二次審査会議の内容公開!!-第3回「少年ジャンプ+」連載グランプリ

二次審査会議の内容を公開

「連載」&「コミックス化」を決めるグランプリの二次審査!!

二次審査では、ジャンプの現場編集による連載会議で投稿作を検討!その模様をお届け!

「少年ジャンプ+」連載グランプリとは……

「少年ジャンプ+」での連載&ジャンプコミックス化等を確約する漫画賞!

第1回でグランプリを獲得した『誰が賢者を殺したか?』はジャンプコミックス全3巻発売中、第2回連載グランプリの受賞作『生者の行進』は現在連載中だ。また、第2回に設けられた特別賞を受賞した『漫殺-マンコロ-』『見栄っぱりシンドローム』も現在少年ジャンプ+にて好評連載中!

第1回、第2回グランプリ受賞作
第1回グランプリ『誰が賢者を殺したか?』、第2回グランプリ『生者の行進』

応募作の中から「いいジャン!」数が多かった上位50%、全40作品の中から編集部員が推したい作品を選考、検討を行う二次審査。
7名の編集部員たちが、一次審査を突破した投稿作品について、熱い議論を展開!

編集部員紹介
編集A
今回の議長役。フットサル日本一の経験もあるスポーツマン。溢れる体力とコミュ力が凄い。
編集B
ジャンプ+のブレーン。一人での辺境旅行をライフワークとする旅人寄りの編集者。
編集C
30代中堅編集者。狙いを絞った企画を立ち上げるのが三度の飯より好きなアイデアマン。
編集D
30代中堅編集者。癒し系から死ぬ系まで硬軟極端な守備範囲を走る東北人。
編集E
最近ジャンプ+へ加入した中堅編集。好きな漫画はアクションとラブコメ。
編集F
20代新人編集者。いつも気づけばそこにいる。編集部一の何でも屋。
編集G
ジャンプ+初の新入社員。フレッシュさを生かして、日々奮闘中。

編集部員が推す作品をそれぞれ発表……!!

編集A

編集部の皆さんお集まりいただきありがとうございます。第3回少年ジャンプ+連載グランプリの二次審査を始めたいと思います。二次審査では、一次審査を突破した40作品のなかから10作品を選出したいと思います。まず最初に各編集部員イチオシ作品を挙げていってください。

編集B

まず『歌ぶきもんっ!』。題材の面白さを評価したいと思ったのと、ストーリーを作る力も感じました。ただ、画力には多少課題があると思います。

編集B

次に『この先、どぶ沼注意』。独特の絵のタッチとネームのセンスに魅力を感じます。ただ、2~3話は、連載としての構成に物足りなさを感じましたね。続いて『エクストラ☆エキストラ』。この作品も読者の気持ちを掴む前に1話目が終わってしまうところが、連載の作品としての課題を感じました。が、ストーリーに評価できるところがあると思いました。『小さな魔女の冒険』は、読みやすく、読者にも気持ちのいい話で良かったです。が、もう少し尖った売りが欲しいですね。『椿原さんは告白させてくれない』も、正直まだ少し練りきれていない印象はありましたが、ジャンルとして今回の40本のなかでは珍しかった部分を含めて、三次審査で読者の反応を見たいと思った作品でした。

エクストラ☆エキストラ
『エクストラ☆エキストラ』
編集B

次、『サイコアゲンスト』。これは、エグいシーンの表現に力を感じました。画力には不安がありますが、表現力がまだ伸びそうだなと。『ソードスワン』は、スポーツものが今回あまりなかったこともあり評価したいと思います。キャラクターに、もう少し読者が共感できる部分が欲しかったとは思いますが。最後に『リメイズ ~マップつき~』。各ページにマップがついている部分の効果はちょっと疑問がありましたが、企画をつくったり、連載で読ませようという気概を評価したいと思いました。以上です。

編集A

続いては編集C。

編集C

まずは『ENDer』。投稿作の中で一番画力が高く、画力だけで言えば、すぐに連載していてもおかしくないレベルだと思いました。ストーリーには課題が多いですが、叩けば伸びるかなと。次に『光り輝く忍者のヤミー』。コメディですが、ハッキリしたキャラとそれをいじるキャラが近くにいるという形がしっかりとできていたと感じました。『この先、どぶ沼注意』は、編集Aさんと同じくセンスを感じました。ネームも読みやすかったので、読んでいてストレスが少なかったです。

光り輝く忍者のヤミー
『光り輝く忍者のヤミー』
編集C

『椿原さんは告白させてくれない』は、既存の作家さんの影響を少し感じましたが、ひとつの様式美みたいなものができていて、エンタメとして楽しく読めましたね。最後に『サイコアゲンスト』。設定的に破綻しているところが一部ありましたが、エネルギーを感じました。

編集A

続いて編集D。

編集D

僕の推し一つ目は『何かを得ていながらも進めない君達へ』。キャラクターと設定がかなりぶっ飛んでいて、広がりを感じました。未整理の部分、読者に伝わりにくい部分も多々あったのですが、一番、作家自身が好き放題やっていた印象を受けたのとそれが僕には魅力的にも映ったので、その部分を評価したいですね。『この先、どぶ沼注意』は、他の編集も言っていましたが、1話目の見せ方や絵柄にセンスを感じます。2~3話目が息切れしている印象はありますが、センスを推したいです。

編集D

続いて『サイコアゲンスト』。コレは面白かった。絵が不安定だけど、演出力も含めて全作品のなかで最もキャラクターに入り込めて、面白く読めました。次は『感情リペアラー』。これは逆に絵がしっかりしていて演出がちゃんと刺さったかなと。ただ、ネームの見せ方や説得力が甘く、キメシーンでキメきれてないようなところもいくつかあったのが残念でした。

感情リペアラー
『感情リペアラー』
編集D

『肩書の因果』は、設定が多かったけど、引き込まれましたし、感性も独特で楽しめました。絵が淡白なので、好き嫌いが別れるかもしれません。『君が不思議』も、人を選ぶ感じの絵柄ですが、いきなりすごい状況に読者を放り込んだうえで、楽しく読めるというのが個人的にはよかったなあと。以上です。

編集A

次に編集E。

編集E

『何かを得ていながらも進めない君達へ』。画風やデザインにセンスを感じるなという第一印象があり、読んでいくとあまり見たことがないキャラクターの妙な感情をぶつけられて、興味を持って読み進めていけました。だた、バトルの方に振っていくと、2~3話は少し興味が薄れていってしまった部分もあったんですが……。それでも、第1話のインパクトがよかったので推します。

編集E

続いて『歌ぶきもんっ!』。今回の投稿作の中では、この作品が一番お話としてしっかりしていたと思います。1話目よりも、2~3話目で「歌舞伎役者をやっている主人公がミュージカルに参加しなくちゃならない」という展開が面白くて。2~3話で引き込まれたので、これは連載としてはいいなあと思いました。『リストラ戦隊 ガンバンジャー』は、大笑いという感じではないけどクスクス笑える漫画でした。ちょっと既存作品の影響も感じますが、ギャグをたくさん入れようとしているところが良かったです。

編集E

『この先、どぶ沼注意』は、全作品を読み終わったときに一番キャラクターの名前を覚えてたのがこの漫画だった、というところで推します。正直、お話はよくわからない部分もあったのですが、演出力はあるなという感想ですね。『肩書の因果』。これも人を選ぶ絵柄かなと思いつつ、今回一番特殊なことを頑張って描いていた作品だと思いました。世界観を自分で設定して、そのなかで「天帝を倒す」という目標も自分で設置しているのは、なかなかできることじゃないと思うので。頑張って作品を作っている印象を受けました。ただ、早いうちに「妹」という主人公のモチベーションがなくなってしまい、続きを追っていくのが厳しくなりそうなので、2~3話で主人公のモチベーションを再設定してあげられると、もっと良いかなと。

編集E

最後に『リメイズ ~マップつき~』。コマ割りが細かいんですが、キャラクターたちのやっていることがとてもシンプルで、悪いヤツが誰なのかなどもしっかり描かれていたので、何が起こっているのかがわかりやすかったです。コマ割りが細かくてちょっと読みにくかった部分を除けば、かなり好きだなと思いました。以上です。

リメイズ ~マップつき~
『リメイズ ~マップつき~』
編集A

では次は編集F。

編集F

『歌ぶきもんっ!』が今回の投稿作の中で一番おもしろかったと思いますし、歌舞伎をやっている主人公のカリスマ性とかが読んでいて気持ちよかったなと思います。歌舞伎シーンの演出も真新しかったですね。『リストラ戦隊 ガンバンジャー』もキャラクターが良かった。2~3話で新しいキャラたちが増えて、ギャグの幅が広がっていくのも面白かったです。『肩書の因果』は、設定がいいですね。1話目はわらしべ長者っぽくて面白かったです。あとは、『星の願いを』。テンポのいいギャグで、構成的には淡々としていたけど、面白かった。読んでいて不快感がまったくなかったので、いいんじゃないかなと。

リストラ戦隊 ガンバンジャー
『リストラ戦隊 ガンバンジャー』
編集A

次は編集G。

編集G

僕は『シュポンターン!』が、雑学漫画として「ドイツってこういう感じなんだ」と、興味を惹かれました。『この先、どぶ沼注意』は、キャラと演出が立っていて面白かったです。『サイコアゲンスト』も、グロ描写がありつつもストーリーは一応勧善懲悪のような形になっていて。ただグロいだけでなく、主人公が目的を持って何かをなしていくところが描かれていて、物語を作れている印象を受けました。

編集G

『君が不思議』は、個人的に今回一番面白かったので激推しです。設定的に、いくらでも新しいキャラクターを作って登場させられそうな作品ですが、2~3話目も既存のキャラを絡めてお話を作っていたのが印象に残りました。最初は、出オチの漫画なのかなと思ったんですが、2~3話目も重ねて面白かったので、推します。あとは『ソードスワン』。今回スポーツものが少なかったけど、結構特殊なことをやりつつ、剣道の面白さを描けていたので良かったと思います。以上です。

編集A

最後に自分が。まずは、『ENDer』。難しそうな設定もありましたが、1話目だけ見ると、演出力や絵は十分連載で戦っていけそうな力のある作家さんと感じました。続いて『リストラ戦隊 ガンバンジャー』。テンポがよくて、面白く話を読めました。キャラ同士の会話でも笑いが取れていたのが良かったと思います。あとは『この先、どぶ沼注意』。皆さんも言っている通り、1話目で引き込まれました。画面も見やすく読みやすかったです。センスを感じる作品でした。最後に『ソードスワン』。ちょっと少女漫画っぽい作りなのかな。でも、自分の中では今回の応募の中で、最も3話を通してのお話が丁寧に作られていた作品だと感じました。

ENDer
『ENDer』

数々のイチオシ作品に対して各々の意見を発表!

編集A

各編集部員が推したい作品が出揃ったので、ここから三次審査へ進出する作品を選びたいと思います。まずは2人以上が推した作品から観ていきましょう。2票以上入っている作品は『ENDer』『何かを得ていながらも進めない君達へ』『歌ぶきもんっ!』『リストラ戦隊 ガンバンジャー』『この先、どぶ沼注意』『椿原さんは告白させてくれない』『サイコアゲンスト』『肩書の因果』『君が不思議』『ソードスワン』『リメイズ ~マップつき~』以上11作品。 他の漫画賞なら、この11作品が三次審査に進んでもいいところですが、連載グランプリという「ジャンプ+の連載とコミックス化」が決まる賞なので、この11作品について本当に連載に耐えうる作品なのかどうか、しっかり議論していきたいと思います。

編集A

編集部員の票が多い順に検討を進めていきます。まず最初に『この先、どぶ沼注意』。6人が推していますが。

編集B

センスが抜群だから、他の漫画賞だったら即決まりと言ってもいい気がするんですが、今回は連載グランプリなので、このままの構成で連載していいのかは気になりますよね。

編集A

たしかに2~3話目は修正はしないと難しいのかなと感じましたが。

編集D

それを読者に問うてみるという意味で三次審査に残したいです。

編集C

そうですね。試す価値はあると思います。

編集A

一番票を集めていますし、1話目は本当に引き込まれる作りになっていると思います。それでは『この先、どぶ沼注意』は三次審査に残すということで。

この先、どぶ沼注意
『この先、どぶ沼注意』
編集A

では次は『サイコアゲンスト』

編集A

絵が拙い部分がありますが、1話目はショッキングな内容で引き込まれましたね。

編集C

オレが読み取れてないだけかな。1話目の最後で主人公が撃たれて耐えられた理由がわからなかったんですが……3話目で明かされるのかな?と思ったら特に明かされてなかったよね?

編集C

若干設定的にわからなかった部分はあったんですが、エネルギーは感じました。それにキャラクターの感情描写が上手いですよね。

編集E

そうですよね。でも2~3話で主人公と関係ない話になっていくのは気になりました。世界を描きたいということなんだろうから、そこは連載向きだと思いましたが。構成としてはあまり上手くないけど、描きたいことがあることは伝わってきます。あと主人公が「絵が下手」っていう細かい設定も地味に好きでした。

編集A

『サイコアゲンスト』残しますか?

編集C

よっぽど反対したい人がいない限り、いいんじゃないでしょうか。読者に問いましょう。

編集A

それでは『サイコアゲンスト』は二次審査突破決定です。

サイコアゲンスト
『サイコアゲンスト』
編集A
次は『歌ぶきもんっ!』

編集B

この中で一番推すならこの作品ですね。欲を言うと役者さんの見得を切るシーンは、キャラを描写する画力があればもっと活きるなと思いましたが。でも演出など含めると総合的にすごくいいし、お話もいいしぜひ残したいです。

編集A

毎回引きが作られていましたよね。

編集D

僕は推していませんが、編集Eが言っていたように2~3話目が面白かったというのはその通りで良かったです。ただ、肝心の1話目で主人公に興味を強く持つとか、「目を離せない!」みたいな感じにならなかったのが、漫画としてはかなりマイナスだなと思って。でも2~3話目の展開は面白かったです。

編集E

自分はこの作品を三次審査に残したいです。

編集A

では、残したいという声も多いので『歌ぶきもんっ!』は、二次審査突破で。

歌ぶきもんっ!
『歌ぶきもんっ!』
編集A

続いて『リストラ戦隊 ガンバンジャー』はどうでしょうか。

編集E

個人的には楽しく読めました。今回ギャグ作品が少なかったんですよね。

編集B

この中では完成度が高いですが、ただ連載して人気が取れるか、コミックスが売れるかという部分で考えて、僕は票を入れませんでした。

編集D

ヒーローモノのギャグって言うと、もっとオリジナリティのある企画が見たいという気持ちが正直あります。既存のヒーローモノギャグ作品を超えるほど、ギャグの中で目新しいとは思わなかったので推しませんでした。

編集G

対象年齢が低そうな印象があって、ジャンプ+よりも、どちらかというとノリが「最強ジャンプ」っぽいのかなと感じました。登場キャラの年齢は高いですが。

編集A

まあわかりやすいギャグだったよね。

編集D

うーん、保留にしたいな。

編集A

では保留で。次『肩書の因果』はどうでしょう。

編集B

画力はあるけど、漫画の絵としてはちょっと入りづらさが…。

編集E

堅い感じはしますね。

編集A

僕は主人公の表情が薄いと感じてしまったなぁ。

編集B

リアルなんだけどね、ストーリーも相まって入りづらさを感じた面があります。この作家性が活きる企画もあると思いますが。

編集E

人気が獲れるかは怪しいですね……。でも、一番難しいことにチャレンジしている感が好きで。世界観を自分で作って、ちゃんと読めるように描いているところは評価したい。

編集D

そうですね。他の新人さんがやらないことをやってるというのを評価してあげたい。読みにくさとか絵の堅さは、うまく行けば「味」になるのかもしれないし。

編集A

そうですね。そういうのを問う意味でも残しますか。『肩書の因果』二次審査突破です。

肩書の因果
『肩書の因果』
編集A

続いて、『ソードスワン』はどうでしょうか。

編集G

単純にとても面白かったです。作品としては女性向けだなとは思いましたが。そこもいいなと。

編集A

自分は、今回の中で3話通しての構成が一番丁寧に作られている印象を受けました。ただ、連載での人気だったりコミックスが売れるかとなると、もう少し仕掛けと言うかパワーが欲しいなとも思いました。

編集B

スポーツものとしてはちょっと地味かもしれませんね。でも主人公にはちゃんと企画が入ってますね。

編集E

票入れてないですけど、読みやすかったですし反対する意見はないです。

編集A

ちょっと少女漫画っぽい作りではありますが、そういう部分も含め読者に問うてみるのもいいんじゃないでしょうか。突破決定にします。

ソードスワン
『ソードスワン』
編集A

次は、『ENDer』

編集B

ちょっと難しさがありましたね。

編集D

漫画は絵も大事だから『ENDer』が「いいジャン!」で1位を取ったのは納得できる。ただ、作品全体を通して先々の連載を決めるとなると、ちょっと考えちゃう。だから僕は推せないと思いました。

編集A

2話目以降、主人公の影が薄いんですよね。1話目は良かったけど、連載というものを考えたときに企画として難しい気もします。

編集D

ネーム力はもうちょっとほしいですね。絵が抜群にうまいからそれで評価されるのもわかるけど。

編集E

読んでいてお話の結末が腑に落ちない感じはあった。これは本当にハッピーなのかなって。

編集C

女性が好きなオラオラ系主人公なのかな。でもちょっと魅力が乏しいかもしれない。上手いですけどね。

編集A

じゃあ『ENDer』は保留で。続いて『何かを得ていながらも進めない君達へ』

編集D

一番個性的だったかなと。読者に試したい。

編集E

僕もそういう気持ちですね。

編集A

設定のゆるさとか、細かく気になるところはあるけど、読者を驚かせようとしている感じはある。

編集D

勢いとか読者を驚かせようという意識が一番強かった印象はありますよね。ただ、それが強すぎて読者がついていけないところもあるかもしれないので、読者に問うてみたいという意味で三次審査に進めたいです。

編集A

じゃあ突破ということで。

何かを得ていながらも進めない君達へ
『何かを得ていながらも進めない君達へ』
編集A

次は『椿原さんは告白させてくれない』

編集F

僕はこの作品はもう一歩でした。申し訳ないですが、そこまでヒロインを好きになれず…。

編集B

どこがもう一歩なの?

編集F

告白したいって思っている主人公に対して、とにかく躱していく様子が、僕が主人公だったらちょっとショック受けちゃうなと。

編集C

そういう主旨の漫画だから(笑)。

編集B

そこに「この女の子はどういう子なんだろう?」と想像してしまうのが、この作品のある種の魅力だと思います。僕としてはそれを三次審査で読者に試してみたい。

編集A

じゃあ三次審査に残す方向で。

椿原さんは告白させてくれない
『椿原さんは告白させてくれない』
編集A

『君が不思議』はどうでしょうか。

編集E

僕はこれに票入れてないけど結構推したいな。

編集G

読んでるとき爆笑したのがこの漫画なんですよね。キャラがずっといじれていて、2~3話でもうそのキャラ出さないのかなと思ったら、その後も絡んできていて。

編集E

2話目にあった「宇宙人からはすぐ解放されました」っていう、いい加減さが面白かった。

編集A

会話のやり取りは面白かったかなと。じゃあ残しますよ。

君が不思議
『君が不思議』
編集A

次は、『リメイズ ~マップつき~』

編集E

一応推しましたが、ずっとマップがあるのはうっとうしいかもしれない。昔のダンジョンゲームの雰囲気を出そうとしている感じは好きなんですが。

編集D

見せ方としては新鮮に見えるよね。今回はあまり上手くいかなかったかもしれないけど、こういうことへの挑戦は続けてほしい。

編集C

恐らくゲームのワクワク感を漫画でも出そうとしたんだろうけど、今回はちょっと技術が達していなかった。

編集D

話ずれますが、「いいジャン!」22位の『懸案事項対策委員会』もそれに近くて。テロップを出したり、アニメ的な文字の入れ方に気を遣っていて。このあたりの作品は推してはいないけど、新しい表現を狙っているのは評価したいと思いました。ただ、それがまだうまくハマってなかったかな……。

懸案事項対策委員会
『懸案事項対策委員会』
編集E

あとは、2話目でヤンキーが顔を奪われて出てくるところがピークっぽくて、これ以降面白くするのは難しいんじゃないかと自分としては思ってしまったのもあります。

編集A

じゃあ残念ながら『リメイズ ~マップつき~』は見送るということで。

保留作品を再検討! 最終的に三次審査へ進む作品は……!?

編集A

これで2票以上入った作品をひと通り見てきました。保留にしている作品があるので、今一度検討していきましょう。まず『ENDer』はどうでしょうか。

編集G

絵はとても魅力的なんですが、やっぱり話の部分でまだ連載には物足りないかなと。キャラたちがもう一息足りなくて、主人公に今一共感できませんでした。

編集E

主人公の能力が「かっこいい」と思うところまで描けていないと思ったんですよね。むしろ主人公の悪印象に繋がっている気がして……そこが気になりました。

編集B

設定や能力をうまく使えていないところはあるよね。今回は見送りますか。

編集A

それでは、画力は十分評価できますが、今回『ENDer』は見送る方向で……。次は『リストラ戦隊 ガンバンジャー』

編集E

この作品を推してはいるんですが、ちょっと細かい笑いが多くて、ストーリーの流れはできてるのに大きな笑いにテンポアップしていく感じが無かったので、構成力はもう少し欲しいなと思ってしまいました。その構成力を補う、とんでもないギャグセンスを持っていて欲しいんだけど、そこまでは感じなかったかな…と。

編集A

そういった意味では企画に新しさが乏しかったか……。

編集C

類似作品はあるしね。それにくらべて秀でたものがあるかというと……。

編集A

それでは今回は残念ながら……ということで。以上、11本の検討が終了しました。現在、三次審査進出が決定したのは8本です。1票しか入っていない作品についても、検討をしてみますか。一人しか推していなくても、強いプッシュがあれば連載が始まるというケースもありますので。

編集C

『光り輝く忍者のヤミー』は、オレが推したんですが、さっき言ったように隠密だけど光っていて性格も明るいという主人公のキャラに企画があったと思います。近くに普通の忍者のツッコミ役もいて楽しい。掛け合いが面白かったです。読みやすくて好感度も高い。でも、それ以上のものになっていないところが気になりました。2~3話と読み進めていく上で、1話ほどの「なるほど!」という納得感を超える面白さや広がりは乏しかったかなとは感じます。

編集A

テンポが良くて読みやすいところは力を感じたんですけどね。連載に耐えうるかというと、一発ネタという感じがしました。

編集C

そうですね。

編集A

では残念ながら…ということで。次は『シュポンターン!』

編集G

唯一の雑学系の漫画でいいなと。ドイツだけというのが間口が狭い気もしますが、豆知識を入れているのが良かったです。ただ、キャラ性やストーリー性がなかったので、そこはもっと漫画としての面白さを入れ込めるといいなと思います。

シュポンターン!
『シュポンターン!』
編集B

体験エッセイ漫画ってたくさんあると思うけど、そういう既存の人気作と比べると埋もれてしまう気がしますね。

編集C

人気のあるエッセイ漫画は、愛されるキャラや絵の工夫があるので、それらと比べると足りないかなと……。

編集A

そうなんですよね。それでは次に『エクストラ☆エキストラ』。設定は面白そうなんだけど、それが活かしきれてない感じがしました。

編集D

そうですね。1話目の最初は面白かったけど、だんだんしぼんで行っちゃったなと思います。

編集E

広げた風呂敷の閉じ方がわからなくなっちゃった印象はありましたね。

編集A

はい、では『エクストラ☆エキストラ』も残念ながら見送る方向で。続いて『小さな魔女の冒険』

編集B

読みやすくてよかったかなと思いますけど、どうでしょう?

小さな魔女の冒険
『小さな魔女の冒険』
編集E

タイトルと読んだ印象が違うなと思いました。

編集G

僕は男のキャラにあまり感情移入できなかったんですよね。すぐ心変わりして仲間になればよかったのに、1話通して裏切りそうなところもあって。そこで個人的に引っかかってしまったのが残念でした。

編集A

それでは、残念ながらということで。次『感情リペアラー』はどうでしょうか。

編集D

自分が推したんですけど、ちゃんと絵がうまくて、ちゃんと見せることができているんですけど、企画の難しさにまだ演出が追いついていないというのが、ほかの皆さんの評価がいただけていない結果だと思います。

編集B

完成度は高いけど、設定の中にキャラが埋もれている感じが気になりました。

編集A

もっと設定をしっかりしたほうが物語がわかりやすくなるのかなと思いました。では、こちらも残念ながら二次審査突破ならずということで。次は『星の願いを』

編集F

淡々とした主人公が他人の夢に振り回されていくのが面白かったです。ハムスターもうっとうしくて可愛かったかなと。とにかく読みやすくて不快感も全くなくテンポもよかったかなと思います。

星の願いを
『星の願いを』
編集A

企画はシンプルで分かりやすかったけど、連載するにはレベルをもう一段階上げたいと思いました。

編集E

引っかかりが弱い感じはしたかな。続きを読みたくなるかというと、ちょっと弱くは感じました。Twitterとかで流れてきたら読んじゃうと思いますが。

編集A

では『星の願いを』も見送るということで。以上、タイトルが上がった作品全ての検討が終了しました。三次審査進出が決定したのは8本です。本来なら10本前後決める審査ですが、皆さんそのあたりについてどうでしょうか?

編集B

もちろん10本残したいんですが、全体として第1回、第2回の連載グランプリと比べて少しレベルの低さを感じるところがありました。連載をする、コミックスを出すと考えたときに、今回あと2本選ぶのが難しい部分があるかもしれませんね。どうでしょうか。

編集C

正直、その通りで。以前と比べると全体的に低調だと感じました。違いとしては1、2回目の連載グランプリでは、作品ごとに一つ勝負どころに「人気を取るんだ」「売れるんだ」という強い思いを感じたんですが、今回は武器があっても自分の好きなことをやっているところで止まってしまっている作品が多いように感じました。なので、8本でも致し方なしだと思います。

編集E

今回残った8本に関しては、バリエーションがあって、作家自身がやりたいことが全力でやれている感じがあって、この先読者からの投票でどんな結果が出るか楽しみにしています。ただ、全体としてはやりたいことは伝わってくるけど読み手の人に伝える力が足りていない方が多いのかなと感じました。コミックスや連載にすると考えると、技術はある程度必要になってくるので。選考に落ちた人に関しては否定しているわけじゃなく、レベルアップに期待していますので、頑張って欲しいですね。

編集A

そういうわけで、本来10本選ぶところですが、今回の連載グランプリは8本が三次審査へ進出ということで。 改めて挙げていくと、『何かを得ていながらも進めない君達へ』『歌ぶきもんっ!』『この先、どぶ沼注意』『椿原さんは告白させてくれない』『サイコアゲンスト』『肩書の因果』『君が不思議』『ソードスワン』。以上の8作品となりました。こちらで決定したいと思います。

二次審査突破は8本! 編集部員たちの総評は?

編集A

最後に、今回の連載グランプリ審査に参加した感想を。まずは、編集G。

編集G

連載グランプリの審査には今回初めて参加させてもらいました。僕の中では推したいものが何作品かあり、その作品がどんな順位を取るのか興味がありますし、他の編集部員が推していた作品もどんな順位になるのか見てみたいという気持ちがあります。審査を突破したのはそんな8作品なので、今後に期待しております。

編集F

僕も初めて参加させてもらったんですけど、どの方も3話分描くにあたって一生懸命考えてくれていて楽しく読めました。ただ、第1回、2回目の連載グランプリで連載が決まった作品と比べると、まだ少し足りない部分がある作品も多かったのかなと。でも、今回はジャンルも多かったので、もっともっと濃い作品を投稿してくれる方が増えるといいなと思います。

編集E

個人的には初めての連載グランプリの審査ですが、バリエーションのある色んな作品が揃っていて楽しかったです。そのなかでも2~3話目が面白くて「4話目を読みたい」と思える作品を推したつもりです。皆さんのやりたいことがしっかり伝わるようにこの先も頑張っていただいてチャレンジしていだけたらなと思っております。

編集D

毎回言っていますが、漫画を3話分描くという大変な作業を乗り越えて応募してくださり、本当にありがとうございました。ただ、他の編集も言っていますが、残念ながら第1回、2回目の連載グランプリと比べると全体に低調なのは事実としてあるので……。ただ、これは応募いただく方々というよりも、我々のほうがもっと賞をブラッシュアップさせて、より魅力的な形にしなくちゃいけないと思っています。そういう思いを含めて、来年以降もお待ちできればと思います。

編集C

応募していただいた方々本当にありがとうざいます。ということとともに、「少年ジャンプルーキー」というサービス自体はだいぶ浸透してきているにも関わらず、前回に比べるとレベルが低調に感じました。それは投稿者の皆さんというよりは運営側の賞のやり方が問われているのかなと反省する部分もあります。次回は賞自体の仕組みや開催方法を考えて、さらに作家さんをプロデュースしていく……この連載グランプリは「そのまま連載できる」というのがひとつの魅力ではありますが、それ以外にも作家さんの才能を引き出して、その良さをより世の中に知らしめていくという部分もあります。そういった編集部全体の価値をもっと皆さんにアピールして、たくさん投稿してもらえるように努力したいです。

編集B

今回はいい意味で原石というか才能を感じたり、これから一緒に打ち合わせをして作品づくりのお手伝いをしていきたいと思える作家さんにたくさん投稿していただいたと感じました。一方で、まだ連載やコミックス化に足りていない、完成度が低い作品が多かったという印象も受けました。ただ、それは来年に向けてチャンスでもあるので、次回もたくさんの投稿をお待ちしております。

編集A

繰り返しになってしまいますが、3話分という大変な作業をして応募してくださった方たちに感謝を申し上げたいと思います。前回と比べると3話を通して読んだときに力が及ばず毎話パワーダウンしてしまっている印象がある作品が多く感じました。逆に言うと、来年は3話分をしっかり作り込めれば突破の可能性もあると思いますし、そういったところを意識して作品づくりをしていただけるといいのかなと思いました。あと連載やコミックスが確約されている賞ですので、作家自身の「こういう作品が描きたい」という強い思いがもっともっと見たいので、ぜひそういったところも意識していただきたいです。これからも「少年ジャンプルーキー」への投稿をお待ちしております。そういうわけで連載会議は以上となります。本日はありがとうございました!

今回惜しくも三次審査に進めなかったその他の力作たちへ、若手編集者FとGによる一言コメントも公開中!! こちらをチェック!!

二次審査を突破した8作品は、11月20日より順次少年ジャンプ+にて公開! 読者からの「いいジャン!」数上位5作品が最終審査へ! 最終審査では、少年ジャンプ編集長と副編集長を交えた連載会議にかけられる。そこでグランプリと準グランプリの作品が決定するぞ!!

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以上、会議で選ばれた8作品が 少年ジャンプ+で行われる三次審査に進出します!!!