二次審査 会議内容公開-第2回「少年ジャンプ+」連載グランプリ

二次審査会議の内容を公開

pixivからの応募作も参戦し、「連載」&「コミックス化」を決めるグランプリの二次審査はますます紛糾!?

ジャンプ現場編集による「連載会議」の模様を公開!!

少年ジャンプ+連載グランプリとは……

グランプリ作品には「ジャンプ+」での連載とコミックス化が確約されるという異例の漫画賞。第1回のグランプリ作品『誰が賢者を殺したか?』は、2016年7月より「ジャンプ+」で連載を開始し、11月には第1巻を刊行。現在でも「ジャンプ+」を支える作品として活躍している。

誰が賢者を殺したか?
『誰が賢者を殺したか?』

また、特別賞を受賞した『レプトイド』は短期集中連載という形で「ジャンプ+」配信作品となり、独特の世界観で話題を呼んだ。
第2回となった今回のグランプリでは、少年ジャンプルーキーのほかイラスト投稿サイトpixivからの応募も受け付け、さらに多様なジャンルの作品が集まる事となった。

第1回グランプリと同様に、二次審査はジャンプの現役編集部員たちによるガチンコ勝負! 一次審査を突破した数々の力作から、プロの編集者たちが認めた漫画とは……。「連載、そしてコミックス化に足りうる作品」を選ぶため、応募作品に本気で向き合う編集部員たちの熱き漫画論争をご覧あれ!

編集部員紹介
編集A
今回の議長役。「ジャンプ+」を支えるブレーン的存在で山登りが大好き。
編集B
趣味はダイビングのベテラン編集。現場最年長。最近ギックリ腰になる。
編集C
30代前半の中堅編集。ラーメン二郎が大好き。
編集D
30代前半の中堅編集。動物と漫画家だけに癒される人生。
編集E
三十路になったフレッシュ編集。「ジャンプ+」で現場最年少。フレッシュ感はもう無い。

まずは、各編集部員のイチオシ作品を発表!!

編集A

これから第2回連載グランプリの二次審査を始めたいと思います。まずは各編集部員が推したい作品をそれぞれ挙げていってください。では、編集Bから推したい作品と、その理由をお願いします。

編集B

まずは『漫殺-マンコロ-』。この作品は、企画のレベルが高いというのが第一印象でした。漫画×デスゲームという、分かりやすいキャッチーな企画をしっかりと作品に落とし込めていたよね。4話目以降は展開をちゃんと考えないと難しいかな、とも思いましたが、非常に高いレベルにある作品でした。続いて『生者の行進』。読者を怖がらせようというホラーの基本を頑張って描いていたなって印象です。あとは『冷蔵庫少女ナノイさん』。設定にちょっとした変化球を混ぜつつ、普通のラブコメとしてもしっかり楽しめました。

編集B

『ザンガイム』は……良くわかんないけど凄いという感想です。漫画家としての才能は感じられたので、現段階では荒削りでまだ評価できないけど、個人的な期待も込めて推します。最後に『見栄っぱりシンドローム』ですが、この作品はヒロインと主人公との掛け合いが楽しく、それぞれのストーリーが「見栄っぱり」というタイトルにこだわったネタになっているのが好印象でした。以上です。

ザンガイム
『ザンガイム』
編集A

続いては編集C。

編集C

僕も『漫殺-マンコロ-』です。今回の応募作品の中では、一番「連載する」という事への意識が高い作品でした。毎話、盛り上がりや引きをきちんと作っていて、連載漫画という形式への企みがあったという印象です。次は『冷蔵庫少女ナノイさん』。この作品も、ナノイさんという女の子を可愛く見せるというウリがはっきりしていました。

編集C

続いて『不良警備』。特定の作品の影響が色濃く見受けられましたが、他の作家さんから影響を受けるというのは決して悪いことではなく、自分の好きなものを描いていく、という意識がすごく伝わってきて好印象でした。あと、不良漫画っていう題材は「ジャンプ+」にも欲しいジャンルだと思うので推したいです。

不良警備
『不良警備』
編集C

あとは『宿らせ恋劇』。この作品の絵からは、エネルギーを感じられました。最後に『ロク☆ドク』。小豆洗いが可愛く描けていて、主人公以外のサブキャラにも魅力的なのがいる、というところに光るものを感じます。

編集A

では編集D、どうぞ。

編集D

まずは『漫殺-マンコロ-』。毎話盛り上げを見せ、次回への引きを上手く作っていこうとしている意識の高さは、今回の応募作の中では一番です。連載ネームというものを、ちゃんと意識して漫画を作っていますね。続いては『生者の行進』。この作品は題材自体はそれほど珍しいものではないんですけど、ページをめくった読者をはっとさせる事を意識して描かれていて、クオリティが高いなと思いました。ただ、ちょっと説明のセリフが多かった印象です。次に『アルティメットお遊び』。この作家さんはルーキーで『アルティメットジャンケン』という作品を投稿してくれていて、そちらも面白い作品でした。毎話、能力やトリックのアイディアが必要な漫画なんですが、そこから逃げずにしっかりとゲームを描いていて、それが成功しているっていうのは好印象です。

編集D

あとは『僕らはうたう』。僕の勝手な想像ですが、たぶん最初は1話読切の漫画として構成していて、そこから今回のグランプリ用に2~3話への引きを作ったのかな、というように見えました。世界観の見せ方や絵の雰囲気など、1話だけを見れば作家としてのレベルが非常に高いと思わせられた作品です。ただ、2~3話がとってつけたような展開になっていて残念ですね。

編集D

続いて『破滅的発明少女メルヒちゃん』。この作品はキャラクターがすごく可愛くて、そのキャラを中心に企画を作る、という意識が光って見えました。ただ、これも2~3話に進むにつれて息切れしているな、という印象です。最後に『わらかしボーイ×こらえガール』。企画のインパクトはそれほどなかったんですが、読者から好感を得られるキャラクターを描いている、という点を推したいと思います。

破滅的発明少女メルヒちゃん
『破滅的発明少女メルヒちゃん』
編集A

では次は編集E。

編集E

まずは『漫殺-マンコロ-』。やっぱり企画として分かりやすいですし、他の編集部員の言うように引きをしっかり意識していて、3話までまとめる上手さが感じられました。次は『生者の行進』。これも続きが気になるような作りになっていたし、ジャンルがWEBと相性の良いホラーというのもポイントです。続いて『ザンガイム』。ストーリーは良く分からないところもあるんですけど、自分だけの世界観を持っていて、それがちゃんと漫画に表現されていたので、才能のある作家さんだと感じました。

編集E

あとは『通り魔デスデサイズちゃん』。世界観が不思議な感じで、主人公のサイズちゃんのキャラが自分的にはツボでした。

編集D

この作品は少年ジャンプルーキーに読切が投稿されていたね。

編集A

2話目まで投稿されていて、現在でも公開中です。

編集E

次は『ロク☆ドク』。絵柄が可愛らしく、妖怪と男の子とのお話も上手くまとまっていたと思います。あとは『見栄っぱりシンドローム』。男の子と女の子の関係性をにやにやしながら楽しめて、最近の流行に乗っている作品、という印象です。また、同じような企画として『わらかしボーイ×こらえガール』も、にやにやできるキャラや関係性を描けているという点で推したいです。

編集A

では最後に私が推す作品ですが、まずは『漫殺-マンコロ-』。この連載グランプリ自体が漫画を描く人々に注目されている賞なので、読者投票での支持が得られやすい題材を選んでいて、今回のグランプリの制度を上手く利用しているなと思いました。一方で、三次審査や、仮に連載となった時に、漫画を描いたことのない一般の人々から共感が得られるのか、という心配も残ります。次に『生者の行進』。霊のデザインが良かったです。ただ、ちょっとテーマがありきたりなので、そこは課題かなと思いました。続いて『アルティメットお遊び』。明るく、テンポの良い作風は評価できます。物語のメインであるゲームが始まる前に、主人公などのキャラクターに共感できないまま進むのはちょっと気になりましたけどね。

編集A

その次は『冷蔵庫少女ナノイさん』。題材や作品のノリがスマホで読む漫画に向いています。あとは『ザンガイム』ですが、キャラのディテールやデザインなど、画力はすごいと思います。ただ、超人同士がバトルする展開に入りづらさも感じました。

編集A

続いては『僕らはうたう』。こちらは地味な会話の連続で間延びするところもありつつ、題材やテーマ、作品全体の雰囲気に魅力を感じました。あとは『だって僕は馬鹿だから』。ちょっと変な漫画だったな、と思いつつ、独特なセンスが感じられました。最後に『わらかしボーイ×こらえガール』。女の子の可愛らしさが感じられたので、展開や各話のネタなどで、それがより伝わりやすくなるとさらに良い作品になるな、という期待も込めて推したいと思います。

三次審査に進出する作品を選考!!

編集A

いよいよ三次審査に進む作品を決めたいと思いますが……まずは前回と同様に2人以上が推した作品から見ていきましょうか。2票以上入っている作品は……
『漫殺-マンコロ-』『生者の行進』『アルティメットお遊び』『冷蔵庫少女ナノイさん』『ザンガイム』『僕らはうたう』『ロク☆ドク』『見栄っぱりシンドローム』『わらかしボーイ×こらえガール』の全9本です。

編集A

前回も言いましたが、このグランプリは「ジャンプ+」での連載とコミックス化が決まるものなので、単純に票が多いから決めるというわけではなく、この9作品について本当に連載できるレベルにあるのか、議論していきましょう。

編集A

まずは『漫殺-マンコロ-』ですが、これは満場一致なので、二次審査突破ということでよいですね。

編集B

いいと思います。

編集D

読者からの得票数も多く、さらに編集者の意見も一致している作品なので、文句なしだと思います。やっぱり連載ネームとしての形が一番良くできているというか、毎話盛り上げを作り、引きが上手くて次が気になる、という点は高く評価できると思います。あと、「この企画で賞を獲って連載するんだ!」という意識が応募作の中では一番強いですね。

編集A

漫画として読みやすく、ネーム力も評価できるよね。では、『漫殺-マンコロ-』は二次審査突破です。

漫殺-マンコロ-
『漫殺-マンコロ-』
編集A

次に『生者の行進』はどうでしょうか。編集C以外の全員から推されている作品です。

編集C

僕も推薦作品として挙げませんでしたが、高い水準にある漫画だと思いますので、三次審査に進めても良いと思います。

編集D

セリフの多さが少し気になってはいるので、そこを三次審査で読者がどのように判断するのか、見てみたいと思います。

編集B

読者を怖がらせる演出が随所に見られるし、またそれを見せられる力があるので、三次審査で読者が「怖い!」と思ってくれるのを期待してます。

編集C

グロさとホラーと謎がありつつも、ヒロインの主人公への恋心とか、そういう感情面の描写もしっかりしていたので、良い作品だと思います。

編集A

では、『生者の行進』は二次審査突破ということにしたいと思います。

生者の行進
『生者の行進』
編集A

次は『アルティメットお遊び』。この作品は私と編集Dが推している作品ですね。

編集D

基本的にはコメディ作品なので、「ギャンブル」を題材にした既存の人気作と比べると物足りなさを感じるかもしれません。ただ、それが違った読み味になっていて、そこを良いととらえるかどうかで評価が分かれる作品です。

編集A

あとの編集部員3人は、どのあたりが推さなかった理由ですか?

編集B

すごろくという題材と、「何者かに創られた世界」という設定に子供っぽさを感じてしまって、ワクワクできませんでした。スマホで読む読者は年齢層が比較的高いので、そういう層に面白がってもらえるのか、もっと命がけのギャンブルとか、他の人気作にあるような真剣な要素がないと、ちょっと弱いんじゃないかな。

編集A

「ゲーム」という設定が前に出すぎていて、読者の共感が得にくいかもしれないよね。

編集B

読者が見たいところと、ちょっと離れたところで盛り上がっちゃってる印象を受けました。

編集A

確かに、私も推してはいますがそういう面は感じました。

編集D

ただ逆にライト感というか、シリアスすぎない点がWEB漫画には適しているという考え方もできると思うんで、三次審査で読者のリアクションを見て欲しいですね。

編集A

では、いったん保留ということで、次の作品を見てみますか。次は『冷蔵庫少女ナノイさん』

編集D

僕が推さなかったのは、この作品は絵も含めたキャラクターの可愛さで勝負するべき作品だと思うんですけど、画力という面でもう一歩だったからです。その上、「ジャンプ+」で連載中の『フルチャージ!!家電ちゃん』と近いアイディアに見えるのもちょっとマイナスかなぁと。とは言え既存作品と比べなくても連載は難しい作品かな、と思います。

編集E

僕も同じ意見で、既存作品の影響が強い上に、絵に色気がもっと欲しかったなって思います。

編集A

まあ、既存の作品の影響が本当にあるのかは編集部の推測でしかないんですが、1つの媒体で同時に連載をするという事を考えた時に、2つの作品が明らかに同じジャンルだと、どちらも読者が抱く印象が似たものになってしまうよね。だから普段の連載会議でも、連載中の作品と近い企画を通す事はハードルが高くなる傾向が強いと思います。今回も『フルチャージ!!家電ちゃん』が連載している「ジャンプ+」で、『冷蔵庫少女ナノイさん』を連載させたいかというと、ちょっと疑問かもしれないですね。

編集D

ただ、投稿する方々には、「じゃあ、ジャンプに海賊漫画は持ち込んじゃいけないのか」って思って欲しくはないですね。

編集A

確かに、海賊漫画が連載会議にかけられることもありえるし、実際に始まる可能性だってあるんだよね。

編集D

だから僕と編集Eは、『フルチャージ!!家電ちゃん』と近いから推さないのではなく、仮にそれが無かったとしても、連載にはちょっと力不足なんじゃないかっていう理由で推してないんです。

編集A

じゃあこの作品もいったん保留として、次の作品に移りましょうか。

編集A

次は『ザンガイム』ですが、いかがでしょうか。

編集C

この作家さんはアナログ原稿なんですよね。個人的にはけっこう好みのジャンルだし、演出にも光るものがあるのですが、キャラクターの印象が弱いなぁと思って推しませんでした。目や顔の描き方にちょっとパンチが足りなくて。描きたいシーンや演出はあるけど、キャラクターの魅力を引き出そうという意識はちょっと弱く感じました。

編集A

確かに他の漫画賞であればもっと推したい作品ではあるんですが、この形でそのまま連載する、という今回のグランプリの趣旨でいくとちょっと課題が残る作品です。

編集E

推し作品ではありますが、僕も『ザンガイム』というよりも作家さんの才能に期待したいという面が強いです。この作品がそのまま連載になった時に、読者に受け入れられるか、というと、不安な面はありますね。

編集D

僕は推さなかったんですけど、ジャンプ本誌の漫画賞でよく見る作品という印象でした。かっこいい絵作りに興味がありすぎるというか、それだけというか。かっこいいシーンがある既存の漫画って、面白いキャラクターだとかびっくりするような展開があった上でそういったシーンを演出しているんですよね。この作品は、キャラや展開などの大事なところが抜けちゃっているな、という印象です。まずはキャラや設定、ストーリー展開という漫画として大事なところを意識して、その上にかっこいい絵が描けるという才能を乗っけて欲しいな、と思います。

編集A

ではこちらも保留にしておきましょう。次に『僕らはうたう』について話し合いたいと思います。

編集B

これ、読切だったらすごく良かったと思います。1話で話が完結しちゃってるんだよね。

編集D

で、2話目3話目がどちらも新展開というか……。

編集B

2話目以降は、1話とまったく関係ないことをしてるんだよね。僕も推しはしなかったけど、1話はすごく良くできた作品だと思います。「消声期」の設定とか、驚かされたし。

編集A

確かにテーマとか、題材には感心させられました。

編集C

1話に関してはもう少し絵が良かったらすぐにでも商品になるな、という印象ですね。漫画を描き始めてまだ日も浅いようですし。

編集A

ジャンプ本誌でも読切の評判が良かった時に、その作品をどう連載作品に移行するのか、という課題はあるんですが、この作品については2~3話目の作り方について物足りなさを感じる人が多かったってことですね。

編集B

ただ、ここにいる編集部員全員が1話目を評価しているってことは、読者の記憶にも残る1話ってことなのかな。個人的には三次審査に残しても良い作品だと思います。

編集D

考え方によるとは思いますが、1話だけを見たら、今回の連載作品の中で一番面白い作品だったと思います。ただ、連載ネームという視点で見ると、今残っている9作品の中では一番レベルが低いですね。それを読者がどういう風に評価するか。僕も三次審査で、読者の反応を見てみたいです。

僕らはうたう
『僕らはうたう』
編集A

それでは『僕らはうたう』は三次審査に残しましょう。続いてはpixivからの応募作で、『ロク☆ドク』についてです。この作品は、ちょっと女性向けですね。

編集C

そうですね。僕が推した作品なんですけど、第3話で河童がいきなり「僕と契約してよ!」って言ったのは、ちょっとどうなのって思いました(笑)。ただ、さっきも言ったんですけど、小豆洗いが「大豆も洗ってあげればよかった」って泣いたり、ちょっとしたセリフの節々にセンスを感じました。

編集B

絵柄も含めて、商品になりそうというか、レベルの高い作品ではあるよね。ただ、1~3話でばらばらな事をしていて、連載ネームという意味ではちょっと厳しいかな、と個人的には思います。

編集D

キャラクターは可愛いんだけどね。

編集A

それでは、『ロク☆ドク』もいったん保留にしましょう。続いて『見栄っぱりシンドローム』です。

編集B

見栄ばっかりはってる男の子と、クールなヒロインの掛け合いが面白かったと思います。

編集C

さっき編集Eが言ったように、ちょっとクセのある女の子がこっちに興味を持ってくるっていう展開は最近の流行でもあるんだけど、流行であるがゆえに薄さを感じてしまったというか。ただ、キャラの魅力というところで光る部分はありました。

編集B

たしかに良く見る設定ではあるんだけど、キャラ同士の掛け合いでしっかりと萌えさせてくれているので、漫画としては成立してると思うよ。

見栄っぱりシンドローム
『見栄っぱりシンドローム』
編集A

じゃあ、『見栄っぱりシンドローム』は三次審査に通しましょう。続いては『わらかしボーイ×こらえガール』です。

編集A

僕は「こらえガール」の描写にキュンとしたので推しました。

編集D

本当ならもっと作家さんと打ち合わせをして企画を練った方が良いという気もするんですけど、これだけ地味な題材でも作品に独特な味が出ているところを評価して推しました。

編集A

企画を練るっていうのは、「こらえガール」という企画をもう少し分かりやすくした方が良いってこと?

編集D

というか、根本的に「こらえガール」よりも良い企画はあると思うんです。ただ、そんなにインパクトがない企画なのに作品の印象が強いのは才能だと思うので、作家性も含めて高く評価したいです。

編集A

僕も読み始めてすぐには「ちょっと期待できないかな」って思ってしまったんだけど、読み進めていくと「こらえガール」のリアクションがどんどん魅力的になってきて、良い意味で裏切られたという感じだったね。

編集B

良かったと思います。

わらかしボーイ×こらえガール
『わらかしボーイ×こらえガール』
編集A

というわけで、『わらかしボーイ×こらえガール』も三次審査に残したいと思います。さて、現時点で以下の5作品が、二次審査突破となっています。
『漫殺-マンコロ-』『生者の行進』『僕らはうたう』『見栄っぱりシンドローム』『わらかしボーイ×こらえガール』

編集A

では最後に、1人しか推していないけど強くアピールしたい作品を発表してください。それらの作品と保留になっている作品を合わせて、もう1度話し合いましょう。

編集E

自分は『通り魔デスデサイズちゃん』を推したいと思います。どんどん人が死んでいく独特の世界観の中で、しっかりとそれぞれのキャラクターの魅力をアピールできていますし。

編集B

3話目でいきなり運動会をやっているあたりに、行き当たりばったり感を感じちゃったけどね(笑)。

編集E

自分はその部分も含めて楽しく読めたので、推したいと思います。

編集D

もう少し画力があれば……と思っちゃうんですけどねぇ。

編集A

でも、WEB漫画とは相性の良い題材だと思います。では、『通り魔デスデサイズちゃん』と先ほど保留にした作品を合わせて、二次審査を突破できるかどうか議論します。

二次審査を突破する、全作品が決定!!

編集A

現状、保留になっている作品は
『アルティメットお遊び』『冷蔵庫少女ナノイさん』『ザンガイム』『ロク☆ドク』 そして編集Eが推した『通り魔デスデサイズちゃん』です。これらの作品の中に三次審査に進められるものがあるか、もう1度話し合いましょう。

編集D

ボクは『アルティメットお遊び』を残したいです。紙の雑誌だと、どうしても漫画として「真面目なものが面白いんだ!」という方向に行きがちなんですけど、この作品にはシリアスさはなくても楽しく読ませようという企みが感じられるので、WEB漫画という観点でそれが読者にどう受け取られるのか見たいですね。

編集A

私も賛成です。

編集C

特に反対する理由もないですし、『アルティメットお遊び』は残しましょう。

アルティメットお遊び
『アルティメットお遊び』
編集A

では、『アルティメットお遊び』は三次審査に進めましょう。他の作品はどうでしょうか。

編集B

僕は『冷蔵庫少女ナノイさん』は推したいです。漫画として成り立っていると思うし、ぶっちゃけエッチな作品も欲しいよね。

編集C

一見『フルチャージ!! 家電ちゃん』と似た設定ではあるんだけど、本質的には違うものだと思います。『冷蔵庫少女ナノイさん』には、けっこう生々しいシモネタがあるんですが、『家電ちゃん』はそういったネタは少ないんですよね。表面上の企画は似ているように感じるかもしれないけれど、お互いに萌えるポイントというか、フェティシズムの方向性が違うと思いました。

編集B

この作品、作者からの紹介文に「エロラブコメ」って書いてあるんだよね。エロで男性読者の目を引くというか、面白がらせるというところを意図してやっていて、それに成功しているんじゃないかな、という気がするんです。

編集C

「ジャンプ+」の既存作品と似ている設定にしたことで損してしまった作品ですが、光る良さがあると思いますので、三次審査で読者の意見を問うてみてもいいんじゃないでしょうか。

編集A

分かりました。では、『冷蔵庫少女ナノイさん』は三次審査に残します。

冷蔵庫少女ナノイさん
『冷蔵庫少女ナノイさん』
編集E

僕は『通り魔デスデサイズちゃん』を推したいです。やっぱりサイズちゃんのキャラは魅力的ですよ。今回はキャラクター性というところを重視して応募作品を見てきましたが、この作品はサブキャラにも個性的なものが多くいて、続きを読みたいと思わせられました。

編集B

ノリが良いよね。

編集E

そうですね、ノリの良さと人を殺しまくっているハチャメチャさは、「ジャンプ+」などのWEB漫画の読者に絶対受けると思います。個人的には、今回の応募作の中で一番の作品だと思っています。

編集A

編集Eがそこまで言うのであれば、その判断を信じるということで二次審査突破としたいと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。

編集B

いいと思います。

通り魔デスデサイズちゃん
『通り魔デスデサイズちゃん』
編集A

では『通り魔デスデサイズちゃん』は三次審査に残しましょう。他にはありますか?

編集C

自分は『ロク☆ドク』を推したいです。まず、カラーイラストに目を見張るものがあります。

編集A

扉絵は確かにすごく良いよね。

編集C

扉絵だけでもこの作品を好きになる読者がいそうですし、カラーだけじゃなくてネームや原稿も上手いですよね。キャラクターと絵柄で読者に愛されるパワーが、この作品にはあるんじゃないかな、と思いました。

編集A

ちょっと女性向きかな、とは思ったけど、確かに「ジャンプ」という男性読者が多い媒体の中では、こういうセンスはむしろ武器になりそうだね。

編集B

では、『ロク☆ドク』は残しますか。

ロク☆ドク
『ロク☆ドク』
編集A

それでは、『ロク☆ドク』については三次審査に残しましょう。最後に『ザンガイム』についてはどうでしょうか。

編集B

自分が推した作品ですが、その理由としては彼の将来性に期待したいというものだったので、今回の作品で連載させたいかというと、正直、まだそこまでの力ではないかとも思います。

編集A

では、『ザンガイム』に関しては、次回作に期待するという意味でも、今回は見送りましょう。

編集A

というわけで、二次審査を突破して三次審査に残る作品は

『漫殺-マンコロ-』『生者の行進』『アルティメットお遊び』『冷蔵庫少女ナノイさん』『僕らはうたう』『通り魔デスデサイズちゃん』『ロク☆ドク』『見栄っぱりシンドローム』『わらかしボーイ×こらえガール』

の9作品に決定しました。次の三次審査の結果は、読者の投票で全てが決まります。読者の皆さんの投票をお待ちしています。

編集部から、連載会議を終えての総評!

編集A

これで連載会議を終えますが、最後に一言ずつ総評をお願いします。今回は2回目ということで、前回との比較などを聞ければと思いますが、どうでしたか? 今回はpixivからも応募を受け付けたので、いろんなジャンルの漫画があったかと思いますが。

編集B

個人的には、1回目と比べて見どころのある作品が多かったと思います。1回目で感じたのは、連載ということをまだ意識していない作品が多かったかな、という印象でしたが、今回は『漫殺-マンコロ-』をはじめ、「連載を狙ってるな」という作品が増えたのかな、という印象で、楽しく審査ができました。

編集C

僕は「企画」という意味では1回目の方が意識の高い作品が多かった印象です。もちろん、『漫殺-マンコロ-』などの上位作品は確かに良い企画でした。ただ、全体として見ると、去年と比べて「自分が好きなもの」を描いている人が多かったんじゃないかな。もちろん、自分の好きなものを読者にぶつけるという姿勢は漫画にとって大事なことなんですが、個人的には読者を驚かせようとか、目立とうという企みのある作品をもっと読みたいな、と思いました。

編集D

前回も言いましたが、3話までネームを描くという大変な作業を乗り越え、たくさんご応募いただきありがとうございました。前回より応募数は増えていますので、編集部としては本当にありがたいことです。『漫殺-マンコロ-』『生者の行進』を見て思ったのは、既にルーキーで投稿してくれている作家さんたちが、レベルアップしてこのグランプリに帰ってきてくれた、というのが頼もしいなと思っています。ただ、編集Cと同じ感想なんですが、1回目と比べると好きなものをそのまま描いていて、それを連載ネームに落とし込めずに息切れしちゃってる作品がすごい多いと思いました。読切作品を描くのと連載作品を描くのでは全然違う難しさがあるので、応募してくれた方々は、今回の経験を糧に、次回のグランプリに向けてがんばって欲しいと思います。

編集E

二次審査を突破した作品をはじめ、個人的にはレベルの高い作品が多かったと思います。ただ、3話分の連載ネームという形で見せる事を考えた場合、各話の引きやキャラの魅力など、もっともっと工夫すれば良い作品になるな、と思う作品が多かったことも事実です。でも、1回目に比べてもレベルが上がっていると思いますので、今後も期待したいと思います。

編集A

僕も、応募作品が増えたからなのか、前回よりもキラリと光る作品の数が多かったですね。そしてpixivからの投稿を受け付けたことで、「ジャンプ」の持ち込み作品とは違うセンスを持った作家さんが見られて、自分自身の刺激にもなったし、面白かったです。また、第3回を開催したら、さらに面白い作品がいっぱい来ると良いなと思います。

編集A

と言うわけで、連載会議は以上になります。本日はありがとうございました。また、第1回連載グランプリに引き続き、「第1話の完成原稿と、第2話、第3話のネーム」という厳しい条件の中、たくさんのご応募ありがとうございました。これからも「少年ジャンプルーキー」への投稿をお待ちしております。

二次審査を突破した9作品は、三次審査として11月中旬より期間限定で、少年ジャンプ+にて配信されることになる。そして更新期間が終了後、「いいジャン!数」の順位で上位5作品が最終審査に進出! 最終審査では週刊少年ジャンプ本誌の編集長・副編集長を交えた連載会議によって、ついにグランプリ作品が決定する!!

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以上、会議で選ばれた9作品が 少年ジャンプ+で行われる三次審査に進出します!!!(※終了しました)