少年ジャンプ+ネーム・シナリオ原作漫画賞2022 結果発表

「少年ジャンプ+ネーム・シナリオ原作漫画賞2022」結果発表!!

佳作3本、期待賞8本が出る!

特別審査員と編集部が選んだ
「少年ジャンプ+ネーム・シナリオ原作漫画賞2022」の
結果発表です!
佳作3本、期待賞8本が出ました。
「少年ジャンプ+ネーム・シナリオ原作漫画賞2022」に
ついて詳しくはこちら。

特別審査員特別審査員

  • ネーム部門 ファンタジー・コメディ部門 春原ロビンソン先生
  • ネーム部門 ホラー・サスペンス部門 みつちよ丸先生
  • ネーム部門 職業・スポーツ部門 稲垣理一郎先生
  • シナリオ部門 鏡貴也先生

佳作 賞金30万円+作画をつけて少年ジャンプ+に読切掲載確約佳作 賞金30万円+作画をつけて少年ジャンプ+に読切掲載確約

大巨人

大巨人

ト城

ファンタジー・コメディ部門

春原ロビンソン先生コメント

絵も雰囲気もよかったです。え?原作じゃなくていいんじゃないですか?
最後にさらっと師匠の願いを叶えているラストもよかったです。
弟子が師匠をこんなに慕っている理由がわかる日常回想とかみたかったです。

編集部コメント

縦読みを生かしたダイナミックな構図、セリフや説明は少ないですが奥行きを感じるキャラクターや舞台に評価が集まりました。後半の展開や最後のオチも含めてエンターテインメントとして質が高くオリジナリティある作品となっています。ただこの作品は雰囲気が重要な作品なので、ご自身で描いた方が良さが読者に伝わりやすい作品でもあり、原作ネームとすると扱いの難しさも感じてしまいました。今後はネーム原作者として作品を作るならば、面白さと「ネーム原作」としての旨みも両立できるのが理想です。

作品を読む
アンナとアリサ

アンナとアリサ

月本千景

職業・スポーツ部門

稲垣理一郎先生コメント

キャラがとてもハッキリしていて良い。
やな奴と思わせて……というのも今の時代にマッチしている。
地味な題材でありながら、なるべく派手にしようという工夫が見られ、原作として好感度が高い。
ラストがきちんと完結していないのは気になった。

編集部コメント

天才ともてはやされてきたアンナと、新たに現れた天才・アリサ。2人の立ち位置やキャラクターが非常に分かりやすく描かれており、その上でキャラの印象を良い方にひっくり返すオチが見事でした。
次回作にも期待しております。

作品を読む
私のカレはメタモルフォーマー

私のカレはメタモルフォーマー

桝本力丸

シナリオ部門

鏡貴也先生コメント

とてもキャラが立っていて、ウキウキして読めました。勢いで読ませてしまったほうがよい場所は勢いで読ませているし、二人の恋愛だけでも読ませることができていました。絵がないことがメリットになってる可能性が除外できないですが、これをかわいく描いてやる!という描き手と組んだら良いものになる気がします。ただキャラが少なく、ちょっと一発ネタ的でもあると思うので、社会性を成立させたり、王道で長い物語に耐えられる設定やキャラが書けるのかもみてみたいです。

編集部コメント

無表情なヒロインと、巨大な人型ロボットという組み合わせが面白く、ちょっとしたギャグや展開にも二人の関係性がしっかり表現されていました。
互いに理解を深めていく心情の描写も丁寧でした。
読後感も大変良かったのですが、クライマックスの展開は予想の範囲内ではあったので、この二人ならではの展開があるとより作品として印象に残ったかと思います。

期待賞 賞金5万円期待賞 賞金5万円

ファンタジー・コメディ部門

第七図書館

第七図書館

輝田帰

作品を読む
春原ロビンソン先生コメント

お話もまとまっていて世界観と館長のキャラもよかったです。
いい雰囲気の世界だったので「魔法書専門図書館」や「辺境」など設定を文字情報でだすだけじゃなく漫画でだせたら輝田帰さんの世界がもっと伝わると思います。

編集部コメント

独自の世界観をきちんとネームで見せており、難しい物語にも関わらずキャラクターを通すことでテーマをしっかりと伝えきれていたと思います。キラリと才能が光る一作品です。ですが、まだドラマを作り切れておらず感情の描き方や場面転換などがツギハギ感がぬぐえません。もう一歩、物語から俯瞰した視点を持ち、相手にどう伝わるかを考えられると、さらに良くなるかと思います。頑張ってください、期待してます!

つとむとツートム

つとむとツートム

えんぴつつき

作品を読む
春原ロビンソン先生コメント

この年代の誰もが抱える悩みをまっすぐ描いたいい話でした。
つとむのために頑張ろうとするツートムが面白かったです。
ただ変な人として登場した父親が急にマトモな事を語りだすのは違和感あるので、ツートムとのドタバタの中で気づいてほしかったです。

編集部コメント

「自分のコピーロボットが家庭に馴染んでいる」という興味を引く導入から、主人公が自身を振り返り一歩を踏み出す結末まで、綺麗に物語を描けていました。
一般的にこのようなテーマでは不穏な流れにもなりがちですが、ポジティブな雰囲気のまま終わったところも好印象です。
課題を挙げるなら、主人公の悩みが曖昧に感じた点。結末に関係する情報はなるべく序盤で丁寧に描写しておくと、更にまとまりの良さを感じさせられたと思います。

ホラー・サスペンス部門

絶対勇者

絶対勇者

にのまえはじめ

作品を読む
みつちよ丸先生コメント

AIが勇者を指名する、という設定は現代とファンタジーの世界を融合させていて面白いなと思いました。ただ、読み進めていくと主人公の周りにまともな大人が担任の先生くらいしかいない(母親もAIの開発者も頭おかしいw)のがどんどん気になってきてしまい、読者を選ぶ作品かもなぁと思いました。せめて一人くらいは、苦悩する主人公の心に寄り添うキャラクターがいてくれたらバランスが取れていたと思います。

編集部コメント

AI選別、同調圧力など現在社会でも身近なテーマを盛り込みつつ、主人公が正義の勇者としておかしくなっていく様がホラーとして楽しめました。
ただ世間が勇者と崇めていたのに、手のひらを返して主人公を追い込む流れには、もう一工夫ないと唐突さを感じ勿体ないと思ってしまいました。

ファスト人生

ファスト人生

タカモリ

作品を読む
みつちよ丸先生コメント

現代の「あるある」がたくさん盛り込まれていて、細かいところまで楽しめました。救いのあるラストも個人的には好みです。ただ、主人公が時間の「量」に対して結局は「量」で対価を支払っているのに、そこから「質」に対する学びを得ていることに若干の違和感を感じたので、罰を受けている間に「何気ない日常に実は尊さがあった」ということに気づく描写(「量」から「質」への転換)があると良かったと思います。

編集部コメント

テーマが現代の流行を捉えていて特徴的な作品でした。また、主人公が学びを得ていく過程も丁寧に描かれていました。しかし、序盤で主人公がどうしても地味な印象を受け、「このキャラクターがどういう目に会うのか見たい」とはなりませんでした。読者の興味を惹きつけるキャラクターづくりを意識してみて欲しいと思います。次回作も期待しております。

職業・スポーツ部門

人体機能株式会社

人体機能株式会社

バサロ15

作品を読む
稲垣理一郎先生コメント

視点の変わったショートショート。
ネタ勝負なのでキャラはあまり……と見せて、微妙にあるのも良い。
ひたすら人物にフォーカスしているため、作画が書き甲斐があって楽しそう。
出オチのようで続けることも可能な、面白い設定だと思いました。

編集部コメント

キャラクター1人1人にこだわりを感じられました。また、キャラクターは多めなのですが、ストーリーの軸がはっきりしているので読みやすかったです。文字が多めになってしまうコマがあったので、セリフの整理ができるとより読みやすい作品になったかと思います。さらにキャラクターの魅力を引き上げるために、表情のレパートリーを増やしていくなどしてみてほしいです。次回作も期待しております。

シナリオ部門

ふしぎの国乃アイス

ふしぎの国乃アイス

伊藤竜也

鏡貴也先生コメント

キャラがかわいく、なんでもないシーンも読んでられました。もっとぶっ飛んだ事件が起きることを期待してしまいましたが、終始かわいい話で進んでいくと決めているのが途中でわかり、それはそれでいいなと思いつつ、もっと謎の部分がおもしろくないと、ユーザーに広がりが出ない気もしました。あと、謎が解けたあとの少女たちの反応がキャラブレしてご都合に過剰に感じてしまったのですが、それが描きたいのかもしれず、好みの問題かもしれません。これはユーザーが判断すると思います。

編集部コメント

キャラクターが元気に動いている作品でした。それぞれのキャラクターでどうやって読者を楽しませていくかをきちんと考えて、それをストーリーに落としていたと思います。中盤、やや単調なストーリー運びになってしまった部分があったので、マンガになった時のことを考えながら工夫できるとより作品の魅力が高まる印象でした。次回作も期待しております。

そのご縁、切らせていただきます

そのご縁、切らせていただきます

瑠美るみ子

鏡貴也先生コメント

今回は一本だけの、小説形式でした。読ませる構成で、楽しく読めました。縁を切るというキャラも、無限に出せる形なので、よいなと感じました。漫画にしてよくなるかは小説だったので不明なのですが、今回一番綺麗に落としていました。

編集部コメント

テーマが分かりやすく、かつしっかり驚きがあり、純粋に読み物として完成度が高い作品でした。作風に合った皮肉なオチも魅力的です。ただ、語りや地の文など小説形式ならではの面白さが占める割合が大きい印象も受けました。次回作では、漫画化した後どういう面白さが作れるかも意識してみてください。期待しています。

合コンいったら勇者がきた

合コンいったら勇者がきた

高橋右手

鏡貴也先生コメント

ずっとおもしろかったです。脚本として成立していないところもありましたが、それを無視して読み切らせるおもしろさ。社会性も読者が読みやすい形で書かれていて、読ませる力があると思いました。ただ、きちんと落とせていなかったので、この物語のコンセプトをもう一度見直して、なにかにさらに振り切ってくるととても良いものになると思いました。

編集部コメント

キャッチーなタイトルへの期待に応えてくれる楽しい作品でした。あるあるネタを盛り込みながら、心情描写も自然で、笑えるだけでないヒューマンドラマに仕上がっていたところに技量を感じました。ラストは少々失速してしまった印象で、読後感も意識して作れるとさらに完成度の高い作品になったのではないかと思います。次回作も楽しみにしております。

最終候補最終候補

素数

たけざ

春原ロビンソン先生コメント

だんだん素因数分解がクセになってきました。前半と後半でテンポが変わったり挑戦しているマンガでした。
現状だとギャグのルール説明と基礎例文で終わってる感じなので、そのルールを応用した大きな笑いが欲しかったです。
題材はもっと広い世代に伝わるものにした方がいいと思います。

編集部コメント

独自の切り口のギャグに笑わされました。ワンテーマではありますがギャグの手数が多く、幅があった点も魅力的でした。ただ、キャラクター性や物語性に乏しかったりと、漫画作品として読むとまだまだ改善点はあるように思います。作品としての総合的な完成度を上げ、幅広い読者にギャグを届けられるよう意識しましょう。

ボクと彼女の最終重力戦争

次郎

春原ロビンソン先生コメント

こういうボーイミーツガール不思議体験好きです。重子さんも魅力的です。
細かく気になる、おそらく次郎さんはわかっているので説明を省いてしまっている箇所があるので読者がいま何を思っているかを意識して描くといいと思います。

編集部コメント

冒頭が目を引く作品でした。ヒロインのキャラクターもミステリアスで印象的でした。しかし、ヒロインが主人公に具体的に何を求めているのか良く分かりませんでした。読者が感情移入しやすいようにもっと具体的なゴールを用意してあげるといいと思います。次回作も期待しております。

カーソルボーイとコピペガールズ

三代目カルボナーラ

みつちよ丸先生コメント

現実いる人物を連想させる無気力な主人公が良いですね。冒頭のモノローグと吹き出しが読みにくい配置になっているので、読者の目線の流れが一つつなぎになるように意識してみて欲しいです。主人公とヒロイン(男の娘?)の生い立ちが複雑すぎてカットアンドペーストができる仮想現実、というテーマと喧嘩してしまっているので、読み切りという枠ではもう少し二人の事情は絞った方が主題が引き立つと思いました。

編集部コメント

刺激的な作品で、気持ちよさとは違うかもしれませんが、作家性を感じる部分が強くその点で良かったです。インモラルな作品も決して悪くはないのですが、それが「面白さ・気持ちよさ」をどう取り入れるか、ないしそれが無くても勝負できる作品か、が問われます。持ち味を殺さず、どう「読者に喜んでもらう作品」になるか、模索していけばより良い作品が出来ると思います。

咀嚼除霊ガール

ジリ

みつちよ丸先生コメント

勢いがあって良かったです。主人公とその友達もサバサバしていて好感が持てました。「咀嚼除霊」という切り口は新しさを感じて面白かったのですが、いまいちその個性が活かしきれていなかったのが惜しいです。黒いシミの霊に対してはその除霊方法だからこそ効く、というユニークさにまで展開を持っていけたら評価満点でした。

編集部コメント

除霊方法にかなりオリジナリティがあり、読者を楽しませられる作品だと思いました。作品の勢いは良いのですが、中盤からやや読者を置いて行ってしまった印象がありました。丁寧にストーリーを組んでいくことを意識してみてほしいです。また、コマの使い方を工夫するとより読者をドキドキさせられると思うので、今後はそういったことも考えてみてください。

青天のノア

フジ田マル男

みつちよ丸先生コメント

コマ割りがシンプルで読みやすかったです。ノアが井戸から出てくるとたくさんの井戸があって…というシーンには普通に驚きました。グロくもエロくもない絵面で読者を「おっ」と思わせることができるのは強みだと思います。ボスっぽいキャラが出てきたなと思ったら説明だけしてあっけなく死んで「えっ?」となってしまったので、中盤くらいでチラッと登場させるなど「匂わせ」があったら良かったのかなと思いました。

編集部コメント

「井戸の中」というシチュエーションが面白く、また後半の畳み掛けが気持ちよかったです。一方で人物の心情描写や設定説明のパートが複雑で、それぞれのキャラがどういう背景・目的意識のもと動いているのか伝わりづらいように感じました。今後は、読者視点をより強く意識してみてください。期待しています。

流星に願う

咲間岬

稲垣理一郎先生コメント

少年二人が相手のことを気に掛け合い、憧れ合い、伝え合う。
その萌えは書けていると思う。
キャラの心情がファンタジーすぎて感情移入は難しいが、『ファンタジックなな心の動きをする人』というのもまたキャラなので、武器にもなり得る。
心に注目しキャラの思考で物語を動かせているので、あとは差異をもっと際立たせて欲しい。

編集部コメント

読みやすく、キャラの好感度も高い、王道、と良い点も多いですが、原作ネームとすると「オリジナリティ」がもっと欲しかったです。究極的には原作ネームは「漫画家さん一人では描けない作品」が要求されます。その点で評価が低くなってしまいました。王道の中にどうオリジナリティを出すか、を追及して作品を作っていってください。

KILL KILL KILL

次郎

稲垣理一郎先生コメント

アリスのキャラ一点突破で作っており、可能性を感じる。
ただ他があまりにフンワリしているため、せっかくのアリスがぼやけてしまっている。
マンガ=キャラであり、キャラはキャラを立てるためにいる。
魅力的なキャラ性を描くために、周りをどう組み立てるかも大事。

編集部コメント

無邪気で最強の殺し屋、アリスが非常に魅力的で、苦境に陥っても安心してわくわくできる作品でした。ただ心情描写がなく状況のみ描いていたので、彼らに深く感情移入できなかったのが勿体なかったです。主人公の内面まで描けたらより深みのあるお話になったかと思います。

アナザー・ライフVR

久芳流

鏡貴也先生コメント

とても読みやすく書けていたと思います。かつてのSF漫画にありがちな設定ですが、かつてのSF漫画を見かけなくなった昨今、目新しくも感じました。ただ、夫が家族がうまくいかなくて転生しながら家族の問題をやりなおす、という作品の類似作を知っているので、それに比べるとVRは少し迂遠で、VR特有のわくわくがもっとあると良くなると思いました。

編集部コメント

過去をやり直せるVRに溺れていく主人公の物語。普通にやり直すだけでは満足できず、人を殺してしまうまでの転落過程が丁寧に描かれていました。現実との区別ができなくなるラストは良かったのですが、マスターが殺人を特別視した理由が描かれておらずやや説明不足にも感じました。因果関係を緻密に組めるとより納得できる話になったかと思います。

スカイライド

齊刀Y氏

鏡貴也先生コメント

かわいいキャラで、楽しく読みました。ほとんどがセリフで書かれてしまっていて、動きの指定なども会話の中だったので、絵で場面や動きを見せることを意識しないと、漫画にしにくい気がします。そのせいで、主人公二人が会話しているだけが大半をしめてしまって、ボリュームのわりに、やっつけたい敵や、勝ちたいゲームのわくわく感の表現などを描く隙間がなかったので、そこを頑張るとよいかなと思います。

編集部コメント

独自の世界観を、しっかりと読者が理解できるものに落とし込むことが出来ていました。一つの短編として面白かったのですが、漫画にすることを考えた時には、難易度の高い話・文章構成だったように感じます。文章の力は感じますので、ぜひ次回は漫画に合わせたシナリオ作りを意識してみてください。

タイムマシンのレシピ

新馬場新

鏡貴也先生コメント

読みやすく書けていたと思います。ただ、主人公が研究していく時間がとても長く、それを読ませるインセンティブを小説なら文体、漫画なら絵と間に期待してしまう形になるので、読ませ切ることができないのではと感じました。そしてキャラがいないので、もし続編を書いていくときに、キャラを立てられるのか?という力もみてみたいなと思いました。力は感じたので、SFの形だけではなく、キャラや人間が描けるのかもぜひ見てみたいです。

編集部コメント

情景描写にとても力を入れられていて、マンガの画がイメージできる作品でした。特に、主人公がタイムマシン開発にのめり込む様子に引き込まれました。しかし、全体的に読者にとって嬉しいシーンが少ない印象を受けました。主人公が仮初でも報われるシーンがあるともっと読者を揺さぶることが出来るかもしれません。次回作も期待しております。

総評総評

  • ファンタジー・コメディ部門

    春原ロビンソン先生

    どの作品もそれぞれの良さと描きたいことが伝わってきて良かったです。
    ただ自分で作画をするネームだとこれでいいと思いますが、ネーム原作と考えるともう少し描いた方がいいと思います。
    それは絵の描き込みの話ではなく、この世界にはどういう建物が建っているのか、部屋には何が置いてあるのか、このキャラはこの時どういう仕草をするのか等キャラや世界が理解できる要素です。キレイな部屋なのか、空のペットボトルが放置してあるのかでもキャラが変わります。絵で描けなければ文字で注釈いれても大丈夫です。
    絵は作画の先生に書いてもらえますが、逆にいうと作画段階でもう何もできません。最終的な取捨選択とアウトプットは基本的に任せることになります。なのでネームに自分の脳内の全てを出しきりましょう。

    編集部

    ファンタジー・コメディ部門には、発想力豊かな作品が多く揃いました。
    その中でも、『大巨人』はキャラ・世界観の作り込みが深く、漫画化するネームとしての完成度の高かった印象です。コメディはセリフの掛け合いの面白さ、ファンタジーは漫画の読切の形に落とし込める範囲での・キャラ・世界観・物語を作ることをもっと意識してみて頂けると良いかと思いました。

  • ホラー・サスペンス部門

    みつちよ丸先生

    設定は面白いのに読みにくさを感じて「もったいない」作品がいくつかみられました。読みにくい理由は大きく二つ、「情報量が多すぎる」か「カメラワークが悪い」というのがあります。作り手としては繰り返し自分の漫画を読みながら描いているので気付きにくいのですが、読者は一発勝負で内容を理解しなければなりません。自分の漫画を時間をおいて読み返してみたり、第三者に読んでもらったりして、自分が伝えたいことがちゃんと一番前に出ているか確認してみてください。

    編集部

    ホラー・サスペンス部門では佳作以上の受賞作がございませんでした。
    投稿数自体は少なくなかったのですが、あと一歩といった作品が多かった印象です。お話を通して1シーンだけで怖がらせる・驚かせようとするのではなく、その1シーンに至るまでの過程や理由が重要です。
    幽霊や殺人鬼といった“何(モチーフ)”が怖いかよりも、登場人物たちにとって“何故”それが怖いのかを追求してみると良いかも知れません。
    生々しさなのか、理不尽さなのか、悍ましさなのか、自分の作品にとって最適な怖さ・驚きを追求して、次作に励んでみてください。

  • 職業・スポーツ部門

    稲垣理一郎先生

    職業・スポーツ部門の最終候補作は4つと少なめでしたが、それぞれタイプが違って面白かったです。
    職業ものの有利な点は「実在するものなのに新鮮」という点。
    スポーツものの有利な点は「実在するものだから目標に入りやすい」という点。
    どちらも、リアルであるが故のメリットをもっています。
    逆に、ウソがつける幅が少ないなどのデメリットもあります。
    自分の書きたいキャラクターの感情は何かを考えて、モチーフを上手く活用することが重要です。
    舞台は全て、人間を描くための装置です。

    編集部

    今回開設した3部門の中では、「職業・スポーツ部門」は最も現実に近いテーマであったと感じます。
    どんな職業やスポーツを描くのか、その中でキャラクターたちのどんな魅力をどう見せるのか、現実と地続きであるからこそ、力量の問われるテーマでした。
    その中でも人間の「五感」をキャラクターとして描く、というアイデアが新鮮だった『人体機能株式会社』に期待賞、芸術に関わるキャラクターたちを、その懊悩まで丁寧に、活き活きと描いた『アンナとアリサ』に佳作を進呈いたします。
    たくさんのご応募、誠にありがとうございました。

  • シナリオ部門

    鏡貴也先生

    漫画の原作と脚本を書いていますが、漫画の原作と脚本を読む機会はあまりないので、楽しかったです。そして漫画の審査員を何度かしたことがありますが、漫画には漫画の傾向が、原作には原作の傾向があるのだなと感じました。まず、SFと推理が多く、王道がなかった、と思いました。そして、笑ゥせぇるすまんやアウターゾーン話系が極端に多かったように思います。会話劇で進み、ほぼ動きの指定がなかったな、と感じました。それは文章原作の魅力だといってもいいですが、絵が描けないからこそ、絵の練習をしていない時間を別に使っているからこそ、こんなの描けないでしょという想像が大きく広がることや、そんなことまで研究して調べてくるんだ、ということが我々には期待されていると思います。でもきらりと光るものが多く、楽しかったです。一緒に頑張りましょう!

    編集部

    ジャンプルーキー!では初めてのシナリオ募集となり、大変多数の応募をいただき編集部一同御礼申し上げます。ただ原作さらにはネームではなくシナリオ原作として考えると、漫画家さんには決して思いつかない「企画」「キャラクター」「キャラクターの魅せ方」を欲してしまうのが本音ではあります。様々な「企画」をご投稿いただき、その点ではこの賞を実施した意味を大いに感じたのですが、「キャラクター」に関しては強い魅力的を感じる・作家性を感じるものは少なく残念でした。繰り返しになりますが、シナリオ原作者は漫画家と比べて、「作品の内容」にだけ特化した仕事です。その分、要求レベルは高くなってしまいますが、そのハードルを越える作品を是非とも目指していただきたいです。