世にも奇妙な物語×少年ジャンプ+ presents 『奇妙』漫画賞の結果発表です!
準大賞が3本、佳作3本が出ました。
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「オトドケモノ」
作品を読む選評
宅配という一つのアイデアでしっかりと膨らませることが出来ていました。
また、「配送料」に着目したところが新鮮で、ルールもわかりやすく、テンポよく奇妙な展開が続くのも好印象でした。
オチも驚きがありましたが、さらにもう一展開、裏切りのあるラストが作れると良くなるように感じました。次回作に期待しています。
「幸福のシーソー」
作品を読む選評
自分と運命の相手の<幸福度>が常に反比例してしまうという企画。主人公やヒロインが不幸になっていく恐怖だけでなく、クライマックスの美しい自己犠牲により、主人公の格好良さや切なさも味わえる素晴らしい作品でした。一点だけ、挙げさせてもらうと、キャラクターのデザインが良い意味でも悪い意味でもテンプレに感じてしまった為、今後もご自身にしか描けない絵・デザインを追求し続けて欲しいです。
「冷静な彼女」
作品を読む選評
「友人のベッドの下に見知らぬ男がいる」という状況から冷静に考えを巡らせる様が面白く、友人側の描写による伏線回収も見事で、2人の冷静さが生み出す顛末に心惹かれる作品でした。
持ち味であるモノローグの多さが映像化の難しさにつながっていましたが、作品の独自性を際立たせていたとも思います。
「馬鹿と渡部と無能な天使」
※この作品は投稿フォームからの応募作となります。
選評
キャラクターが魅力的でしたし、ストーリー全体も綺麗にまとまっていた作品でした。キャラクターの表情が豊かだったところも良かったです。オチの部分にもう一捻り、または読者が「なるほど!」と思える展開を作ることができたらなお読者が楽しめる作品になったと思います。また、作品の中に出てくるキーワードやモチーフにも何か意味を付け加えることができればより全体として丁寧な作りになったと思うので、ぜひ次回作ではそういったところを意識してみてください。
「ボットン便所」
選評
ボットン便所でストレスを排泄するという一見間の抜けた企画にも関わらず、人間の感情をリアルに描いていて最初から最後まで物語に引き込まれました。デフォルメの効いた可愛らしい画風で、非常に読みやすいことも好感が持てました。ただし、そのオリジナリティ溢れる画風のせいで、キャラクターの顔が視認しづらかったり、時制が分かりづらく感じる部分がございました。現在の画風で固めてしまうのは少し勿体無く感じる為、更なる進化を期待しています。
「イカロス病」
選評
承認欲求の描き方が巧みで、考えさせられるテーマ性のある物語でした。
心情表現も丁寧で、他人を見張る人々の正義感覚を神様と結びつけているのも上手かったです。
画力も高い一方で、ドラマ化のハードルは高めで、ストーリー展開にはやや意外性が足りない印象がありました。次回作を楽しみにいています。
「足を洗う」
作品を読む選評
よく知っている言葉から独自性のあるストーリーを作っている作品でした。発想や表現が新鮮で、作品の雰囲気も丁寧に作っていたので読者の印象に残る作品になっていました。後半やオチの部分にもう一つ展開があればより驚きのある作品になったと思います。また、企画のアイディアの部分をキャラクターの魅力に繋げきれていない部分が少し残念でした。次回作ではぜひキャラクターを魅力的に見せる演出や展開を研究して、より読者を楽しませていってください。
「市松人形」
作品を読む選評
画力、演出ともにクオリティが高く、ホラーとしての怖さがしっかりある作品でした。
呪いの市松人形が実は守ってくれていた、という展開は、ある程度予想できてしまったのが勿体なく、ドラマ化にあたってはもう一捻りほしいところです。
「3.4%」
作品を読む選評
ホラーともコメディとも違う奇妙な場面が展開され、楽しく読めました。動画配信者になる展開も今風です。
ただ、その後のオチが意外性に膝を打つというより、疑問の方が強く残ってしまったのが残念でした。絵も含め独特の雰囲気を持った作家さんなので、更なる力作を期待しております。
「生命体Xの記ろく」
作品を読む選評
謎の生命体Xを調べる男の子のお話。『世にも奇妙な物語』と考えるとより驚きやストーリー性が欲しいところではありましたが、主人公の純粋さが胸を打つ作品でした。
話を進める際のコマの進め方が一定で淡々と見えてしまう箇所があったので、メリハリをつけられるように意識してみてください。次回も期待しております。
「価値観」
作品を読む選評
身近な習慣をモチーフにしてしっかり人間の怖さを描ききった作品になっていました。全体の雰囲気もいい意味でぼんやりと暗く、読者を作品に没入させられていたと思います。雰囲気が作り上げられていただけに、オチの部分がやや弱くなってしまったところが少し残念でした。序盤の勢いのまま驚きのあるオチがあれば、より読者の印象に残ったと思います。次回作では読者が驚くようなオチを作品全体を通して作っていくことを意識してみてください。
「アンコールは終わらない」
作品を読む選評
日常的なシチュエーションから、一歩踏み外すと「奇妙」になっている、という企画は面白かったです。
ただ、オチの良い意味での違和感だけがウリになってしまっているので、全体的に読者をどんどん引き込む展開や転回が欲しいところでもありました。
その点を意識すると漫画としてもより面白いものが出来るはずです。
「影送り」
作品を読む選評
影送りという一般的に知っていそうな人が多い題材であり、物語も手堅くしっかりと描かれていました。ですが、全体が長いわりにオチが性急だったのがもったいなく、何よりこの作品ならではの引きが足りませんでした。影送りをきっかけにして何か一つ心理的にも追い詰められる恐怖があると良かったかと。また映像化する際にCGありきの演出が多くキャラクターにスポットが当たっていなかったので、そこを詰められると、一歩上に行けた作品だったと思います。
沢山のバラエティ豊かな作品をご投稿いただき一同感謝いたします。
「ドラマ化に向いた作品」「漫画として面白い作品」「作家として将来が期待出来る作品」がそれぞれ異なり審査会でも様々な意見があがりました。
その中で賞の第一目的である「ドラマ化に適した質の高い奇妙な作品」と評価された作品を受賞とさせていただきました。
全体的にはシチュエーション(企画)自体は面白かったのですが、そのまま飛び道具(出オチ)的な作品が多かった印象でした。
そこで留まらず一歩質をあげて「伏線→伏線回収→最後のオチ」の読者を楽しませる普遍的な構成が効いた作品であれば、より評価されるものも多数あったはずです。
今回の準大賞の3作品は描写の難易度の関係もあり現状「ドラマ化検討」となっておりますが、前向きに実現に向けて進めさせていただきます。
ドラマ化の実現を楽しみにお待ちいただければ幸いです!