古城ナユタが気になってる。』は設定やキャラクターがとてもシンプルで、連載しても続きが描きやすそうなところが良かったです。19位『1億諧謔曲』ですが、とても壮大なストーリーに引き込まれました。止められた時間の中で、主人公が何を目的に動いていくのか、というところが分かりやすく提示されるとより良かったのかな、と思います。
次は自分の中ではもっとも推したい作品ですが、22位『秘密の果実』。序盤のつかみがとてもよくて、世界観の見せ方やストーリーの展開も見事でした。以上です。

秘密の果実
『秘密の果実』
編集A

続いては編集F。

編集F

僕が一番推しているのは1位『おはようサイコパス』です。絵柄がかわいくて、ネームも読みやすかったですね。各話でしっかり引きが作れていたのも良かったと思います。
続いて3位『深緋コンポート』。絵が上手な作家さんですけど、構図やコマ割りが少し読みにくく感じられる部分もありました。

深緋コンポート
『深緋コンポート』

4位『マナーの戦いと貧乏少年』は、マナーという難しい題材を、しっかり情熱をもって描いているところが好感度が高かったです。
次に9位『掘りWORD』。一番気になったテーマでした。もう少し展開を早くしても良いかな、とも思いますがテーマはすごく面白かったです。
そして13位『SNOW ADDICT』。スノーボードをしているシーンが気持ちよく描けているのが好印象です。ただ、キャラクターの謎が多すぎて、感情移入がしづらいのが残念でした。

SNOW ADDICT
『SNOW ADDICT』

19位『1億諧謔曲』。これも『掘りWORD』といっしょで、テーマがすごく気になった作品で、続きが読みたいと思わされました。
そして同じく19位の『さくらクロス』。ラクロスという題材が良くて、絵柄や設定など、キャラクターがかわいく描けていました。
最後に22位『秘密の果実』ですが、設定やストーリーが既存の作品に似ているのがどうかな…と思いつつ、雰囲気がすごい好きでした。

編集A

続いては編集G。

編集G

はい。まずは1位『おはようサイコパス』。絵のクオリティが高くてかわいいキャラクターが描けています。さらにその上で、続きが気になる展開を作れていて、ネーム力があると思います。
9位『掘りWORD』。先が読みたいと思わせる作品でした。ただ、3話全体で見ると話の進み具合が少し遅いかな…と思いました。
13位『SNOW ADDICT』。スノーボードの迫力が良く出ていて、作者のスノーボードへの愛情が伝わる作品です。ただ、3話までの内容だと、読者に「先が気になる!」と思わせられないんじゃないかと思いました。
16位『古城ナユタが気になってる。』。男女二人の関係性が最初からバチっと示されていて、迷わず楽しめました。僕はこの作品がかなり良いなと思います。
19位『1億諧謔曲』。独自の世界観があり、これからどうなるのか先の展開が気になる良い作品です。

1億諧謔曲
『1億諧謔曲』

22位『秘密の果実』。絵のクオリティがすごく高くて、サスペンスホラーの雰囲気を出せている作品です。

編集A

では、最後に私が選んだ作品ですが、まずは1位の『おはようサイコパス』。切り口が刺激的で、心に刺さる作品でした。
3位『深緋コンポート』は演出に力を感じました。
続いて4位『マナーの戦いと貧乏少年』。変わった題材でしたが、展開の早さと明るいノリで読みやすかったです。
6位『ちょろQ』。女の子のかわいさ、読みやすさなど、連載できるレべルにある作品です。
次に7位『熱血幽霊さん』。キャラクターが尖っているとか、もう少し武器が欲しいな、とも思いましたが、面白く読めました。
9位『掘りWORD』は独自のセンス、雰囲気に魅力を感じました。
13位『SNOW ADDICT』。興味を持ちづらい話で引いているところは気になりましたが、スノーボードの演出が良かったです。
次に16位『古城ナユタが気になってる。』。主人公にもう少し魅力が欲しいな、と思いましたが、完成度が高い作品でした。
19位『さくらクロス』ですが、LGBTは時代的にも関心を集めるテーマだし、スポーツというジャンルは「ジャンプ+」にもっと欲しいジャンルです。心理描写も良かったと思いました。

さくらクロス
『さくらクロス』

22位『秘密の果実』。ネームの読みづらさは気になりましたが、シーンによって入っている絵がすごく良いなと感じました。

二次審査を突破する作品が決定!

編集A

各編集部員が推したい作品が出そろったので、この中から三次審査へ進む作品を決めたいと思います。今回は人数も多いので、3人以上が推した作品から見ていきましょう。

3人以上が推した作品は……
1位『おはようサイコパス』、3位『深緋コンポート』、4位『マナーの戦いと貧乏少年』、6位『ちょろQ』、7位『熱血幽霊さん』、9位『掘りWORD』、13位『SNOW ADDICT』、16位『古城ナユタが気になってる。』、19位『1億諧謔曲』、22位『秘密の果実』。以上10作品です。これらの作品が連載、そしてコミックス化確約という賞に相応しいのか、しっかりと議論していきたいと思います。

編集A

編集部員の票が多い順に進めていきましょう。まずは1位『おはようサイコパス』。6人が推している作品です。

編集B

人間とAIの話という、ベタで突っ込みどころも多いテーマだと思うんですけど、我々のうち6人が推しているのもありますし、絵の上手さは連載できるレベルにあるかと思います。

編集E

読者からの「いいジャン!」数も1位ですし、読みやすかったですし良いんじゃないですか。

編集A

では、『おはようサイコパス』は三次審査に残しましょう。

編集A

同じく6人が推している作品は13位『SNOW ADDICT』ですがいかがでしょうか。編集Dはどうですか。

編集D

スノーボードを知らない読者のために、初心者キャラを1人ぐらいは用意しても良いかと思いましたが、そういった欠点を補ってあまりあるネームの上手さや絵柄の迫力があるので、ぜひ残したい作品です。

編集C

僕はこの作品は推していないんですが、スポーツ漫画を編集していた経験から、スノーボードという題材のパワーをもっと生かしてほしい、と思ってしまいました。ただ、難しい題材を見せられる力はあると思うので、三次審査に残しても良いと思います。

編集A

では『SNOW ADDICT』も三次審査に残しましょう。

編集A

続いて5人の編集部員が推した作品を見ていきます。6位の『ちょろQ』についていかがでしょうか。

編集E

今回の応募作の中ではもっとも商品として成立しやすい作品だと感じました。連載そしてコミックス化を決める「連載グランプリ」という企画の趣旨を意識していると思います。

編集F

僕は連載を考えた時に、読者の興味を引く絵柄、画力がちょっと足りないかな……と感じて推しませんでしたね。

編集B

ただ、二人の関係性や設定を面白く見せられているので、二次審査を突破するレベルには十分あるかと思います。絵柄は連載中にどんどん上手くなると思うので(笑)。

編集A

では、『ちょろQ』も三次審査に残したいと思います。

編集A

同じく5人が推した9位の『掘りWORD』

編集C

導入が唐突、という話もありましたが、読者の気を引ける企画という意味では頭一つ抜けている作品だと思います。

編集E

企画は面白いけど、インパクトが少し弱いかと思って僕は候補には入れてませんでした。ただ、独特の雰囲気や二人の会話のやり取りなど、読ませる作品なので二次審査突破でも良いと思います。

編集F

あと今回の応募作の大半が、1話の物語を三分割して3話分にした、という感じのものが多かったんですが、『掘りWORD』に関しては一話ずつきちっと作りこんでいる印象で、その点でも他の作品と差別化できていて良かったと思います。

編集A

確かに連載を意識した構成ができているというのは評価したいですね。それでは『掘りWORD』も三次審査に残します。

編集A

続いて16位『古城ナユタが気になってる。』ですが、編集Cはどうでしょうか。

編集C

定められた設定の中で行われるキャラクターのやり取りというのを、一番シンプルに見せてくれた作品ですね。

編集B

全体的にふわっとしていて、個人的にはその不思議な空気感が読者にどこまで伝わるのか不安に思ってしまって推せませんでした。

編集D

確かにはっきりとした笑いどころがあるわけではないんですが、最初から最後までずっとズレているというのがコメディとして面白いと思います。

編集G

そのゆるい感じが連載を続けていけそうだと思わせてくれる作品ですよね。

編集A

それでは、『古城ナユタが気になってる。』も三次審査に進出としたいと思います。

編集A

続いて19位の『1億諧謔曲』ですが、編集Fはいかがですか。

編集F

『掘りWORD』と、この『1億諧謔曲』はテーマが秀逸で続きが気になる漫画でした。特にこの作品は、「『1億年の刑』に処せ」っていう1話目の引きが良かったですね。

編集G

僕も独特の世界観から、「この作家さんはまだ見せていない部分があるんだろうな」という可能性を感じさせられた作品でした。

編集C

ちょっと設定がややこしくて、入りにくい感じはしましたけどね。

編集A

確かに、読みにくさはありますね。

編集B

ただ、2話と3話の展開も面白かったので、この先も期待できると思います。

編集A

分かりました、では『1億諧謔曲』も残しましょう。続いて『秘密の果実』です。

編集E

僕はこの作品が一番良かったんですが、世界観・ストーリー展開など漫画としてのレベルが高かったです。

編集F

僕も画風が好みですね。さっきも言いましたがちょっと似た作品があるのが…という感じです。

編集D

センスはあるけど、僕は読みにくかったです。

編集A

確かにネームはまだ慣れていない感じですね。編集Gはどうですか?

編集G

皆さんがおっしゃるようにコマ割りなど見づらさはありますが、題材の良さや絵の力はそういった欠点を感じさせないほどだと思います。

編集F

編集者として、担当したいと思わせる作家さんですね。

編集A

それでは『秘密の果実』は二次審査突破ということにしましょう。

編集A

次は4人の編集部員が推した作品です。4位の『マナーの戦いと貧乏少年』についてですが、マナーという難しい題材を扱っている珍しさや、バトル風にアレンジしているところも読者の気を引けるかと思います。編集Bはどうですか。

編集B

1話の中にいろんな絵柄が出てきて不安定な画面に感じました。設定自体は面白いと思うのですが、ルールの作り方が複雑すぎて、読むのが大変そうというのもマイナスですね。

編集E

マナーで戦っていくという発想は面白いと思ったんですが、それをエンタメに昇華できていない印象を受けました。

編集A

では、この作品はいったん保留としましょう。

マナーの戦いと貧乏少年
『マナーの戦いと貧乏少年』
編集A

続いては3人が推した3位『深緋コンポート』

編集D

一番描きこみがされていて、腕が4本あるという演出も「おぉ!」っと思わせてくれました。演出力がある作家さんだと思います。

編集C

発想の突飛さは面白いと思いましたが、それがかわいいとか、うらやましいにつながらなかったので、僕は目新しさ以外にエンタメとしての魅力を感じられませんでしたね。

編集B

身体のつぎはぎが当たり前の世界観って独特で面白いと思うんですけど、背中から腕が生えているというシーンが分かりにくくて、その世界観を伝えきれていないですよね。あと、2話目で殺人鬼に追われる展開があるんですけど、ちょっと急展開すぎてついていけませんでした。

編集A

ではこの作品も保留にしましょう。

編集A

最後に7位の『熱血幽霊さん』です。

編集D

ポジティブな幽霊っていうのが非常に良いキャラクターで、好感度が高かったです。作家さんもまだまだ伸びしろがありそうですし、三次審査に残しても良いかと思います。

編集G

霊って結局死んじゃっているので、手放しで明るく読める作品ではなかったんですが、話の展開で感動させたり、しっかりギャグで落とせているとは思います。

編集B

この作家さんはコメディを描く才能があると思うので、残したいですね。

編集A

編集Bと編集Dが強く推しているということもあるので、『熱血幽霊さん』も三次審査に残しましょう。

熱血幽霊さん
『熱血幽霊さん』
編集A

以上で8作品が二次審査突破となりました。それでは次に、1人または2人が推している作品について見ていきましょう。その中でも、ぜひ残したいと思う作品を教えてください。

編集B

18位『アカツキの空』はぜひ残したいです。最近はこういう骨太な人間ドラマを描いてくれる作家さんが少ないんですよね。「ジャンプ+」はそういった作品も世に出せる場所にしたいと思っています。

編集C

確かに「ジャンプ+」にとって必要なジャンルだと思うので、編集Bが強く推すなら残して読者の反応を見ても良いと思います。

編集A

では、『アカツキの空』は三次審査に残すということで皆さん異論はないでしょうか。

編集F

大丈夫です。

アカツキの空
『アカツキの空』
編集A

ほかに残したい作品はありますか。

編集B

16位の『守銭奴神官の崇高なる日々』も残したいですね。キャラと設定の噛み合わせがよく、「欲望まみれの男が運命に選ばれて神官になる」という展開も良いなと思います。ストーリーで気になる部分はあるのですが、最初に設定したキャラクターをしっかり守っていけば、ちゃんと楽しませてくれるんじゃないかな、と思っています。

編集E

絵柄はもう一歩という感じなんですが、確かにキャラクターはシンプルで分かりやすかったので、編集Bが強く推すのであれば残しても良いと思います。

編集A

では、『守銭奴神官の崇高なる日々』も三次審査に残し、この後の評価を見てみたいと思います。

編集A

以上で10作品が三次審査に残ることになりますが、他に推したい作品はありますか? ないようであれば、保留となっている2作品について議論しましょう。まずは3位の『深緋コンポート』から。

編集G

キャラクターのデザインは独特で魅力があると思うのですが、序盤はかわいい系の話で進むのかと思いきや殺人鬼が登場したり、どういった点を押していくのか作家さん自身も分かっていないのかな、と感じました。

編集F

画力の高さは評価したいのですが……確かにテーマの分かりづらさは感じられるので、二次審査突破は厳しいかと思います。

編集A

では、『深緋コンポート』はここで落選ということにします。

編集A

4位の『マナーの戦いと貧乏少年』はどうでしょうか。

編集G

「マナーの戦い」という特性上、どうしても独自のルールになってしまうんですが、その場合はまずキャラクターで読者の気持ちをつかむ必要があると思っています。でもこの作品はキャラの引きが弱いまま本筋に入ってしまったので、物語を楽しめませんでした。

編集D

この作品は惜しいな、という感覚が強くて……戦いの構造やルールを説明したのはいいんですが、肝心の「マナーの戦い」が記憶力の戦いになっちゃってるんで、そこを工夫できればもっと良かったと思います。

編集C

連載を考えるとちょっと不安はありますね。

編集A

では残念ながら、『マナーの戦いと貧乏少年』も落選とします。

編集A

では、二次審査を突破して三次審査に残る作品は
『おはようサイコパス』『ちょろQ』『熱血幽霊さん』『掘りWORD』『SNOW ADDICT』『古城ナユタが気になってる。』『1億諧謔曲』『秘密の果実』『アカツキの空』『守銭奴神官の崇高なる日々』の10作品に決定しました。

編集部からの総評!

編集A

それでは最後に、二次審査の総評をお願いします。

編集G

まずはたくさんの応募ありがとうございました。数々の力作を読め、楽しかったです。ただ、今回は、1話の物語を3話に分割したような応募作が多かったように思います。1話の分量が少ないと、ぱらぱらっと読めるので「いいジャン!」は集まりやすいかもしれませんが、連載ということを考えると1話ごとにしっかりとした引きを作って読ませる作品がもっと見たかったな、という感想です。

編集F

前回、前々回とこれまでの連載グランプリに応募してくれた人が、今回も改めて応募してくれて、その作品のレベルがどんどん上がっている様子が見られて、すごく良かったです。何度も挑戦してくれた人たちはネームに成長が見られたり、いろんなところが上手くなっていると感じました。

編集E

まずはたくさん応募していただきありがとうございました。前回も同じことを言ったかもしれませんが、連載を意識した3話分の漫画賞ということを考えるとちょっと物足りない結果でした。逆に、この3話という長さの中で、作品をしっかりと作りこめれば突破できる可能性が非常に高いと言えますので、次回も期待したいと思います。

編集D

たくさんの応募ありがとうございました。いろいろ拝見させていただいて、どの作品も1つは武器になるものがあって、読んでいて楽しかったです。ただ「連載で戦う」という観点で見ると、読み終わった後にその作品のキャラクターの事を思い出せるものが少なかった印象です。ストーリー構成などは置いておいても、もう少し強いキャラクターが見たいと思いました。

編集C

まずはページ数の多い規定の賞にも関わらずありがとうございました。個人的にですが、回が重なる度にこの「連載グランプリ」のレベルが下がっている印象があります。その原因は投稿者の方というよりも、「少年ジャンプ+」の魅力をしっかり伝えられていない我々の方にあると思うので、連載作品を応募してもらうのに相応しい仕組みを検討し続けていきたいと思います。

編集B

ご応募ありがとうございました。漫画って、読む側は軽い気持ちで読む人が多いと思うんですが、今回の応募作には「設定」を理解しないとその漫画の面白さが分からないという作品が多かったように思えます。「思わず読んでみて面白かった」という漫画を目指してほしいなと思うので、ネームの進め方や設定・キャラの見せ方など、ふっと目に入っただけで続きが気になる、というところを意識して今後の作品作りに励んでいただければと思います。

編集A

たくさんのご応募ありがとうございました。今回も、一生懸命描いていただいた作品をたくさん拝見できて、すごく良かったです。少し惜しいなと思ったのが、この企画が「連載グランプリ」という事も関係していると思うのですが、壮大な世界観や長いストーリーを書こうという意識が大きすぎる作品が多々あるなと思いました。
漫画は1話1話を面白く読んでもらうというのが大事なので、作品の企画やキャラクターの魅力を1話の中でしっかりと、シンプルに面白く見せるというところを意識してもらえると良いかなと思います。

それでは、これで二次審査を終了いたします。投稿者の皆さま、これからも「ジャンプルーキー!」への投稿をお待ちしております。

二次審査を突破した10作品は、三次審査として1月下旬よりジャンプ+編集長&副編集長による「編集会議」にかけられる。

そこで選ばれた作品は少年ジャンプ+で公開され、その読者投票の結果でグランプリ作品が決定する!!