少年ジャンプルーキー3周年記念 編集長対談!! 週刊少年ジャンプ中野編集長×少年ジャンプ+細野編集長 漫画の未来と、新人作家への熱き想いを語りつくす!

「ジャンプ」編集長が待ち望む新人作家、彼らの才能に期待することとは?

───── 編集長の立場から、新人作家に求めるものは何ですか?

中野編集長

中野「週刊少年ジャンプ」はいつでも、大ヒットする少年漫画の王道、面白い少年漫画を求めています。

が、最近の投稿作品を見ると、隙間を狙っている漫画が多くなってきているな、という感想があります。

それはそれですごく面白いし、そういう作品が多くなったのは、日本の漫画文化が円熟したと感じるんですが、古き良き、子供たちがワクワクするような強いバトル漫画、主人公が圧倒的にカッコいい漫画が欲しいな、という意識も今は日に日に高くなっていますね。

細野「少年ジャンプ+」は紙の雑誌では表現できないような漫画が多かったり、読者もそういう漫画を求めているところがあります。

細野編集長

現に「少年ジャンプ+」では隙間を狙った漫画、意外性のある漫画が人気だったりします。

ですが、「少年ジャンプ+」でも「週刊少年ジャンプ」と同じように、“骨太の王道のバトル漫画”が欲しいな、と思っているところです。

ただ一方で、どんな形であれ、“漫画”であれば投稿してきてほしいという思いもあります。

極端に言えば「これ漫画か?」っていう実験的なものでも歓迎します。

それこそ「少年ジャンプルーキー」は何でもアリな場所だと考えています。

年末に予定している読切連弾の中にも、結構特殊な絵の作品もありますし。

中野あとは、自分が本気で楽しんでいる漫画を描いてほしい。それは編集者側、読者にも伝わるので。

「ジャンプ」が求めるのは王道漫画! 両編集長が今注目している漫画は何!?

───── 最近注目している漫画は何ですか?

中野個人的には「ヤングマガジン」の『バジリスク~桜花忍法帖~』に注目しています。

山田風太郎先生の作品が大好きだから、というのがありますけど。

あとは「グランドジャンプ」で連載中の『BLACK TIGER』。

40年間連載した『こち亀』が終わって、すぐに新作を描く秋本治先生って“永遠の新人漫画家”なんだなと思わされますね

『こち亀』後に、作風が異なる漫画を4本も描いたでしょ。『こち亀』連載中から新しい漫画を描きたい意欲がすごくあったんでしょうね。

細野私は「モーニング」の『バンデット』がすごく面白かった。

『太平記』を下敷きにした漫画で、時代が面白くて、ストーリーも色々と無茶してるけど、引き込まれる。

主人公が意志が強くて突破力のある“これぞ少年漫画!”的なキャラで、少年漫画魂をくすぐられるところがありました。この前、終わっちゃったんですけどね…。

───── 「週刊少年ジャンプ」や「少年ジャンプ+」に限ると?

中野一番好きな漫画はと訊かれれば『珍遊記』と即答するくらい、漫☆画太郎先生が大好きなので『星の王子さま』。

漫☆画太郎先生が『星の王子さま』を描くと、「絶対こうなるだろうな」という予想が当たって嬉しい部分と、全然違う展開になって嬉しい部分とがあって毎週月曜日の更新が待ちきれないです。

ババアが登場した時(第7話)は「キターッ!」「こういう展開で出すか」ってなりました(笑)。

あとは『サマータイムレンダ』。

実は田中靖規先生は僕が初代担当なんです。だからもう根本的な部分で田中先生の漫画が好きなんでしょうね。

連載会議で「『サマータイムレンダ』は田中先生史上1番面白い」って評価を得た時は、忸怩たる思いではありましたけど(笑)。

でも担当していた漫画家さんの活躍している姿は嬉しいし、新連載にも自然と目がいきますね。

細野私は小野玄暉先生の『フルドライブ』。

新人時代から熱い漫画を描いていて、「読者にこの熱さが響いてほしい!」ってドキドキしながらも期待していて、ついに連載に繋がりましたからね。